タイトル

女性と漢方(89) 〜過敏性腸症候群?と執拗な訴え〜


『73歳Nさん。過敏性腸症候群にて他院通院歴あり。便秘の薬をいろいろ試したが思わしくないようで、最近は便は非常に硬く、西洋薬の下剤を使ってひどい下痢になったとの事。漢方薬を希望して来院。』
 高齢者で便が硬いとの事で、『麻子仁丸(マシニンガン)』を2週間処方しました。1ヶ月後に来院し、「薬を飲んでいた時は良かったが、切れるとまた便が出なくなる。」
 きちんと飲み続けてくれればいいのに(苦笑)と思いながら、同じく1ヶ月処方しました。今度は「最初は良かったが、便が出た後に全身の力が抜けてしまう。しかも、げっぷがやたらと出るようになったので、別の薬に変えてほしい。」との事。たしかにお腹にガスが溜まっているようなので、『大建中湯(ダイケンチュウトウ)』に変えてみました。しばらく、2ヶ月位は調子が良かったようですが、また排便後の脱力感を訴え、「ガスもとても多くなってきたので薬を変えてほしい。」と来院。
 その後もいろいろと併用する薬を変えましたが、最初の1〜2ヶ月は良いのですが、その後悪くなることを繰り返しました。初診から1年ほど過ぎたころ、『大建中湯』に『加味逍遥散(カミショウヨウサン)』を加えてみたところ、「これまでで最も調子がよい。」との事。その後4ヶ月以上経過していますが、薬を変えてほしいという訴えはなくなりました。


 薬を変えるとしばらく良いのですが、1〜2ヶ月経つと、前よりずっと悪くなると言われ、振り回された感がありました。しかし、このような執拗な訴えも東洋医学的には『加味逍遥散』が有効なことが多いのに、なかなかそちらに思いがいかなかったのは、私がまだまだ漢方医として未熟なせいでしょう。気がつくと1年半、Nさんの方も、私に見切りをつけずによく長い間来られたものと感服いたしました。
2012年02月02日(木) No.524 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(88) 〜高齢者の夜間の冷えに伴う不眠〜


『85歳Mさん。普段から身体や足に冷えを感じており、寝つきは良いのですが、夜間に何回も眼が覚めるようです。そして、眼が覚めるとトイレに行く際に身体が冷え切ってしまい、もう眠れなくなってしまうので、何か良い治療法はないかというご相談で来院。』
 Mさんの症例は、夜間の中途覚醒時に習慣的にトイレへ行き、そのたびに冷えによって入眠が妨げられたもの、というように解釈できましたので、まず寝るときに枕元にお湯と『麻黄附子最細辛湯(マオウブシサイシントウ)』を用意してもらい、夜間に眼が覚めたらこれを飲んでもらうように指示しました。これを繰り返してもらったところ、身体がすぐに温まるようになり、トイレへ行って戻ってきてもすぐに眠れるようになったとの事でした。


 『麻黄附子最細辛湯』は高齢者には使いやすく、かつ即効性のある漢方薬です。我々は排尿した後に、あたかも寒さにあたったかのように身震いすることを度々経験しますが、高齢者ではトイレに行った後に気分が悪くなって倒れてしまう、いわゆる排尿後の迷走神経反射による失神にも似たようなことが起こっている可能性もあります。
つまり、気分が悪くなったためになかなか寝つけなかったとすると、『麻黄附子最細辛湯』を事前に飲んでもらってからトイレに行くことで、それを予防できたと考えられます。
 不眠に対しては、「頭寒足熱」つまり頭が冷えて足が温まるとよく眠れるように昔から云われており、一般的には、頭が熱くなって足が冷たくなると眠れないタイプが多いようです。このような場合は、寝る前に『酸棗仁湯(サンソウニントウ)』など飲んでもらいますが、高齢者になると、Mさんのように逆に温めて眠れるようになる症例も少なからずいらっしゃいます。
2011年12月29日(木) No.519 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(87) 〜終末医療と漢方薬〜


『87歳Nさん。高齢で寝たきりに近い状況で、風邪をひいて治りが悪いため、往診で点滴を受けているが、日に日に体力が落ちてきて食事も喉を通らなくなった。漢方薬も工夫して投与してもらっているが、はかばかしくない様子。本人は言葉を発するのも大儀なのか、ただただボーッとしている。もうダメかと思うけれど何か手だてはないものかと相談されました。』


