タイトル

手足口病


 今日も嶋川先生とのぞめさんは、バーザムーンのようです。
【島大、田杉】「嶋川先生、のぞめさんいらっしゃいませ。」
【嶋川、のぞめ】「今晩は。」
【島大】「嶋川先生、今日もすこし教えてほしい事があるのですが、宜しいでしょうか?」
【嶋川】「もちろんいいですよ。今日はどうしましたか?」
【島大】「私の親戚の子供の事なのです。先週、熱を出して、次の日からからだに赤いぶつぶつが出来て、どんどん増えてきたのです。小児科に連れて行くと、手足口病かもしれませんねと言われたようなのです。今年は手足口病が流行っているとも聞いたのですが、どうなのでしょうか?」
【嶋川】「そうですね、今年は例年よりも少し患者さんの数が多いかもしれません。皮膚の症状ですが、通常は掌、足の裏に楕円形の小さな水疱を生じるのが典型的な症状なのですが、四肢、臀部、体にも水疱やブツブツができることもあります。」


【島大】「どうして、症状に違いがあるのでしょうか?」
【嶋川】「もちろん個人差もありますが、それよりも手足口病のウイルスが一種類だけではない事も関係していると思われます。原因ウイルスとしてはコックサッキーウイルスA16というものが有名なのですが、昨年、一昨年にはエンテロウイルス71というウイルスが流行しました。そのためこれらの年では、皮膚症状が治った後に爪が変形する症状が多く見られました。でも最終的には爪ももとに戻るので心配はいりませんよ。」
【島大】「分かりました。ところで手足口病は一度罹ったら、もう二度と罹る事はないのでしょうか?」
【嶋川】「先ほど言ったように、手足口病のウイルスは一種類だけではありません。従って一度罹っても、また別のウイルスによって手足口病を発症する事は起こりえます。その点、水疱瘡などとは違うのです。」
【島大】「なるほど、そうなのですね。治療はどうすれば良いのでしょうか?」
【嶋川】「残念ながら、手足口病のウイルスに有効な薬剤はありません。従って、熱があれば安静と解熱剤、皮膚に痒みがあればかゆみ止めの飲み薬や塗り薬といった対症療法になりますね。」
【島大】「よく分かりました、有難うございます。」
【田杉】「嶋川先生、のぞめさん、今日もいつもので宜しいでしょうか?」
【のぞめ】「はい、お願いします。」
2017年10月01日(日) No.813 (川嶋先生(皮膚科)のコラム)

女性と漢方(157) 〜美味しい漢方薬は効果がある〜


 「良薬は口に苦し」という孔子の名言がありますが、特に漢方薬は苦くて飲みにくいという印象を持っている方は多いと思います。
 以前に子供の「寝冷え」に対する漢方薬で味を本人に飲んでもらってその場でお薬を決める方法を試みている先生(大阪の開業医)のお話を思い出しましたのでご紹介いたします。
 親子で来られて、本人が「漢方薬なんか飲めるわけないやん」というのを『人参湯(ニンジントウ)』をお湯に溶かしてスプーンで味見(テイスティングですね)してもらいました。「あれ?これやったら飲めるわ」という反応で、次に『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』を試したところ、「飲めるけど、いまひとつやな」(生意気な小学生ですね)との弁。そこで、先生は本人が飲みやすいという『人参湯』を処方して、寝冷えは数日で解消し、「おなかがあったかい感じがする」との事でした。


 漢方薬の味に関する評判は、よく耳にします。『小建中湯』はうるち米から作った「飴」が含まれていて甘味があるので、比較的飲みやすい薬なのですが、逆に「甘くて飲みにくい」ことがあったり、『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』という炎症を抑える場合に使う薬は苦くて有名ですが、症状が強い方は子供でも意外とあっさり飲めたりもします。
 漢方薬には味にも薬効があることはいわれています。例えば、酸味は粘膜などを収縮させたりしますし、苦味は乾燥させたり、下に降ろす作用があります。甘い物は「補う」働きがあるため、普段から摂取する必要や場合により身体の方から要求してくることもあります。苦い物は摂り過ぎると体内の必要なものを体外に排出してしまうので、苦い物をあまり好まないのは自然の摂理にかなっているのでしょうか。ただし、病気になって体内の悪い物を排出させるのに苦味のものが必要になることがあるのです。不思議なことに苦い物が必要なときは意外と苦い物がそれほど苦ではなくなりますし、普段甘い物が好きなのに逆に苦手になるときもあります。そのときの証(身体の状態)により「味証」が変化するものなのでしょう。
となりますと、孔子の「良薬は口に苦くして、病に利あり。」は「良薬は口に美味にして、病に利あり。」が正しいのではないかと思ってしまいますね。
2017年10月01日(日) No.812 (山内先生(産婦人科)のコラム)

