タイトル

こどもとスマホ その スマホと睡眠障害(後編)


●メラトニンとブルーライト
 夜になると眠くなり朝になると目覚めるのは、私たちの体にもともと備わっている体内時計が関与しています。この体内時計に従って夜間睡眠を促すために、脳の松果体からメラトニンというホルモンが分泌されます。メラトニンは主に夜に分泌され、光の感知で分泌が抑制されます。メラトニンは「夜が来たこと」を全身に知らせます。具体的には、メラトニンにより脈拍、体温、血圧などを低下させることで、睡眠の準備ができたことが認識され、自然な睡眠に入っていきます。


 光を夜に浴びると、自然な睡眠を導くメラトニン分泌が抑制されます。とくにスマホなどの電子機器の画面が放つ「ブルーライト」は、人の目で見ることができる光(可視光線)の中でももっとも波長が短く(380〜500nm)、強いエネルギーを持っており、メラトニン分泌に強い影響を与えます。就寝時に刺激の強いブルーライトを浴びることで、脳が「昼間」と判断してしまい、メラトニンが分泌されにくくなってしまいます。体は睡眠の準備に入ることが出来ず、寝つけないことになります。メラトニンの分泌が後ろ倒しになり、朝になっても分泌され続けることになり、眠りの質は落ちてしまい「よく眠れなかった」「途中で目が覚めてしまった」「朝スッキリ起きることができない」「いくら寝ても寝足りない」と感じてしまいます。
 最近の研究で、同じ光の明るさでも、大人より子どもの方が光を感じやすいことが分かってきており、子どもの方が夜更かしの影響がより強く表れるといいます。またブルーライトには、発生源に近ければ近いほど、発する量が多くなっていくという特徴があります。そのためLEDライトやテレビより目に近い位置で使用するスマホが一番ブルーライトの量が多く、健康とくに睡眠への影響が大きいとされています。
【対策】
1、寝床ではスマホを触れないよう習慣づける。
2、寝る1〜2時間前からはスマホを使用しない。
3、寝る前のスマホ断ちができない原因に、手元にスマホがあるということがあります。寝る前はスマホを枕元で充電しないようにして、できるだけ布団から遠い場所に置いておく。
4、スマホの光が漏れないように工夫する。
2020年11月25日(水) No.988 (秋山先生(小児科)のコラム)

こどもとスマホ その スマホと睡眠障害(前編)


 子どもの睡眠時間は、年々短くなる傾向があり、先進国の中で日本の子どもはもっとも睡眠時間が短いとされています。スマホの爆発的な普及に伴い、様々なスマホ使用に伴う健康問題が指摘されていますが、その中でも特に懸念されているのが睡眠障害です。
2014年、文科省は全国の小、中、高校生2万人を対象とした「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立などとの関連性に関する調査」を行っています。図に示すように、スマホを使用する時間が長いほど就寝時間が遅くなり、寝る直前までスマホを使っている頻度が高くなるほど起きるのがつらいと感じる子どもが多いことがわかりました。
さらに就寝時刻が遅い子どもほど、自分のことが好きと回答する割合が低く、なんでもないのにイライラすることがあると回答する割合が高くなっています。
 厚労省は2018年、8項目からなる「未就学児の睡眠指針」を発表しています。
 その中で3項目をスマホやタブレットなどの情報通信機器の使用に関する注意、とくに就寝前には光を発する電子機器を使用しないことが望ましいとしています。


未就学児の睡眠指針「子どものより良い睡眠のためのポイント」
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新生児期〜乳児期は体の機能が発達していく課程。安全な睡眠環境の確保を
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保護者の睡眠習慣が子どもにも影響するので注意を
J欷郤圓両霾鹹命機器使用
子どもの使用につながり、睡眠にも影響する。保護者自身の使用状況のチェックを
じと情報通信機器使用
寝床につく前は、明るい光は浴びないよう注意を
セ劼匹發両霾鹹命機器使用と睡眠
機器の使用開始年齢、子どもの生活の中での位置づけを考えよう
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昼寝は年齢とともに必要度が低下。必要以上の昼寝は、夜の睡眠を妨げる
Ы学が近づいた時期の睡眠
就学が近づいたら、学校のスケジュールに合わせて調整を
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睡眠中の異常は病気の可能性も。気になる場合はかかりつけ医、専門医に相談を
2020年10月28日(水) No.984 (秋山先生(小児科)のコラム)