 知り合いの娘さんからのお電話による相談でしたが、漢方医学の立場では、「裏寒(リカン)」(身体の内部が冷えている)という状態に陥ったために風邪の治りが悪いばかりか生命力が衰えているために認知症のような状況になっているのではないかと想像されました。既に投与されている漢方薬には「裏」を温める生薬は含まれていないようでしたので、以前娘さんが当院に受診していた頃に処方した『人参湯(ニンジントウ)』と『附子末(ブシマツ)』を合わせて飲んでもらい、身体を温めるようにお話しました。
 後日、喜びの連絡がありました。『人参湯』と『附子末』を飲んでからは、元気を取り戻したとの事でした。
 『人参湯』は消化器だけでなく心肺も全身も同時に温め、生命力を高め、冷えに起因する鼻水・咳・喘息にも効果のある漢方薬です。他の部位と比較して胸を触ると冷たいときは特に有効です。最近の乳幼児はよく診ると隠れた「裏寒」に陥っていることが意外に多く、乳幼児の諸疾患にも用いる医師もいます。
 Nさんの症例のような著しい体調不良に対して現代医学の立場では経過観察しか手がないときでも、漢方薬に温裏薬(内部を温める薬)があることを知っていれば、患者さんのお役に立つことがあります。漢方薬を扱っている者にとっては何とも嬉しい限りですね。
2011年12月01日(木) No.514 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(86) 〜冷え性と漢方薬②〜


 『23歳Mさん。子供の頃から寒がりで、特に手足が冷たく、腰回りの冷えも自覚する。熱い風呂を好むが長湯するとのぼせやすい。冷たいものをよく摂る。最近はめまいや立ちくらみもよく起こるようになったため、漢方薬による体質改善?を希望して当院に来院。』
 Mさんの冷えは手足や腰周りなどの局所が中心であること、冷たいものをよく摂取していること、便秘や肌荒れと比較的強い月経痛を認めることに加えて、舌が暗赤色で下腹部に圧痛を認めることなどから、「お血(オケツ…詳細は以前の号参照)」による冷えと捉えて、『桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)』を処方しました。1週間後、「手足はあまり冷えなくなった。立ちくらみは変わらない。」3週間後も「めまい、便秘、月経痛はまだ変わらない。」という時点で、めまい・立ちくらみを目標にして、『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』を併用してみました。1ヶ月たって、「めまいも少なく、便通も良い。今回はいつもよりも月経痛が軽かった気がする。」との事。


 さらに2ヶ月飲んでもらい、暖かくなった季節の影響もあるのでしょうが、手足の冷えは消失しました。めまいも一月に数回あったものが、1回あるかないか程度にまで改善していました。その後3ヶ月分追加処方しましたが、その後は受診しておりません。
 冷えの改善を目的に漢方薬を希望される方は多く来院されますが、大部分は温める生薬が含まれた薬を用いることが多いです。しかし、Mさんのように冷えの原因が末梢の血流障害、いわゆる「お血」の場合にはそれを改善する『桂枝茯苓丸』などが適応になるわけです。実際の臨床では、なかなか判別が困難な症例もありますが、問診で「長湯するとのぼせる」「冷え性なのに冷たいものを採る」という些細な矛盾点に注意したり、実際にどれくらい冷えているのか手で触って確認することも大切です。
 意外と冷えを訴えている割には、手足はさほど冷たくない方もいらっしゃいます。このような方に温める漢方薬を処方すると逆効果になってしまうことがあり、私自身も
幾度か苦い経験をしております。
2011年11月04日(金) No.509 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(85) 〜雨降り前の頭痛と膝の痛み〜


 『77歳Sさん。歩行時に左膝の痛みを自覚するようになり、徐々に痛みが悪化してきたため、整形外科を受診し、膝関節症の診断を受けた。友人に漢方薬が良いのでは?と勧められて当院に来院。』


 当院は整形外科ではないので専門外来を継続して受診することをお勧めしましたが、何か漢方薬を試したいとの強い要望で診せていただきました。左膝の内側部を中心に痛み・腫れ・熱感を認め、風呂などで温めると痛みが軽くなるようでした。暑がりの寒がりで、冬場は腰から下の冷えを自覚するとの事。お腹はガマガエルの様(失礼!)で、皮膚はしっとりと湿っていて、口の渇きも訴えていました。舌を拝見すると歯型の痕がしっかりありましたので、「水毒(水分のバランス異常)」と解釈して『防己黄耆湯(ボウイオウギトウ)』を飲んでもらいました。
 2週間後、「痛みがとれた。動かしたときに痛みは少しあるが、気にならない。」左膝に触れてみると、張れがたしかにひいていましたが、熱感はまだありました。しかしながら、自覚症状が良くなっているので、続けて飲んでもらうことにして1ヶ月後、「かなり歩けるけど、明け方冷えると膝が痛む。」というので、『附子(ブシ)』(温める・痛みをとる)を追加して飲んでもらいました。1ヵ月後、「朝方足がポカポカして、膝の痛みも無くなった。ただ、最近すこし動悸がする。」この動悸は『附子』の軽い副作用なので高齢の方には注意しなければいけません。『附子』は一度中止し、『防己黄耆湯』はそのまま飲んでもらっていますが、2年経過した現在、「雨降り前の頭痛が最近無くなった。」との事でした。
 「雨降り前の頭痛」は以前に低気圧が近づくと頭痛がする症例でもお話ししましたが、『五苓散(ゴレイサン)』という「水毒」の漢方薬がよく使われますが、Sさんも「水毒」に起因した膝の痛みでしたので、同時に「雨降り前の頭痛」も改善したのだと思われます。こういう効き方は漢方薬ならではのもので、いつも生薬の妙に感心させられますね。
2011年10月06日(木) No.504 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(84) 〜めまいに対する漢方薬①〜


