タイトル

危険なドラッグ!


 太古の昔から「心を変える毒(麻薬)」が作られてきた時代はありましたが、現代の様に植物から抽出したものから人工的に合成した覚せい剤まで、ありとあらゆる毒が作られている時代はありません。
 常習者本人の体や精神が朽ち果てるだけならまだしも、その作用によって生まれる妄想で殺人まで犯してしまうとなると、他人事では済まず社会的な大問題ともなります。
 これは「毒=ドラッグ」によって人格が壊れ、人そのものが「社会毒」になってしまうという恐ろしい現象の表れだと思います。


 麻薬や覚せい剤の利用が犯罪であることは皆さんも充分承知の事とは思いますが、もともと世間の常識をかえりみない好奇心旺盛の若者の若さゆえの犯罪に対する意識の低下、興味本位から試してみようとする心のすきなどを狙って忍び寄り、ドラッグや麻薬を売って儲けようとする暴力団関係者、不法滞在外国人などがいるために利用する人がいるのが現状です。
 警察がドラッグ密売人をいくら取り締まろうとも、闇の部分に隠れて撲滅するのは難しいですが、それでも毎年3万人近くは検挙されており、その7割は吸引者、売人を含めて覚せい剤関連で、またその4割は暴力団関係者です。しかも検挙者の半分がまた再犯者になっているそうです。
 こうした麻薬は「あへん法」「大麻取締法」「覚せい剤取締法」「毒物及び劇物取締法」「麻薬及び向精神薬取締法」の5つの法律で取り締まわれており、常習性の薬物が出回るたびに改正されてきましたが、新しい薬物が次々出てくるのは日本だけの問題ではなく、現在でも国際協力で対策が講じれられ厳しい戦いが続いています。
 次回は麻薬の依存などについてお話したいと思います。

 昔の網走刑務所と言えば、寒さや労働も厳しく、殺人事件などの重罪を犯した人が収監されているというイメージでしたが、数年前に見学させていただいた時の刑務所の説明パネルでは、建物も新しくなり、その当時より少し罪の軽い収監者が多く、麻薬覚せい剤関連の罪を犯した人の割合が多かった様な記憶があり、いつも横を通る時に思い出します。
2012年09月05日(水) No.557 (原口先生(薬剤師)のコラム)

いまなお多い、薬の副作用死!


 5月28日に毎日新聞に掲載された記事を見ると、風邪薬…皮膚疾患悪化、副作用死なお深刻、2年半で131人、国が注意喚起とありました。
 薬の副作用で起きる皮膚障害のうち症状の重いスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症の死亡者報告が、今年1月までの2年半で131人に上がった事が、厚生労働省のまとめでわかり、2009年にも約4年間で239人の死亡例があって、それよりは少なくなっていますが、いまだ注意が必要とのことでした。
 これらは唇や目の結膜など、また皮膚の広範囲に発疹などができ、重症化すると多臓器障害に進行し死にいたる事があります。


 この病気は発症の仕組みが不明で、原因とみられる薬の種類も解熱鎮痛剤、抗生物質、てんかんの薬、風邪薬などと200例を超えて幅広く、薬局やドラックストアーで処方せんなしでも買える一般医薬品の総合感冒薬でも54例あったとのことです。
 発生頻度が年間で100万人当たりの数人と極めて少ないので、皮膚科の先生でも診断が難しく、治療が遅れると重症化しやすいとのことでした。
 今回の製薬企業からの報告では、発症者が1505人で、このうちの約57%は回復、軽快しており、そのためには初期症状のうちに早めの治療が必要となりますので、厚労省安全対策課からも「疑ったらすぐ医療機関に受診してほしい。」とのことでした。
 「SJS患者会」代表で歯科医の湯浅さんは、91年に風邪薬を服用後に全身に発疹が広がり、一時寝たきり生活になりました。今は左目を失明し歯科は休業していて「誰もが使う医薬品で起こりうる。生活も急変し、ショックを受けた。」と話されていたそうです。
 ですから、薬局で薬剤師の説明を聞くことや薬の能書を見るのは面倒くさいと思いがちですが、そこに注意しなければならない初期症状の説明などがあるので、自分を守る為にもいつ出るかわからない副作用について、重症化する前にそれらを知っておく必要があるのではないでしょうか。それでも薬の説明や薬剤師は必要ないのでしょうか…。
2012年08月02日(木) No.552 (原口先生(薬剤師)のコラム)

医療のコスト!?


