タイトル

インフルエンザと異常行動 (後編)


 発熱に伴う異常言動や可逆性膨大部病変を伴う軽症脳炎・脳症(MERS)の家系例を対象に遺伝子解析を行った結果、MYRF遺伝子に同一の変異があることが突き止められインフルエンザなどの発熱に伴う異常言動に、遺伝子が関与している可能性が愛知医大の奥村彰久教授の研究グループにより少しずつ明らかになってきましたが、詳しくは分かっていません。 奥村教授いわく、異常行動は薬剤が原因と疑われ社会的に注目されていますが、薬剤を使っていない症例でも確認されており、他に原因があるだろうと指摘されてきました。発熱に伴う異常言動や可逆性膨大部病変を伴う軽症脳炎・脳症(MERS)を繰り返す家系に遭遇したことから、遺伝子的な背景があると考え研究しました。  きっかけは患児を診察し、家族歴を伺ったところ、母親や母親の同胞、さらには祖母と祖母の同胞にも、発熱に伴って異常言動を経験した症例が認められました。


 そこで、この家系に遺伝子解析を行ったところ、MYRF遺伝子で全ての症例に同一のミスセンス変異を認めたのです。このことから、発熱に伴う異常言動やMERSの原因遺伝子であるのではないかと考えたとの事でした。これまでのところMYRF遺伝子の機能は十分に解明されていません。おそらく通常の状態では、遺伝子変異があっても髄鞘は何とか維持されているが、発熱などの負荷がかかった時には耐えきれなくなって異常が出現するのではないかと推定されている様で、今回の研究は、米国神経学会誌にも掲載されました。
 しかし、解禁されたと言っても、異常行動が発現しなくなるという訳ではないので、これまで通り抗インフルエンザ薬の服用者だけでなく、服薬していない患者でも異常行動に注意していくことが重要です。
2019年01月30日(水) No.880 (原口先生(薬剤師)のコラム)

インフルエンザと異常行動 (前編)


 平成13年に発売されたタミフルは、インフルエンザによる発熱期間を短縮する効果が評価されて処方量が急増。それと時期を同じくして、タミフルを服用した子どもが自宅マンションから転落するなどの異常行動が相次いで、平成19年にはタミフルの添付文書の警告欄に「10歳以上の未成年の患者では、原則として使用を差し控えること」という注意書きが記載され、事実上10歳代患者にタミフルを処方できなくなっていました。


 しかし、ほどなくリレンザ(ザナミビル)などの他の抗インフルエンザ薬を使用した患者でも異常行動が出現することが判明し、「異常行動はタミフルの副作用ではなく、インフルエンザに罹患したこと自体で発現し得る症状なのではないか」という考えが主流になっていきました。実際、厚生労働科学特別研究事業「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動に係る全国的な動向に関する研究」の調査報告書でも、平成21年以降の報告では、「抗インフルエンザウイルス薬の種類、使用の有無と異常行動については、特定の関係に限られるものではない」と記載され続けてきました。
 愛知医大の奥村彰久教授のグループによる研究などにより、平成30年5月に10歳代の患者への使用が原則禁止されていたタミフルが、約10年ぶりに処方可能になる方針が厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で決定され、現在は処方できるようになりました。
 しかし、解禁されたと言っても、今後はタミフルを投与した10歳代の患者に異常行動が発現しなくなるという訳ではないので、これまで通り抗インフルエンザ薬の服用者だけでなく、服薬していない患者でも異常行動に注意していくことが必要です。特に小学生から中学生の男児に異常行動が発現しやすいので、注意が必要だと思います。
2018年12月26日(水) No.874 (原口先生(薬剤師)のコラム)

インスリンで殺害!?


