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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.156

冬に気をつけてほしい運動器疾患

(前十字靭帯断裂について)

今年も早1ヶ月がすぎました。昨年からこのコラムは隔月となりましたので、今年初めての投稿となります。どうぞ今年もよろしくお願いします。
今年はイヌ年。いつも以上にワンちゃん達の話題が多くなるかもしれません。一方で、昨年の12月22日の日本ペットフード協会の発表によりますとネコの飼育頭数がイヌを上まったそうです。双方とも減少傾向にでしたが、イヌの減少率が高いために逆転したのです。

イヌが人にもたらしてくれる恩恵はたくさんあります。そんなワンちゃんが健康に過ごせるように、今年も皆様の為になるお話を届けたいと思います。

冬になりますと、人も含め体を動かすことが億劫になります。そして運動不足を解消するために、充分に体が温まらないまま運動やジャレあったりしてしまいませんか?12月にもさわりだけ書きましたが、前十字靭帯断裂のことをお伝えします。なぜかこの冬は例年になく前十字靭帯を損傷または断裂してくるワンちゃん達がとても多いためです。

前十字靭帯は、後十字靭帯とともに膝の中にある靭帯で、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を結んでいる靭帯で、加齢により靭帯が弱くなったり、肥満により負担がかかったり、小型犬で膝蓋骨脱臼や骨の変形がある場合でも靭帯に負担がかかりやすくなります。そして膝に急激な外力(急なジャンプやダッシュ、急なターンなど)が加わることで前十字靱帯断裂が起こるのです。

症状は痛みのために脚を着かなかったり、着いても体重を支えきれないので、脚がくだけるような歩き方をします。関節内の障害が慢性化すると、関節炎も発症しますし、筋肉の萎縮も始まります。できるだけ早く診断することが大切になります。治療はワンちゃんの症状や靱帯の状態、体重、運動量、飼い主さんの希望などによっても異なりますが、一般的には、内科的治療と外科的治療があります。

●内科的治療
鎮痛剤の投与やレーザー療法などによる痛みの管理、運動制限、肥満を防ぐための体重管理などを行います。内科的治療で症状が緩和され、良好な生活を送れるケースもありますが、症状が重度な場合は内科的治療だけだと半月板を痛める場合もありますので外科的治療を行います。

●外科的治療
前十字靭帯断裂の手術方法にはさまざまな方法があり、筋膜を用いて靱帯を再建する方法、他の靭帯や人工靭帯で前十字靭帯を代用する方法や、骨を関節が安定する形に切除固定する方法などがあります。適応時期や手術方法は個別な対応が必要になりますので、獣医師によく相談するといいでしょう。ケースによっては札幌などの専門医に紹介することもあります。

予防には、体重管理がとても大切です。なかなかダイエットできない場合は動物病院に相談することもいいでしょう。そして生活環境の改善も必要です。フローリングなどの滑りやすい床を避け、ワンちゃんが滑らないように足の裏の毛刈り、爪切りをこまめにすることもお薦めします。ジャンプや過度な運動をさせないなど日常生活での注意も必要です。特に冬は筋肉の柔軟性が減りますので、少しづつ運動してから、散歩したり遊んだりしてください。また膝蓋骨脱臼があるといわれているワンチャンは特に注意が必要です。人もスキーなどで膝の靭帯を痛めやすい季節です。お気をつけて下さいね。そして冬を楽しみましょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2018年2月号掲載

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