タイトル

第37話/潜血尿って何?


赤い尿(血尿)は尿中に赤血球が混じった状態です。腎臓や膀胱などの尿路器官からの出血が原因で、泌尿器科の病気の重要な症状のひとつです。以前この講座で、「赤い尿は、赤信号」というお話をしました。その意味は、赤い尿(肉眼的血尿)は尿路ガンの発見の手がかりとして極めて重要な症状なので、危険(赤)信号という訳なのです。実際に、血尿の患者さんでは、泌尿器のガンが10人に1〜3人の割合で発見されると報告されています。


赤い尿が出現し驚いて来院した患者さんには、まず始めに尿を採ってもらい、その尿を顕微鏡で観察します。そして、赤血球が400倍率の1視野の中に5個以上あれば血尿と診断します。次に、その赤血球が糸球体性由来か、非糸球体性由来かを区別します。その区別には専門的な検査が必要になりますが、糸球体性由来と診断された場合は腎臓の実質から、非糸球体性由来の場合は腎盂、尿管または膀胱から、出血が起こったと診断することが出来るのです。
次に、出血を起こす病気、例えばガン、炎症、結石などを診断します。そのためには、膀胱鏡検査、レントゲン画像診断検査、超音波検査、尿細胞診などを含めた泌尿器科的精査が必要になります。
ところで、肉眼的には正常の色調の尿ですが、検査をすると尿中に赤血球が混じっている場合があります。この状態は潜血尿(顕微鏡的血尿)と言います。実は、地域や職場集団検診では多数の潜血尿陽性者が発見され、その頻度は10〜20人に1人と報告されています。そして、これらの潜血尿陽性の300人に1人くらいの割合で尿路のガンが発見されるのです。ですから、赤い尿でなくても、尿に赤血球が混じっている場合は要注意なのです。
ただし、赤い尿全てが血尿という訳でありません。例えば、便秘の薬を飲んだ後やアロエを食べた後に尿が赤くなる場合があります。血尿と区別するためには、泌尿器科医の診断をお勧めします。
2006年09月10日(日) No.210 (古屋先生(泌尿器科)のコラム〜ドクトル・フルヤの知って得する泌尿器科講座〜)

ソフトサイン〜見える・見る2〜


赤ちゃんの視覚がどのように発達してゆくのか、赤ちゃんの行動を通して考えてみましょう。まず生後1ヶ月ごろが一番出やすい「共鳴動作」というのがあります。赤ちゃんを抱っこした状態で、お母さんが舌を出したり引っ込めたり10回以上繰り返すと、赤ちゃんが同調したように舌出し動作をします。(必ず簡単にいつでもというわけにはいかないようですが…)赤ちゃんが物を見る準備ができましたよ、というサインです。生後2〜3ヶ月になるとこの動作は次第に消失してゆきます。
生後1ヶ月で物をじっと見る「固視」、2ヶ月で「追視」ができます。2〜3ヶ月ころには、明らかにお母さんの顔の表情を読み取り、笑い返します。


3〜4ヶ月になると、自分の手を見つめる行動をします「手凝視行動」。さらに5〜6ヶ月で、赤ちゃんはさかんにおもちゃに手を伸ばします「手伸ばし行動」。これはおもちゃが欲しいとかそれで遊ぼうということよりも、ただひたすら目に入った物に手を伸ばして満足し、口にもってゆきます。6〜7ヶ月になると小さな物にも手を伸ばして遊びます。その動きは機敏であり、これらの動作は手と目の協調が必要であることから、両眼視機能が関与して働き始めたことがわかります。
9ヶ月になると、生理的に握り反射が消えて、赤ちゃんは手に握っていた物を手当たり次第に「落とす」ようになります。
取って、握って、落とすことを楽しんでいるように見えます。
10ヶ月ころから、シールをはがしたり、穴に指をつっこんだり、電化製品のスイッチなどをいじったりします。尖った物や凹んだ物に、発達中の両眼視機能を働かせて、手で触れてみようとします。両眼視機能が働き始めたこの頃から、片目を目かくしされると激しくいやがります。
1歳を過ぎて言葉が出始めるようになると「指差し」をしながら、お母さんに話しかけてきます。2歳ころから練習すると、片目で上手に見ることができるようになります。
赤ちゃんの目の使い方や動きの異常が、神経的な異常をしめすサインとなることがあります。最近は子どもの視力も比較的容易に測定できるようです。気になる方は、眼科、小児科医にご相談ください。
2006年09月10日(日) No.209 (秋山先生(小児科)のコラム)

