タイトル

やけど(前編)


 やけどは日常生活で最も多いけがの一つです。
 皮膚に様々な熱源が接触することにより障害を生じた状態で、医療用語では「熱傷」といいます。熱傷は範囲や深さに応じた治療が必要ですが、受傷直後の応急処置も重要です。ここでは熱傷の基礎知識と治療法について解説していきます。
 熱傷の程度は、接触する熱源の温度と接触時間によって決まります。非常に高温のものであれば短時間の接触でも熱傷になる一方で、44〜50℃程度の低温のものでも長時間接触していると熱傷になります。これを低温熱傷といいます。また皮膚が薄い子どもや、大人でも皮膚が薄い部分では重症になりやすい傾向があります。
 熱源としては、高温の個体や液体、炎や爆発による爆風などがあります。特殊な熱傷としては、電流による電撃傷や、薬品(酸やアルカリなど)による化学熱傷があります。
 原因として多いものは、液体では調理中のお湯、油、カップラーメンなど、固体ではストーブやアイロン、ホットプレートなど、炎では調理中の服への引火、仏壇のろうそくからの引火などがあります。また子どもでは炊飯器や加湿器の蒸気に手をかざして受傷する例が多く見られるので、設置場所には注意が必要です。低温熱傷は冬に多く、湯たんぽやカイロ、ストーブの近くに長時間いての受傷があり、重症になりやすい傾向があります。


 深い熱傷や広範囲の熱傷の場合は、全身状態が悪化して命に関わることがありますので専門施設での治療が必要になります。また重症でない場合でも適切な治療が行われない場合には、傷に細菌が感染し治るのが遅くなったり、傷跡の色素沈着、盛り上がり、ひきつれなどの後遺症を残すこともあります。熱傷を受傷した場合には、できるだけ早期に病院を受診することをお勧めします。
次回は、実際の治療についてお話しします。
2019年03月27日(水) No.896 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

多くの人が困っていた下肢静脈瘤


 先月は足の動脈が詰まることで足が痛む「閉塞性動脈硬化症」をご紹介いたしました。このコラムでは「下肢静脈瘤」や「大動脈瘤」など、血管にまつわる病気を多く紹介してきましたが、最も反響が大きかったのは「下肢静脈瘤」でした。そんなわけで、今月は下肢静脈瘤について再度書きたいと思います。下肢静脈瘤で私の外来にいらっしゃった患者さんの多くが、「以前から足の静脈瘤を気にしていたけど、どうすればよいのかわからず困っていた」とおっしゃっていました。多くの人がわずらっている「下肢静脈瘤」ですが、足の症状を改善するには弾性ストッキングが有効です。しかし、弾性ストッキングのみで下肢静脈瘤を完治させることはできません。下肢静脈瘤をしっかり治すには手術が必要となります。手術といっても、下肢静脈瘤の手術は比較的お手軽で、病状によっては「局所麻酔」で日帰り手術が可能です。当院では、「局所麻酔そのものが痛い」「翌日の受診が大変」という声を反映して、全身麻酔による1泊2日の手術プランをお勧めしております。


 しかしながら、私の外来にいらっしゃった患者さんの半分は、手術を受けず、しかも、安心されて自宅へ帰られております。その理由は「下肢静脈瘤が軽症で、手術を受けるほどではないと分かったから」、「下肢静脈瘤という病気が、悪くなっても命に係わる病気ではないと分かったから」、「弾性ストッキングなどの対処療法を試してみる気になったから」などです。下肢静脈瘤は命に係わる病気ではないため、足の症状や見た目の悪さをどう対処するかが重要となります。そのため、外来で私とお話した結果、安心されて帰る患者さんが多いのだと思います。もし、下肢静脈瘤が気になった場合はお気軽にご相談ください。
2019年03月27日(水) No.895 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

女性と漢方(175)〜ストレスと漢方薬〜


『39歳Sさん。数か月前から動悸が気になる。仕事中に話をしようとすると動悸のためにうまく話ができず、手のひらにものすごい汗をかいてしまうことがあったとの事。漢方薬を試したいために来院。』
 Sさんは西..
続きを読む
2019年03月27日(水) No.894 (山内先生(産婦人科)のコラム)

