タイトル

子どもの気になる病気 その百日咳(3)


●百日咳への対応
 乳児期に接種したワクチンの抗体価は、月齢6〜11か月では90%に達していますが、徐々に低下し5歳くらいになると30%以下まで落ちてしまいます。2019年の百日咳の発生状況をみても、その中央年齢は10歳でした。現在も増え続けている百日咳の対応策として、以下のことが検討されています(表1)


 現在の4種混合ワクチン(DPTIPV:ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)の接種スケジュールは、2歳までの4回接種で終了となっていますが、これにもう1回、3種混合ワクチンの形で追加しようというものです。その時期は、
仝什漾11歳(小学6年生)で接種される2種混合ワクチン(DT:ジフテリア、破傷風)を、3種混合ワクチン(DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風)に変更。


抗体価が低下し高い感染リスクがある5〜6歳の就学前の児への対応として、就学前のMRワクチン(はしか、風疹)に加え、DPTワクチンを接種する。(小児科学会が推奨)
 早急の対策として,琉討有力であり、近い将来実現するものと思われます。
 参考までに諸外国の百日咳含有ワクチン接種スケジュールを表2に示します。
 諸外国では主に思春期世代へのワクチン接種は、ジフテリアと百日咳の抗原量を少なくしたDPTワクチン(Tdap)が使用されています。
2020年02月26日(水) No.943 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 その百日咳(2)


 最近、北見市内でも百日咳に罹患する人が目立っています。北見保健所管内の百日咳発生件数を図に示しました。2018年はわずか3例のみでしたが、2019年は27例が報告されています。当院でも7、12、12、15歳の4例を経験しました。
 いずれも咳が1〜2か月続いていましたが、小児の百日咳特有の咳(連続性の咳発作や吸気時の笛声)は認めていません。LAMP法陽性1例、百日咳IgM抗体高値3例で百日咳と診断、マクロライド系抗生剤で改善しています。4例とも乳幼児期に百日咳含有ワクチンは接種されていました。


●百日咳の診断(診断が容易に!)
 これまで急性期と回復期のペア血清の抗体価の上昇で診断していました。最近は次に示す、より簡便で早く診断可能、精度の高い検査が開発され、2016年から保険適用となっています。
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 百日咳菌LAMP法は、鼻腔ぬぐい液を検体としてDNAを増幅させる方法で、感度、特異性の高い検査法で早期診断に有用です。本法を用いた百日咳菌検出試薬キットが開発されており、検査会社へ受託、数日で結果が出ます。発病して4週間以内であれば、百日咳菌に有効な抗菌薬を服用していない限り、LAMP法はほぼ陽性となります。しかし発病して4週間を超えると気道の菌量が減るためLAMP法では検出できないことが多くなります。
百日咳IgMおよびIgA検査
 ワクチン接種の影響を受けないので、単血清すなわち1回の採血で診断が可能となります。
 百日咳IgA抗体は病日約21日、IgM抗体は病日約15日をピークに発現し、IgA抗体はIgM抗体よりも持続して検出されるとされています。
 小児は発病後4週間以内に受診することが多く、成人は発病後4週間を越えてから受診することが多いことから、小児では主にLAMP法、成人では百日咳抗体検査を行い、より正確に診断するためにはこれらを併用することが望ましいとされています。
2020年01月29日(水) No.948 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 その百日咳(1)


 百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症で、感染力が強く、咳による飛沫で感染します。潜伏期間は通常5〜10日、カゼ症状で始まりますが次第に咳がひどくなり、百日咳特有の咳(連続的な短い咳、息を吸うときにヒューと音がする)が出始めます。
 乳児がかかると重症となり死に至ることもある怖い疾患です。百日咳はワクチンで予防でき、4種混合ワクチンをしっかり受けていれば、少なくとも乳幼児期の感染はありません。
 百日咳は、以前は4歳以下が中心の「いわゆる子どもの病気」でした。しかし日本では近年、思春期〜成人で百日咳に罹患する人が増加しており、ワクチン未接種の乳児(とくに生後3か月未満)への感染源となることが大変危惧されています。思春期や成人の方が百日咳にかかっても、咳は長く続きますが小児のような特徴的な咳になることはなく、比較的軽い症状で経過します。このため百日咳と診断されないまま放置されやすく、乳幼児とくにワクチン未接種の乳児に感染させてしまう可能性があります。


