タイトル

慢性膿皮症


 慢性膿皮症とは、頭、首、わき、臀部、外陰部などに細菌感染による炎症を繰り返す難治性の病気です。
 汗腺や毛包の機能障害により毛包が閉塞することから発症します。多くはニキビのような化膿巣があり、徐々に拡大してくるようです。
 皮膚の下で炎症が長期間持続し、トンネル状に膿の溜まりを作り広がっていきます。皮膚の外に悪臭を伴う膿が出てくることもあります。肛門周囲に病変が生じることと関連して痔瘻を伴うことがあります。痛みを伴い、連日の処置が必要となり、また整容面での問題もあるため精神的にも大きな負担となります。
 原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因が指摘されています。環境的要因としては喫煙、肥満がリスク因子としてあげられています。また、長時間座ることが多い方や、局所が不潔であるといった環境要因も関与すると考えられています。中年男性に多く発症します。


 稀ではありますが、長く炎症を繰り返している場合、瘢痕から皮膚がんが発生する場合もあるので、しっかりとした治療が必要です。
 軽症なものであれば局所の
清潔を保ち、抗菌薬の内服と外用で改善することもあります。
 病変が広がってしまった難治性の場合のものは外科的に切除を行います。皮膚を全層で大きく取り除きますが、範囲が広い場合には植皮術などが必要になる場合があります。また分子標的薬の研究も進められています。
2021年09月29日(水) No.1023 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

子宮頸がんワクチン その 効果


●オーストラリアのインパクト
 先進諸国の中でも2007年から他国に先駆けてHPVワクチン接種に積極的に取り組んできたオーストラリアでは、始めは女児のみを対象に公費による4価ワクチン接種を、さらに2013年からはより効果的に性的接触感染での拡がりを抑え込む目的で男子にも対象を拡大し、現在12〜13歳の男女に定期接種されています(接種率は80%)。加えて2007年からの2年間は13〜26歳女子の無料接種キャンペーンも行われました。その結果、開始前の相対感染率と比較して、開始後の18〜24歳女性におけるHPV6、11、16、18型の感染率は78%、3回の接種終了者では93%と著明に低下しています。興味深いことにワクチンを受けていない女性の感染率も35%と有意に低下しており、これは大多数の人がワクチンを受けたことによる集団免疫効果と考えられています(図)。
 この積極的な取り組みにより、オーストラリアは2028年までに、子宮頸がんと診断される女性が10万人当たり4例未満、さらに今世紀半ばには10万人当たり1例未満となり、先進国の中で子宮頸がんを克服する最初の国になりそうです。


●国内の評価
 新潟県で行っているNIIGATA STUDYにおいて、20〜22歳のHPV16、18型の感染は、ワクチン被接種者が2.2%(10/459)であるのに比べて、ワクチン接種者では0.2%(3/1379)であり、ワクチン接種者で感染率が有意に低く、ワクチンの有効率は91%と高い感染予防効果があると報告。
 宮城県では、子宮頸がん検診を受診した20〜24歳の細胞診異常を比較検討したところ、ワクチン接種者は、非摂取者に比べて細胞診異常率が有意に低く、52.1%のリスク低減効果が認められています。
 秋田県でも同様の調査が行われており、ワクチンの有効性は88.1%と報告されています。
 松山市における検討でも、ワクチン接種世代(1994〜1996年度生まれ)では、20歳時の子宮頸がん検診において前がん病変の発生率が有意に減少していることが示されています。
 海外では、90%以上の子宮頸がんを予防すると推定される9価ワクチンの接種がすでに一般に行われています。日本でのHPVワクチン接種が進まないと状況が続くと、子宮頸がん排除という世界の流れからさらに大きく取り残されることになります。
2021年09月29日(水) No.1022 (秋山先生(小児科)のコラム)

高尿酸血症(痛風)の話4


尿酸は体内では血液に溶けていて血清尿酸値がだいたい7mg/dlを超えると尿酸は血液に溶けにくくなり「高尿酸血症」と呼ばれ結晶ができやすくなって痛風になりやすい状態になりまです。
 高尿酸血症でも、血清尿酸..
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2021年09月29日(水) No.1021 (原口先生(薬剤師)のコラム)

毛巣洞(もうそうどう)


