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ドケルバン病


 ドケルバン病とは手首に痛みがでる腱鞘炎です。1985年にスイスの外科医ドケルバンによって報告されました。
 親指を動かす二つの腱と腱鞘との間に炎症が起こった状態で、親指や手首を動かすと痛みが生じます。腱は筋肉と骨とを繋ぐ丈夫な紐のような組織です。腱鞘はバンドのようなループになっていて腱が骨から浮き上がらないように押さえつけており、その中を腱が行き来することで指の曲げ伸ばしを滑らかに行うことができます。
 親指の使い過ぎによる負荷のため腱鞘が肥厚して硬くなったり、腱の表面が傷んで腫れたりして動きがスムーズでなくなり、さらにそれが刺激となって悪循環になります。超音波検査では腱の腫れ・腱鞘の肥厚などが確認できますが、生まれつき二つの腱の間に隔壁や骨の盛り上がりがある方がいて、その場合痛みを起こしやすいと言われています。
 慢性的な刺激が原因であり、手をよく使う仕事の人やスポーツをする人、スマートフォンの使い過ぎなども原因となります。妊娠・出産期の女性、中高年の女性に多く生じますが、解剖学的な男女差や、女性ホルモンのバランスが乱れることで腱がむくむことが炎症と関係すると考えられています。


 治療はまずは安静です。痛みがでる動きを避け、包帯やサポーターで親指・手首の動きを制限します。痛み止めの内服や腱鞘内へのステロイド注射を行う事もあります。また閉経後の女性の場合、エクオール(女性ホルモン類似物質)含有サプリメントが有効である可
能性があります。
 これで改善しなかったり再発を繰り返す場合は手術を行います。手術では、厚くなった腱鞘を切開し腱を開放します。
 ドケルバン病の発症や再発を防ぐためには、日頃から予防を心がけた生活をすることが大切です。スマートフォンやパソコンの操作、楽器演奏、スポーツなど、親指や手首を使った動作をする時には、長時間の作業は避けて定期的に手を休ませることを習慣づけるようにしましょう。
2020年05月27日(水) No.965 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

あなたの「歯」と「歯ぐき」は大丈夫ですか〜歯周病と心臓病


 今日はお口の病気が体全身に悪影響を与えて、場合によっては、深刻な病気を引き起こすというお話です。そもそも歯周病とは、口の中のばい菌が歯ぐきを傷めつけることによって、歯が抜けてしまうという病気です(※虫歯は歯そのものにばい菌が着くことです)。ここで覚えていてほしいことは、人間の口の中は、常にばい菌だらけということです。常に500種類を超える細菌が住んでいます。では、なぜ口の中がばい菌だらけなのに、大丈夫な人と歯周病にかかってしまう人がいるのでしょうか?これは、歯と歯ぐきの間に、ばい菌が「巣」を作るかどうかの違いなのです。この「ばい菌の巣」は、歯周ポケットと呼ばれる隙間にできやすく、そこで細菌が繁殖し、プラークが溜まると、健康な人と比べて、口の中に極めて多くの細菌がいる状態となり、これが歯周病を引き起こすのです。


 この歯周病ですが、多くの研究で、肥満と糖尿病を悪くし、心臓病と肺炎になりやすくすることが分かっています。また、妊婦さんが歯周病だと、生まれてくる子供が小さくなりやすいことも報告されています。特に歯周病は、肥満と糖尿病と強く関連しており、歯周病が悪化すると、肥満と糖尿病も悪化することが分かっています。また、歯周病は重症の心臓病である「感染性心内膜炎」の原因となることも良く知られており、まさに、口の病気と甘く見ていると、命を縮める結果となるかもしれないのです。
 さて、この歯周病ですが、多くの日本人が持っているようです。
 2011年の厚生労働省の調査では、15〜24歳ですでに約8%がかかっており、25〜34歳で約18%、35〜44歳で約23%、45〜54歳で約33%、55〜65歳は約48%と、加齢とともに、歯周病の割合が増えていきます。
 歯周病の予防と治療には、適切な歯ブラシと定期的な歯科医院でのチェックが大切です。歯ブラシに関しては、どんなにゴシゴシ歯を磨いても、口の中のばい菌をすべて除去することはできません。むしろ、歯を傷めるだけです。適切な歯ブラシとは、先ほど説明した「ばい菌の巣」ができやすい、歯周ポケットにプラークをためないようなブラッシングです。また、すでに溜まってしまったプラークは、徐々に硬くなり、歯石となります。歯石は歯科医院で除去してもらう必要がありますし、そもそも歯周病は自分がかかっているか分かりにくい病気です。心配な方は一度、歯科医師さんに診てもらった方がよいでしょう。
2020年05月27日(水) No.964 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

ロタウイルスワクチン


 10月からロタウイルスワクチンが定期接種化されることが決まりました。2020年8月に生まれる0歳児から対象となります。
 ロタウイルスは、生後6か月から2歳までをピークに5歳までにはほぼ全ての子どもが感染します。感染力が非常に強いため、衛生状態が良い日本でも発症予防は難しいとされています。発症すると水のような下痢(白色便)、嘔吐、発熱が生じます。重症化(10%程度)
するとひどい脱水症状を起こすため、毎年数万人の乳幼児が入院、数人の死亡が報告されています。特に初めて罹患した乳児が重症化しやすいとされています。
 日本では、2011年に予防経口ワクチンの「ロタリックス」(2回接種)が、翌年「ロタテック」(3回接種)が承認されましたが、全額自己負担なので2〜3万円かかる接種費用は大きな家計の負担になっていました。それでも最近のワクチン接種率は、6割以上となっています。ロタリックス、ロタテック両方のワクチン効果は同等であり、どちらのワクチンを使用してもかまいません。


【接種スケジュール】
・生後6週から接種可能、初回接種は生後8〜15週を推奨
・ロタリックス(1価):4週以上空け2回接種、生後24週までに終了
・ロタテック(4価):4週以上空け、3回接種、生後32週までに終了
 嘔吐したり、吐き戻したりした場合は、再投与はしません。同じワクチン製剤で1シリーズを完了させます。すでにロタウイルス腸炎にかかった乳児もワクチンを接種すべきです。
【効果】
 一部助成制度がある名古屋市では、2015年にワクチン接種率が9割を越えました。その結果、5歳未満の入院頻度が35%減、1歳
未満に限ると72%減少、外来患者
数もそれぞれ57%、87%減少しています。ワクチンの免疫持続期間は正確には分かりませんが、2シーズン、または2歳まで?
【注意】
 以前からワクチンと腸重積との関係が危惧されていました。腸重積は、生後6か月以降に多くなります。現在、諸外国の報告から関連性は否定的ですが、生後6か月までには接種を終わらせておくのが良いでしょう。
2020年05月27日(水) No.963 (秋山先生(小児科)のコラム)

ずっと飲まないとダメなの?!


 皆さんがもらう薬には大きく分けて原因治療薬と対症療法薬があります。(厳密にいうと検査薬などもありますが)
 読んで字の如く原因治療薬とは病気の原因になった部分を治す薬で、対症療法薬とは病気の症状を..
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2020年05月27日(水) No.962 (原口先生(薬剤師)のコラム)