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正しい靴の選び方


 今回は靴の選び方についてお話しします。
 足は、すべての荷重と歩行による衝撃を受け続けています。足の形や生活スタイルは千差万別であり、足の特徴に合った靴を履かないと徐々に足や爪は変形してきてしまいます。
 靴の選び方で大切なポイントがいくつかあります。
●足趾のまわりにゆとりがあること。
 足趾の動きを妨げないように、足趾の先から1〜1.5僂らいのゆとりが必要です。先の細いハイヒールなどは、圧迫されて爪や足の変形につながります。
●足の甲部分で締め具合を調節できること。
 靴のなかで足が前後左右に動いてしまわないようにしっかり固定できることが大切です。足は時間帯によってむくみの状態が違うので、紐、ベルクロで調節ができるものを選びましょう。
●踵がしっかりと固定されること。
●適度なクッション性
 衝撃をやわらげ、足をサポートします。
●通気性
 日本は高温多湿のため真菌(水虫)の発生が多い国なので、通気性が良いことは大切です。
●インソール(中敷き)を使うこと。
 これが非常に大切になります。健常な足の裏には、衝撃を吸収するために縦方向と横方向にアーチ構造があります。これが崩れてしまうことが多くの足や爪の不調、更には膝や腰の痛みを引き起こしています。土踏まずなどの凸凹がしっかりとついたインソールでアーチを支えることで、これらを予防することができます。


 以上のポイントを良く満たすのはスニーカーです。
 靴を脱ぎ履きするときは、面倒臭いですけれど都度紐をほどき、踵を地面にコンコンとして踵の位置を合わせてから、先のほうから紐を適度に締めて履きましょう。 正しい靴を選ぶことで巻き爪だけではなく、たこ、うおのめ、外反母趾などの足の変形、更には膝痛・腰痛などの予防・進行防止にもなります。
 次回は巻き爪の具体的な治療法をお話ししますが、いくら治療を行っても靴やインソールが足に合っていないと何度でも再発してしまいます。治療の前に、予防がとても大切ですので、次回靴を選ぶときには思い出してみてください。
2019年07月31日(水) No.916 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

健康診断と心臓病


 前回のコラムでは「生活習慣病」を取り上げましたが、今回は「健康診断」と「心臓病」の関連をお伝えしたいと思います。現在、多くの人が会社や地域の健康診断を受ける機会があると思いますが、率直に言って、健康診断では早期の心臓病を見つけることは困難です。健康診断の内容は、その人によって異なるのでしょうが、血圧や体重のチェック、血液検査や胸部レントゲン、心電図、胃腸の検査(便潜血検査・バリウム検査)などが代表的です。これらの検査では、「高血圧」「肥満」「高脂血症」「糖尿病」などの、心臓病の危険を高める病気を発見することはできますが、重症でない限り、弁膜症や狭心症などの心臓病を直接発見することは難しいと言われています。この理由は、心臓病は「胸部レントゲン」「心電図」などの簡便な検査では見つかりづらく、「心臓エコー検査」「心臓CT検査」「冠動脈造影検査」などの手間や時間を要する検査でないと発見が難しいからです。


 当院へ心臓病で紹介されてくる患者さんの多くが、毎年健診を受けておられました。先日お話させて頂いた60代の患者さんも「毎年、地域の健康診断を欠かさず受けていたのに、こんな病気が見つかるなんて」と嘆いておられました。「健康診断をもっと充実させればよいのでは」という意見もありますが、健康診断に心臓の精密検査が入っていないのは、「時間」と「お金」がかかるからで、現実的ではないからです。
 前回のコラムでも書きましたが、「肥満」「脂質異常症」「糖尿病」などの生活習慣病を長く患っている人は、心臓病にかかりやすいです。健診でこれらを指摘されているけれども、病院にかからず、長い間そのままにしている場合や、最近、息切れや動悸が気になる場合は病院で心臓の精密検査を受けることをお勧めします。当院でも予約が必要でありますが行っておりますので、ご相談ください。
2019年07月31日(水) No.915 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

