タイトル

デュピュイトラン拘縮


 デュピュイトラン拘縮とは、手のひらから指にかけてしこりができ、進行に伴って皮膚や皮下の組織がひきつれて徐々に指が伸ばしにくくなる病気です。1832年にフランスの外科医デュピュイトランにより報告されました。
 手のひらには皮膚の下に手掌腱膜という繊維性の膜があり各指に向かって扇状に広がっています。手掌腱膜が皮膚に強く結合することで皮膚がずれるのを防ぎ、物を握りやすくしています。この手掌腱膜へコラーゲンが異常に沈着して肥厚、繊維化、収縮することによって指が次第に曲がっていきます。
 原因は、体内のコラーゲンの産生と分解のバランスの崩れと考えられています。薬指と小指に多く発症しますが、初期症状として手のひらにしこりや窪みができます。症状が進行すると徐々に指が曲がり始め関節の動きが制限されるようになります。初期に圧痛があることもありますが、通常は痛みを伴うことはあまりありません。さらに進行すると指を伸ばす事ができなくなり、日常生活に支障をもたらすようになります。洗顔、拍手ができない、手袋がはけない、運転ができない、手を使うスポーツなどが難しくなります。
 病気の進行速度は一定ではなく、急に症状が進行したりゆっくりと曲がっていったりと予測するのが困難です。また、反対側の手にも発症したり、治療で症状がよくなっても再発する場合があります。


 ご家族に同じ病気のある方、高齢の男性、糖尿病患者、手に外傷が
ある方に多く見られます。また、足の裏、陰茎の繊維腫を合併する方もいます。
 治療をしないと自然には治らない病気なので、指の変形で日常生活に支障をきたすようになれば治療を行います。有効な内服薬などはなく、指を伸ばすなどのリハビリテーションも効果はほとんどありません。治療は薬剤によるものと手術療法があります。
 薬剤による治療では硬くなった手掌腱膜を溶かす注射をし、硬くなった組織を断ち切る治療法です。手術では、皮膚を切開して原因となっている組織を切除し、皮膚のつっぱりを解消します。ともに治療後の拘縮を防ぐためのリハビリも重要になります。
2020年07月29日(水) No.974 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

献血しようぜ!






 今回は、「献血」についてです。献血というと、針を刺されるのが怖いので行きたくないという人が多いのですが、献血から作られる「輸血」や「血液製剤」は多くの病気の治療に欠かせないものです。当院のような心臓や血管の外科治療を行う病院では、多くの輸血を使用していますが、実は最も多くの輸血が必要となるのは「ガン」の患者さんなのです。ガン患者さんはそもそも貧血となりやすい上に、「化学療法」と言われる薬の治療は貧血を起こしやすいからです。また、「血液製剤」と呼ばれる献血から作られる「薬」も多くの病気に使用されています。
 このような輸血や血液製剤は、高齢化社会を背景に、年々必要量が増えているのですが、献血者はこの10年間で100万人も減っているのです。現在はなんとか供給できている輸血と血液製剤ですが、少子化の日本では、今後の献血者の確保が課題となっております。
 献血を取り仕切っている日本赤十字社も工夫をしており、献血をして頂いた人にポイントカードを作って頂き、複数回献血を行うと記念品を贈呈する事業も行っております。
 北見市では定期的に移動献血車が市内を回っています。献血は16歳から行うことができる社会貢献です。皆さんも献血車を見かけたら、一度立ち寄ってみはいかがでしょうか?
2020年07月29日(水) No.973 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

こどもとスマホ その 『スマホ育児』は大丈夫?


