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ペット広場タイトル

グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.115

流涎(りゅうぜん)について

 

5月になり、花たちが一斉に咲く季節になりました。今年の冬は雪も多く、長かったので待ちに待った感じです。若葉が萌えてくるとマダニたちも活動してますので、散歩にいく前には予防対策をしっかりとしてください。

食べ物を目の前にした犬たちに長い時間「待て!」をさせておくと、よだれが出てきますが、困った顔をして指示を待っているうちの愛犬を見ていると、いじらしくなります。今回はこのような「食いしん坊よだれ」でなく、病気からくる流涎症(よだれが多量に出てしまう状態)について書きます。よだれは唾液腺で作られますが、唾液腺自体の障害で流涎症が起こることはめったにありません。多くは口の中や喉の奥・食道での痛みや炎症を起こす疾患(異物も含む)、腫瘍による痛み・通過障害、神経筋の障害で飲み込めない状態、ジステンパー・猫カリシウィルス・狂犬病などの感染症、高体温症、むかつき、痙攣発作の前兆などが原因です。局所の問題だったり、全身症状の一つだったりします。「たかがよだれが多いぞ」とは思わず、いろんなことが隠されていることを是非覚えておいてください。そして飼主さんに気にしていてほしいのは、流涎がいつから始まっているのか、量や出方、粘り気があるのか、色(血が混じっていないか?)、臭いはどうか、行動の異常がなかったかなどです。また、刺激物やのどに詰まりそうなものを食べていないかも気にしていてください。意外とこのことに気づかれていない飼主の方が多いと感じています。動物病院に来院さられた場合、口の中を入念にチェックします。痛みや炎症病変がないか、痛みがある場合は口を開けた時なのか閉じる時なのか、場合によってはレントゲンを取ったり、鎮静をかけて、口腔内や食道を詳しく観察する場合もあります。さらに口や咽頭・食道以外が原因で起こる場合もありますので、全身の検査、血液検査も行ないます。治療は「よだれを止める」だけの有効な治療はないため、原因を追求してその治療を行うこととなります。例えば歯科疾患が原因であれば、スケーリングや抜歯、歯肉炎の治療。腫瘍に対しては可能であれば切除。神経筋疾患であれば免疫抑制剤などが有効なことがあります。肝臓や腎臓の内臓疾患の場合はそれぞれの治療が必要になってきます。痙攣も原因を探り、その治療をしていきます。

その他の原因として、外部要因もあります。極度のストレス状態、内服された抗生剤、中毒(チョコレート、水仙、ツツジ、有機リンなど)、ある種の麻酔薬、そして「食いしん坊よだれ」。関連する言葉で「垂涎の的」があります。よだれが出るほど食べたいとか、あるものを欲しいと熱望するという意味です。まだまだ熱望することを見つけたいと思うこの頃です。脱線しましたが過剰なよだれが出ている場合は、お近くの動物病院に早めに診ていただくのが良いでしょう。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2014年5月号掲載

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