食物アレルギーを予防するために その


 アトピー性皮膚炎などの家族歴がある場合、離乳期の赤ちゃんに「卵が原因のことが多いので卵を与えるのはできるだけ遅らせましょう」という指導が長年行われてきました。しかし最近の研究で、これは誤りであることがわかってきました。
・食物アレルギーの発症はいつから?
 まだ母乳、ミルクのみで離乳食が始まっていないにもかかわらず、卵の反応がみられるケースがあります。赤ちゃんはいつ感作を受けたのでしょう。まず妊娠中に母体から、あるいは母乳から感作をうけたのではと考えられます。すると、その時期の感作を防ぐために、妊娠中あるいは授乳中の母親にアレルゲンとなるような食物を食べないようにすれば食物アレルギーを予防できるのでは?という考えが当然生まれます。これまでそのような観点から多くの臨床試験が行われてきました。その結果は、母親が卵、牛乳、ピーナッツなどアレルゲンになりやすい食品を妊娠中、授乳中に摂取しないようにしても、摂取した母親からの子どもたちと、摂取しなかった母親からの子どもたちの食物アレルギーの発症頻度に差はありませんでした。したがって、現在は妊娠中、授乳中の母親の食事とは関係がなく、アレルゲンとなる食物を摂取しないようにしても、残念ながら感作を防ぐことはできないと考えられています。


・食物アレルギーはどこで?乳児湿疹との関係、アレルゲンが皮膚から入る!
 英国の研究から、ピーナッツアレルギーを起こした子どもたちには、乳児期にピーナッツオイルを塗っていた子どもが多いこと、また乳児期に湿疹やアトピー性皮膚炎を有する子どもはその後、食物アレルギーを高率に発症することが指摘されていました。最近、皮膚のバリア機能が低下している赤ちゃんは、食物アレルギーへの感作が非常に高いこと、すなわち健康な皮膚であれば食物アレルゲンから感作を受けることはほとんどありませんが、皮膚のバリア機能が低下し、そこに炎症があると感作を受けやすくなることが分かってきました。さらに炎症がある部位からアレルゲンが入ると、アレルギーをおこす、一方、炎症がないところ(経口、経腸管)からアレルゲンが入ると、むしろ免疫を抑える(免疫寛容)方向に進む可能性が指摘されるようになりました。
 これは、食物アレルギーの予防策を考えるうえで重要なヒントになりそうです。
2019年03月27日(水) No.893 (秋山先生(小児科)のコラム)

牛乳アレルギーについて(後編)


 前回に引き続き牛乳アレルギーのお話をします。
 牛乳から精製される「乳糖」は二糖類で蛋白質は含んでいませんので基本的に心配する必要はありません。製造過程において乳清蛋白が混入する可能性はありますが、症状を誘発することはほとんどありません。実際、乳糖を含む内服薬はたくさんありますが、日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン2016」では、経口薬については、投与を制限していません。また、食品に使用される量もわずかなため、ほとんどの牛乳アレルギー患児は除去する必要がないとされています。
 ただし、乳糖を含む注射薬や喘息治療用の吸入薬では、過去に乳糖による臨床アレルギーの誘発症状が確認された例が報告されていますので、心配な場合はお医者さんに相談して下さい。
 誤解されやすいのが、「乳酸菌」「乳酸カルシウム」などです。「乳酸菌」は菌の名称であり、「乳酸カルシウム」は化合物の名称で、いずれも加工食品などに含まれます。その名称から、乳製品との関連が疑われやすいのですが、牛乳とは関係ありません。
 一方、「全粉乳」「脱脂粉乳」「練乳」「乳酸菌飲料」「発酵乳」などの加工食品には牛乳が含まれるため、牛乳アレルギーの患者さんは食べられません。


 牛乳アレルギーの子どものカルシウム摂取量は、牛乳アレルギーではない子どもと比較して半分程度と報告されています。必要なカルシウムを乳製品以外で効率的に十分に取ることは難しい事です。 カルシウムの多い食品には、牛乳アレルギー用ミルク、小魚類や青菜類、海藻、大豆製品などがあります。手軽にカルシウムを取れるように、アレルギー用ミルクを牛乳の代わりに料理に使用する、煮干しをふりかけにするなど、毎日の食事を工夫して積極的に摂取する必要があり、ご家族の方は大変なご苦労をされているかと思います。
2019年03月27日(水) No.892 (原口先生(薬剤師)のコラム)