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第25話/激痛の王様、尿管結石のはなし(2)


前回(第24話)では、尿管結石は「死ぬほど痛い」病気であるとお話ししました。その激痛発作の治療ですが、一般的に鎮痛剤の座薬や注射を行います。それでも治まらない時は、麻薬系統の薬を用いることがあります。これらの治療で、だいたい1〜3時間で痛みは治まります。しかし、私の経験した患者さんで半日激痛が持続した例もあります。患者さんが早く痛みから解放されることを強く希望する場合は、その日のうちに腰椎麻酔を行って、砕石手術を行う場合もあります。
ところで、夜中、身近に鎮痛剤がなく、激痛発作が起きた時に試してみる価値のある方法を教えましょう。まず、患者さんをうつぶせに寝かせます。次に、痛みのある側の背骨の脇の筋肉を背中から尻の方に向かって、親指で強く押していきます。そうすると一番痛みを感じる部位(圧痛点)があるはずです。そこを力一杯親指で押します。患者さんは「痛い、痛い」と訴えますが、2〜3分して親指を外すと嘘のように痛みが消えます。消えないまでも大変楽になりますので、ぜひ試してみてください。

さて、尿管結石の診断はまず尿検査からはじめます。結石発作の場合、尿に必ず血液が混じりますので、尿は目で見て真っ赤な色になります。しかし、見た目は正常な場合もありますが、その時は顕微鏡で観察すると血液が混じっているのがわかります。次に、尿路造影検査を行います。これは造影剤を静脈に注射し、その造影剤が腎臓から排泄され腎盂、尿管および膀胱に充満した状態をレントゲン撮影するものです。結石はレントゲン撮影で白く映ります。そして、その石のため尿の流れが悪くなるため、結石より上の尿管は水尿管といって普段の何倍もの太さになります。
尿管結石の診断でしばしば迷うのは、レントゲンに映らない結石の場合です。尿酸結石など、特殊な結石によるものです。この場合、威力を発揮するのがCT検査で、確実に診断することができます。
2005年09月10日(土) No.153 (古屋先生(泌尿器科)のコラム〜ドクトル・フルヤの知って得する泌尿器科講座〜)

ソフトサイン〜母乳と人工乳〜


1989年WHO(ユニセフ)が「母乳育児成功のための10か条」の声明を出しました。これは母乳育児を願うお母さんの思いに、医療スタッフがどのような考えで関わることが大切か、その理論と実践を改めて求める画期的なものでした。その内容のポイントは、生後30分以内に授乳させ(早期接触、授乳)、できるだけ母児同室とし、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるままに与え(頻回授乳)、医学的に必要がないのに糖水、湯冷まし、ミルクなどを与えないというものです。
現在、この考えはほとんどの産院にいきわたっており、実践されています。しかしながら産科に入院中は70〜80%が母乳栄養のみであっても、生後1ヶ月の母乳率は50%、混合栄養は30%、残りの10〜20%は人工栄養となっています。以前述べたように、母乳が不足しているのではという不安感からミルクを足してしまうということもありますが、母乳育児が進まない要因はさまざまです。

しかしながら逆にいくら母乳育児を望んでも、どうしても母乳が出ないお母さんや、少しなら出るけど不足してしまうお母さんが、混合栄養や人工栄養になるのはやむをえないことです。母乳が出ない、母乳保育ができないからといって変な罪悪感など持つことはまったくありません。現在のミルクはその組成をみてもほぼ母乳に近いものであり、赤ちゃんが健康に発育するのになんら問題はありません。母乳は、抱いて、目を見て、赤ちゃんに語りかけるように飲ませます。同じようにミルクをほ乳瓶で与えるときも、きちんと抱っこして、語りかけるようにゆっくりとした気持ちで哺乳させてあげてください。横に寝かしたまま飲ませるようなことはしてはいけません。
母乳栄養で少し気になる点があります。まず血液の凝固に必要なビタミンKの不足がおこることがあります。現在、産科退院時と1ヶ月検診時に不足していると思われる場合、ビタミンKの内服をおこなっています。またこれもまれですが、ビタミンDが不足することがあり、骨の発育障害をきたす『くる病』を起こす可能性があります。赤ちゃんがビタミンDを体内で十分作れるよう、1日15分程度の日光浴を勧めます。紫外線はガラスを通り抜けることから、日当たりの良い室内の窓際での日光浴でかまいません。人工乳には、ビタミンKもビタミンDも十分量入っており、このような心配をする必要はありません。
2005年09月10日(土) No.152 (秋山先生(小児科)のコラム)

