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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。 アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.67

食べ過ぎ、飲みすぎではありませんか?

〜副腎の病気について〜

2月に入り、最も寒い時期になりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。家の中に閉じこもりになっていませんか。
本州出身の私は雪かきはちょっと苦手ですが、冬が大好きです。
特に新雪が降った朝、雪の結晶を見るのと川辺の木々についた雪景色が好きですね。本当にきれいだと思います。
昨年11月大阪の学会でパネラーとして参加した「副腎腫瘍への挑戦状」、12月の札幌の学会で会場係として舞台裏をやった「副腎の外科」と2ケ月続けて副腎について話を聞く機会があったので、今回は副腎の病気について書こうと思います。

副腎はお腹の中の腎臓の近くにある臓器です。副腎は皮質と髄質(ずいしつ)に分かれ、皮質では、糖質コルチコイド(抗ストレスホルモン)、鉱質コルチコイド(電解質を調節するホルモン)、男性ホルモン(雄雌とも)の3種のステロイドホルモンがつくられます。
髄質は主にアドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの心拍数や血圧を調整するホルモンを作り出し、とても小さいけど重要な役割を担っています。

副腎の病気で最も多いものは、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)です。当院では年間に5頭前後来院されます。
犬の場合3つのタイプに分かれます。脳下垂体にできた良性の腫瘍から副腎に対してホルモンを出しなさいという指令が多すぎるもの(約8割。下垂体性)、脳下垂体とは関係なしに副腎に腫瘍ができどんどんホルモンを出してしまうもの(約1.5割。副腎腫瘍性)、ステロイドホルモンを飲んでたり、外用を使っている場合に症状が出てしまうもの(医原性クッシング症候群、数%)があります。

いずれも症状は食べ過ぎたり、飲み過ぎたりします。また皮膚に炎症や石灰化がおこったり、筋肉が弱くなり、お腹が下がったりします。
放っておくとステロイド性肝炎、糖尿病、膵炎、各種感染症、高血圧症などになることがあります。
さらに副腎腫瘍性の場合は腫瘍が周囲や後大静脈に広がったり、転移したりします。
また肺動脈に血栓ができ、突然の呼吸困難を起こし死亡する場合もあります。

治療はそれぞれ違います。
下垂体性の場合は、内科療法が主体です。薬は何種類かありますので、動物の状態や費用面などを獣医師に相談して決めるといいと思います。
副腎腫瘍性の場合は、可能ならば外科的摘出が第1選択です。手術前の検査や準備、手術中は血圧、換気状態、出血、疼痛管理などに注意を払わなければなりません。
手術後も肺血管塞栓症、膵炎、敗血症、副腎機能低下症などを気をつけながら集中的に観察していきます。これだけ注意しても手術で亡くなってしまうのが約2割5分という大変難易度の高い手術になります。
たくさん食べて飲んで、健康そうに見えても何か病気が隠れているかも知れません。ご心配の方は動物病院に受診してみてください。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2010年2月号掲載

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