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グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.166

ペットたちの緑内障について

 

 今年はとても暑い夏で、秋になっても暖かい日が続いていますが、いかがおすごしでしょうか。秋にはほてった皮膚をケアしていきましょうね。

今回は眼の話をしようと思います。「目は心の鏡」、「目は口ほどにものを言う」などたくさんのことわざになったり、信頼し合っているペットや人が見つめ合うと幸せホルモンが出ると言われ、眼はものを見るだけではなく、心の状態をも表すとても大切な器官です。眼の病気の一つ緑内障ってご存知ですか。人と同様に犬や猫も緑内障になります。緑内障とは「眼圧上昇や視覚を認識する視神経細胞の機能低下・壊死、視神経乳頭の陥没により、進行性視覚障害や盲目を伴う疾患群」と難しい定義があります。眼が丸い形で居られるためには、眼房水という水が適切に産生され、適切に排泄され、一定の眼圧を維持しておくことが必要です。主に排泄(下水管)に異常をきたし、眼房水がうまく排泄されず、眼圧が異常に上昇し、視覚に関わる神経系を圧迫して視覚障害になるのが緑内障です。発症したら速やかに適切な治療を開始することが重要になります。というのは高い眼圧状態が1〜3日間続くと失明になるとも言われており、ある動物眼科専門医に来院した犬の約7割がすでに失明していたとの報告があります。これを読むと大変なことだとわかりますね。しかも眼科症例のうち約1割が緑内障と言われていますので、皆さんに緑内障についてお伝えしたいのです。

飼い主さんがはじめに気づく症状は「目をしょぼしょぼさせる」「よく眠るようになった」「目の周りを触らせない」「白眼が赤くなってきた」「目の表面が白くなってきた」「眼を布団にこすり付ける」「食欲がない」などです。一見眼とは関係ない症状(不定愁訴)の時もあります。少しでも眼に異常が見られたら受診されることをお勧めします。好発犬種は柴犬、シーズー、雑種、アメリカンコッカースパニエル、ビーグルと続きます。特に好発犬については健康診断の時に正常時の眼圧を調べておくことで早く異常に気づくことができるでしょう。

治療は視覚があるかどうかで目的が変わってきます。視覚があるのは急性期もしくは移行期までとされています。どのステージなのかを適切に診断し、薬剤の点眼、全身投与などの内科的治療を集中的に行います。また視覚維持のために外科治療が必要な場合もあります。視覚がない場合は不快感の解消や治療終了のための外科治療を行います。外科的治療は高度な技術が必要なので道内でも何名かいらっしゃる専門医への受診をお勧めします。

発症から3日以内に病院を受診し治療した犬の54%で視覚が維持され、4日以降では9%しか視覚は維持できなかったという報告があります。繰り返すようですが、眼に異常を見つけたら動物病院を受診されることをお勧めします。

結構シビアなお話になり、また「膝っ子に目薬」的な話になったかもしれませんが、大目に見てやってください。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2019年10月号掲載

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