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ペット広場タイトル

グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.108

呼吸するたびガアガアいってませんか?

〜犬の短頭種気道症候群〜

10月を迎え、初雪の便りも届き、朝晩冷え込んできました。この時期結構体調を崩される方が多いようです。皆さん気をつけてください。

フレンチ・ブルドッグやブルドッグは飛行機に乗せられないというのをご存知でしたか?

JALは通年、ANAは7月から9月までの間お預けできません。本来、犬は温度、湿度、音、気圧の変化、臭いなどの環境の変化に敏感です。航空会社各社とも十分に気をつけてお預かりをしていますが、短頭種犬については他の犬種に比べ高温多湿に弱く、気道も狭いため、興奮による呼吸障害に伴う熱中症を引き起す危険性が高いとされ、安全性を重視してお預かり中止にしているのです。フレンチ・ブルドッグやブルドッグのような鼻の低い、幅広い犬種を短頭種と言います。他にもボクサー、シーズー、ボストンテリア、パグ、チャウチャウ、ペキニーズなど13種類が該当します。詳しいことは各航空会社にお問い合わせ下さい。

これらの犬種は鼻の先から気管までの短い間に、コリーなど顔の長い犬種と同じ器官が配置(?)されています。そのために鼻の中は狭く、扁桃が拡張し、軟口蓋が過長し、喉頭や気管が虚脱したりと解剖学的異常が特徴になっています。息を吸うのに努力が必要で、そのために上部気道の内腔が狭くなり、気道抵抗がさらに上昇し、形態的異常がおこり、横隔膜だけでなく胸全体を使った吸気努力が増大していきます。安静にしている時はほとんど問題はないのですが、興奮したり、気温が高くなったりして呼吸が速くなって来ると症状(短頭種気道症候群)が出てきます。イビキ、呼吸困難、チアノーゼ、高体温、動かなくなる、失神などを起こすようになります。息を吸う時間が吐く時間よりも長くなるとリスクが高くなってきている徴候だと言われています。また、意外と思われるかもしれませんが、約9割が消化器症状を表します。これらの犬種は食道の蛇行や食道裂孔ヘルニア、幽門(胃の出口)狭窄などの解剖学的異常も伴っていることがあり、その機能も低下し消化管輸送に変化が見られるためです。

内科療法はあくまでも緩和治療です。酸素療法、鎮静剤、消炎剤、体温管理ですが、長期的には体重管理や興奮させないような環境整備も必要です。それでもうまく管理できない場合は、外科治療になります。吸気努力を減らせる手術になります。鼻の入り口を拡げたり、軟口蓋の過長を切除したりします。子犬の頃から徴候がある場合は、早期の手術が奨められています。これらの手術でも改善がない場合は永久気管切開を行います。さらに消化器症状に対する治療も並行して行って行きます。

これから涼しくなりますが、室温を高くしすぎたり、お客さんが来て興奮させてしまうと発症するかもしれません。くれぐれもご注意を。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2013年10月号掲載

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