 『74歳Sさん。二年前に回転性めまい、耳鳴りが起きたが自然によくなった。一ヶ月前から再び同じ症状が起こり、内科や耳鼻科を受診するが改善を認めず、漢方治療を試してみたいとの事で来院。』
 Sさんのめまい..
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2011年09月01日(木) No.499 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(83) 〜高齢女性の尿失禁を伴う頻尿に対する漢方薬〜


 体力の低下した高齢者における頻尿は、泌尿器の疾患に関係するものが多いですが、東洋医学的にはいろいろな要素が複雑に絡み合っておこる病態の一つです。
 最近の報告では、「過活動膀胱」という膀胱に尿を溜める機能障害のため、尿が溜まるときに膀胱が勝手に収縮してしまい、「尿がしたい感じが多い・何度もおしっこをする・トイレに着くまで我慢できずに尿失禁してしまう」という症状に対して『牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)』が有効である報告がされており、西洋医学的治療のみでは困難な症例にも期待されています。『牛車腎気丸』は特に高齢者の泌尿器・生殖器の機能低下に伴う排尿障害、腰や下肢のしびれ・脱力感・痛みに用いることが多いのですが、個人的には、この漢方薬に加えて『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』を併用することがよくあります。


 『補中益気湯』には「補気(気を補う)」「ものを挙げる」作用もあり、高齢女性で子宮下垂に伴う膀胱下垂による尿失禁に対して『牛車腎気丸』との併用は大変有効です。この2種類の漢方薬を用いた方全般にいえることは、「生活の質の改善」です。このような症状のある方は「生活の質の低下」が著明に認められるのですが、これは加齢による元気不足に加え、症状の不快感やとりわけ尿失禁に関しては他人に相談できないストレスにも起因すると思われます。つまり、「気うつ」「気虚」(詳細は既刊号)の「気」の異常が大いに関与しているものと推測されます。
 高齢女性の難治性の頻尿には尿失禁を伴っていることが多々あり、現代の西洋医学的治療のみでは困難な局面も稀ではありませんし、今後は高齢化社会においてさらに増加するでしょう。漢方薬は生薬の複合剤ですから、一つの症状の改善のみならず、他に「気剤」として作用し、生活力を向上させる意味でもユニークでかつ有用な治療手段と思われます。
2011年08月04日(木) No.494 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(82) 〜花粉症と漢方〜


 『30歳Aさん。5年前から花粉症となる。水様透明鼻汁が起床時から午前中によく出現し、入浴すると軽快する。寒い日には出現しやすく、咽頭痛や鼻閉はほとんどない。カゼはひきやすく、手足は冷えやすい。』
『36歳Bさん。1年前から花粉症。5月初旬より透明鼻汁が出現し、ときに黄色鼻汁となる。鼻汁時には顔面のほてりを伴う。夜間には鼻閉、くしゃみ、咽頭痛が出現。暑がり体質で、カゼもひきやすい。』


 AさんとBさんはともに花粉症ですが、東洋医学的には別な身体の状態(証)です。「寒熱」という考え方で捉えると、Aさんは「寒証」で、Bさんは「熱証」タイプです。Aさんには『小青竜湯(ショウセイリュウトウ)』を処方しましたが、1週間で鼻汁が止まりました。Aさんは、胃腸症状がなく、『小青竜湯』を飲むことができましたが、「麻黄(マオウ)」という生薬で胃腸障害を起こす人には『苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)』に変更すると有効なことがあります。ちなみに「青竜」とは季節の神(四神)の一つで、春の神と同時に水の神でもあります。『小青竜湯』は肺に停滞した冷水を春の温かさで除く効能から命名されたものです。
 Bさんは、暑がりという「熱証」でありながら、汗かきでカゼをひきやすい状態の方です。透明鼻汁は「寒証」の症状なのですが、他の症状は「熱証」なので、『清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)』を投与して効果を得ることができました。黄色鼻汁が多く、鼻閉が強ければ、『辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)』も良いかもしれません。
 古典にも「鼻きゅう(ビキュウ)」という言葉が残されており、外邪によって透明鼻汁・鼻閉・鼻腔掻痒感・くしゃみなどが突然にかつ反復性に出現する病態と記されています。
現代でいうアレルギー性鼻炎・花粉症などの季節性アレルギー疾患に相当するものが昔から存在していたのです。古人も悩ませた疾患と受け止めると、少しばかり親近感が沸きますね。
2011年07月01日(金) No.489 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(81) 〜小児アトピーと漢方薬〜


