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ペット広場タイトル

グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。

ペット医療コラム Vol.161

高齢ペットとは

 

 師走に入り、今年を振り返ることが多い時期となりました。皆様の1年はいかがだったでしょうか。今年は「北海道」と命名されて150年の年でもあり、開拓時代からの先人の苦労を考えるきっかけにもなりました。また9月の胆振東部地震では震度7、全道ブラックアウトと初めての体験もしました。胆振地方では全壊・半壊の住宅も多く、ペットを飼えなくなったご家族もたくさんいらっしゃいます。北海道やNPO、北海道獣医師会では新しい飼い主さんへの譲渡会も行っています。長年一緒に生活したペットと離れるのは辛いだろうと思います。

11月に札幌で北海道小動物獣医師会の大会がありました。約200名の獣医師と約270名動物看護師が集いました。その中で「高齢犬・猫のより良い生活応援のために!」「動物の痛みをどう知る?どう取る?」というテーマのセミナーがありました。最新のデータによりますと犬の平均寿命は14.19歳、猫は15.33歳です。高齢動物の定義は明確な基準はありませんが、「その個体の寿命の75%を経過し、老齢動物として特別な管理が必要と考えられる年齢」と言われています。小型犬で9〜13歳、中型犬で9〜11歳、大型犬で7〜10歳、超大型犬で6〜9歳、猫は8〜10歳からと考えられます。人でいうと概ね53歳から60歳ぐらいからでしょうか。私はまさに高齢動物!体の機能が衰えてくる時期です。関節がすり減って痛みを感じたり、代謝が落ちて運動が億劫になったりします。その中でも痛みに対しては何とかしていきたいですね。動物は「痛い」と言ってくれません。動物の行動からヒトが察知してあげなければなりません。

@表情をみるA姿勢をみるB活動性をみるC食欲をみるDちょっと専門的ですが、心拍数、呼吸数、体温も評価の基準となります。ペットの痛みの評価表というものがあります。犬では獣医麻酔外科学会の急性痛スケールやいたみ研究会の慢性痛チェックリスト、猫の痛みの評価は難しいとされていますがUNESP-Botucat多元的複合ペインスケールがわかりやすいかと思います。ご興味がある方はネットで調べてみてください。ペットたちが高齢と言われている年齢に達したら、一度チェックしてみるといいでしょう。それを事あるごとに記録しておき、変化があるのか、痛みを取る治療が必要なのか考えるきっかけになるかと思います。

慢性的な痛みに対して飼い主さんたちができる事があります。まずその子が肥満になっている場合、適正体重にする事が大切です。ヒトの話ですが減量によって9割の方が関節痛が緩和された報告があります。実際にペットでもダイエットで見違えるほど活発になった経験をしました。そして適度な運動です。関節が硬くなったり、筋肉が落ちていますので過度な運動は避けるべきでしょう。若いときから行っていた「おすわり」「伏せ」「待て」をもう一度見直し、連続的にやらせるだけでも全身運動になります。いろんな方向から声をかけることで振り向きますが、これだけでも首回りの筋肉を鍛えることとなります。もちろん散歩ができるようであれば時間を作って出かけてあげてください。心肺機能・代謝機能・免疫力をあげる効果もあります。そして一通りの運動ができたら、体をさすりながら褒めたり、おやつをあげることでペットのモチベーションアップにもつながることでしょう。

新しい年もペットたちの健康と皆様のご健勝をお祈りいたします。今年もありがとうございました。

アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2018年12月号掲載

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