 去年、さいたま市で税金の使われ方について知ってもらうために調査したところ、救急車の出動1回あたりのコストが4万2千425円かかっていたそうです。それを「おれも税金を払ってるし、タダだし」と軽症でもタクシー代わりに使っている方が身近にもいる様です。


 そういう方のために本当に必要な人に救急車が間に合わず、命を落されたり、寝たきりになったりする人も少なからずいるのではないかと心配します。
 これは日本全国の問題であり、今後も続く様ならいずれ海外と同じ様に患者さんに実費を請求したり、1回5千円や1万円なりの一部負担を払ってもらう時期が来るかも知れません。
 もし救急車を呼ぶ前に余裕があるなら、かかりつけのお医者さんや救急病院に電話をして、詳しい症状を説明した上で指示を仰ぎ、それから119番に連絡出来れば一番いいかと思います。
 薬の使用についても、ある会社が同じく去年9月に薬局の利用情報調査を、一般消費者の方にインターネットを通じてアンケートを行った結果、ジェネリック医薬品への切り替えや、薬の値段に関する相談、受診へのアドバイスなど、薬剤師に処方薬を相談する人の8割強が「薬の専門家だから」という理由で、薬剤師に高い期待を持って下さっていることが示されました。
おそらくどこの薬局の薬剤師もそうだと思いますが、薬の飲み合わせの危険性はもちろん、同じ薬などがほかの病院の処方と重複していないか、ジェネリックを使う事によって効果は変わらず、少しでも患者さんの医療費負担を下げることは出来ないだろうかなど考えていると思います。
 その為にもお薬手帳などの情報がとても大切で、それらを参考にしながら、みなさんの病気の治療をすすめる事や、必要のない薬による医療費の上昇を抑える事も薬剤師の仕事の一部なのです。
2012年07月05日(木) No.547 (原口先生(薬剤師)のコラム)

スイッチOTC薬!?


 題名を聞いてスイッチって何?とおっしゃる方が多いかと思われます。これは薬の分類の名前で、まずOTC薬というのはOver The Counter薬と言ってカウンター越しに買える薬、つまり市販薬を表します。
 では、スイッチOTC薬は?という事ですが、これは今までお医者さんの処方せんがなければ使用できなかった指定医薬品(処方せん医薬品)の中から、使用実績があり比較的副作用の心配が少ないなどの要件を満たしたものを、薬局などで処方せんなしで購入できるように許可されたものを言います。
 実際にそれらのほとんどの薬は今でも、病院でお医者さんの処方によって使われているものが多く、1985年に解禁された水虫の塗り薬から始まり、良く知られているものでは肝斑(しみ)に使われるトラネキサム酸、H2ブロッカー(胃薬)ガスター10やアシノンZ、アバロンZや抗ヒスタミン薬(アレルギー治療剤)アレジオン10、アレギサール鼻炎、口唇ヘルペス治療剤のアラセナS、ヘルペシア軟膏、消炎鎮痛剤のイブプロフェン、ボルタレンAC、ロキソニンS、禁煙補助剤のニコチネルパッチなど、他にもたくさんありますが、病院でもらった薬と同じ名前で聞いた事があるものも多いかと思われます。


 では、病院に行かないで薬局で買えばいいのでは?という声が聞こえてきそうですが、単純にそうもいきません。OTC薬は、基本安全重視の為、同じ薬でも成分の用量が少なかったり、錠剤などの数も少ししか入っていません。そして何よりも健康保険が使えませんので全額自費負担になります。
 病院に受診した際の診察や検査、調剤の時間がかからず、利便性が高いからという理由で使う人も多いようですが、医学的知識のない方による医薬品の自己使用や連用は病状の悪化や副作用をもたらすこともあるので、スイッチOTC製品の使用は必ず薬剤師などに相談しなければならず、それらのほとんどが2009年からの改正薬事法で第1類医薬品に指定されました。これらは販売購入の際に薬剤師が文書などを用いて情報提供などの説明と確認をする事が義務となり、面倒臭いからと話を聞かない患者さんや質問に答えていただけない患者さんには販売できない事になったのです。
2012年06月01日(金) No.542 (原口先生(薬剤師)のコラム)

