タイトル

第26話/激痛の王様、尿管結石のはなし(3)


今回、「死ぬほど痛い」病気である尿管結石の治療についてお話します。
まず、治療法を決める場合、結石の大きさが重要となります。結石の大きさが4ミリ以下の場合は、100%間違いなく自然に膀胱まで落下し、次に尿道を通って、尿と一緒に体の外に排出します。それで、患者さんには結石を出やすくするお薬を飲んでもらいます。5ミリから9ミリまでの結石の場合は、約半数が自然に排出しますが、残りはなかなか排出しません。ましてや、10ミリ以上の結石では、自然に排出することはほとんど期待できません。したがって、5ミリ以上の結石の場合、手術治療を含めた、なんらかの治療が必要となります。

手術治療には、お腹を切る方法と、お腹を切らない方法があります。10数年前迄は、切石術といってお腹を切開し、結石のある部分の尿管を切開して石を摘出していました。そのため、2〜3週間の入院が必要でした。最近では、内視鏡的砕石術というお腹を切らない方法が主流になっています。この方法は、麻酔下に尿道より尿管まで尿管鏡という細い内視鏡を挿入し、テレビモニターで見ながら、結石を細かく砕いていく方法です。結石を細かく砕くためには、レーザーや超音波などの高エネルギーの装置が用いられます。熟練を要する手術ですが、短期間の入院ですみます。場合によっては外来治療も可能です。
もう一つ、「体外衝撃波結石破砕術」と呼ばれている極めて画期的な術式があります。これは、体外より衝撃波と呼ばれる音波を結石に集中させて、結石を破砕するものです。患者さんにはベットの上でただ横になってもらった状態で、あとは治療装置が自動的に行います。麻酔を行わず、鎮痛剤のみ使用します。大部分の患者さんは、外来で治療します。結石の大きな場合や尿路感染症を合併している場合などでは、入院して治療します。
ところで、砕いた結石の運命はというと、いうまでもなく、粉末状になって尿とともに自然に体外に排出されるのです。
2005年10月10日(月) No.158 (古屋先生(泌尿器科)のコラム〜ドクトル・フルヤの知って得する泌尿器科講座〜)

ソフトサイン〜母乳哺育のポイント〜


つい最近、米国小児科学会(AAP)が、母乳哺育についてエビデンズスに基づく新しい方針を発表したので、要点を簡単に紹介しましょう。
母乳哺育は、いろいろな疾患の罹患率を減少させることや、新生児死亡を20%以上減少させることが複数の研究から示されていることを報告するとともに、以下のような勧告を行っています。

1.両親に対する出産前後の教育は、母乳哺育を成功させる重要な要素となる。
2.出産直後から最初の授乳までの間、母親は健康な新生児とスキンシップを図る。最初の授乳が終わるまで身体測定、沐浴、採血、予防的点眼は控える。
3.生後6ヶ月間は、水や果汁などを与えない。
4.授乳を始めて最初の数週間は、1日8〜12回の授乳を行う。乳児が空腹の初期徴候(例えば覚醒と運動の増加)を示したら授乳する。泣き出したときは空腹がかなり進んでいる。授乳の要求が少ない乳児は、出産から数週間は最後の授乳から4時間が経過したら起こして授乳すべきである。
5.乳児が生後6ヶ月に達したら、鉄を豊富に含む補助食品(離乳食)の導入を徐々に進める。
6.完全母乳哺育児に対し、最初の授乳が完了したら生後6時間以内にビタミンK1、1mg筋注すべきである。
さらに生後2ヶ月以内にビタミンD200IDを経口滴下する。(このビタミンKの筋注、ビタミンDの投与は本邦では行っていません。)
7.授乳期間の延長は、発達と健康の両面で乳児と母親の双方に有益であり、特に受胎能力の回復が遅延され、適切な出産間隔が維持される。授乳期間の上限はなく、生後3年以上授乳を維持することによる精神的または発達的な悪影響をしめすエビデンスは存在しない。
8.生後1年未満に離乳させた乳児には、牛乳ではなく鉄を強化した乳児用調合乳(ミルク)を与える。
2005年10月10日(月) No.157 (秋山先生(小児科)のコラム)

ジェネリック医薬品の問題点


最近、桃太郎侍やトットちゃんのコマーシャルでジェネリック医薬品という言葉を耳にします。
ジェネリック医薬品とは新薬の特許が切れた後に発売される後発薬品のことです。コマーシャルでは新薬とまったく同じ効果で値段が安いとうたわれていますが、はたして本当でしょうか?実際、私もアトピー性皮膚炎のお子さんへの処方を新薬からジェネッリク医薬品に変更すると急にかゆみが強くなってしまうことを何度も経験しています。また、皮膚科の学会では同じ効果であるはずの、ある新薬の軟膏とジェネッリック医薬品の軟膏を比較すると、後者はその新薬の五分の一以下の効果しか認められなかったとの報告もあります。なぜそのような問題が起きるのでしょう?