女性と漢方(179) 〜パニック障害(奔豚気)と漢方薬〜


 『16歳高校2年生の女子Sさん。部活動を終えてから急に胸がドキドキして息苦しくなる。夜間救急外来にて心電図も異常なく、他院にて甲状腺機能も正常といわれ、漢方薬を試したいとの事で来院。』
 部活について詳しく聞くと大会の重圧がストレスになってSさんを苦しめていたようでした。そこで緊張とストレスを取るために『桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)』と『甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)』を飲んでもらいました。投与後2週間で部活後の呼吸困難はなくなり、呼吸苦は学校行事に数回のみでした。その後、『甘麦大棗湯』は甘くて飲みやすく、練習前に頓用すると調子がよいとのことでしたので『甘麦大棗湯』のみの処方にしました。


 このようないわゆるパニック発作は漢方医学の先人たちは「奔豚気(ホントンキ)」という名前でほぼ同じ病態をとらえていました。患者さんに症状を訊ねると、一様に「おへそのあたりからドキドキが駆け上がってきて、喉を通り過ぎ、最後に顔がカーッと熱くなる」と言います。これは、通常は上から下へ流れるべき「気」が瞬間的に逆流すること(気逆)によって起こるとされています。(子豚が身体の中を走り回っているイメージからこの名前がつけられたようです。)
 「奔豚気」は恐怖や驚きなどストレスが加わって起こります。Sさんにとってはキャプテンとしてチームを率いることがストレスだったようです。なぜ、練習中ではなく練習後に症状が出るのか最初は理解できませんでしたが、最近の研究で胃ゾンデより空気を注入することで「奔豚気」を誘発することが示唆された文献をみて思いつきました。おそらく水分を十分に取れないような激しい練習後の急な水分補充で胃が拡張されることで「奔豚気」のスイッチが入ったのではないでしょうか。
 「奔豚気」の治療には本来は『苓桂甘棗湯(リョウケイカンソウトウ)』という漢方薬があるのですが、エキス製剤にはないので、『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』に『桂枝加竜骨牡蛎湯』や『甘麦大棗湯』などを加えた処方がよく使われます。他に『人参湯』や『呉茱萸湯(ゴシュウトウ)』を加えたり、『柴胡加竜骨牡蛎湯』や『桂枝人参湯』なども使われます。
2019年07月31日(水) No.914 (山内先生(産婦人科)のコラム)

子どもの気になる病気 その2磧淵)による感染症


「人間を最も多く殺している生き物は?」というと、それは蚊です。
 蚊は血を吸う際に、さまざまな病原体(ウイルス、リケッチア、細菌)をうつします。蚊が媒介する日本脳炎、黄熱、マラリア、デング熱などがよ..
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2019年07月31日(水) No.913 (秋山先生(小児科)のコラム)

不眠症と薬物治療1


 今回から不眠症と薬物治療など、いろいろな関連性についてシリーズでお届けします。
 睡眠薬は最も処方率が高い薬の一つで、睡眠は、食事、運動と並び健康を支える3大要素の一つです。
 睡眠がしっかり取れれば風邪などはもちろん、他の病気も治りやすいことは皆さんにも経験があると思います。
 私が国立の精神・神経科専門病院に勤務していた頃に、お医者さんから聞いたのが、婦人科の先生が女性患者を診たら妊娠を疑えと言うのと同じ様に、不眠あり=不眠症ではないと思いなさいと言う事でした。
 成人の10%ほどが慢性不眠症に悩んでいますが、その原因の中で睡眠薬が第一選択肢になる不眠症の人は4分の1ほどで、残りはレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)、概日リズム睡眠・覚醒障害、睡眠時無呼吸症候群などその他の睡眠障害による不眠なのです。(これらは後日説明します。)


 例えば、高齢者を対象にした幾つかの調査では、不眠がある高齢者のうち30〜40%で睡眠時無呼吸症候群が見つかっています。睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気が有名で、呼吸停止による動脈血酸素飽和度低下のために睡眠の質が著しく低下するため、不眠はほぼ必発です。この場合でも、睡眠薬を服用すればある程度効果がありますがベンゾジアゼピン系睡眠薬の持つ筋弛緩作用のために、無呼吸症状は逆に悪化することがあります。
 不眠があればと、ひとまず睡眠薬を希望する方も多いのではないでしょうか。しかし、中にはむしろ症状が悪化するケースも少なくなく、眠れなければ何でも睡眠薬と言う素人考えは要注意で本来しっかりとした鑑別診断が必要なのです。
2019年07月31日(水) No.912 (原口先生(薬剤師)のコラム)