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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。 アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.69

慢性腎不全

〜たくさん水を飲んでいるのに脱水?〜

4月に入り、学校や職場でも新しいメンバーを迎えスタートを切ったところでしょう。
期待と戸惑いが交差しているとは思いますが、新しい出会いを大切にしていきたいものです。
今回は慢性腎不全について書きます。犬や猫の腎臓もヒトと同じ機能を持っています。
身体の老廃物を尿として排泄、必要な水分を再吸収することにより身体の水分量を調節、ミネラルバランスの調整、造血ホルモンを分泌、血圧の調整の一部に関与、また食べ物から得られたビタミンDを活性化し腸からのカルシウム吸収や骨の代謝にも重要な役割を果たしています。
慢性腎不全は腎臓の病気が長い時間かけて進行し、腎機能が低下した状態です。猫が多いと言われていますが、犬も少なからず発生がみられます。

よくみられる症状は、元気がなくなる、食欲低下、体重減少、嘔吐そして「よく水を飲み、たくさんオシッコをする」です。
必要以上に尿が出るため、たくさん水を飲んでいるのに水が足りない「脱水」になっていることが多いのです。
毛並みにつやがなくなったり、背中の皮をつまんで戻りが悪くなっていたら脱水状態になっている可能性があります。
一旦慢性化した腎臓は治癒する事は難しいです。時間と共に進行し、腎機能が落ち「尿毒症」という状態になって最終的には死を迎えます。

早めに見つけて進行を遅くしてあげる治療が主体となります。
血液検査で異常を見つけた時にはもうすでに腎機能が75%以上障害されていることが多く、尿検査は血液検査よりも早く腎臓の異常をみつけることができると言われています。
症状が気になった場合とか中年以降になって健康診断を受ける場合にはぜひ尿を病院に持って行かれることをおすすめします。

腎臓病の原因が感染や腫瘍、結石など明らかな場合は、それらに対応した治療をおこないます。
原因が分からない場合もできるだけ早く治療することは進行を遅くするのに役立ちます。
食事を腎臓病用に変えたり、尿毒症の原因となる老廃物を腸管で吸着させたり、血圧の調整をしたり、尿にタンパクが漏れでていくのを抑える薬を使ったり、免疫を抑える薬を使ったりします。

最も重要なのは水分の維持です。放っておくと脱水が進行してますます腎臓に負担がきます。
定期的に強制的な水分補給が必要です。静脈点滴が理想的ですが、時間がかかり動物たちにストレスをかけますので、場合によっては短時間で行える皮下補液でも対応できることがあります。
できるだけ腎不全にならないためには、水は絶やさないこと、塩分に配慮した食事、あまり生活環境を変えないこと、トイレはいつもキレイにしておくことなどが大切です。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2010年4月号掲載

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