タイトル

第8話/老いにけらしな小便のやるせなさ


小便のやるせなささて、排尿とは膀胱に溜まった尿が、尿道を通じて身体の外へ排出されることをいいます。
風船を例にとると、膨らんだ風船(膀胱)の中の空気がゴムの縮む力で、管(尿道)から外へ押し出され、風船がペシャンコになる状態です。そこで、風船のゴムの弾力が弱くなって収縮力が低下した場合、管の太さが細くなった場合、当然風船からの空気の出が悪くなります。
これと同様に、膀胱の収縮力が低下した場合、尿道が狭くなった場合、小便の出が悪くなる理屈となる訳です。

前者では神経因性膀胱、後者では尿道狭窄・前立腺肥大症等が代表的な病気です。
表題の川柳は、老年男性の排尿困難を詠んだものです。すなわち、男性が年を取ると膀胱の筋肉が老化し、尿を排出する力が低下します。また、前立腺肥大症が50%以上の男性に起こり、尿道が圧迫されて狭くなるために、排尿困難が生じるのです。
排尿困難になると、なかなか尿が出ない、出ても終わるまで時間がかかる、尿線が細い、尿の切れが悪い等の症状が認められます。
また、膀胱内の尿を完全に排出することが出来ず残尿がのこります。このため、短時間で膀胱に尿が充満するため、頻尿といって尿回数が多くなります。
日中8回以上、夜中2回以上排尿する場合を頻尿といいます。
この排尿困難が悪化すると、尿閉といって、まったく排尿ができない重篤な症状になります。
経験者は一様に口を揃えて「死ぬ思い」と表現します。
それほど苦しいもので、顔面は真っ青になり冷や汗が流れ、下腹部は今にも張り裂けそうに緊張します。
導尿という簡単な救急処置で、尿閉の苦しみから解放されますが、膀胱から尿を排出したあとは、患者さんは皆「生き返った思い」と表現します。
一般に、膀胱の容量は300ミリリットルですが、私が今まで経験した尿閉患者さんの中で、一番多く尿が溜まっていたのは、実に1、400ミリリットルでした。 
2004年04月10日(土) No.57 (古屋先生(泌尿器科)のコラム〜ドクトル・フルヤの知って得する泌尿器科講座〜)

正しい情報と正しい判断


『今朝は血圧が高いですね、薬飲みましたか』
『いえ、飲んでいません』
『どうして?忘れましたか』
『いえ、知り合いが飲まない方が良いよと…』
または、『おかしいな、血液データがちっとも良くならない、薬効かないかな』
『先生、実は飲んでいないんです』
『何故ですか』
『みのもんたのテレビであの薬はみだりに飲んではダメだと言っていました』
また、『血糖コントロールがめちゃくちゃになっちゃいましたね、
インシュリンきちんと打っていますか』
『実はインシュリン続けて打つのは体に悪いと聞いて止めていました』

全部私の診察室での会話です。問題は種々ありますが、大体次の三つにまとめられます。
第一に医者(私の事です)が患者さんに対して薬の意味、注射の意味をきちんと説明していなかった、あるいは患者さんが解るように説明しなかった事。
第二は患者さんが治療の意味、薬の働きをよく理解していなかった、自分が選んだ医者より友人やテレビを信用した事、つまり医者と患者の信頼関係が弱かった事。
第三は知識も無く、責任も取れないのに自分の経験や聞きかじりで人にアドバイスをする事。薬によっては大事に至る可能性があります。
又テレビは病気や健康について解りやすく説明してくれて、良いところがたくさんありますが、往々にして断定的で前提や例外を無視します。
たとえば、Aという薬はBという病気に効果がある、あるいはないと断定します。ところが、実際は大部分の治療法、薬、注射はある人、ある場合には効果があり、
他の人、または同じ人でも、時期が異なった場合は効果も違う事が多いのです。
病気は人や時期によって様々で薬の効きも変化します。
病気と病人と医者の関係は毎回異なり、同じような事はあっても同じではありません。
皆さんも、これからの事柄をよく理解した上で今後の参考にして下さい。
2004年04月10日(土) No.56 (高橋先生(内科)のコラム)

