グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。
ペット医療コラム Vol.120
犬の被毛のはなし
~温かみが恋しい季節を迎えて~
10月を迎え、大雪カムイミンタラからは雪の便りが届き、里は紅葉の季節を迎えました。そして朝晩は寒くなってきました。これからストーブなど暖房を使う季節になりますが、灯油の高騰、電気代の値上げが家計に響きますね。
今回は被毛の話をしましょう。以前ニュースにもなりましたが、吹雪の中、車に閉じ込められたが、愛犬のおかげで助かったということがありました。犬は体温が38度前後とヒトより高いということもありますが、全身被毛で覆われていますのでとっても温かいです。特にダブルコートと言われる被毛が2重構造になっている犬種は温かいです。
被毛は成長期と休止期という周期で、成長と脱毛を繰り返します。イヌの場合は年に1、2回換毛が行われ、毛が新しく生え変わります。換毛は日の長さに影響を受けるので、季節によって毛の抜け方は変わってきます。一般的に、夏は毛が成長し、冬は成長が止まる傾向にあるようです。また、気温の影響も受けるので、北国の犬種と南国の犬種では毛の生え方も違ってきます。その他にも、毛の生え変わりは甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモンといったホルモンや、栄養状態にも影響を受けます。人間でも、男性の方がはげやすかったり、食生活の乱れやストレスが脱毛の原因になることがありますが、動物も同じです。
正常な皮膚であれば、成長している毛と成長をやめて脱毛する毛のバランスがとれているため、脱毛は起こりますが、「全身の毛が同時に抜けてはげてしまった」「毛が抜けて生えてこない」ということは起こりません。このようなトラブルが起こっているときには、毛の周期に影響を与える因子のどこかで異常が起こっていることが考えられます。
また、脱毛以外に痒みを伴う場合や、皮膚の湿疹、赤み、かさぶた、化膿などの症状がある場合は、ダニやノミなどの寄生虫、細菌、カビの仲間(糸状菌)、アレルギー、アトピーなどによる皮膚病が起こっている可能性があります。
大切なのは、皮膚の異常が脱毛だけなのか、痒みはないか、いつから起こっているか、何かきっかけはなかったか(フードを変えた、ホテルに預けた、トリミングの有無、草むらで遊ばせたなど)、皮膚以外の症状(食欲がない、水を大量に飲む、急に太ったなど)はないかです。犬の皮膚の厚さはヒトの1/3から1/5しかなく、意外にも繊細な作りをしています。これから寒くなりますが、トラブルなく、温かく過ごしていただくためにも、いつも一緒にいる飼い主さんしかわからない情報が診断の役に立つことも多いです。診察の際には是非とも言葉をしゃべれないワンちゃんに代わって私たちに教えて下さい。 情報提供:アース動物病院 獣医師 古川 翔
アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2014年10月号掲載