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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.167

キャットリボン運動について

〜猫の乳がんの早期発見を〜

今年も師走を迎えています。自然災害が多い年でした。なかでも台風15、19号の甚大な被害は脳裏に焼き付いています。ペットたちの被災状況は未だ明らかにされていませんが、相当数の被害があったものと思います。今後機会があればお伝えします。

今回はキャットリボン運動について書きます。どこかで聞いたフレーズ?人のピンクリボン運動に呼応して名付けたようです。11月12日付けの北海道新聞にも載っていました。アメリカの動物腫瘍専門医でもあり、日本獣医がん臨床研究グループ代表の小林先生が提唱して活動を行なっています。今年から10月22日を「キャットリボンの日」と定め、乳がんに苦しむ猫を減らそうと獣医師や飼い主への啓蒙活動を行なっています。

猫の乳腺にあるシコリは約8割が悪性です(犬は約5割)。高齢になるほど発症は増えますが1歳でなった猫もいます。大半はメスですがオスもかかることがあります。予防は1歳未満に不妊手術をすること。卵巣を摘出することでリスクが抑えられます。猫の乳腺腫瘍のほとんどが悪性ですから、早期発見をして手術することがとても大切です。シコリの直径が2cm以下で見つけるのがポイントです。2cm以下なら手術後の生存期間はおおむね4年半ですが、2〜3cmなら2年、3cm以上なら転移率が上がり余命は6カ月と短くなります。早期発見するにはどうすればいいでしょうか?飼い主さんのセルフチェックが大いに役立ちます。頭や背中をなでることは日頃から行なっているかと思いますが、お腹側を乳腺に沿って触ってあげてください。乳腺は片側4つ、左右で8個ありますので一つずつ摘まむように触ってください。脇の下や内股にはリンパ節がありますので、このあたりも入念に触ってあげてください。これを1カ月に1回ぐらい行うといいでしょう。おとなしい子なら仰向けにしてしっかりチェックできるのでいいのですが、少々きかない子を触る場合は怪我をしないように気をつけて行なってください。乳首と同じくらいの硬さかもう少し硬いシコリがあれば乳腺腫瘍の可能性が高いです。動物病院ではそのシコリを針で吸引して細胞診をし、良性・悪性の目安をつけます。そして手術を希望されれば、胸のレントゲンを撮り転移がないことを確認し、血液検査をして安全な麻酔ができるかを判断します。手術方法は犬とは異なります。犬は良性が約5割ですから腫瘍の発生部位によってはシコリだけ、1つの乳房だけとる方法もあります。しかし猫はほとんどが悪性であり、リンパ管でつながっていますので、リンパ節を含めた片側全部を取る手術法が一般的です。傷が大きくなり痛々しいですが、小さく取って再発し治せなくなるのはかえってかわいそうだと思います。手術で取った組織は必ず病理検査が必要です。良悪、血管やリンパ管への浸潤、リンパ節転移の有無など貴重な情報がわかり、その後の治療方法が決まります。

猫はコタツで丸くなる季節。スキンシップと共に乳腺のセルフチェックをぜひお願いします。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2019年12月号掲載

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