こどもとスマホ その 子どもにスマホを与える時


 最近は、中学1年生の6割がスマホを持っています。スマホの保有率は小学生の2〜3割、中学生の6〜7割、高校生では9割となっています。小学生の高学年になると、そろそろスマホを持たせようかな、..
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2020年09月30日(水) No.980 (秋山先生(小児科)のコラム)

こどもとスマホ その 『スマホ育児』は大丈夫?後編


 大人と同じ様に赤ちゃんでもスマホの動く画像や音に惹かれます。1歳を過ぎると上手に扱うことができるようになります。作家でジャーナリストの石川結貴さんは、次のように述べています。子どもとスマホの親和性の..
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2020年08月26日(水) No.976 (秋山先生(小児科)のコラム)

こどもとスマホ その 『スマホ育児』は大丈夫?


 近年、「スマホ育児」という言葉が多く聞かれるようになりました。もともとスマホを用いて知育やしつけ用のアプリを利用することを示したものでしたが、最近はスマホやタブレット端末を子どもに持たせ、アプリや動画などで自由に遊ばせたり、子守り中に親がスマホを動作している状態を示す言葉となっています。
 2013年、日本小児科医会が「スマホに子守りをさせないで」というポスター(図)を発表し話題になりました。それに対して多くの賛否の声が上がりました。一方的にスマホ子守りを悪にする感じに違和感を持たれた方が多かったようです。


 実際、どのくらいの児がスマホを利用しているのでしょうか?「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」は、平成28年に行ったアンケート調査で、1歳児の41%、3歳児の60%、6歳児の74%に利用経験があり、利用を始めた年齢は2歳が最も多く、8割の子どもが3歳までに始めていました。小さな子どもがスマホなどを使用することへの懸念(図)は、視力への影響を心配される方が6割と最も多く、9割を越える保護者は何らかの影響を心配しています。
 0〜3歳の成長に言葉による応答はとても大切です。一方的に刺激を与えてくるスマホなどは言葉や表現力の発達に影響を及ぼす恐れがあります。低年齢からスマホを持たせていることにはさまざまな危険性が潜んでいるようです。
2020年07月29日(水) No.972 (秋山先生(小児科)のコラム)

こどもとスマホ その 子どもとインターネット環境


 スマートフォン(以下スマホ)が日本に上陸したのは平成20年といわれています。それから10年余が経過し、スマホやタブレット端末は爆発的に普及しました。内閣府が毎年実施している「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、小学生(10歳以上)23%、中学生54%、高校生94%がスマホでインターネットを利用しています。その内容は、動画視聴が77%、ゲーム70%と多く、勉強などに利用しているのは33%とかなり低くなっています。インターネットの利用時間を表に示します。
 現在、ネット環境は子ども社会においても、遊び、人間関係、生活習慣において大きな変化、影響を与えています。とくに長時間の使用が、ネット依存などのさまざまな精神、健康障害を引き起こし大変危惧されています。