●なぜ思春期以降の百日咳がふえているのでしょう?
 現行の4種混合ワクチンに含まれる百日咳ワクチンの免疫効果は6〜12年とされています。
 以前は百日咳の流行が時々みられ、発症はしなくても抗体が上がるブースター効果のため、抗体はある程度維持されていました。しかし近年は、百日咳はほとんどみられなくなり、ブースター効果が得られないため、ワクチンによる百日咳の抗体が自然に低下している人が多いとされています。この状況は最近話題となっている麻疹、風疹にも当てはまります。
●百日咳は保健所に報告
 全国で百日咳にかかる人が増え、
2018年1月からこれまで指定された医療機関のみの報告(小児科定点把握)から、すべての医師が届出を行う全数把握の対象疾患に変更されました。
2018年の1年間に全国で11、190例の百日咳の報告がありました(図)。6か月未満児(6%)5〜14歳(64%)小児科定点報告では把握できなかった30〜50代の成人(16%)、年齢中央値は10歳でした。全体の58%に当たる6518例が4回の百日咳含有ワクチンの接種歴があり、5〜14歳ではその割合は81%でした。
2019年12月25日(水) No.938 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 そのЯ加する梅毒と先天梅毒


 梅毒は昔の病気と思われがちですが、近年再び増加しています。2017年の梅毒の感染者が44年ぶりに5千人を越えました(図)。中でも20歳代を中心とした女性の感染者が増加し、それに伴い胎児が感染する先天梅毒..
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2019年11月27日(水) No.933 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 そのΕ劵肇僖譽灰Εルス感染症


 ヒトパレコウィルス(human parechovirus:HPeV)は、主に小さな子どもで上気道炎や胃腸炎などを起こし、咳、鼻水、発熱あるいは下痢、嘔吐などといった症状をきたします。大人も感染することがありますが、症状が..
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2019年10月30日(水) No.928 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 そのゥ劵肇瓮織縫紂璽皀Εルス感染症


 RSウィルスはよく聞きますが、ヒトメタニューモウィルス(human metapneumovirus : hMPV)は初めて
耳にします、という方も多いのではないでしょうか。
 このウィルスが近年注目されている背景には、インフルエンザ、RSウィルスと同じように、迅速診断キットにてベッドサイドで簡単に診断できるようになったことがあります。
 hMPVは、あらゆる年代層でカゼの原因ウィルスの一つですが、乳幼児や高齢者では重症化し、細気管支炎や肺炎を起こすことがあります。この点はRSウィルスとよく似ています。一度の感染では十分な免疫が得られないため、その後も繰り返し感染しますが、免疫がついてくるので症状は軽くなってゆきます。
 hMPVは、比較的最近の2001年オランダで発見されたウィルスで、遺伝子的にもRSウィルスに近いウィルスです。アメリカでは、hMPVによって5歳未満の子ども2万人くらいが毎年入院していると推計されています。小児の呼吸器感染症の5〜10%、成人では2〜4%がhMPVが原因と考えられています。


【症状】
 hMPV感染症の主な症状は、咳、鼻水、発熱などのいわゆるカゼ症状です。細気管支炎や肺炎で悪化すると、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴や息苦しさが加わります。3〜5日の潜伏期を経て、咳は1週間程度、熱は2〜3日続きます。喘鳴はRSと同様に数週間遷延することがあります。2割くらいに中耳炎の合併がみられます。
 hMPVの流行は3月から6月であり、例年RSウィルスの流行の後、hMPVが流行する傾向があります。ちなみに昨年度(H30年度)の北見日赤病院の小児RSV、hMPV感染症の月別入院件数(紹介例のみ)を図に示しますが、5〜8月にhMPVの入院が集中しています。
【感染経路】
 くしゃみや咳による飛沫感染、ウィルスが付着した手や鼻、物品、タオルなどを介する接触感染。
【診断】
 迅速診断キット使用(ベッドサイドにて綿棒で鼻汁採取、10分程度で判定)
【治療】
 特別な治療はなく、対症療法が基本です。喘鳴などの症状が強く、水分摂取が困難な場合は、入院加療が必要になります。
【予防】
 手洗い、うがい、マスク着用
2019年09月25日(水) No.923 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 そのぅ泪瀬砲砲茲覺鏡症


