グラ・コムペット広場は、毎月のように送られてくる読者からの要望により2003年8月号より連載がはじまりました。その時々の人気のペットの紹介や育て方、接し方などに触れながら続いてきました。
アース動物病院院長 高良広之先生による医療コラムは、2003年12月号より連載が始まりました。グラコムネットではペット医療コラムとかわいい自慢のペット達を紹介する「みんなのひろば」のコーナーがあります。ぜひ参加してくださいね。
ペット医療コラム Vol.176
注意報発令!ペットの誤食・誤飲
今年はなかなか天候が安定しないですね。そして新型コロナウイルス感染症も第4波の荒波の中ですが、お一人お一人がしっかりと感染対策をして乗り越えていきましょう。
さて、当院ではここ1ヶ月ほど、ほぼ毎日のように誤食・誤飲でペットが来院されます。動物の保険会社アニコムによりますと、誤食・誤飲は2月と12月をピークに冬が多いのですが、ここ1ヶ月間の多さは異常かと思います。中でもご家族の薬(解熱剤、風邪薬、湿布など)を食べてしまったというものが比較的多いのですが、コロナ禍の影響もあるかもしれません。
食べたら危険なものをリストアップしておきましょう。人の医薬品:種類や量によっては中毒症状を起こしたり、出血が止まらなくなったりするものもあります。シートのまま飲み込むと口の中や食道を傷つけてしまいます。糸やヒモ状のもの:飲み込んだものの種類や長さによっては舌に絡んで切ったり、腸閉塞になる場合もあります。口や肛門から糸やヒモの一部が見えている場合もありますが、無理に引っ張ると消化管を傷つけてしまうので引っ張らないでください。保冷剤:保冷剤の中にはエチレングリコールが入っているものがあります。腎不全を起こし大変危険です。竹串・画鋲・針・釣り針:先がとんがったものは消化管を傷つけます。特にカエシがある釣り針は取るのも大変です。タバコ:タバコに含まれるニコチンによって中毒症状が出てきます。興奮、嘔吐、下痢、大量に摂取すると痙攣、昏睡に陥って死亡する場合もあります。靴下・軍手・タオルなどの布:胃の中に留まり、間欠的に嘔吐したり、腸閉塞になる場合もあります。タオルなどを引きちぎって誤食するとヒモ状異物になりますので大変危険です。ボール・おもちゃ:症状は大きさと素材によります。腸閉塞になる場合もありますので飲み込んでしまったものを教えていただくとありがたいです。観葉植物:観葉植物や切花の中にはペットが食べると危険なものが以外とたくさんあります。中毒症状を起こし、嘔吐、下痢などの症状を起こしたり神経症状を起こす場合もあります。ネギ・玉ねぎ・ニラ・ニンニク:個体差がありますが、赤血球を壊す成分が含まれているため貧血を起こします。チョコレート・お茶:含まれているテオブロミンやカフェインによって心臓・中枢神経を刺激し、場合によっては死に至ることもあります。レーズン・ぶどう:犬に有害な反応を起こします。腎不全から死亡する場合もあります。キシリトール:人にとっては大丈夫でも犬が摂取すると低血糖を起こしたり肝不全に陥る場合もあります。アボガド:プルジンという成分を含み、大量に摂取すると胃腸炎、膵炎を起こす恐れがあります。
このようにペットたちの周りには食べたり、飲み込んでしまうと危険なものがたくさんあります。口や足が届くところに危険なものを置かないことはもちろん、日頃から「貸して」や「ちょうだい」と言って、口にくわえたものを飼い主さんに渡す練習をご褒美をあげながらやっておくこといいでしょう。また口にくわえているのを見つけても、飼い主さんは焦ってはいけません。「ダメ!出しなさい」と大きな声を出したり、無理に口から離そうとすると、逆に飲み込んでしまうことがあります。もしも飲み込んでしまった場合は、無理に吐かせることはしないで、すぐに動物病院に連絡するのがいいでしょう。
アドバイス:アース動物病院 院長 高良広之氏
北見市北進町4丁目3番43
TEL0157-22-6367
グラコム2021年6月号掲載