 2015年、小児医療保健議会は「子どもとICT(スマホ、タブレット端末など)の問題についての提言」を発表しています。
 健康への影響として、
…校間使用による影響
・VDT(Visual Display Terminals)症候群(ディスプレイなどの画像表示端末を使用した作業を長時間続けることにより、眼、体、心にさまざまな症状をきたす病気)
・睡眠、運動など生活時間が不足することによる健康障害(ネット依存症)
内容による影響
・ゲーム依存
・行動、メンタルヘルスへの影響
情報伝達手段に対する影響
・コミュニケーション能力への影響
・社会性の発達への影響
 日本小児科医会は、「スマホの時間、わたしは何を失うか」というポスターを出しました。
1、睡眠時間…夜使うと睡眠不足になり、体内時計が狂います。
2、学力…スマホを使うほど、学力が落ちます。
3、脳機能…脳にもダメージが!
4、体力…体を動かさないと、骨も筋肉も育ちません。
5、視力…視力が落ちます(外遊びが目の働きを育てます)。
6、コミュニケーション能力…人と直接話す時間が減ります。
 これから数回にわたって、スマホと子どもの関わりについて、考えてゆきます。
2020年06月30日(火) No.967 (秋山先生(小児科)のコラム)

ロタウイルスワクチン


 10月からロタウイルスワクチンが定期接種化されることが決まりました。2020年8月に生まれる0歳児から対象となります。
 ロタウイルスは、生後6か月から2歳までをピークに5歳までにはほぼ全ての子どもが感染します。感染力が非常に強いため、衛生状態が良い日本でも発症予防は難しいとされています。発症すると水のような下痢(白色便)、嘔吐、発熱が生じます。重症化(10%程度)
するとひどい脱水症状を起こすため、毎年数万人の乳幼児が入院、数人の死亡が報告されています。特に初めて罹患した乳児が重症化しやすいとされています。
 日本では、2011年に予防経口ワクチンの「ロタリックス」(2回接種)が、翌年「ロタテック」(3回接種)が承認されましたが、全額自己負担なので2〜3万円かかる接種費用は大きな家計の負担になっていました。それでも最近のワクチン接種率は、6割以上となっています。ロタリックス、ロタテック両方のワクチン効果は同等であり、どちらのワクチンを使用してもかまいません。


【接種スケジュール】
・生後6週から接種可能、初回接種は生後8〜15週を推奨
・ロタリックス(1価):4週以上空け2回接種、生後24週までに終了
・ロタテック(4価):4週以上空け、3回接種、生後32週までに終了
 嘔吐したり、吐き戻したりした場合は、再投与はしません。同じワクチン製剤で1シリーズを完了させます。すでにロタウイルス腸炎にかかった乳児もワクチンを接種すべきです。
【効果】
 一部助成制度がある名古屋市では、2015年にワクチン接種率が9割を越えました。その結果、5歳未満の入院頻度が35%減、1歳
未満に限ると72%減少、外来患者
数もそれぞれ57%、87%減少しています。ワクチンの免疫持続期間は正確には分かりませんが、2シーズン、または2歳まで?
【注意】
 以前からワクチンと腸重積との関係が危惧されていました。腸重積は、生後6か月以降に多くなります。現在、諸外国の報告から関連性は否定的ですが、生後6か月までには接種を終わらせておくのが良いでしょう。
2020年05月27日(水) No.963 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 そのアナフィラキシー(2)


 アナフィラキシーが急速に進行してショックに至るような場合には、医療機関に搬送してから処置をしていたのでは間に合いません。そこでこの緊急時に症状の進行を一時的に緩和し、ショックの進行を防ぐための治療剤としてエピペン(アドレナリン自己注射キット)があります。ハチ毒、薬物、食物によるアナフィラキシーの既往のある人やアナフィラキシーを起こす危険の高い人は、エピペンを常備しておく必要があります。ただしエピペンはアナフィラキシーを根本的に治療するものではないので、エピペン使用後は直ちに医師による診療を受ける必要があります。
 エピペン(写真1)は、

注射針一体型の注射器にアドレナリンがあらかじめ充填されたキット製剤です。アドレナリンは、人の副腎で作られるホルモンで、交感神経を活性化させることによって血管を収縮させ、心臓から血液を送り出す機能を高める作用があります。この作用によって血圧と血流を安定させます。致死的なアナフィラキシーショックから救命できるかどうかは30分以内のアドレナリン投与の可否が重要とされています。
 エピペンは、本人もしくは保護者が自ら注射するものです。安全キャップをはずし、大腿部前外側に押しあてます。衣服の上からでも注射可能です。(写真2)

