タイトル

第10話/尿で運命占い


この講座の第3話で、「尿は健康のバロメーター」というお話をしましたが、現代では、尿検査で、健康状態を把握したり、病気を診断するのは常識です。ところが、尿で運命を占っていた時代もあったのです。
昔中世ヨーロッパでは、医師は「水裁判官」と呼ばれ、検尿瓶に尿を採取し、色調、混濁、浮遊物などを観察して、病気を診断していました。ですから、当時の絵画や彫刻には、検尿瓶に入っている尿を、日光にかざして観察している医師の姿が多く描かれ、なかには、手に持った検尿瓶を凝視するキリストの姿を描いた絵画さえあります。

さて、貴族や金持ちが病気にかかったときは、その家の専用の検尿瓶を召使がパニエルという入れ物に入れて医師のところへ持参しました。一般庶民の場合は、医師のところに備え付きの検尿瓶を借りるのがせいぜい。ベリー公爵家の検尿瓶は、4つの黄金の鎖で飾られた豪華なものだったそうです。
ところが、すべての医師が必ず行っていたこの検尿法が、次第にニセ医者によって病気以外のことに悪用されるようになりました。
彼らは、「一子相伝の秘法」という検尿法を編み出し、「赤い薬液」を尿に垂らし、病気はおろか、人生、運命、はては恋の成就まで、占ったのです。いわゆる「尿占い師」と呼ばれた人たちです。
英国の博物館にこの尿占い師の戯絵が残っています。「恋の患い」と題する絵には、草津の湯でも治らぬ恋に打ちひしがれた婦人の前で、したり顔で尿を占っている姿が描かれています。
彼らは、貴族達に取り入り窮愛を得て、政治的な力まで獲得したのでした。しかし、錬金術の発達が引き起こした「化学」の発明により、尿が科学的に分析できるようになったため、化けの皮が剥がれ、尿占いの魔力を失ってしまいました。その頃発見された尿糖や尿蛋白の検査法は、現在も広く診察に用いられています。
2004年06月10日(木) No.71 (古屋先生(泌尿器科)のコラム〜ドクトル・フルヤの知って得する泌尿器科講座〜)

医療ミスの起こらないシステムが大切


最近病院や医者、看護師の不手際がよく報道されています。
大部分は取り違いが原因です。
「Aさんと思って手術したらBさんだった。」「正常な臓器を取って異常な方を残した。」「点滴を違う患者に打った。」「点滴の内容が間違っていた。」ごく最近では、「抗ガン剤を10倍量投与して死亡事故に至った。」

以前はこの様な報道はあまりなかったと思います。
事故が少なかったのか、報道がされなかったのかはわかりませんが、医療技術、医療機器は格段に進歩しましたが、このような事故は人間のミスですから、昔からこの程度はあったと考える方が自然です。この、取り違えあるいはミスをなくすか減らさなければなりませんが、人間はミスをする動物ですから、なかなか困難です。
今後は起こさないよう注意します、起こしませんと言ってはまた起こします。
今までのように個人の責任だけが問われ、解雇されたり、刑事罰に処せられても事故、ミスの数はなかなか減りません。取り違えの起こらないようなシステムが必要です。
二重三重のチェック体制、間違えやすい薬の名前の変更、薬の包装の工夫など、いろいろ考えられますが、一番重要な事は医療現場が忙し過ぎることです。医者も看護師も数が少なすぎます。人数ばかりいてもという声もあるかもしれませんが、人が増えれば一人当たりの勤務時間は減り、間違いなくミスは減らせます。
アメリカでは医療に日本の何倍もの人材と費用をかけています。今まであまり費用の事は問題にされず、個人の責任に押し付けてしまいがちでしたが、皆でこの事を考えもっと議論しなければならないでしょう。
2004年06月10日(木) No.70 (高橋先生(内科)のコラム)