 近年、「スマホ育児」という言葉が多く聞かれるようになりました。もともとスマホを用いて知育やしつけ用のアプリを利用することを示したものでしたが、最近はスマホやタブレット端末を子どもに持たせ、アプリや動画などで自由に遊ばせたり、子守り中に親がスマホを動作している状態を示す言葉となっています。
 2013年、日本小児科医会が「スマホに子守りをさせないで」というポスター(図)を発表し話題になりました。それに対して多くの賛否の声が上がりました。一方的にスマホ子守りを悪にする感じに違和感を持たれた方が多かったようです。


 実際、どのくらいの児がスマホを利用しているのでしょうか?「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」は、平成28年に行ったアンケート調査で、1歳児の41%、3歳児の60%、6歳児の74%に利用経験があり、利用を始めた年齢は2歳が最も多く、8割の子どもが3歳までに始めていました。小さな子どもがスマホなどを使用することへの懸念(図)は、視力への影響を心配される方が6割と最も多く、9割を越える保護者は何らかの影響を心配しています。
 0〜3歳の成長に言葉による応答はとても大切です。一方的に刺激を与えてくるスマホなどは言葉や表現力の発達に影響を及ぼす恐れがあります。低年齢からスマホを持たせていることにはさまざまな危険性が潜んでいるようです。
2020年07月29日(水) No.972 (秋山先生(小児科)のコラム)

夏に多い!?こむら返り


 こむら返りのこむらとはふくらはぎの事で、こむら返りとは筋肉が本人の意思とは関係なく突然強く痙攣を起こしひきつる状態の事で、収縮が数秒から数分間続いて強い痛みを感じる状態です。健康な人でも激しい運動を..
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2020年07月29日(水) No.971 (原口先生(薬剤師)のコラム)

ばね指


 指は腱によって曲げ伸ばしをする事ができます。曲げ伸ばしをする筋肉は前腕にあり、その力を腱が指先まで伝えます。その通り道で腱が浮き上がらないように押さえつけているのが腱鞘です。この腱鞘は指から指の付け根にかけて存在していますが、指のつけね部分は特に力がかかるため炎症を起こしやすくなっています。指を動かす度にその部分の腱と腱鞘の間で摩擦が起こり、指の付け根が痛みます。腱が腫れ、腱鞘が肥厚してさらに通りが悪くなり悪循環となり、さらに進行すると引っ掛かりが生じて指が曲がったまま伸ばせなくなる「ばね現象」が起こります。
 症状は朝方に強く、日中に手を使っている時は症状が軽減することもあります。更年期や、妊娠出産期の女性に多く、また手の使い過ぎやスポーツをする人などに多いのも特徴です。糖尿病、リウマチ、透析患者にもよく発生します。
 保存療法としてはシーネなどによる手指の安静や、内服、炎症を抑える腱鞘内のステロイド注射が行われます。ステロイドの注射は一旦は改善するものの、時間が経つと再発することも多くみられます。


 また「とくなが法」というストレッチが有効です。
ー蠎鵑鯣燭蕕擦疹態で、もう一方の手で指を最大限に反らせます。
 これは腱のストレッチと、関節の可動域を改善する目的があります。
⊆蠎鵑魴敕挌燭蕕擦疹態でブロックなどをぐっと握ります。
 指を曲げる力がかかることで、腱鞘を引き上げてその内腔を広げる目的があります。
 これはやったその場ですぐにばね現象が改善されることがあります。
 それぞれ一回につき30秒、1日10回行います。指を反らす際には炎症、痛みが悪化することがあるので、痛みが許容範囲を超えない程度のストレッチとしましょう。正しく継続すると一ヶ月ほどで効果が現れます。
 これらで改善しない場合は手術を行います。手術は、腱鞘を切開して通りをよくするもので、一度手術を行うと再発はほぼありません。
2020年06月30日(火) No.970 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

