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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.71

なかなか治らない嘔吐と下痢 Part.2

〜タンパク喪失性腸〜

今年は遅い春を迎えてから、一気に夏になったような陽気ですね。暑さ対策はしていますか? それと昨年は時期がずれていた子宮のトラブルが、今年は例年通りに発生してます。こちらの方も気をつけてください。 先月に引き続き、なかなか治らない消化器疾患を取り上げます。  今回はタンパク喪失性腸症です。血液中のタンパク質が小腸などの消化管の中に漏れ出てしまう病気群です。  原因はさまざまですので、年齢や性別に関わらず、誰にでも起こりえます。  ただ、腸のリンパ管拡張症というリンパ管の病気の場合、起こりやすい犬種が分かっています。バセンジー、ヨークシャー・テリアなどです。

原因は大きく2つに分けられます。 一つは、リンパ管の異常です。 リンパ管は血管ともつながっていますので、例えば心臓病で血液の流れが悪くなり、同時にリンパ液の流れが悪くなるとか、または、リンパ管を圧迫するようなできもの(ガンなど)があると、リンパ液の流れが悪くなり、流れが滞った所から、大量にタンパク質が漏出します。 もう一つの原因は、消化管粘膜の異常です。先月書いた炎症性腸疾患に伴う場合もありますし、腫瘍が絡んでくる場合もあります。

症状の多くは慢性の軟便・下痢です。元気消失や体重減少、嘔吐が見られることもあります。 また、血液中のタンパク質が少なくなってしまいますと、血管の外に水分が漏れます。 それが皮膚に漏れると浮腫を起こしますし、胸の中に漏れると胸水となり呼吸困難が起きます。 また、お腹の中に漏れると腹水となります。

診断は血液検査で低タンパク血症を確認します。 しかし、低タンパク血症は、肝臓が悪くて体内のタンパク質が作られていない時にも現れますし、腎臓からタンパク質が漏れて尿中に出ていってしまっている時にも現れますので、それら除外する必要があります。 また、おおもとの原因を調べるために、レントゲン、超音波検査、心電図、糞便検査、内視鏡、開腹手術などが必要になることがあります。

治療は原因となっている病気を治療すれば、この症状は改善していきます。  原因に応じて、抗生物質、抗潰瘍薬、ステロイド、利尿薬、食餌療法などが用いられます。  原因となっているものを除去できるのであれば、手術も必要になりますし、原因がリンパ腫などの腫瘍であれば、抗ガン剤をおすすめすることもあります。  いずれも長期間の治療が必要なことは覚悟しなければなりません。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2010年7月号掲載

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