乾癬〜その1〜


またまた少し脱線してすみません。
ひょんな事から韓国の乾癬学会に出席する事になってしまい、ゴールデンウィークにソウルに行ってまいりました。
会場はインターコンチネンタルホテル。日本では、なかなかお目にかかれない立派なホテルにまずびっくり。そして会議室に入りその活気に2度目のびっくり。韓国の皮膚科医の数は日本の約5分の1。日本の乾癬学会でも200人出席の人がいれば良い方ですので、韓国であれば40人〜50人が良い方と思っていましたが、日本よりも出席者が多く、ハングルでの討論が飛び交っています。
韓国の皮膚科医のやる気に脱帽です。ハングルが分からないので学会場ではほとんどボーっとしていたのですが、夜の懇親会は得意です。下手な英会話と巧みなボディランゲージと筆談を駆使し、韓国では「アトピー性皮膚炎」が日本のように社会問題になっておらずステロイド恐怖症や民間療法などがほとんどない事、韓国の女性はキムチのおかげ?で肌が綺麗な事、「乾癬」の最新の治療法を一般の病院でもどんどん取り入れている事など色々な事を聞く事ができました。
せっかく乾癬学会に出席したのですから、今回から2〜3回に分けて乾癬について書かせて頂きます。

●乾癬とは?
乾癬は皮膚が赤くなり少し盛り上がって、表面に乾燥した白い垢のようなものが付着しぼろぼろはがれてくる病気です。原因は色々な外的因子(外傷・薬物・感染症など)や内的因子(糖尿・肝疾患など)が乾癬を起こしやすい体質に加わって発症するのではと考えられていますが、はっきりとは分かっていません。
遺伝も関係しているようですが、日本では5%程度と高くはありません。乾癬は皮膚がはがれ落ちますので、うつるのではないかと心配する方もいるかもしれませんが、ウィルスや細菌・カビなどによって起こるものではないので決してうつりません。
次回は乾癬の治療と日常生活上の注意について書かせていただきます。
2004年06月10日(木) No.69 (国分先生(皮膚科)のコラム)

女性のがんのお話


今日は女性のがん、婦人科のがんを中心にお話しします(以下のデータは日本人におけるものです)。がんが原因での死亡(がん死)はもともと男性の方が多く、女性の1.6倍くらいあります。男女合わせたがん死はこの50年間で2.2倍に増加し、心疾患、脳血管疾患を追い抜き、その差をぐいぐい広げているところです。
4人にひとりががんで亡くなる時代に私たちは生きているのです。

女性のがん死の統計では、2002年の厚生労働省のデータによると、数の多い順に、1.胃2.大腸3.肺4.肝5.乳房6.膵7.胆嚢8.子宮9.卵巣10.悪性リンパ腫となっています。死亡数を20年前と比べると、胃がんが1割減、子宮がんが微減の他はほとんどが2倍以上に増加しています。
子宮がん…子宮がんには子宮頚がんと子宮体がんがあり、全く別物のがんです。
子宮頚がん…子宮の出口にできるがん。原因として、性交でうつるヒトパピローマウイルス(HPV)が関係しているといわれています。かかりやすいのは40代、50代ですが、性の低年齢化にともない、20代も増えています。妊娠やお産の回数が多い女性は要注意。自覚症状は、初期にはありません。ある程度がんが進行すると性器出血(特に性交時の出血)
がでてきます。診断のためには検査をします。まず細胞診。子宮の出口をヘラの先でこすって細胞をガラスに塗りつけ、染色して顕微鏡で調べるのです。結果はI型からV型まで大きく5段階に分けられ、大まかに言うとI、II型はがんでないと考えられ、IV、V型はがんの疑いが強く、III型はグレイゾーンということです。I、II型の人は1年後、半年後にまた細胞診を受ければ良く、IV、V型の人は即精密検査が必要、III型の人は精密検査、あるいは3ヶ月くらい後に再検査ということになります。精密検査はコルポスコープという器械で子宮の出口を拡大してよく見て、問題がありそうな所を器具で数カ所つまみ取ってきてその組織を調べます。これでがんかどうか、がんならどの程度進行しているかなどがわかります。これらの検査は外来ででき、痛みもほとんどありません。この続きは次回に。
2004年06月10日(木) No.68 (浅井先生(産婦人科)のコラム)

風邪を引いている時のホームケア…その2


●発熱について
Q…前に熱でひきつけを起こしたことがありますが、熱ざましはどうしたらいいでしょうか?
熱でひきつけを起こしたことのあるお子さんに関しては、一般的にはひきつけを予防すると言うことから..
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2004年06月10日(木) No.67 (上村先生(小児科)のコラム)

大衆薬は安全!?


