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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。 アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.42

動物の病気・ケガの新しい治療法

〜再生医療と腫瘍免疫療法〜

12月になり、すっかり寒くなってきました。人のインフルエンザも例年になく流行が早いようですね。皆さん、今年の冬も健康に過ごしてほしいものです。
11月中旬、大阪で動物臨床医学会がありました。獣医師と動物看護師たち約3,000名が集まります。昨年もトピックスを紹介しましたが、今年も少しだけ紹介しましょう。

まずは再生医療について、ここ数年ケガの治療や化膿した後の治療法が変わっています。人の医療での流れを受けて、動物の方も同じような流れになっているようです。傷に対して、以前は乾かして治すとか動物は舐めて治すなどと言われて、消毒をして抗生剤をつけて乾いたガーゼを巻くか、そのままにすることが多かったです。
しかし、最近は消毒ではなく、洗浄をしっかりやった後、湿らせた状態にして自分の体から出てくる治そうとする物質をその場に留めていこうという考え方になっています。その方が結果的に早く、しっかりと治るようです。
また、人工血管や神経にしても全く人工的なものだけでなく、自分の細胞が働きやすくする「場」を提供してやると再生が促されるようです。交通事故で切ってしまった大きな神経も今まではあきらめざるを得ませんでしたが、再生する可能性が格段と良くなっています。

次に癌の免疫療法です。民間療法でキノコやサメ軟骨、腸管細菌療法などで免疫を上げたり、薬剤でもある程度免疫を上げる方法は以前からありました。今回紹介された活性化自己リンパ球療法は、癌になった動物の中で生成される、癌細胞を攻撃するリンパ球を採血して取り出し刺激・培養・増殖させて、元の動物の体内に戻して癌細胞を攻撃するというものです。まだ臨床実験の段階ですが、実用化になれば細胞培養ができる施設ならどこでもできるようになりそうです。すでに培養のキットもできているようです。私自身も大変興味を持ちました。

再生医療にしても、癌の免疫療法にしても動物自身がもっている力を刺激してあげて、増幅し、治癒力を強くする方法です。今はまだ外科や抗がん剤が主力ですが、副作用の少ないこういった治療の技術が進むといいですね。
皆さん。忙しい師走ですが、元気にお過ごしください。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2007年12月号掲載

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