タイトル

褥瘡(じょくそう)(床ずれ)


 褥瘡は、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなることでその部分の組織が死んでしまい傷ができることです。「褥」とはふとんのこと、「瘡」とは傷のことで、「長時間寝込んでいる時に生じる傷」と言う意味です。
 私たちは無意識のうちに寝ている時は寝返りをうったり、長時間座っている時にはお尻を浮かせる等して、同じ部位に長時間の圧迫が加わらないようにしています。しかし寝たきりや麻痺など自分で体を動かせない方は、圧迫された組織に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり褥瘡が生じます。骨折などで装着したギプスや、強く巻いた包帯などが原因になることもあります。
 褥瘡のできやすい場所は体の向きによって違ってきますが、骨が飛び出た場所は強く圧迫されてできやすくなります。深さは皮膚がむける程度のものから筋肉や骨に達する深いものまで様々です。


 治療はまず第一に、創部の荷重を軽減して血流の改善を図ることです。圧迫の強さにより褥瘡の発生時間は異なりますが、通常2時間以内に除圧することで発生が予防できます。2時間ごとに規則的に体位変換を行い、またクッションやエアマットなどを用いて荷重の分散を図ることも大切です。ずれや摩擦なども褥瘡を悪化させる原因となるので、体位変換の際には工夫が必要です。褥瘡ができやすい部分は、赤くなったりしていないかどうか着替えや入浴時に観察しましょう。
 オムツを使用している方では、皮膚が排泄物にさらされて脆弱に
なり傷ができやすくなります。洗浄、保湿などの皮膚保護のケアが重要となります。
 栄養状態が悪い場合は傷の治りが悪くなるため、栄養の改善を図ることも大切です。傷の治りに必要な栄養素は、タンパク質、亜鉛、鉄、ビタミンCなどです。
 傷の処置は軟膏や創傷被覆材などを用います。傷が深く軟膏等だけで治癒が難しい場合は、壊死した組織を除去したり植皮術や皮弁術など外科的治療が必要になることがあります
 予防とケアをきちんとすれば褥瘡の発生は抑えられます。一昔前と比べて褥瘡はかなり減っていますが、これは各病院の褥瘡対策が充実してきているからです。褥瘡は、作らないことが何よりも大切です。
2019年12月25日(水) No.941 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

肥満と心臓病4 〜ダイエットにおける運動の効果とは?


 ここ数回は、肥満に対する食事の重要性について書いてきました。まとめると、主食である、米、パン、麺を減らし、代わりに魚、豆、野菜を多く食べることが、健康的に痩せる食事だということです。しかしながら、一般的にダイエットを始めようとする人は、ジムに通ったり、走ったりと、運動を始める人が多いのではないのでしょうか?
 結論から述べると、運動の減量効果は食事療法に及びません。例えば、ごはんを普通茶碗から子供茶碗に変えると、約50キロカロリー減り、これを3食続けると150キロカロリー減らすことができます。また、ご褒美の饅頭をやめると、約250キロカロリー減り、ショートケーキをやめると約350キロカロリー減ります。運動で同じカロリーを消費しようとすると、30分の散歩で約150キロカロリー、40分のジョギングで250キロカロリー、60分の水泳で約350キロカロリーとなります。散歩ならいざ知らず、ジョギングや水泳を毎日行うことは、多くの人にとってなかなか大変なのではないでしょうか?対して、食事は1日3食とすると、1週間に21回も機会があります。節制した食事を1回することは、運動を1回行うことと同じ効果があり、1週間では、21回もチャンスがあるのです。このような理由から、食事のほうが、運動よりも効果的な減量法と言えます。


 では、運動には意味がないのでしょうか?いいえ、運動することは、非常に重要です。そもそもダイエットとは関係なく、継続的に運動を行うこと自体に、糖尿病の予防・改善効果、血圧の低下効果、認知症の予防効果があります。また、定期的な運動をする人は、運動しない人より、長生きできることが多くの研究で示されています。ダイエットに関しては、運動することで食欲が抑えられる効果が報告されている他、有酸素運動による内臓脂肪減少効果、筋力トレーニングによる筋肉の維持などが重要です。食事療法のみでは、脂肪とともに、筋肉の減少が避けられません。 人間は1日の消費カロリーの70%を基礎代謝と呼ばれる、脳・内臓・筋肉などの維持に使用していますが、筋量の低下は、この基礎代謝の低下を招き、いわゆる「リバウンド体質」になってしまうのです。また、高齢者では、筋量の低下は転倒・骨折の誘因ともなりかねません。人生に運動は非常に重要です。皆さんも明日から運動しましょう。
2019年12月25日(水) No.940 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

女性と漢方(184)〜補腎剤とは〜


 前回の「補気剤」に続き、今回は「補腎剤」についてお話します。東洋医学の五臓という考え方の一つに「腎」というものがあります。これは西洋医学の「腎臓」とは少し異なり、さまざまなことが言われますが、特に重..
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2019年12月25日(水) No.939 (山内先生(産婦人科)のコラム)

子どもの気になる病気 その百日咳(1)


 百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症で、感染力が強く、咳による飛沫で感染します。潜伏期間は通常5〜10日、カゼ症状で始まりますが次第に咳がひどくなり、百日咳特有の咳(連続的な短い咳、息を吸うときにヒューと音がする)が出始めます。
 乳児がかかると重症となり死に至ることもある怖い疾患です。百日咳はワクチンで予防でき、4種混合ワクチンをしっかり受けていれば、少なくとも乳幼児期の感染はありません。
 百日咳は、以前は4歳以下が中心の「いわゆる子どもの病気」でした。しかし日本では近年、思春期〜成人で百日咳に罹患する人が増加しており、ワクチン未接種の乳児(とくに生後3か月未満)への感染源となることが大変危惧されています。思春期や成人の方が百日咳にかかっても、咳は長く続きますが小児のような特徴的な咳になることはなく、比較的軽い症状で経過します。このため百日咳と診断されないまま放置されやすく、乳幼児とくにワクチン未接種の乳児に感染させてしまう可能性があります。


●なぜ思春期以降の百日咳がふえているのでしょう?
 現行の4種混合ワクチンに含まれる百日咳ワクチンの免疫効果は6〜12年とされています。
 以前は百日咳の流行が時々みられ、発症はしなくても抗体が上がるブースター効果のため、抗体はある程度維持されていました。しかし近年は、百日咳はほとんどみられなくなり、ブースター効果が得られないため、ワクチンによる百日咳の抗体が自然に低下している人が多いとされています。この状況は最近話題となっている麻疹、風疹にも当てはまります。
●百日咳は保健所に報告
 全国で百日咳にかかる人が増え、
2018年1月からこれまで指定された医療機関のみの報告(小児科定点把握)から、すべての医師が届出を行う全数把握の対象疾患に変更されました。
2018年の1年間に全国で11、190例の百日咳の報告がありました(図)。6か月未満児(6%)5〜14歳(64%)小児科定点報告では把握できなかった30〜50代の成人(16%)、年齢中央値は10歳でした。全体の58%に当たる6518例が4回の百日咳含有ワクチンの接種歴があり、5〜14歳ではその割合は81%でした。
2019年12月25日(水) No.938 (秋山先生(小児科)のコラム)

不眠症と薬物治療6


 不眠症は短期と慢性の2つに分けられ、これらは不眠症状の持続期間で決まり一般的に問題になるのは慢性不眠症の方です。
 不眠の症状としては(1)入眠困難(2) 中途覚醒(3)早朝覚醒、子どもの場合は(..
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2019年12月25日(水) No.937 (原口先生(薬剤師)のコラム)