大衆薬は安全なのが「当たり前」と思われがちですが、ごくまれにとんでもない事故が起こっていることも事実です。
過去にある薬でアレルギーを起こしていた人が、同じ成分を含む薬を使って重症のアレルギーになった例や大人用の点鼻薬(鼻づまりのスプレー)を幼児に使用して手足が冷たくなり顔色が悪くなって救急車で運ばれた例。また、喉の痛みや声がれの時に使う噴霧式のヨード含有剤を使い続けた結果、ヨードの過剰摂取となり甲状腺機能に異常を起こした例などいろいろあります。
これらは「以前、こういう薬でアレルギーを起こした事があるが大丈夫ですか?」「この薬は幼児に使ってもいいですか?」「これは長く使っても問題ないですか?」など、医師や薬剤師に相談していたら防げた可能性があります。

また、医師が処方した薬を使用している人では、大衆薬との「飲み合わせ」、食品との相互作用の問題もありますから、同様に相談していただく事が大切です。
最近、規制緩和の一つとしてコンビニで大衆薬を販売する事が検討されていますが、かぜ薬でもCMのイメージのみで購入すると症状に合わなかったり、思いもよらぬ注意点があったりする場合もあり、極まれにではありますが、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)や中毒性表皮壊死症などの重い副作用を起し、発見や処置が遅れると最悪の場合は死に至る事さえあります。
みなさんはこの話を聞いて、薬のコンビニ販売についてどう考えますか?
薬の箱や説明書・CMなどで「使用上の注意をよく読み、医師または薬剤師にご相談下さい」とはそう言うことなのです。
元気なときは薬の相談などあまり意識しない事でしょうが、必要なときはいつでも遠慮無く薬の専門家『薬剤師』にご相談下さい。
2004年06月10日(木) No.66 (原口先生(薬剤師)のコラム)

妊婦さんのお口と健康


女性は妊娠がわかった時、喫煙者は禁煙したり、食品分類表を冷蔵庫に貼ってバランスのとれた食事を心がけたり、乳歯の虫歯は母子感染といわれているので、つわりで虫歯にならないように歯磨きを頑張ったり、生まれてくる赤ちゃんのために妊婦さんは惜しみない努力をします。
そんな妊婦さんのお口の中をみると約30%〜70%の方に歯肉炎が認められます。
なぜでしょうか?単につわりによってお口の中が不潔になったからでしょうか?それも1つですが、その他に女性ホルモンが歯周病に大きく関わっている事がわかってきました。
女性ホルモンにはプロゲストロンとエストロゲンがあり、前者は歯肉の血管に作用して少しの刺激すなわち少量のプラークでも炎症反応が起こり歯肉が腫れることがあります。歯肉炎の原因菌のプレボテーラ・インテルメディア菌は、エストロゲンの上昇により妊娠初期の5倍にも増加することがわかっています。

日頃からプラークコントロールできている方はこのような歯肉炎が起こることはありませんが、できていない方や妊娠前に歯肉炎や歯周炎のある方は妊娠を契機に再発する可能性が高くなります。
そして歯周病のある妊婦さんはそうでない妊婦さんに比べて早産や低体重児出産の危険性が7.5倍高くなるという報告がなされました。これらを予防するために妊婦さんの歯周病の管理がいかに重要かおわかりいただけるかと思います。
つわりの時期の口腔ケアの要点は(1)歯ブラシは小さいものに替え、嘔吐を避ける(2)虫歯予防にフッ化物入りの歯磨剤やキシリトール入りのガムなどを利用する(3)できるだけ長時間磨きを心がける(4)砂糖の摂取に注意する(5)吐きつわりのひどいときは胃酸による歯への影響を防ぐため、うがいを頻繁に行い、うがいのできない人は氷をなめるなどの工夫をしてください。
母子手帳には妊婦さんの歯科検診のページがあります。かかりつけの歯科を受診し、虫歯だけでなく歯周病のチェックもしてもらいましょう。
今回は妊婦さんのお口の健康でしたが、女性は思春期・月経周期・妊娠期・経口避妊薬常用時・更年期と生涯の節目の時期に女性ホルモンの消長によってその影響が歯周組織や口腔粘膜にも発現することを理解し、症状のあるなしにかかわらず定期的に歯科を受診することをお勧めします。
2004年06月10日(木) No.65 (北見歯科医師団のコラム)