タイトル

小児の細菌性腸炎「血便」 その


▲ンピロバクター腸炎
 あまり聞いたことがないかもしれませんが、食中毒では、サルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌についで発生頻度が高く、近年増加傾向にあります。カンピロバクターは、ニワトリ、牛..
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2017年08月02日(水) No.803 (秋山先生(小児科)のコラム)

小児の細菌性腸炎(血便) その


 小児の胃腸炎の7〜8割は、ロタ、ノロ、アデノなどのウイルスによるとされています。その他、食べ過ぎ、冷えなどが原因となりますが、最近は細菌による胃腸炎は、非常に少なくなっています。しかし細菌性腸炎の中には急激な経過をとり、重症となるものもあり注意する必要があります。細菌性下痢は夏場に多く、血便を伴うこともよくあります。今回は、小児の細菌性腸炎で血便(粘血便)をきたす代表的な3つの疾患についてです。
…牡表亰貔大腸炎
 大腸菌の中に急性の胃腸炎を起こすものがあり、特にベロ毒素を産生する大腸菌(O157、O26など)は、出血性の腸炎を起こす毒素の強い細菌です。腸管出血性大腸菌は、もともと牛などの家畜や動物の腸管内に棲む菌です。家畜の解体作業時に腸管内の菌が食肉を汚染、家畜の糞便が野菜などを汚染、汚染された食肉が調理の際にほかの食材を汚染するなどして、経口的に感染します。また感染者の便中に排泄された菌が、手指を介して、あるいは食品や物品を介して経口的に周囲の人に感染します。
 潜伏期間は平均3〜5日(2〜14日)、感染者の半数が無症状あるいは軽度の下痢のみでおさまりますが、他は頻回の水様下痢、腹痛、血便を呈するいわゆる出血性大腸炎となります。
 さらにこの中の10〜30%が重症の合併症を起こします。とくに合併症として要注意なのが溶血性尿毒症症候群(HUS)です。HUSは、溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全がおもな微候で、発症後5〜7日ごろ発症します。元気がない、顔色が悪い、尿量が少ない、傾眠傾向などがHUSを疑わせる症状で、意識障害、痙攣、昏睡に陥ることもあります。HUSを発症した児の12%が死亡ないし末期腎不全におちいり、25%が持続性の腎障害をきたしたという報告があります。また脳症などの合併症もあります。これらの重篤な合併症は、発症後2週間を過ぎれば、危険はなくなったと考えてよいでしょう。
発生状況(表)


治療…HUSのサインに十分配慮し、疑わしい場合は入院加療となります。止痢剤は毒素の排泄を送らせるので使用しません。抗生剤の使用は医師の判断で。
2017年07月05日(水) No.799 (秋山先生(小児科)のコラム)

ワクチンギャップの解消と今後の展望


 本邦では近年、ヒブ、肺炎球菌、水痘、B型肝炎ワクチンと定期接種化が進み、残りはおたふくかぜとロタウイルスワクチンとなっています。この2つも定期接種への動きが加速しているようです。
,たふくかぜワ..
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2017年05月31日(水) No.795 (秋山先生(小児科)のコラム)

ワクチンギャップの解消


 以前から欧米と比較して、日本の小児におけるワクチン行政は20年の遅れがあると言われていました。しかしこの数年でいろいろなワクチンの定期接種化が進み、日本と欧米とのワクチンギャップはだいぶ解消されてきています。


 現在の公的ワクチン実施状況を表に示します。今後、日本でもおたふくかぜとロタウイルスワクチンの定期接種がいつ頃実現するのか、また他のワクチンについて、残された課題、今後の展望などについて、次回説明していきます。
2017年04月26日(水) No.791 (秋山先生(小児科)のコラム)

乳児期の貧血


 「正常に生まれ、その後体重も順調に増え、運動発達も問題ありません。しかし9ヶ月の検診で、顔色が悪いことを指摘され採血したところ、鉄欠乏性貧血と言われました。母乳栄養が原因なのでしょうか?」このような..
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2017年03月30日(木) No.787 (秋山先生(小児科)のコラム)

でべそ


 生れたときは気づかなかったのですが、泣いた時などにおへそがポコッと盛り上がっているのに気づき、心配されることがあります。これは「でべそ」、正式には臍ヘルニアといいます。でべそはそれほど珍しいものでは..
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2017年03月01日(水) No.783 (秋山先生(小児科)のコラム)

三歳児検尿


 わが国では、学校検尿とともに集団検尿の一環として、三歳児検診の際に検尿が行なわれています。その数は、全国で年間90万人に上ります。
 集団検尿の検査目的は、将来腎不全に至るような腎疾患の早期発見です。学校検尿ではIgA腎症を中心とする慢性腎炎、三歳児検尿の対象疾患は、先天性腎尿路奇形(CAKUT)になります。CAKUTは、小児慢性腎臓病の原因疾患の半数以上を占め、1990年後半以降は、糸球体腎炎<CAKUTとなっています。早期に発見すべきCAKUTの子どもは、人口1万人当たり1〜5.5人と推測されて
います。
 三歳児検尿は1965年から行なわれている歴史ある検査です。2007年に実施された全国調査では、98.5%の市町村で三歳児検尿が実施されていました。しかし検査項目は様々で、蛋白尿99.9%潜血80.3%、尿糖88.1%、白血球14.7%でした。
1回のみのスクリーニングが70%、しかも有所見児に対する精密検診の方法が明確に決められている自治体はわずか25%でした。
・北見市の検査方法
 北見市では、蛋白尿だけの検査です。尿蛋白(±)以上で再検査を行い、(+)以上の場合精密検査目的で、かかりつけ医の受診を勧めています。(最近の検討で、三歳児検尿での潜血や白血球の検査の必要性がないことが示されています)
 1次精密検査(かかりつけ医)では、血液検査(血清クレアチニン)、尿検査(尿蛋白/尿クレアチニン比)、尿β2ミクログロブリン/尿クレアチニン比)高血圧の有無などを調べます。
異常がある場合は、2次医療機関で超音波検査などのさらに詳しい検査を行うことになります。
・結果