 毛巣洞とは、お尻の割れ目の少し上に生じるしこりで、中に毛が入っているという不思議な病気です。
 普段は無症状ですが、感染が起こると痛みや腫れがあったり、膿が出てきたりすることがあります。


 この病気の原因は不明ですが、先天性説と後天性説があります。前者では、お母さんのお腹のなかで体がつくられる過程で、体毛の原基が皮膚に潜り込んでいて歳をとるにつれて毛が伸びてきて発症するという考え方です。後者では慢性刺激によって体毛が皮膚に入り込むように伸びることによって生じるという考え方です。体毛が含まれるものの、毛根がなく発毛の状態がみられないことから、現在はこちらの説が有力です。
 男女ともに発生しますが、長時間の運転などで座っている時間が長く、かつ毛深い肥満の男性のお尻に多くみられます。アメリカでは、振動するジープに乗る軍人に多いことからジープ病とも呼ばれています。シートに接触する部分に力がかかりやすくなり、その部分の毛が皮膚に潜りこんでしまうために発症しやすくなると考えられています。
 感染が起こった場合は、皮膚を切開して膿を洗い流します。根本的には毛が皮膚に入り込んだところを含めて一塊に切除することが必要です。ときには深くまでトンネルが続き、皮膚を閉じることが難しい場合もあります。その場合は皮膚をずらして縫合するなどの工夫をします。
 術後は、手術の前と同様に座っている時間が長いと再発することがあるために日常生活の工夫も必要です。剃毛やレーザー脱毛によって発生や再発の予防ができる可能性があるといわれています。
2021年09月01日(水) No.1020 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

子宮頸がんワクチン その ワクチンの安全性


子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、2013年3月に定期接種となりましたが、副反応の可能性がマスコミで大々的に報道されて、6月には「積極的推奨の中止」となり、この状態が今も続いています。当時、ワクチ..
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2021年09月01日(水) No.1019 (秋山先生(小児科)のコラム)

高尿酸血症(痛風)の話3


 痛風発作も腎臓の障害も体内に尿素が多すぎることが原因ですから、これを正常範囲にコントロールし続ければ、発作や他の症状も予防できます。しかし何度も痛風発作のあった人は、体の中に相当尿素がたまっているの..
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2021年09月01日(水) No.1018 (原口先生(薬剤師)のコラム)

臍ヘルニア・臍突出症


いわゆる 「でべそ」には、「臍ヘルニア」と「臍突出症」があります。
 泣いたりして腹圧がかかった時に腸管が飛び出して突出するものを臍ヘルニア、皮膚の余剰が多くて盛り上がっているだけのものを臍突出症と言います。
 赤ちゃんは、お母さんのお腹のなかにいるときはへその緒でお母さんと繋がっています。産まれた直後にへその緒は切り離されますが、切れ端はゆっくり乾燥していき、かさぶたとなって脱落します。その痕がおへそです。お母さんと繋がっていた腹壁の穴は徐々に閉じていきますが、その穴が大きかったり、閉じるのが遅いと臍ヘルニアになります。
 成人でもまれに臍ヘルニアになることがありますが、小児とは違いその理由は高度の肥満や、妊娠、腹水などの理由によります。


 赤ちゃんの約10人に1人が、へその緒のかさぶたが取れる生後1ヶ月くらいからへそが突出し始めますが、基本的には何もしなくても2歳頃には9割以上が正常のへそになります。生後2〜3ヶ月頃には最も大きくなり、腹圧がかかった時の突出は4〜5cmほどにもなることがあります。生後4ヶ月頃から腹直筋が発達して穴が小さくなっていくことが多いようです。スポンジやテープで圧迫することでやや早く治るとされています。
 まれに改善しないことがあり、3歳を過ぎると自然に治る可能性はほとんどなくなるので手術の対象となります。
 臍突出症の場合は見た目だけの問題になりますが、保育園や幼稚園でいじめの対象となることもあるため手術を検討します。
2021年07月28日(水) No.1017 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

子宮頸がんワクチン その


 子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチン)は、12〜16歳の女子 の70%を超える人に接種されていました。しかし、副反応報道が過熱したことにより、HPV ワクチンの安全性について見直す動きがあり、2013年6月に定期接種でありながら、厚労省が積極的に勧奨することを中止しました。その影響は深刻で、接種率が激減し、2002年生まれ以降の女子のHPVワクチンの接種率は、現在も1%未満となっています。今年で8 年の歳月が経過していますが、今ではHPVワクチンの存在すら忘れ去られている感があります。