女性と漢方12〜病は「気」から?(その3)〜


今回も症例を紹介しながら解説します。
『18歳、Cさん、女性。大学入試の準備中。年末あたりから夜になると落ち着かず、勉強にも集中できない。本人も原因は入試に関する不安感であると自覚している。お母さんが心配して一緒に来院、生理も不順との事。』
前回お話した「気の異常」の3つのとらえ方(「不安」「あせり」「イライラ」)で考えると、この方のキーワードは『不安感』です。このような場合は、甘い生薬が漢方医的には効果的です。一般的に、甘いものは気持ちを安らぐ作用があります。甘いココアで子供が寝付くというのもこの作用によるのものですね。
Cさんには、酸棗仁湯[サンソウニントウ]を処方しましたが、甘くて飲みやすく1週間後には気分が落ち着いてきたと喜んで来院しました。「甘いものでごまかされるなんて、子供だましじゃあるまいし」と思われる方がいらっしゃるでしょう。現に私自身も最初はそう感じていましたから。

しかしながら、有効であるのは事実です。
酸棗仁湯[サンソウニントウ]は、基本的には不眠に対して使うことが多いのですが、睡眠薬とは違いますから、不安を取り除いた結果として眠れるようになるわけです。
つまり、眠れないから使うのではなく、不安に対して使う薬なんです。となると、イライラが原因の不眠の方に処方して効かない?当たり前です。不眠の原因を考えないと漢方薬は有効ではありません。ですから、患者さんのお話をよく聞く必要があるのですね。
個人的には、受験の合格発表の前や癌かもしれない検査結果の前などの不安が強いときには、この薬はまさにうってつけだと思っています。気の弱い私?も不安が強くて寝つきが悪そうなときはこの漢方薬を寝る前に2包飲んでみます。
2005年09月10日(土) No.151 (山内先生(産婦人科)のコラム)

お茶のよもやま話 3杯目


さて、今回はダイエットや生活習慣病の予防についてお話します。
お茶に含まれるタンニン(カテキン)には脂肪の吸収を抑制する働きや腸内を調整する作用もあります。緑茶に含まれる食物繊維については、特に番茶や下級煎茶に多く含まれているとされていますが、お茶の液に一部しか含まれないため、お茶の葉をそのまま食べたり、抹茶を飲むなど、繊維をそのまま摂るのが最も効率の良い方法であり、便通を良くする効果にもつながります。
タンニンは同じくお茶に含まれるサポニンとの共同作業によって肥満予防が期待されると推測されていますし、高濃度のカテキンを含むお茶が、厚生労働省より特定保健用食品として「体脂肪が気になる方に適したお茶飲料」との表示をしていいと許可をもらっているようです。成分の中のカフェインには利尿作用もあって、体の水分を排泄し、むくみをとったり血圧を下げたりする働きもあります。

「ギャバロン茶」というお茶にはギャバ(ガンマアミノ酪酸)という発酵玄米にも含まれている成分が入っており、血圧が高い方に有効ですが、血圧の薬を飲んでいる方は血圧が下がりすぎたり、安定剤を服用している方は作用が強くなったり、副作用が出やすくなったりする事も考えられるので注意が必要です。
カテキンは中性脂肪を追い払うのでコレステロールなどが高い人(高脂血症)に多い心筋梗塞や脳梗塞を予防したり脂肪肝を防ぐ効果も期待できます。
また、食物繊維と同様に糖質の消化吸収を遅らせる働きがあり、ブドウ糖が血液中にゆっくり吸収されることにより、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。お茶の中でも冷水で抽出した水出し番茶がもっとも効果を示すようです。その他に多糖類、ビタミンB群にも血糖値の上昇抑制や血糖低下、糖質の代謝作用があり、ビタミンPには糖代謝を促す効果の他、ビタミンCの働きを助け血管増強や浸透圧の正常化を保つため、高血圧や動脈硬化が心配な人にも効果的とも言われています。
2005年09月10日(土) No.150 (原口先生(薬剤師)のコラム)