女性と漢方24〜腎虚って何?(その1)〜


以前に東洋医学では消化吸収機能をつかさどる「脾(ひ)」というお話をしましたが、今回は「腎(じん)」の概念についてお話します。「脾」と同様に「腎」も腎臓そのものを意味するものではありません。腎は生を受けたときにもつ本来のエネルギーを保持していますが、年齢とともにそのエネルギーは減っていきます。今話題になっているエイジング(加齢)は東洋医学的にはまさしく腎の衰え(「腎虚(じんきょ)」といいます)をさしています。では、「腎虚」ではどのような症状が出現するのでしょうか?「尿が近い、または出にくい」「腰が痛い」「足腰に力が入らない」「精力減退」は代表的な症状ですが、「耳鳴り、めまい」「難聴」「むくみ」「かゆみ」「冷え」「手足のほてり」といった症状もあります。なんで「耳」の症状?と思うでしょうが、東洋医学では「腎」は「耳」につながっているという解釈があります(腎臓が弱ったら耳もおかしくなるという意味ではありません)。「経絡(けいらく)」という考えがあるように人間の身体はインターネットのようにいろいろな部分と連絡し合っていて、こういう考え方は古来からありました。さて、今回の患者さんです。 
『64歳、Kさん、女性。最近、どうもおしっこが近くて泌尿器科を受診したが膀胱炎ではないといわれた。歳のせいか腰も痛いし…。夜なんか足がほてって眠れない。漢方薬でも試したいとのことで来院。』


Kさんを診た瞬間、「腎虚」かなと思いましたが、一応お腹を触り(腹診)証明することにしました。代表的なサインは「少腹不仁(ショウフクフジン)」といって、臍の下あたりに周りと比べて力がなくてヘニョッとした柔らかい部分があるかどうかです。
この方にはこのサインがありました。
腎を補う漢方薬として『六味丸(ロクミガン)』を処方しましたが、1ヶ月でとてもおしっこの調子が良く、夜ふとんから足を出さなくなったとのことでした。さて、「腎虚」でなぜ「ほてり」が出現するのでしょうか?手足がほてると冷やせばいいと思いがちですが、ご高齢の方の「ほてり」の原因は「乾燥」によるものが意外と多いものです。つまり、潤してあげると改善する「ほてり」なのです。一度、大汗をかいたときに水を飲むのを我慢してみて下さい。この「ほてり」を実感できますよ(笑)。
2006年09月10日(日) No.208 (山内先生(産婦人科)のコラム)

薬はもう飲まなくていいの?


今回は、薬に対して相変わらずの質問や間違った覚え方をしている人が多いので、血圧薬などを例に挙げてお話します。
日本高血圧学会のガイドラインでは収縮期血圧が130(mmHg:以下単位省略)以下、拡張期血圧は85以下が正常血圧の分類に含まれ、基本的にそれ以上の人が治療の対象となります。ただし、喫煙や糖尿病、高脂血症、年齢などの要因によって、それ以下でも、脳卒中、心筋梗塞、心不全の発症を抑えるために、高血圧治療薬を服用し血圧を下げなければならない場合もあります。
この数値を見て「私は常に120ー80位の正常値まで下がったから、もう薬を飲まなくても大丈夫。」と言っている方はいませんか?


前にもお話したことがありますが、薬は大きく分けると2つのタイプに分類することができます。1つは感染症のときに菌を殺す抗生物質のような、病気の原因を治していく薬と、もう1つは血圧やコレステロールの薬の様に飲んでいる間だけ症状を抑える薬です。
つまり、血圧の薬やコレステロールの薬を飲んで正常値になった人は、飲んでいる薬がいま効いてくれているのであって、高血圧や高脂血症が治ったわけではありません。
筑波大学の山田教授の調べでは、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙などの危険因子が1つでもある場合は、何もない人から比べると狭心症などの心臓病になる危険性が約5倍、因子が3つになると約36倍と増えていきます。
つまり、これらの薬はあくまでも高血圧や高脂血症を治す薬ではなく、飲んでいる間だけ数値を下げ、大きな病気になるリスクを下げると言うことも、この薬の大切な働きの1つです。
「もう飲まない」と言う患者さんにはそれを説明の上「高血圧や高脂血症を治す薬が出来れば、かぜ薬を発明した場合と同じくノーベル賞を取れるでしょうね。」とお話します。
2006年09月10日(日) No.207 (原口先生(薬剤師)のコラム)