アトピー性皮膚炎の治療/第2回【気楽に、でもしっかりと治しましょう】


●気楽に
十数年前、私がまだ若くキムタクとそっくりだった!?頃の話です。
皮膚科の病棟に小学校低学年の男の子が入院してきました。
重症のアトピー性皮膚炎で全身、湿疹で真っ赤っかのガサガサ、目はどんよりして元気がありません。

お母さんにそれまで使っていた薬を見せてもらうと、漢方薬3種類、抗アレルギー剤の粉薬が1種類と大きな壺に入ったシソの臭いがする訳の解らない外用剤でした。
さらに卵・牛乳・肉の入っている食事や菓子類は一切禁止され、それらに変わる抗アレルギー食なるものを購入していたとのこと。週1回の通院で1万円以上もの金額を支払っていたとのことでした。
どうしてこんなに頑張っちゃうのでしょうか?アトピー性皮膚炎といってもたかが「湿疹」です。食べたい食事や菓子を我慢し、おなかいっぱいになるまで薬を飲んでまで治す必要があるのでしょうか?
多少湿疹が出ていても普通に日常を楽しく過ごせればいいのではないでしょうか。
ほとんどの患者さんは、単純な外用薬とかゆみ止めの内服薬で十分コントロールすることができます。気楽にいきましょう!
●でも、しっかりと
気楽にと言っても、ある程度しっかりと治療しなければなりません。
あまりかゆみが強いと睡眠不足や集中力の低下を招きます。また、長い間湿疹をほおっておくと、黒いシミや象の皮膚の様になってしまうことがあります。
また、皮膚のバリア機能が壊れているため細菌やウィルス、アレルギーの原因となるアレルゲンも皮膚から入り込みます。
そのためにも皮膚は良い状態に保ちましょう。
2004年04月10日(土) No.55 (国分先生(皮膚科)のコラム)

HRTはどうなんでしょう?


今回はややマニアックなお話になるかもしれません。我慢して読んでいただけたらと思います。
HRTとはホルモン補充療法のことで、一般に婦人科では更年期以降の女性に対し、女性ホルモン低下によるさまざまな病気の治療、予防のために行われるものです。たとえば更年期障害ですね。
卵巣から長い年月分泌されてきた女性ホルモンが、卵巣そのものの寿命が来ることにより出なくなります。結果として閉経(生理があがる)となるのですが、このホルモン状態に適応できないと、その女性の体質、気質により、多彩な症状が出てきます。一番多いのがほてり、のぼせや異常な発汗などです。
骨粗鬆症という病名はだいぶ有名になってきました。HRTはこの病気にも効果があります。男性は遺伝的に骨と筋肉が強くできていますが、女性は女性ホルモンによって骨の強さが支えられている部分が大きいため、更年期以降急速に骨の密度が薄くなり、骨粗鬆症になる人も出てきます。老年女性で骨折↓寝たきり↓痴呆という経過をとるケースが少なくありません。
さて、いいことだけではないんですね。2002年に米国立衛生研究所が大規模試験の結果、冠動脈疾患、脳卒中、深部静脈血栓症、乳がんが増えるのでHRTは危険と言わんばかりの発表をしたので、さあ大変。

欧米先進国の中高年女性の10から30%が主に若返りのためにHRTをやっていたといわれていますから、影響は大きかったようです。
しかし、日本人にそのまま当てはめて良いかは疑問です。
というのは、研究対象が片寄っているのです。たとえば、平均年齢63歳と比較的高齢で、高度な肥満例を多く含み、半数は喫煙していた。少なからず高血圧、高脂血症、糖尿病の治療を受けていたなどなど。
もともと日本人にくらべ、アメリカ人には血栓症や乳がんははるかに多いなど、体質の違いも。ですから今後日本人での大規模な研究がどうしても必要です。
当面の日本におけるHRTの考え方として、日本更年期医学会での発表が参考になるかもしれません。対象は更年期症状を有する女性を主とし、期間は短く(継続の検討は少なくとも年一回)、低用量で。安全性から、経皮投与(貼り薬)という手もあります、ということです。
2004年04月10日(土) No.54 (浅井先生(産婦人科)のコラム)

