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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.128

犬の溶血性貧血について

 

いつもより早く訪れた春が過ぎ、夏を迎える前のリラ冷えの季節。皆さん体調崩していませんか。この時期はネコが風邪を引きやすいので気をつけてください。

今回は犬の溶血性貧血について書きます。溶血(ようけつ)とは血液中の赤血球が何らかの原因で破壊されることを意味します。赤血球は肺から酸素を取り込んで、身体の隅々の細胞に運び供給するという役割を持っています。溶血が起こると赤血球の酸素運搬能力が減ってしまうので、全身が酸欠状態になってしまうわけです。その症状は、だるそうにしている、運動を嫌がる、食欲不振、呼吸が早くなる、口の粘膜や結膜が蒼白、場合によっては黄疸(黄色い尿)などです。

犬の溶血性貧血の原因はいくつかあります。予防できそうなものもありますので、あらかじめ取り除くことを心がけましょう。

@自己免疫性溶血性貧血:自分自身の赤血球を自分のものでないと判断して、免疫細胞が赤血球を攻撃し、破壊してしまうものです。この誤作動を起す引き金は、ウィルスや細菌感染、抗生剤やワクチンなどの薬剤が要因となるものや不明確なもの(特発性)も多いです。また、遺伝的に自己免疫性の溶血を起こしやすい犬種が確認されています。オールドイングリッシュシープドッグ、アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、プードル、アイリッシュセッター、コリーなどです。治療は免疫システムを抑えることが中心となります。重症な場合は輸血や脾臓摘出する場合もあります。まだ臨床研究段階ですが、先進的な治療として間葉形幹細胞療法も注目されています。

A外傷性溶血性貧血:繰り返される衝撃により、血流が乱れ溶血を起こす場合があります。治療は基礎疾患に対して行なわれます。

B新生児溶血:生まれたばかりの子犬の赤血球を、母親の母乳に含まれる抗体が攻撃してしまう現象のことです。私自身は診療経験はありませんが、軽症な場合は無治療ですむようです。

Cハインツ小体性溶血性貧血:酸化物質を摂取すると、赤血球中にあるヘモグロビンと呼ばれるタンパク質が変性・凝集し、「ハインツ小体」という物質に変わり、これが溶血を引き起こします。原因の代表的なものがタマネギで「タマネギ中毒」とも呼ばれています。その他アセトアミノフェン(多くの風邪薬に入っている)、ナフタリン(防虫剤)、プロピレングリコール(不凍液やフードの保湿剤)などがあります。これらは与えなければ良いことなので気をつけて下さい。

いい季節になりました。出かけることも多いかと思います。マダニ対策しっかりやっていますか?

予防できることはしっかりやって、ペットが健康で過ごせますように!

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2015年6月号掲載

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