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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.125

デンタルケアの必要性

〜動物たちの快適な生活のために〜

今年の冬は、例年より気温が高く、雪が多く降り、皆さん大変な苦労をされました。お疲れさまでした。3月の声を聞きますと、春はそこまで来ているという感じです。

さて今回はデンタルケアのことを書きたいと思います。ここ数ヶ月、歯石取りや重度の歯周病で抜歯せざるを得ない犬たちが多く来院されているように感じます。イヌの飼育頭数は、2004年から2009年あたりが全国で約1,200万頭を超えてピークと言われていました。今、その子たちが、シニア年齢と言われている7歳を越えるようになってきています。年齢別飼育頭数でも、シニア期の犬は全体の約半分と言われています。イヌの世界でも高齢化が進んでいるわけです。また、現在登録されているイヌの犬種は。ミニチュア・ダックスフントが18%で1位、2位チワワが13%、3位トイプードルが12%などと、口腔内疾患になりやすい小型犬種が約半分になって来ています。これからさらに口腔内疾患になる犬たちが増えてくることが想像されます。

人とイヌの口腔内環境の大きな違いは、唾液のpHと唾液アミラーゼの欠損と言われています。イヌは唾液のpHはアルカリ性で、人は中性です。虫歯菌は酸性を好み、アルカリ性では生育できませんので、イヌには虫歯はとても少ないです。しかし逆に歯周病菌はアルカリを好み、酸性では生きていけません。さらに唾液アミラーゼが欠損しているため、口腔環境は酸性になりにくいとされています。歯石もアルカリ性の環境下でつきやすいとされています。そのためイヌは歯周病になりやすく、歯石がつきやすいのです。歯周病は食事後の歯垢からを始まります。歯垢は食べかす、細菌、はがれた口腔粘膜、水分からできています。食後20分ぐらいから歯に着くと言われています。その歯垢に唾液中のミネラルが付着して歯石となります。歯石ができるまでの時間はヒトで約1ヶ月ですが、イヌでは3〜5日間です。食べたあと放っておくと、すぐに歯垢→歯石となるわけです。歯垢・歯石がつき始めると、歯周辺では悪循環が起こり大変な状態になっています。歯周病菌による毒素と酵素放出、生体からの炎症反応により組織破壊が起こり、歯肉炎・歯根炎・歯槽骨炎となり、歯が脱落、病的な骨折、膿瘍形成で穴があいたりします。歯石はとても硬く、周辺の歯肉や歯茎、硬口蓋をも押しのけ、炎症を拡げます。さらに細菌や毒素、炎症産物が血流にのり、全身に回って、糖尿病、心内膜炎、心筋梗塞、菌血症、関節炎、腎炎、早産などを引き起すとも言われています。また、細菌や炎症産物がいっぱいの唾液を誤嚥して肺炎になる場合もあります。

アメリカではデンタルケアのガイドラインがあります。それによりますと、トイ種(小型犬種)はホームデンタルケアをしないと9か月齢で歯周疾患が始まり、3歳までにほとんどが歯周疾患を患っており、ホームケアは歯周病疾患のコントロールには必須と言われています。病院の健診として、健康な個体でも1年に1回の検診が必要であることと、歯肉炎がある場合には6ヶ月に1回、歯周病がある場合には3〜6ヶ月に1回の検診を推奨しています。

ワンちゃんが快適な生活を送るためにも日頃のケアと歯周病になった場合は早めの対処をしましょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2015年3月号掲載

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