胃潰瘍と夏目漱石と胃腸薬


 文豪や作家に多そうな病気は?と言えば、胃腸障害!と答える方も少なくはないのではないでしょうか。悩んで悩み続けてすばらしい作品を生み出す作家にとってのストレスは、いかほどの事かと思われます。かの文豪、..
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2012年04月27日(金) No.537 (原口先生(薬剤師)のコラム)

与謝野晶子と高血圧とヘビ毒!?


 かの有名な歌人の与謝野晶子は晩年高血圧に悩まされていました。 1940年の4月に旅行から帰ってきた晶子は脳溢血で倒れ左半身不随となり、1942年に狭心症による尿毒症を併発し、目覚めることなく64才で他界しました。
 脳溢血(脳出血)の原因の主なものとして挙げられるのが、高血圧、動脈硬化症などです。いずれも加齢によって起きていく現象ですが、年配の人に限らず遺伝性のものもあります。普通、両親ともに高血圧であるときはその子供の半数が、片親が高血圧なら20%くらいが高血圧症になるとも言われています。
 晶子の高血圧は、おそらくは親から引き継がれた情熱的な体質と職業上のストレスが合わさったのが原因とも考えられます。
 高血圧症は、遺伝、塩分の取りすぎ、喫煙、肥満、ストレスなどに影響され、原因が一つに決められない場合が多く、こうした生活習慣がカギを握っている事は明らかです。
 高血圧症の発症のメカニズムを簡単にいえば、心臓の心拍数が増えて血液量が増し、その状態に交感神経が興奮して末梢血管の抵抗性が高まることに由来します。
 それなら単純に心拍数を減らし、交感神経の興奮を抑えればいいのでは?と考えますが、心拍数を減らしたり血管を拡張するスイッチのすぐ横には、その逆の作用のスイッチも併設していて血圧の上下を調節しているため、下げるだけと言うのは難しかったのですが、今ではそれを選択して下げていく薬が開発されています。


 また、体内のナトリウム量が過剰になると、体液が増え血圧が上がるので、それをコントロールすることで血圧を下げる事が出来ます。
 アメリカ、スクイブ社のM・A・オンデッティは、ある種のヘビの毒にナトリウム排泄させるための作用があるとの説を耳にして薬を開発しましたが、当初は期待通りの効果を出してくれませんでした。そこから彼らは、さらに研究を進め苦労の末、新しい降圧剤のACE阻害薬「カプトプリル」という薬を創り上げました。この薬は血管の収縮を減らし、腎臓でのナトリウム再吸収を低下させるなどの優れた降圧作用を持つ事が証明されており、今ではそこから更に進化した良い薬がたくさん開発されて多くの方に処方されています。
2012年04月04日(水) No.532 (原口先生(薬剤師)のコラム)

間違った薬の使い方2


 前回に引き続き、報道にあった「薬の使い方、指示を軽視」して、処方薬を不適切に使っている人が多いことや医師や薬剤師の指示を無視したり、軽視している実態があり「自分の出来る範囲で守ればよい」と思っている人、「指示は守らなくてもよい」と思っている人、また「症状が改善したら自己判断で使用を止めてもいい」とか、「自分が飲みやすい様に錠剤などの勝手につぶしてもいい」と思っている人がいる様で、今回はなぜそれが良くないのかを実際にあった事例についてお話します。
 ある患者さんの家族の方がおじちゃんの病気を早く治してあげたいからと、週1回の薬を毎日飲ませた結果副作用が出て、もう少しで命を落とすところでした。その薬はきちんと使えば安全で良く効く薬なのですが、間違った飲ませ方などから、すでに150人近い方が亡くなっています。


