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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.121

なかなか治らない鼻炎

〜鼻腔内腫瘍かも〜

霜月に入り、本格的な冬の準備をする季節となりましたね。特に外で飼っている高齢な犬は、寒さへの備えが大切です。風よけ、床の工夫をしてあげて下さい。少しでも体調がすぐれない場合は、室内飼育にしてあげることも考えてみたらどうでしょうか。

今回はなかなか治らない鼻炎について書きます。中には腫瘍が隠れている場合があるので、早めの対応が必要ということを書きます。

鼻炎。症状は鼻水が一番目立つものでしょう。透明なものは、何かの刺激に対するものの場合が多いです。冷気やアレルギー物質による刺激です。膿性(あおっ鼻)は細菌や真菌の感染がある証拠です。草の葉や種が鼻に留まっている場合もあります。吐いたものが鼻に詰まっている場合もありました。鼻水に出血が混じる場合もあります。炎症がひどい場合や腫瘍ができている場合がありますので注意が必要です。その他の症状はクシャミ、目ヤニなどです。

鼻炎があるということで、まずは抗生剤や抗ヒスタミン剤を使うと治まることが多いです。しかし、なかなか反応がなかったり、一旦治まっても再発したりする場合は腫瘍が潜んでいる可能性が高いです。この段階から詳しい検査をすることが理想的です。しかし現実的には鼻炎症状だけでは動物病院を受診されず、顔面が変貌したり、眼球が突出したりしてから、受診する場合が多いです。この段階ではすでに周辺の骨が破壊され、場合によっては脳室まで溶けている場合もあり、脳神経症状を伴って来ます。鼻腔内腫瘍の種類ですが、犬では腺癌、扁平上皮癌、線維肉腫などが多く、猫ではリンパ腫、腺癌、扁平上皮癌などです。腫瘍の種類によって挙動が違いますし、治療法も変わってきますので、できものの一部を採り、しっかりとした病理検査が必要です。できものを取るためには全身麻酔が必要となります。CT、あるいはレントゲン撮影を行い、できものの拡がりを確認した上で検査用に一部を取ります。リンパ腫の場合は抗がん剤が効く可能性がありますが、その他の腫瘍は抗がん剤はあまり効果はありません。最も効果的な治療法は放射線治療です。幸い鼻腔内腫瘍は転移率が低いので、局所が制御できれば、完治することも望めます。今年の春、北大にリニアックという放射線治療器が導入され、北海道でも鼻腔内腫瘍に対して理想的な治療ができるようになりました。しかし、距離的な問題などで札幌まで行ける方は多くありません。その場合、緩和的な治療になりますが、できる限りの治療が施されています。

鼻腔内腫瘍のできやすい犬種は、鼻筋の通った綺麗な長頭種です。折角の美貌が変化していく姿は、飼主さんにとっても大変なストレスとなると思われます。是非とも顔面が変貌する前の、鼻炎の段階で動物病院を受診されることをお勧めします。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2014年11月号掲載

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