グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。
ペット医療コラム Vol.100
誤飲・誤食にご注意を!
〜2月はチョコレート中毒が多いとか〜
北海道の冬はとても綺麗ですね。
木々についた新雪と川辺の樹氷がとても気に入っています。
それにしても今年は雪が多いので、皆さん筋肉痛で大変ではないでしょうか。
今回は誤飲・誤食について書こうと思います。
2月はバレンタインがあるせいでしょうか?
全国的に犬がチョコレートを誤って食べてしまうという「事故」が多く発生するようです。
チョコレートの中には、犬にとって有害物質である「テオブロミン」という成分が入っています。
テオブロミンは興奮作用があり、心臓の拍動がとても早くなったり、不整脈が出たり、痙攣もおこすと言われています。
人に比べて犬はこれを代謝する能力が低いため、中毒を起こしやすいと言われています。
どれぐらいのチョコレートで中毒になるかというと、いろいろなタイプのチョコレートがあるので一概に言えませんが、テオブロミンの量として考えた場合、犬の体重1kgあたりテオブロミンとして50mg~100mgを摂取すると中毒症状をあらわします。
テオブロミンの含有量はチョコレートの種類によってそれぞれ違いますので、もしも犬が食べてしまった場合、その箱などをそのまま獣医さんにもっていくと良いでしょう。
そもそもチョコレートは愛する方にあげるもので、決して犬にはあげないでください。
冬の間はどうしても散歩の回数が減り、室内で過ごすことが多くなります。
少しでも運動不足を解消しようとオモチャを投げて取りにいかせるなどの遊びをやる方は多いのではないでしょうか。犬は大喜びで遊びますよね。
しかし、この遊びに思わぬ危険が潜んでいます。
小さなボールやオモチャ、そして手袋や靴下を飲み込んでしまったと病院に来られる方が結構いらっしゃいます。
そのままにしておいた場合、胃の中にある間は間欠的な嘔吐で済みますが、腸に入ってしまうと腸閉塞になり、激しい嘔吐になってきますし、腸が痛んできます。
中には腹膜炎になる場合もあります。
治療ですが、吐くことができそうなものは注射などをして吐かせるようにしますが、それができなければ、胃カメラで取ってきます。
人は多少辛くても我慢してカメラを飲んでくれますが、動物たちはそうはいきません。
全身麻酔が必要となります。
いろいろな鉗子を使って異物を取ってきます。
これで多くの場合は回収できます。
しかし、飲み込んだものの大きさや材質によっては、掴みきれなかったり、途中でちぎれてしまったり、大き過ぎて胃から取り出せない場合があります。
そうなると開腹手術となり、犬も飼主さんも大変な負担となります。
運動不足解消は良いのですが、犬が飲み込めそうにないものを選んだり、口にくわえたものを急かせるように取ろうとしないことです。
「飼主さんとの奪い合い」と受け止め、犬はあわてて飲み込んでしまうという習性もあるようです。早く春がきて、外を散歩できるといいですね。犬と家族の運動不足解消のためにも!
アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2013年2月号掲載