 屋外で遊ぶ機会が増える季節は、ダニの感染症に注意が必要です。ダニは草地に多く潜んでおり、普段は岩の影などにじっと隠れていますが、人や動物が近づくと排泄するCO2を感知し、表面に出てきて体に取り付きます..
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2019年08月28日(水) No.918 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 その2磧淵)による感染症


「人間を最も多く殺している生き物は?」というと、それは蚊です。
 蚊は血を吸う際に、さまざまな病原体(ウイルス、リケッチア、細菌)をうつします。蚊が媒介する日本脳炎、黄熱、マラリア、デング熱などがよ..
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2019年07月31日(水) No.913 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 その▲┘鵐謄蹈Εぅ襯D68型


 今、小児科領域でとても気になるウイルスがあります。それがエンテロウイルスD68型(EV—D68)です。数年前から感冒症状がみられたあとに、子どもの手足が急にマヒする「急性弛緩性マヒ」の報告が相次いでい..
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2019年06月26日(水) No.908 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 その PFAPA症候群


 4歳の男児、前日から40℃の高熱で受診。扁桃腺炎の所見で唇の内側に口内炎あり。溶連菌の迅速診断は陰性。抗生剤使用せずに4日で解熱。通常のウイルス性扁桃炎と思われました。その1か月後、同様の発熱、扁桃炎の所見あるも口内炎なし/頸部リンパ節の腫脹あり。溶連菌検査陰性で、抗生剤使用し3日間で改善。その後しばらく受診しなかったのですが、半年くらいしてまた高熱で受診しました。同じような扁桃炎で熱以外の他の症状はありません。お話を聞くと、この間にも何度も同じような症状があり、別のクリニックを受診されて抗生剤の治療を受けていたそうです。お薬手帳を見てその間隔を確認すると、ほぼ1か月半くらいの間隔になっています。この周期的な発熱と扁桃炎の原因は、何なのでしょう?これがPFAPA症候群です。
 PFAPAというのは、periodic fever(周期的発熱)、aphthous stomatitis(アフタ口内炎)、pharyngitis(咽頭炎)、cervical adenitis(頸部リンパ節炎)の略です。
 多くは5歳以下の乳幼児に発症します。日本の平均発症年齢は3.2歳、成人発症はまれとされています。日本での発生率は?原因は明確ではありませんが、サイトカイン調節障害によって特徴づけられる免疫性疾患と考えられています。家族集積性もあり、遺伝的な関与も指摘されています。


【診断】診断基準を表に示します。39〜40℃以上の発熱が突然出て、平均5日間(3〜6日)続きます。発熱の間隔は平均24日(3〜8週)で月経周期のような規則性がみられます。アフタ口内炎、頸部リンパ節炎は50〜70%、咽頭、扁桃炎は半数以上にみられ反復性扁桃炎の診断を受けている例が多く見られます。検査所見に特徴的なものはありません。
【治療】抗生剤は無効。ステロイドが著効しますが、シメチジン(H2ブロッカー)も有効。
【予後】多くの症例で、時間の経過とともに発熱間隔が広がり、症状も軽くなり、後遺症を残すことなく4〜8年で自然治癒します。その後も正常な成長、発達を示します。咽頭炎や扁桃炎を繰り返すことは子どもにはよくある事なので見過ごしがちですが、時計仕掛けのような周期的な発熱を見た場合、このような不思議な疾患があることを頭の片隅に置いておくことも必要です。
2019年05月29日(水) No.903 (秋山先生(小児科)のコラム)

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