 表に示すように、過去5年間で異常を指摘された児はいませんでした。保健センターで再検査できなかった児もほとんどすべてがかかりつけ医で検査されており、フォローアップ体制に問題はありません。
 一方、最近尿蛋白だけのスクリーニング方法ではCAKUTの多くが見逃されてしまうという問題が指摘されています。その理由は、CAKUTが有意の尿蛋白を呈さないことが多いこと、早朝尿がなかなか採取できず濃縮尿でのチェックが難しいなどのため、尿蛋白だけでは不十分ではないかとされています。実際、CAKUTを早期発見するため、生後4カ月ですべての児に超音波検査を実施し、実績をあげている自治体があります(神奈川県奏野市、伊勢原市など)。今、現行の三歳児検尿の在り方が問われているのかもしれません。
2017年02月01日(水) No.779 (秋山先生(小児科)のコラム)

学校検尿


 学校検尿は、1974年に始まり40年を超える歴史を持つ、世界でもまれなスクリーニング方法です。小児慢性糸球体腎炎による慢性腎不全の発症が米国の1/4であること、学校検尿世代は明らかに慢性腎不全の患者数が少ないことなどから、学校検尿の有用性が評価されています。
・方法
 早朝尿を家庭で採取して、これを学校に集めて検診機関に委託、検査する方式が全国で行なわれています。ほとんどの地域で、1回目と2回目の検査は検診機関で、2回続けて異常がみられた場合の精密検査は、かかりつけ医を受診させるシステムをとっています。
・結果
 H25年に行なわれた全国調査の
結果は、血尿・蛋白尿が小学生0・02%、中学生0・06%、蛋白尿単独は小学生0・12%、中学生0・44%、血尿単独は小学生0・27%、中学生0・36%でした。学校検尿の最大の目的は、糸球体腎炎を発見することにあります。その頻度は、小学生で1万人に3〜5人、中学生で5〜10人とされています。
 尿所見別の慢性腎疾患の確率は、蛋白尿+血尿で69・3%蛋白尿単独の場合9・4%、血尿単独で4・7%でした。蛋白尿+血尿の慢性腎疾患のうち70%はIgA腎症とされています。このIgA腎症ですが、最近の4剤によるカクテル療法の導入により、10年後の予後が著明に改善しており、早期発見、早期治療の重要性が増しています。腎疾患はほとんどが無症状ですので、早期発見の観点から学校検尿の有用性は明らかです。
・北見市の結果(表)


 過去5年間で、蛋白尿+血尿は8人でした。この8人はすべて精密検査を受けており、現在も定期的にチェックされています。一方、精密検査の受診状況をみてみると、小学生で精密検査が必要とされた196人のうち80人 (40・8%)、
中学生171人のうち132人(77・2%)が精密検査を受けていませんでした。この中には以前精密検査を受けていられる方も多く含まれているのでしょうが、大丈夫とかってに判断しているケースもありそうです。フォローアップ体制を見直してみる必要があります。
2016年12月29日(木) No.775 (秋山先生(小児科)のコラム)

児童、生徒の突然死


 恐ろしげなタイトルになってしまいましたが、生徒の突然死を説明することで、学校心電図検診の大切さを理解していただけたらと思います。
 現在、学校管理下で年間どのくらいの生徒が突然死しているのでしょう..
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2016年12月01日(木) No.771 (秋山先生(小児科)のコラム)

学校心臓病検診


 毎年、春の新学期が始まると主に小学校、中学校、高等学校の新一年生を対象とした心臓病検診(心電図検査)が行われます。心臓病検診の主な目的は、突然死をきたす可能性のある潜在性の心疾患を発見し、専門医による治療と生活管理指導を行うことで突然死を未然に防ぐことにあります。平成7年、学校保健法の改正により、小、中、高1の心電図検査が義務化され、当初は省略4誘導心電図、心音図検査を行っていましたが、平成15年からは心音図検査は中止され、現在は12誘導心電図による検査が行われています。
 機械の判定による一次スクリーニングの後、判定医による判読、判定、その結果、問題があると認められた例は、指定病院の専門医による診察、精密検査が行われます。


●受診状況
 北見市の過去3年間の小、中学校の受診状況を(表1)に示します。新1年生のほぼ100%近くが検査を受けています。希望者は、小、中、高校の全学年で検査を受けることができ、実際に多くの生徒が毎年検査を受けています。
●結果(表2)
 ほぼ毎年、一次スクリーニングで2〜3割がチェックされ、判定医によりその中の1〜3%が専門医による精密検査が必要と診断されています。精密検査結果を(図)に示しますが、不整脈が主であり、その中には突然死の原因となる房室ブロックやQT延長症候群なども含まれています。
 毎年、全国で学校での突然死は数十名にのぼっています。その原因の多くは心臓疾患と言われています。原因となる心臓疾患のほとんどが、普段は特別な症状がないため、早期に見つかることはまずありません。これら潜在性心疾患のほとんどが、心電図検査でわかります。学校心臓病検診は日本特有のシステムであり、全国規模で行っている国は日本以外ありません。非常に精度の高い検査ですので、必ず検査を受けるようにしましょう。
2016年11月02日(水) No.767 (秋山先生(小児科)のコラム)

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