コーラと薬剤師


前にお話ししたとおり、昔の薬剤師はケチャップやベルモットなど、今からは想像できない物を作っていましたが、コーラも薬剤師が作ったのを皆さんはご存じですか?
昔、米国では薬局のカウンターに立ち寄り、夏の日差しでカラカラに乾いた喉や二日酔いの頭痛を治す飲み物として炭酸水を飲んで会話を楽しむなど、薬局が今の喫茶店やパーラーの様な性格も併せ持っていたようです。

そんな中、1886年米国ジョージア州の薬剤師ベンバートン氏が、当時はまだ麻薬として扱われていなかった「コカ」の成分や「コーラ」の実(カフェインの一種のコラチンを含む)から強壮剤として成分を抽出したシロップを間違って炭酸で割った事から「コカ・コーラ」が誕生しました。
ちなみに、全米に大量販売され始めた1903年からはコカ(麻薬)を使わずに製造するようになったそうです。
1912年には日本にも輸入されていたようで、高村光太郎の詩集「道程」の中にも「コカコオラ」の文字が出てきます。
「ペプシ・コーラ」は1898年ノースカロライナ州の薬剤師ブラッドハム氏が消化不良の治療薬をもとに作った物で、消化酵素の「ペプシン」と「コーラ」を合成したのが名前の由来です。
両方とも薬剤師が開発した物ですが、当時の基準は別として現在は薬としての効果は無いと考えられます。
逆に炭酸飲料は主に解熱・消炎鎮痛剤として使われるアスピリンなど一部の薬の作用を遅らせ、一定時間の効果が半分になるとの報告もありますので、薬を飲むときは出来るだけ水または白湯で服用するようにしてください。
2004年04月10日(土) No.53 (原口先生(薬剤師)のコラム)

1歳6か月・3歳児検診について


今月は検診についてのお話です。
[1歳6か月検診]
母子保健法で決められた検診です。子供の体の成長と心の発達をチェックして、もし問題があれば早めに指導して対応することが目的です。
[母子手帳の記入]
母子手帳には歯の異常がどの歯に見られるかの印を記入するようになっています。むし歯だけでなく歯の形、はえ方、歯ぐきの異常、噛み合わせなどで気づいたことを記入して検診のとき質問しましょう
[歯科医がチェックすること]
1.現在生えている乳歯の種類と数
2.むし歯の状態と治療の必要性の判断
3.歯の汚れの状態
4.噛み合わせの状態
5.そのほか指導が必要なこと
[検診が終了したら…]
3歳までの健康づくりが大切です
1歳6か月でむし歯をもっているお子さんの割合は少ないのですが、3歳児ではとても増えています。食生活上の注意としては
1.甘いもの…だらだらと甘いお菓子やジュースをとる習慣が身につくと、歯の表面にはむし歯の原因となる菌が急激に増えます。スポーツドリンクなどの砂糖の多い飲料水も最小限にしましょう
2.哺乳瓶…もう卒業させてください。
[3歳児検診]
歯科的には20本の乳歯が生えそろい噛み合わせも出来上がる時期です。乳歯がむし歯になりやすいかなどもはっきりわかるころでお口の中の健康を保持増進するための生活習慣をつくるうえでもきわめて重要な時期です。
※育児を見直すチャンスです

1.おやつや飲み物の選び方
2.歯の磨き方
3.食事のとり方
4.正しい生活習慣
5.親と子のかかわり方
6.家庭内の協力などについて振り返ってみてください。
※これからの状況が予測できます
3歳児のむし歯の状況を診ると、これから先のお口の中の状況が予測できます。お口の中には生活習慣が現れやすいものです。一度身についた習慣はなかなかすぐには改善しにくいものですが、3歳児歯科検診を機にお子さんの生活を見直してあげてください。
[検診が終わったら…]
3歳ごろは赤ちゃんから幼児への転換期です。誕生からの3年間を振り返ってみるよい機会です。
*かかりつけ歯科医院の定期健診を活用しましょう
集団検診では見つけにくい小さいむし歯もあります。また好ましくない食習慣や顎の成長や歯並び、噛み合わせのぐあいなど成長発育にあわせた歯科的な問題点を観察してもらうには信頼できるかかりつけの歯科医院をみつけて定期的に見てもらうのがいいでしょう。
2004年04月10日(土) No.52 (北見歯科医師団のコラム)