ジェネリック医薬品の多く使われているアメリカやヨーロッパなどでは、さまざまな厳しい審査を受けて使用が認可されます。しかし日本では溶出試験(酸性・中性・アルカリ性の3種類の液に製剤を溶かし、主成分の溶け出る時間と割合を測定する試験)の同等性とメーカーの申請データのみで承認されているのが実状です。ですからジェネリック医薬品の中には新薬よりも良い物や全く同等の物があるのも事実ですが、多くのジェネリック医薬品には、以下の問題が指摘されています。
1.長期保存試験や苛酷試験が行われていないため、安定性が証明されていない。
2.主成分以外に新薬に使用されていない成分や不純物が含まれている可能性がある。
3.錠剤、粉薬、軟膏などのどのような剤型でも製造方法に違いがあるため新薬と同じようには消化管や皮膚から吸収されない可能性がある。
まだまだ他にもいろいろな問題点も指摘されていますが、医療費の節減や患者様の負担の軽減には確かにジェネリック医薬品は不可欠な物です。早く日本でも安心してジェネリック医薬品を使えるような体制づくりを行政に求めたいものです。
2005年10月10日(月) No.156 (国分先生(皮膚科)のコラム)

女性と漢方13〜病は「気」から?(その4)〜


今回も症例を紹介しながら解説します。
『48歳、Dさん、女性。元々健康だが最近カゼでもないのに咳が出る。家庭内でのストレスが増してから症状が出てきた気がする。むくみやすい体質で、朝夕は気になるほどむくむ。喉のあたりの不快感も気になり、耳鼻科受診したが特に異常なしとの事。』
漢方医学では「大逆上気(タイギャクジョウキ)」という言葉がありまして、以前に解説した「気の上衝(気逆)」のはげしい状態を意味します。「気」の循環に異常をきたして、下から上へ「気」がどんどん上がると、上半身に様々な症状(頭のみ暑い、吐き気、喉が詰まる感じなど)が出てきます。Dさんは、カッカした話し方で、青筋をたてて咳き込んでいました。喉の違和感も「気逆」の結果によるものと考えて、今回は麦門冬湯[バクモンドウトウ]を処方してみましたが、1週間で咳は軽くなり、さらに2週間処方し、咳はほぼ消えました。

この薬は咳止めで有名ですが、本来の適応は「大逆上気」なのです。この薬には潤す作用(湿り気を与える)を有する生薬が含まれているので、「舌が乾く、喉の奥がカラカラ」といった時に使うことが多いのですが、半夏[ハンゲ]という生薬が含まれているのがミソでして、これは逆に乾かす作用をもっています。
単に潤したいなら、こんなものは要らないはずですね。ここが漢方薬のおもしろい点なんです。
つまり、麦門冬湯[バクモンドウトウ]はただ乾いた症状のみでなく、「むくみ」の様にどこかに水のアンバランスがある場合に使うと良い薬なのです。以前お話した「水毒(スイドク)」ですよ。二日酔いの時なんかは口渇くけど顔がむくんだりしますよね。
Dさんは、むくみも取れて喜んでいましたが、新たな悩みもできたと云われました。
「先生、顔のむくみがとれたのはいいんですけど、顔のしわが目立つようになっちゃいました。友人には『あんた、前はアンパンマンみたいだったからねえ』といわれたんですけど。」との事。
2005年10月10日(月) No.155 (山内先生(産婦人科)のコラム)

お茶のよもやま話 4杯目


今回は緑茶の疑問やお茶の雑学についてお話します。
かつてはお茶を飲んだら色が黒くなると言われた時期がありましたが全くの間違いで、逆に肌を白くする効果があると考えられます。それはお茶に多量のビタミンCが含まれているため、メラニン色素の生成を抑制し、肌の弾力を保ち、水分の減少を防ぐなど美容によい効果があると言われているからです。

1日に煎茶6〜7杯も飲めば成人の1日必要量を摂ることができます。
ただし、空腹時に濃いお茶を飲まないでください。タンニンとカフェインは適量では胃に細胞を刺激して胃酸の分泌を促し、食物の消化を助けますが、濃いお茶では大量に出てくるため、胃粘膜を荒らし消化液の分泌を抑制し、消化不良を起して胃腸の弱い人は吐き気や下痢を起すことがあります。
また、妊婦さんとお茶についてですが、お茶にはフッ素、亜鉛、銅、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マンガン、モリブデン、セレンなどのミネラル分が豊富に含まれており、このミネラルは人体に必要な微量栄養素で、特に亜鉛は妊婦さんに必要な微量元素と言われています。妊娠中は抜群の亜鉛補給源となる緑茶を適度に飲んだ方が良いかも知れませんね。
お寿司屋さんではなぜ煎茶を出すところが多いのでしょうか?
じつは緑茶の中でも煎茶には消臭効果のあるタンニンが多く含まれ、魚貝類の生臭さを消し、口の中をスッキリする働きがあります。またお茶の抗菌作用が魚貝類の腐敗や食中毒の予防にも影響しているというのは有名な話です。
2005年10月10日(月) No.154 (原口先生(薬剤師)のコラム)