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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。 アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.50

リンパ腫の診断と治療の様変わり

〜遺伝子診断〜

先月は聴導犬の講演会にたくさんの方々が参加していただきありがとうございました。人と動物の絆のすばらしさをあらためて感じていただけたでしょうか。  今回はリンパ腫の新しい診断と治療について少しだけお話します。7/12,13大阪で第28回獣医がん研究会が行われました。今回のメインテーマは「リンパ腫」でした。

リンパ腫は白血病の一種で,犬や猫の悪性腫瘍のうちもっとも多い腫瘍です。毎年何頭も来院されます。多くのタイプがあり,外側から触って分かるリンパ節(顎の下,頚の根っこ,膝の裏など)が腫れたり,胸の中のリンパ節が腫れ胸水が溜って呼吸が苦しくてなったり,お腹の中のリンパ装置が腫れ下痢になったり嘔吐したりして来院されます。また発生は少ないのですが,皮膚にできたり,腎臓にできるものもあります。

その診断は腫れているリンパ節を細い針で刺し、顕微鏡で見て腫瘍化したリンパ球を確認して診断します。しかし、これだけでは診断がつかない場合があります。その場合リンパ節をまるごと取り、病理検査をします。それでも分からない場合が少なからずあります。わからないまま治療(抗癌剤)を進めるわけにはいきません。数年前から大学レベルでは行われていましたが、リンパ節の材料のごく少量(針先)を遺伝子診断の一つのPCRを用いて腫瘍になっているか、悪さをしているリンパ球のタイプはどういうものかが分かるようになってきました。昨年ぐらいから商業ベースで検査をしてくれるところができ、現在日本で3箇所あります。

リンパ球のタイプが分かると治療の反応が変わってきます。リンパ球にはBとT、そしてどちらにも属さないものがあります。一般にTリンパ球性のリンパ腫は治療への反応は悪いと言われています。ヒトの方では以前からそれぞれのタイプのリンパ腫に合わせた標準治療があり、細かく、繊細な治療が行われているようです。動物の方はまだ始まったばかりで、全国的なデータの集積が必要です。今後とも獣医がん研究会からの情報を患者さんに還元し、QOLを維持しながら長生きできるようにしたいと思います。何か新しい時代が来たと感じた大阪でした。

さて今月はお盆を迎えます。里帰りをしてお墓参りに行かれる方も多いと思います。亡くなられた家族や親戚、ご先祖そして亡くなったペットたちに手を合わせて、家族皆さんで思い出話を話してみて下さい。そうすることが必ず供養になると思います。くれぐれも遠出には気をつけて行って来て下さい。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2008年8月号掲載

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