 この間、ワクチン接種が積極的に行われている先進国から、ワクチンによる子宮頸がん予防効果が次々に発表されています。またワクチン接種に関係した「多様な症状」に対しての多くの疫学調査から、接種と症状との因果関係が否定されています。 現在、先進国を中心に、接種費用を 公費で助成する国は 70 か国以上にのぼっており、WHOをはじめとする世界の主要な国際機関は、接種を積極的に推奨しています。わが国でも、最近、HPVワクチン接種再開に向けての機運が高まっています。
●子宮頸がんの現状
 毎年1万人以上が罹患し、約3千人が亡くなっています。子宮頸がんの発症年齢のピークは 30 歳代で、出産子育て年齢のピークと重なります。20〜30 歳代の女性で子宮頸がんのために妊娠できなくなる女性が毎年1、200人います。図に示すように、わが国では子宮頸がんは年々増加しています。子宮頸がんの殆どはHPVの感染が原因とされており、とくに2つの タイプ(HPV16と 18型)によるものが 50〜70%を占めています。その感染を予防するH PVワクチン(70%の効果)と、20 歳以降の定期的な子宮がん検診でそのほとんどが予防することができるとされています。しかしながら日本の現状は、ワクチン接種が1%未満で、 子宮頸がん検診の受診率も40%台と低いため、予防できるがんが全く予防できていません。
●わが国のHPVワクチン接種の変遷
2006年…HPVワクチン開発
2009年12月…HPV16,18型に対する2価ワクチン(サーバリックス)販売
2011年8月…6,11 型を加えた4価ワクチン(ガーダシル)販売
2010年 11月26日〜2013年3月31日…12〜16歳の女子を対象に公費助成
2013年4月1日から定期接種化、接種率は70%を超えるまでに普及する。
2013年6月 厚労省から「積極的勧奨の一時差し控え」の通達
 接種率は1%未満に激減、この状態が現在も続いている。
2021年07月28日(水) No.1016 (秋山先生(小児科)のコラム)

高尿酸血症(痛風)の話2


 前回も話したように痛風は足の指が腫れてひどく痛む病気として有名です。しかし、この関節炎(痛風発作)は、痛風のいろんな症状の一部にしか過ぎません。
 痛風は体の中の尿素(尿酸)という物質が異常に溜ま..
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2021年07月28日(水) No.1015 (原口先生(薬剤師)のコラム)

耳介血腫


耳介血腫は、ギョウザ耳、カリフラワー耳とも呼ばれ、柔道、相撲、レスリング、ラグビーなどのコンタクトスポーツの選手で多くみられます。
 床に耳を押し付けたり、相手の頭が当たったりするなどの強い刺激を繰り返すことにより、皮膚や軟骨の間で出血し、血液がたまった状態です。
 格闘技などの強い刺激ではなくても、アトピー性皮膚炎や、虫刺されなどで、無意識に耳を掻いたり擦ったりする事が誘引になる場合もあります。
 受傷後早期であれば血液を抜き取る事で一旦は治りますが、血液や浸出液が再び溜まって再発してしまう事も多いので、しっかりと圧迫をすることが大切です。
 血腫をそのままにしておくと、盛り上がったまま固まってしまいます
 また、耳の軟骨は薄いため、細菌感染を起こしてしまうと軟骨が壊死したり変形してしまうことがあります。


 耳介血腫は厳しいトレーニングのたまものであり、強さの象徴ではありますが、耳の穴の方まで変形が及ぶと、イヤホンが入らなかったり、耳掃除が難しくなったりと日常生活で不便な面があります。
 女性の選手には少ないようですが、女性の方が見た目を気にしてしっかりと治療を行なっているためと考えられます。逆に、男性の場合はあまり気にしないために変形が残ってしまうことが多いようです。
 耳介血腫は再発しやすいため、耳に刺激を受けやすい競技をするときは、ヘッドギアなどで耳を守ると良いでしょう。
2021年06月30日(水) No.1014 (渡邊先生(整形外科)のコラム)