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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.83

犬のリンパ腫治療について

誰もが心配する副作用

今年は夏らしい日々が続いた7・8月でしたが、動物たちの夏はいかがだったでしょうか?
この管内にも東日本大震災の被災地から家族とともに避難して来たペットたちがおり、慣れない土地でストレスを感じているようでした。
まだまだ時間がかかるのでしょうが、元の生活に戻れることを祈っています。
今回は2008年8月にも書きましたが、犬のリンパ腫について書きます。
前回は遺伝子診断について書きましたが、今回はリンパ腫の大まかな説明をしておきましょう。
犬においてリンパ腫は、悪性乳腺腫瘍、肥満細胞腫とならび最も多く経験する悪性腫瘍です。

10万頭に13~24頭発生すると言われ、中年から高齢の犬に発生します。
中には1歳で発生する場合もあります。当院でも、年に5頭前後来院されます。
飼主さんからお伺いする症状は様々です。
と言いますのも、リンパ腫は体中のどこにでも発生する可能性があり、発生する部位によって症状も変わってくるからです。
最も多いタイプは多中心型と言いまして、体の表面から触ることのできるリンパ節(顎の下、頚もと、脇、内股、膝の裏など)に発生するリンパ腫です。
「顎の下が腫れてきた」と訴えて来られることが多いです。
このタイプのリンパ腫は、日頃飼主さんがペットに触れておくと早期発見できるタイプですので、少なくとも1ケ月に1回はスキンシップタイムを作ってもらい、くまなく触ってあげて下さい。

縦隔型と呼ばれるものは、胸の中の心臓の前にある胸腺というリンパ組織が腫れてくるタイプですが、症状は吐くとか呼吸困難を訴えることが多いです。
消化器型は、胃から腸のいずれからも発生があるリンパ腫です。
長びく吐気、下痢で来られることが多いです。
皮膚型のタイプは、飼主さんが皮膚炎と間違えることが多いです。
抗生剤を使っても反応がない場合は、詳しく調べる必要があるでしょう。
診断は病変となっている部位を針で刺し細胞を取って、染色して顕微鏡で見ます。
また、この時に遺伝子診断もを行ないこともあります(3年前と違い、気軽に検査出来るようになりました)。

リンパ腫を形成している細胞のタイプによって多少治療の反応が違いますが、抗癌剤を使った治療が中心となります。
リンパ腫以外の悪性腫瘍は抗癌剤をお勧めすることは少ないのですが、リンパ腫に関しては比較的強く勧めてます。
しかし、飼主の皆さんが心配されるのが「副作用」。ヒトと比べ投薬量が今のところ少なく設定されているため、副作用はさほど多くはありませんが、やはり心配ですよね。
毎年のように投与方法が改善されてきてますので、その子にあったオーダーメイドの投与方法を選択し、最近では副作用を軽減できる薬を併用することも効果があるようです。
また、副作用を早期に発見できるよう飼主の方にも協力してもらい、観察日誌を付けていただくこともいいと思います。

リンパ腫は治療しなければ平均約3ケ月で亡くなります。
抗癌剤を正しく使用し、できるだけ副作用が出ないようにし、出ても早期に対処することで、できるだけ長く元気にすごしてほしいものです。家族とともに。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2011年9月号掲載

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