小児の受動喫煙 その◆ー動喫煙と子どもの病気


 子どもたちが受ける健康被害について、十分なエビデンスに基づいて受動喫煙との関連が証明されている疾患として、乳幼児突然死症候群、気管支喘息、呼吸器感染症、中耳炎があげられます。
●乳幼児突然死症候群(SIDS)
 SIDSは近年徐々に減ってきていますが、今でも年間150人前後の赤ちゃんが亡くなっており、妊娠中の母親の喫煙と出産後の乳児の受動喫煙が重大なリスクファクターとなっています。わが国の調査では、両親がともに喫煙していると、リスクが4.7倍に増大すると指摘しています。英国の報告によると、妊婦の受動喫煙で3.9倍、乳幼児の受動喫煙で3.5〜15.8倍にリスクが増悪すると
しています。


●気管支喘息
 受動喫煙によって、子どもの気管支粘膜の絨毛が傷つくことで炎症が起こりやすくなり、気道の過敏性も亢進します。それにより、気管支喘息、気管支炎、肺炎などの呼吸器疾患にかかりやすくなるだけでなく、重症化しやすくなることが知られています。気管支喘息の発症オッズ比は、父親のみが喫煙している場合は1.07、母親のみで1.33、両親とも喫煙している場合は1.42と報告されています。
●中耳炎
 子どもの中耳炎についても、受動喫煙によってリスクが1.5倍に増大することが明らかになっています。受動喫煙によって咽頭に入ったタバコの煙が耳管を通って中耳まで侵入し、耳管内部の繊毛が障害されることや、中耳内部の局所免疫が低下することが主な原因とされています。
 これら以外に、現在、受動喫煙との関連が強く疑われている疾患として、小児がん、動脈硬化、血清脂質異常、虫歯、精神発達障害などがあります。
●知能、精神発達障害
 子どもの受動喫煙は、知能の発達に悪影響を及ぼすとの報告もあります。米国で小中学生4、000人余りに読解力や計算能力テストを実施した調査によると、家庭での受動喫煙の程度が強い生徒ほど試験点数が低かったとしています。(図)さらに最近、受動喫煙が子どもの精神障害のリスクを高めるとの報告もあり、うつ病、不安障害、注意欠如多動性障害(ADHD)などとの関連が指摘されています。
2017年10月01日(日) No.811 (秋山先生(小児科)のコラム)

医薬分業の始まりと 海外の現状について


 西暦1200年頃の西洋において国王などの権力者が、陰謀に加担する医師によって毒殺されることを恐れていました。これを防ぐために神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世が、病気を診察するあるいは死亡診断書を書く者(医師)と、薬を厳しく管理する者(薬剤師)を分けたことに由来します。
 1240年には5ヵ条の法律(薬剤師大憲章)を定め、医師が薬局をもつことを禁じました。これが医薬分業と薬剤師制度のルーツとされています。それ以来現在に続くまでずっと、医師と薬剤師の役割を分け薬局と病院の経営を分けることで、不適切薬を排除、不正の防止、過剰投薬等を抑制、二重チェック等の実施で薬物治療が社会と個人にとってより有益になるように行ってきたのがこの医薬分業の仕組みだったのです。
 医薬分業制度により、欧州の薬剤師は医薬品の独占的な販売権や調剤権を国家から認められることと引き換えに、
●いつでも、どこでも必要な薬を安定的に国民に供給する責任。
●薬の副作用、相互作用、過剰投与などの危険から国民を保護。
●薬についての完全な把握。
●薬の厳格な管理。
●よりよい薬の研究、開発、製造。
●ニセ薬の排除。
●規格書(薬局方)の作成と開示。
●価格の不当な高騰の抑制。
などの役割を果たしてきました。
 現在もヨーロッパ、アメリカなどの先進諸国では一般的な制度として浸透しており、医師と薬剤師の業務は厳格に分けられていますが、時代とともに薬局の薬剤師に求められる仕事も移り変わりつつあります。


 薬物療法を通して人々の生活の質を上げることを使命とし歴史上の役割のほかに、
●地域の中の保健担当者として健康と生活を守る。
●健康に関する相談に乗り適切な医薬品提案によりセルフメディケーションに寄与する。
●一般用医薬品の選択を適切に支援する。
●薬物療法に関して薬剤師の立場で評価し監査を行う。
●薬物療法が適切に行われるよう情報を患者に伝える。
●薬物療法の管理を行う。
●在宅で療養する患者の薬学的ケアを担う。
などの役割を担っています。
 次回は欧米と日本の医薬分業の違いやなぜ厚労省が医薬分業を進めるのかを話す予定です。
2017年10月01日(日) No.810 (原口先生(薬剤師)のコラム)