 『4歳Mちゃん。母親がアトピー性皮膚炎。カゼをひきやすく、中耳炎と扁桃炎も起こしやすい。湿疹は1歳ごろから出始めて、便秘が続いたり、汗をかくと悪化する。弟の出産前後から「赤ちゃん返り」がひどくなり、皮膚症状もますます悪化し、最近は体をかきむしって、肘関節のあたりは一部ただれて、分泌液も出ている。母親が「ステロイド外用薬は使わないで」と、漢方治療を希望して来院。』


 母親の漢方熱望?に応じて、ステロイドは使わず、『黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)』を飲んでもらうことにしました。二週間目あたりから背中・腹部の湿疹は改善し、四週目からは手足・顔面の発赤も消えてきました。そのまま継続して飲んでもらいましたが、二ヶ月ぐらいから便秘も解消し、中耳炎の再発などもみられなくなりました。
 『黄耆建中湯』の効能・効果は「虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ」とありますが、ここで注目したいのは「汗」です。「アトピー性皮膚炎持続例の悪化因子」について調べた報告の中で「汗の成分が皮膚のバリアが脆弱な人には痒みの刺激になると考えられる」と記されています。虚弱な体質の小児には『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』がよく使われることは何度も紹介しましたが、私の使用経験では『黄耆建中湯』を使うと、特に痒みが取れてくるのが大きなポイントである印象があります。
 Mちゃんの母親のように「アトピー性皮膚炎に最も効く漢方薬は何でしょうか?どのくらい飲むと完治するのでしょうか?」というご質問は多いのですが、回答は「これがアトピー性皮膚炎に最も効くと知られている漢方薬はありません。人それぞれに合う、合わないということもありますし、漢方薬のみに頼って悪化した人も少なくありません。あくまでも漢方薬は治療の選択肢の一つであり、絶対的なものではありません。ステロイド外用薬も毛嫌いせずにうまく使っていくことが大切です。」とお話しています。
 Mちゃんのように小児アトピー性皮膚炎も漢方的視点で捉え、それに適応する症例を選べば、『黄耆建中湯』などは治療に有効な選択肢の一つとして位置づけられるのではないかと思います。
2011年06月02日(木) No.484 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(80) 〜食事が十分に摂れない女児〜


 『10歳Sちゃん。数ヶ月前から食事がのどにつかえ、飲み込みにくいという症状が出現。そのため、食事量が減り体重も減少し、小児科、耳鼻科などを受診しましたが、明らかな異常は認めないということで、当院にお母さんと一緒に来院。』
 Sちゃんの顔色はやや不良で行儀は良いのですが、少し神経質な印象でした。平日はきちんと登校できているのですが、週末になるとくたびれて家で休むことが続いているそうです。いわゆる虚弱な体質の小児には『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』がよく使われることは以前にもお話しました。Sちゃんにもこちらを飲んでもらいましたが、少しは良いようなのですが、今一歩という手ごたえでした。さらに『香蘇散(コウシサン)』を加えて、「気」をはらして元気になってもらおうとしました。こちらの反応も悪くはないようですが、劇的な効果という程ではありません。とりあえず、数ヶ月飲んでもらいましたが、腹痛とともに飲み込みにくさが再び出現したところで、神経質な点に注目して『抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)』に変更したところ、飲み込みにくさは改善し、体重も増加するようになりました。


 『抑肝散(ヨクカンサン)』は、神経症・不眠症・夜泣きなどの小児に用いられることが多いのですが、最近では高齢者の不穏・興奮などにも効果があることが実証されています。
 Sちゃんの場合は、神経質な面の他に、消化機能の衰えも考慮して、「陳皮」「半夏」を加えた『抑肝散加陳皮半夏』を処方してみました。また、『香蘇散』も紫蘇の香りがして気分が良くなるようで、本人も自ら好んで飲みたいとお母さんがおっしゃっていましたので、継続して飲んでもらうことにしました。
 お母さんが話した「ここ最近は、少し食べただけでお腹が張って食べれないことがないんですよ。」という一言の中に今回漢方薬が効いた重要なポイントが隠されていました。「気」の異常が起こるとお腹が張ったり、ガスが溜まった感じがしたりすることが多いのです。たまにお子さんのお腹を優しく触ってあげて日頃のお腹の状態を把握することはさりげないことですが、実は東洋医学的な診察にもなっているのです。
2011年04月28日(木) No.479 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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