 先日、甘酒にインスリンを混ぜて糖尿病を患う父親を殺害したというニュースがありました。実際は一部の記者さんが間違って書かれたものもあり、何も知らない方は誤解をされたかと思います。インスリンを混ぜた甘酒..
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2018年11月28日(水) No.862 (原口先生(薬剤師)のコラム)

パッチ・アダムス


 パッチ・アダムスとは1945年ワシントンDCで生まれた本名ハンター・キャンベル・アダムスと言うアメリカの医師で1998年にロビン・ウイリアムス(2014年63歳没)が主演で公開された映画パッチ・アダムス ..
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2018年10月31日(水) No.863 (原口先生(薬剤師)のコラム)

脱水、熱中症、熱射病の対処法


 この度は北海道胆振東部地震の被害に遭われ未だに不安や不便な生活が続き、まだまだ大変な日々をお過ごしの方もおられるかと思われます。心よりお見舞い申し上げます。
 もう、涼しくなって脱水の心配はそれほ..
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2018年09月26日(水) No.857 (原口先生(薬剤師)のコラム)

脱水、熱中症、熱射病


 まだまだ、暑い日が続いていると思いますが皆さんいかがお過ごしですか?今年は北海道でも例年になく異常な高温で熱中症などの患者さんも多かった事と思います。
 今回はそれに伴う脱水、熱中症、熱射病などに..
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2018年08月29日(水) No.852 (原口先生(薬剤師)のコラム)

なぜ薬局で色々聞かれるの?


 先日、患者さんに薬の効果や体調などに変化がないかお尋ねした所「そんなのは医者がわかっていて薬出しているのだから、いちいち薬剤師に言う必要がない。効いているからもらっているんだから、黙って医者の処方す..
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2018年08月04日(土) No.845 (原口先生(薬剤師)のコラム)

薬剤師になるには


 オホーツク地区は医師、看護師を筆頭に医療資格者が少なく、各病院や医療機関の多くは人材確保に苦労していることと思われます。
 薬剤師についても例外ではなく各病院、薬局などで人員不足で常に求人されているところが多々見られます。
 では現状、薬剤師になるためにはどんなことをクリアーしていかなければならないか、今回は簡単に説明いたします。
 まずは高校卒業後、大学の薬学部か薬科大など入学し6年間勉強しなければならないのですが、レベル的には北海道大学を例にとると医療系の学部で上位はどれも6年制の学部ですが医学部、獣医学部、薬学部、歯学部の順で偏差値が高く、一般的にどこの大学もほぼ順位は同じで、数年前から薬学部の合格が年々厳しい状態になってきている様です。この偏差値の順位には歯医者さんが多くなり歯学部に進学する学生が少なくなっているという事情も要因の1つですが、私の大学の同期でも歯科医師の資格と薬剤師の資格の両方を持っている人が数人いますが、その中の1人は歯科医師としてではなく薬剤師として働いている人もいます。
 また、札幌でも1、2を争う進学校出身の子が私立の大学に入学し入試は何とかなったが、単位の取得や勉強の質や内容、量などで進級が大変だと嘆いていたと聞いたことがあります。ほかの資格取得する学部と同じく研究や卒業論文と並行して国家試験の勉強もしていかなければならないからだと思われます。


 それで無事卒業しても、薬剤師国家試験が待っています。今年の合格率を全体でみると14、867人
が出願し合格者は9、584名の
70.58%という状態で、その中には受験生の35%しか合格できなかった大学もあり、毎年5、000人以上が国家試験浪人になると言うのが現状です。
 これだけの難関を乗り越えて生まれてくる薬剤師なので、数的には決して多くないことを考えると、地方に薬剤師が不足するのも仕方がないのかも知れません。
 つまり簡単に補充できる資格者ではないということを解っていただければと思います。
 また、それを目指して勉学に勤しむ優秀な学生達やそれを応援してくださる方々に感謝したいと思います。
2018年04月25日(水) No.838 (原口先生(薬剤師)のコラム)

NSAIDs(エヌセイズ)


 NSAIDsとはNon-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略であり、非ステロイド性抗炎症薬と訳されます。つまり、一般的によく使われるアスピリン、ボルタレン、ロキソニン、イブプロフェンなどの一部の解熱消炎鎮痛..
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2018年03月28日(水) No.834 (原口先生(薬剤師)のコラム)

似て非なるもの(逆の作用)2


今回はMTX(メトトレキサート)と葉酸(フォリアミン)のうちMTXについてお話します。
 MTXは、核酸合成などに必須な酵素であるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の活性を阻害する事により、還元型葉酸を枯渇さ..
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2018年02月28日(水) No.830 (原口先生(薬剤師)のコラム)

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