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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.119

天高く馬肥ゆる秋

〜肥満について〜

9月に入り、収穫の秋を迎えますが、今年の夏は大雨が続き、各地で被害が出ています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災した方々へ心よりお見舞い申し上げます。また、被災地での農作物への被害も心配です。わが北海道はどうでしょう。この記事が載る頃には、米の作況状況が発表されている頃でしょうか。

天高く馬肥ゆる秋をまさに迎えますが、今回は肥えたイヌやネコの話をします。動物病院に来院するイヌの約50%以上、ネコの約45%以上が、肥満もしくは肥満予備軍といわれています。肥満とは「体脂肪率が35%以上」「体重が、理想体重の約15〜20%以上重い状態」とされ、獣医医療ではBCS(ボディー・コンディション・スコア)で栄養状態を5段階で評価していますが、BCS4以上が肥満と判断されます。いわゆるウエストがない状態になります。肥満になると関節や心臓への負担、糖尿病や脂肪肝、膵炎、熱中症のリスクも高くなります。さらに短頭種が肥満になると呼吸困難になりやすくなり、生命の危機に陥ります。

原因は「過剰なカロリー摂取」と「病的」な場合があります。過剰なカロリー摂取の場合は、過食、運動不足、避妊・去勢手術後の代謝の変化、加齢による基礎代謝の低下などで、エネルギー摂取量が消化出来るエネルギー量をオーバーしたときになり、脂肪として身体に蓄えられます。この場合は、まずは食事やオヤツを控えたりしてください。とは言っても、なかなか飼主さんは実行できないことが多いです。そんな時は獣医師や動物看護師に相談すると良いでしょう。ダイエット用の食事の指導や軽い運動の仕方などを指導してくれます。また、誰かがダイエットを応援してくれているとやる気もでると思います。気軽に動物病院の玄関をくぐってみて下さい。

病的な肥満とは、ホルモン疾患や腹水貯留を伴う病気などが関わってきます。「食事量は変わらないのに体重が増える」「急激な体重増加」「食欲の異常な増加」「おなかだけが膨れてくる」などの症状が出たら、それは危険信号です。甲状腺機能低下証、副腎皮質機能亢進症などのホルモン疾患や心臓病や肝臓病による腹水、肝臓腫大、腹腔内腫瘍などが考えられます。この場合は獣医師の診察を受けた方が良いです。獣医師は血液検査、レントゲン検査、超音波検査などで、腹水や腹腔内腫瘍、肝臓の腫大、副腎の腫大などの有無を確認します。それに加えてホルモン検査なども行なう場合もあります。悪さをしているものよって治療は変わりますが、ホルモン療法から手術まで様々です。

「天高く馬肥ゆる秋」には秋のさわやかで快適な気候という意味のほかに、中国の故事によると収穫の秋には北方の騎馬民族が作物を略奪に来るから気をつけろという警戒の意味もあるようです。穏やかな秋を迎えたいものです。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2014年9月号掲載

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