 薬の中には効果が長くなる様に特殊加工がされているものなどもあり、介護をされている方が飲ませやすくと錠剤を勝手につぶして患者さんに与える所を、在宅支援の薬剤師が見つけ、心臓発作や頭痛、吐き気、めまい、不眠などが起こりうる副作用を危機一発で防いだという話もあったそうです。
 風邪などでもらう抗生物質も、症状が良くなったと勝手にやめることで、その抗生物質が効かなくなり耐性菌が出来る事があります。仙台では不摂生な患者さんにうつされた耐性の結核菌によって、どの薬も効かず苦しみながら看護師さんが亡くなった例もあります。
 自分や家族がそうなったらどうしますか?それでも勝手に薬をやめますか?指示は守らなくていいのですか?
 医療者がまず第一優先に考えている事は患者さんの健康を含む利益のことで、検査、診断、治療にしても患者さんの不利益になる様な事を考えている人はいないと思います。
 患者さんが薬をきちんと飲んで早く病気を治すこと、大きな病気にかかって身体的にも経済的にも苦しまない事などに寄与するのが、私たち薬剤師の願いでもありその役割の一部でもあります。
2012年03月01日(木) No.527 (原口先生(薬剤師)のコラム)

間違った薬の使い方1


 去年の年末に、共同通信社から「薬の使い方、指示を軽視」と言う題名で発表があり、処方薬を不適切に使っている人が多く、医療者の指示を無視したり、軽視している実態が明らかになり、北海道新聞にもその事が掲載されました。
 これは薬の適正使用協議会が、去年の9月に過去1年間で不適切な薬の使い方をした20〜69歳の男女計520人にインターネットを通じて聞いたところ、医師、薬剤師などの指示を「必ず守らなければならない」と考えている人は46%で、53%は「自分の出来る範囲で守ればよい」と思っている様です。また0.2%の人は「指示は守らなくてもよい」答え、26%の人が「症状が改善したら自己判断で使用を止めてもいい」と思っており、さらに14%の人は「自分が飲みやすい様に錠剤などの勝手につぶしてもいい」と思っているそうです。これに対して薬に関する間違った理解が浮き彫りになったと報道されていました。


 この話を聞いて「何がダメなの?どこが悪いの?」と言っている方はいらっしゃいませんか?
 薬の中には病気を治す薬と予防する薬があり、後者は症状を抑えていますが治している訳ではありません。その代表選手が高血圧の薬や高コレステロールの薬などです。先日もそれらの薬を飲んでいる患者さんに「もう下がったから飲むのを止めたいんだけど。」と相談され、「この薬は飲んでいる時だけ症状を抑えますが、原因を治す薬ではないので止めると元に戻ります。」「高血圧や高コレステロールなどの疾患があると、普通の人より心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中などの発症の危険性が高まるので、それらの大きな病気を予防するために飲む必要があるので、お医者さんより処方されている薬なんですよ。」と説明しました。それらの病気を治す薬が早く開発されればいいのですが、加齢によって進行することのある病気なので、若返りの薬を開発するのと同じくらい難しいのでは?と思われます。
 次回は実際にあったことをもとに自己判断で起きた事例についてお話したいと思います。
2012年02月02日(木) No.522 (原口先生(薬剤師)のコラム)

おせち料理と薬食同源


 先日、友人の薬剤師と台湾に行く機会があり、いかに食が健康と結びついているかを学びました。昔からある漢方薬の卸町などを見て回ったのですが、タツノオトシゴや鹿の角、乾燥ナマコや燕の巣、朝鮮ニンジンの髭な..
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2011年12月29日(木) No.517 (原口先生(薬剤師)のコラム)

カビ毒の危険性


 お正月に食べる雑煮には餅が欠かせませんが、この餅にはカビがつきものです。昔から餅のカビは食べても毒にならないと言われてきました。たしかに多少食べても下痢や腹痛、頭痛、発熱なども起きないし、死に至る病..
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2011年12月01日(木) No.512 (原口先生(薬剤師)のコラム)

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