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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。 アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.64

動物のリハビリテーションについて

機能の回復を願って

11月に入り、朝晩寒くなってきました。今年は新型インフルエンザの流行もありますので、いつも以上に皆様お体に気をつけてくださいよ。 今回は動物のリハビリテーションについて書いてみようと思います。ヒトの何倍も早く歳を取っていく動物こそ、運動器の障害を患ったときに早期にリハビリを行った方がいいように思われますが、日本では動物のリハビリテーションに対する系統だった教育体系や資格認定制度などはありませんでした。 欧米では理学療法士からの働きかけで、動物のリハビリテーションが構築されてきたという歴史があるようです。理学療法士に獣医師、動物看護師が参加して動物の理学療法を行い、社会的にも認知されています。 日本でも3年前に日本動物リハビリテーション研究会が発足し、獣医麻酔外科学会や動物臨床医学会でも専門に取り組み始めています。北海道でも7月に講習会があり、この11月にもテネシー大学の専門医を招いて講習会があります。

整形外科の手術後や高齢で関節が硬くなったりして、失われた機能を回復するだけでなく、障害をもったままでも、そうなる以前の活発な生活にできるだけ戻るように動物医療従事者が援助していきます。 解剖学を熟知し、骨・関節・筋肉・靭帯などの機能を理解し、それらの動きの仕組みを理解することが求められています。身体をよく触り、マッサージが基本となりますが、支えて歩かせたり、階段の昇り降り、ウォータートレッドミルで歩行訓練をしたりします。 中にはプールにライフジャケットをつけて泳がせる施設もあります。水治療は浮力で体重負荷が軽減され、痛めた足を動かせます。陸上ではできない運動が水の中ではでき、足が動かせれる範囲を改善させます。 また水流の抵抗で筋力をアップさせることができます。

ヒトはリハビリテーションの意味を理解し本人の意思により懸命に頑張りますが、動物たちはその意味自体を十分に理解できません。ましてや痛みが伴うリハビリはやりたがりません。 実際の現場スタッフがもっとも重要視しているのは「動物たちのモチベーションを高めること」だそうです。動物たちがリハビリを嫌々するのではなく、楽しみながらモチベーションを上げてリハビリできるよう訓練されたスタッフが必要となります。 場合によっては鎮痛剤もうまく使いながら理学療法を行う場合もあります。

動物たちも長生きできるようになり、足腰が弱ってきます。できるだけ寝たきりにならないように普段から筋肉や靭帯や腱を鍛えておくことも大切です。 散歩コースに上り下りのあるところを選んだり、食事の前に「お座り」や「伏せ」を何回かやることだけでも鍛えることとなります。 動物のリハビリのことを書いてきましたが、なにか我々にも通じるものがありますね。足腰を鍛えるように残り少ないスポーツの秋を楽しみたいと思います。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2009年11月号掲載

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