薬液は一定量しか注入できないようになっており、過剰投与の心配はありません。
 日本小児アレルギー学会は、アナフィラキシーのいろいろな症状に対して表に示す症状が一つでもあればエピペンを使用すべきとしています。


 北見市における2019年のエピペン処方患者数は0.15咼ット(体重15〜30圈砲29人、0.3咼ット(体重30〜)で133人(大人のハチ毒による処方が多い)となっています。アナフィラキシーは、自宅にいるときだけ起こるわけではありません。幼稚園、保育園、学校で発症する可能性があり、自宅用以外にも園や学校でもエピペンを常備しておく必要があります。文科省、厚労省は、園や学校の教職員のための対応マニュアルを用意してあります。エピペンの使用法を含め、アナフィラキシーに対し最善の対処ができるよう求められています。
2020年04月28日(火) No.958 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 そのアナフィラキシー(1)


○アナフィラキシーは、食物(鶏卵、牛乳、小麦、そば、ピーナツなど)、薬物、ハチ毒などが原因で起こる即時型アレルギーの総称です。
 皮膚(発赤、かゆみ、じんましん)呼吸器(息苦しさ、口腔のかゆみや違和感、喘鳴、くしゃみ)消化器(悪心、嘔吐、腹痛、下痢)循環器(血圧低下、動悸など)神経(意識障害)など多臓器に症状が現れ、これらの中で2つ以上の重い症状が起こった場合をアナフィラキシーとします。例えば全身のじんましんと喘鳴がある場合、繰り返し嘔吐し、動悸が激しい場合などがあてはまります。さらに、血圧が下がって、意識がもうろうとし生命の危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。
○日本におけるアナフィラキシーショックの発生は年間5、000〜6、000件といわれています。
 このうち図1に示すように毎年40〜70人の死亡が報告されています。
○症状が出るまでの時間は、アレルゲンによって異なります。薬物やハチ毒は、直接体内に入るため、時間がかかる傾向があります。しかし、アナフィラキシー発現から心停止に至った例の時間をみてみると、食物による場合でもわずか30分と短時間です。(図2)


119番通報から病院に搬送されるまでに要した時間は、全国平均で33.3分と報告されています。これでは間に合いません。アナフィラキシーになった場合、事態は緊急を要します。
 次回はその対応について考えてみましょう。
2020年03月31日(火) No.953 (秋山先生(小児科)のコラム)

子どもの気になる病気 その百日咳(3)


●百日咳への対応
 乳児期に接種したワクチンの抗体価は、月齢6〜11か月では90%に達していますが、徐々に低下し5歳くらいになると30%以下まで落ちてしまいます。2019年の百日咳の発生状況をみても、その中央年齢は10歳でした。現在も増え続けている百日咳の対応策として、以下のことが検討されています(表1)


 現在の4種混合ワクチン(DPTIPV:ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)の接種スケジュールは、2歳までの4回接種で終了となっていますが、これにもう1回、3種混合ワクチンの形で追加しようというものです。その時期は、
仝什漾11歳(小学6年生)で接種される2種混合ワクチン(DT:ジフテリア、破傷風)を、3種混合ワクチン(DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風)に変更。


抗体価が低下し高い感染リスクがある5〜6歳の就学前の児への対応として、就学前のMRワクチン(はしか、風疹)に加え、DPTワクチンを接種する。(小児科学会が推奨)
 早急の対策として,琉討有力であり、近い将来実現するものと思われます。
 参考までに諸外国の百日咳含有ワクチン接種スケジュールを表2に示します。
 諸外国では主に思春期世代へのワクチン接種は、ジフテリアと百日咳の抗原量を少なくしたDPTワクチン(Tdap)が使用されています。
2020年02月26日(水) No.943 (秋山先生(小児科)のコラム)

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