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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.105

慢性腎疾患と食事

 

7月に入りました。北海道の短い夏を体一杯に楽しみたいと思います。6月末に北見で第8回ワンワン運動会が行われました。ワンちゃんたちも飼主さんたちも楽しそうでした。ちょっと暑い日でしたが大丈夫だったかな。関係者の皆様お疲れさまでした。

以前に2回ほど腎臓病に関して書いていますが、今回は食事療法の重要性について書こうと思います。イギリスとオーストラリアの2つの報告によりますと、慢性腎不全の動物で発見してすぐに腎臓用の処方食を食べるようにしたグループと一般食で通したグループとの50パーセント生存率の日数を比較すると、犬では処方食グループが約600日、一般食グループが約300日、猫では処方食グループが約600日、一般食グループが約200日だったそうです。この差をどう見ますか?簡単に言うと犬で約2倍、猫で約3倍余命が延びるということです。食事でこんなにも違いがあるなんて私自身も驚きました。

腎臓は、血液中の尿素窒素やクレアチニンなどの老廃物を濾過して尿中に排泄する大切な働きをしています。その他にも、赤血球を作る為に必要なエリスロポエチンというホルモンを産生したり、ビタミンDの活性化、血液中の電解質の調節、血圧の調節などの働きもしています。ですが長く生きている間に腎臓も、老化やさまざまな原因でその能力が失われていきます。血液検査や症状に異常がなくても、ゆっくりと進行していきます。これらに異常が出た場合には、腎臓の機能はすでに75%以上失われていると言われています。そして、一旦失われた腎臓の能力は再生することはありません。腎不全に陥る前に治療してあげるのが理想ですが、飼主さんも気づきませんので難しいです。血液検査よりも早く変化が現れるのが尿です。タンパクやアルブミンの検出、尿比重の低下などの異常が出てきます。

症状がなくても、シニア世代になった犬や猫は尿検査を含めた健康診断をお勧めします。そして、できるだけ早く腎臓病用の療法食を食べさせてあげてください。療法食はタンパクを制限し、低リン、低ナトリウムという形で調整され、各メーカーで出されています。食事の変更には多少苦労されると思います。犬は1〜2週間、猫は数週間から2ヶ月間ぐらいかけて少しずつ変更していってください。9割以上で食事の変更は成功すると言われています。2〜3倍余命が延びるということですからぜひ頑張りましょう。

また、慢性腎臓病の犬や猫は脱水になりやすいです。特に夏は気をつけたいですね。その子によっては好みの水や好みの飲み方があるようです。それもわかってあげてください。そして水が飲める場所も多くしてあげると良いでしょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2013年7月号掲載

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