いびきが突然止まるのは病気のサイン!〜睡眠時無呼吸症候群と心臓病







 今回は、眠っている時に息が止まる病気「睡眠時無呼吸症候群」のお話です。この睡眠時無呼吸症候群の人は、寝ている時に、舌の付け根が喉に落ち込んで、気道(空気の通り道)を塞いでしまうために、息が止まってしまうのです。主な原因には、肥満、寝る前のお酒、睡眠薬などが挙げられます。
 男性に多い病気で、男性の24%が、女性の9%が、睡眠時無呼吸症候群だという研究もあります。睡眠時無呼吸症候群にかかると、無呼吸の時間帯に脳が覚醒してしまい、眠りが浅くなります。重症になると、日中の眠気がひどくなり、交通事故のリスクとなることもあります。また、高血圧・糖尿病などの生活習慣病や、心臓病にもかかりやすくなり、不整脈や心筋梗塞のリスクを約2倍にすると報告されています。
 治療に関しては、軽症であれば、マウスピースで対応します。中等症以上の場合は、CPAPという簡易的な小型人工呼吸器を使用します。これにより、睡眠時の無呼吸を起こらないようにします。
 睡眠時無呼吸症候群は、自分では気づきにくい病気です。もしパートナーが太っていて、寝ている時に、「呼吸」や「いびき」が止まるようなら、お近くの病院を受診することをお勧めします。当院をはじめ、多くの病院が、睡眠時無呼吸症候群の治療を行っております。
2020年06月30日(火) No.969 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

こどもとスマホ その 子どもとインターネット環境


 スマートフォン(以下スマホ)が日本に上陸したのは平成20年といわれています。それから10年余が経過し、スマホやタブレット端末は爆発的に普及しました。内閣府が毎年実施している「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、小学生(10歳以上)23%、中学生54%、高校生94%がスマホでインターネットを利用しています。その内容は、動画視聴が77%、ゲーム70%と多く、勉強などに利用しているのは33%とかなり低くなっています。インターネットの利用時間を表に示します。
 現在、ネット環境は子ども社会においても、遊び、人間関係、生活習慣において大きな変化、影響を与えています。とくに長時間の使用が、ネット依存などのさまざまな精神、健康障害を引き起こし大変危惧されています。


 2015年、小児医療保健議会は「子どもとICT(スマホ、タブレット端末など)の問題についての提言」を発表しています。
 健康への影響として、
…校間使用による影響
・VDT(Visual Display Terminals)症候群(ディスプレイなどの画像表示端末を使用した作業を長時間続けることにより、眼、体、心にさまざまな症状をきたす病気)
・睡眠、運動など生活時間が不足することによる健康障害(ネット依存症)
内容による影響
・ゲーム依存
・行動、メンタルヘルスへの影響
情報伝達手段に対する影響
・コミュニケーション能力への影響
・社会性の発達への影響
 日本小児科医会は、「スマホの時間、わたしは何を失うか」というポスターを出しました。
1、睡眠時間…夜使うと睡眠不足になり、体内時計が狂います。
2、学力…スマホを使うほど、学力が落ちます。
3、脳機能…脳にもダメージが!
4、体力…体を動かさないと、骨も筋肉も育ちません。
5、視力…視力が落ちます(外遊びが目の働きを育てます)。
6、コミュニケーション能力…人と直接話す時間が減ります。
 これから数回にわたって、スマホと子どもの関わりについて、考えてゆきます。
2020年06月30日(火) No.967 (秋山先生(小児科)のコラム)

子供にも使える鎮痛消炎外用剤


 小学校の高学年からは、スポーツを本格的にがんばり始める子どもが増えてきて、中学校に入ると部活動も始まるため、運動部に所属した場合は軽い捻挫や打ち身、筋肉痛をよく経験するようになります。これらのケアに..
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2020年06月30日(火) No.966 (原口先生(薬剤師)のコラム)

ドケルバン病


 ドケルバン病とは手首に痛みがでる腱鞘炎です。1985年にスイスの外科医ドケルバンによって報告されました。
 親指を動かす二つの腱と腱鞘との間に炎症が起こった状態で、親指や手首を動かすと痛みが生じます。腱は筋肉と骨とを繋ぐ丈夫な紐のような組織です。腱鞘はバンドのようなループになっていて腱が骨から浮き上がらないように押さえつけており、その中を腱が行き来することで指の曲げ伸ばしを滑らかに行うことができます。
 親指の使い過ぎによる負荷のため腱鞘が肥厚して硬くなったり、腱の表面が傷んで腫れたりして動きがスムーズでなくなり、さらにそれが刺激となって悪循環になります。超音波検査では腱の腫れ・腱鞘の肥厚などが確認できますが、生まれつき二つの腱の間に隔壁や骨の盛り上がりがある方がいて、その場合痛みを起こしやすいと言われています。
 慢性的な刺激が原因であり、手をよく使う仕事の人やスポーツをする人、スマートフォンの使い過ぎなども原因となります。妊娠・出産期の女性、中高年の女性に多く生じますが、解剖学的な男女差や、女性ホルモンのバランスが乱れることで腱がむくむことが炎症と関係すると考えられています。


 治療はまずは安静です。痛みがでる動きを避け、包帯やサポーターで親指・手首の動きを制限します。痛み止めの内服や腱鞘内へのステロイド注射を行う事もあります。また閉経後の女性の場合、エクオール(女性ホルモン類似物質)含有サプリメントが有効である可
能性があります。
 これで改善しなかったり再発を繰り返す場合は手術を行います。手術では、厚くなった腱鞘を切開し腱を開放します。
 ドケルバン病の発症や再発を防ぐためには、日頃から予防を心がけた生活をすることが大切です。スマートフォンやパソコンの操作、楽器演奏、スポーツなど、親指や手首を使った動作をする時には、長時間の作業は避けて定期的に手を休ませることを習慣づけるようにしましょう。
2020年05月27日(水) No.965 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

あなたの「歯」と「歯ぐき」は大丈夫ですか〜歯周病と心臓病


 今日はお口の病気が体全身に悪影響を与えて、場合によっては、深刻な病気を引き起こすというお話です。そもそも歯周病とは、口の中のばい菌が歯ぐきを傷めつけることによって、歯が抜けてしまうという病気です(※虫歯は歯そのものにばい菌が着くことです)。ここで覚えていてほしいことは、人間の口の中は、常にばい菌だらけということです。常に500種類を超える細菌が住んでいます。では、なぜ口の中がばい菌だらけなのに、大丈夫な人と歯周病にかかってしまう人がいるのでしょうか?これは、歯と歯ぐきの間に、ばい菌が「巣」を作るかどうかの違いなのです。この「ばい菌の巣」は、歯周ポケットと呼ばれる隙間にできやすく、そこで細菌が繁殖し、プラークが溜まると、健康な人と比べて、口の中に極めて多くの細菌がいる状態となり、これが歯周病を引き起こすのです。


 この歯周病ですが、多くの研究で、肥満と糖尿病を悪くし、心臓病と肺炎になりやすくすることが分かっています。また、妊婦さんが歯周病だと、生まれてくる子供が小さくなりやすいことも報告されています。特に歯周病は、肥満と糖尿病と強く関連しており、歯周病が悪化すると、肥満と糖尿病も悪化することが分かっています。また、歯周病は重症の心臓病である「感染性心内膜炎」の原因となることも良く知られており、まさに、口の病気と甘く見ていると、命を縮める結果となるかもしれないのです。
 さて、この歯周病ですが、多くの日本人が持っているようです。
 2011年の厚生労働省の調査では、15〜24歳ですでに約8%がかかっており、25〜34歳で約18%、35〜44歳で約23%、45〜54歳で約33%、55〜65歳は約48%と、加齢とともに、歯周病の割合が増えていきます。
 歯周病の予防と治療には、適切な歯ブラシと定期的な歯科医院でのチェックが大切です。歯ブラシに関しては、どんなにゴシゴシ歯を磨いても、口の中のばい菌をすべて除去することはできません。むしろ、歯を傷めるだけです。適切な歯ブラシとは、先ほど説明した「ばい菌の巣」ができやすい、歯周ポケットにプラークをためないようなブラッシングです。また、すでに溜まってしまったプラークは、徐々に硬くなり、歯石となります。歯石は歯科医院で除去してもらう必要がありますし、そもそも歯周病は自分がかかっているか分かりにくい病気です。心配な方は一度、歯科医師さんに診てもらった方がよいでしょう。
2020年05月27日(水) No.964 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)