タイトル

女性と漢方(110) 〜かぜの考え方と漢方①〜


 漢方でのかぜの対応方法は、まず現時点での身体の状態がどのステージにあるかの把握が大切です。 かぜは身体の外からやってきて、徐々に内部に侵攻すると考え、東洋医学では症状も「表」から「裏」に向かって変化..
続きを読む
2013年11月01日(金) No.630 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(109) 〜PMS(月経前症候群)と漢方薬〜


『32歳Mさん。24歳ごろから、月経前のイライラがあった。2年前に出産して月経が再来して以来、月経3〜4日前から怒りっぽくなり、過食による体重増加、眠気と倦怠感などの症状が強くなった。最近は料理を作るのが苦痛でたまらない。PMS(月経前症候群)ということを知人から聞いて、当院に来院。』
 PMSの本質は、東洋医学的には「気滞(キタイ)」(気がスムーズに流れない状態)がベースにあることが多く、当然「イライラ感・怒りっぽい」といった精神症状が出るのですが、「気滞」により「水・血」のバランスの乱れも引き起こします。それにより、「頭痛・めまい・頭重感」や「むくみ・体重増加・尿量減少」などの症状が出現します。
 Mさんは、下半身の冷えが強く、秋口からカイロを使うそうです。また、PMSによくみられる偏頭痛もあり、軟便傾向でむくみやすいとの事でした。PMSの第一選択薬ともいえる『抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)』を飲んでもらいましたが、一ヶ月でイライラは消失しました。三ヶ月経過してむくみが出てきたというので、『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』を併せて飲んでいただきました。その後、月経周期も安定し、調子は良いようです。


 「気滞」になると「うつ状態」もよく現れますが、Mさんの場合のキーワードは「料理を作る気がしない」でした。実は「うつ状態」を見極めるポイントで「日頃できていたことができなくなる」という点は大変重要で、Mさんの『家事ができなくなる』は見逃してはなりません。
 PMSとは、月経の2週間ないし1週間位前からおこり、月経開始とともに消失する、周期性のある一連の身体的、および精神的症状を示す症候群(いろいろな症状の集まり)です。PMSの多彩な不定愁訴は①抑うつ気分、イライラ、怒り易い、ののしり ②頭痛、めまい、ふらつき、転倒 ③浮腫(むくみ)、体重増加、尿量減少 ④過食、眠気、倦怠感などがあります。周囲の方は、女性にはPMSという病気があるということをふまえて接してあげる気持ちも大切です。女性には男性にはない特有の病気があることを理解してあげましょう。
2013年10月04日(金) No.625 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(108) 〜夏になると胃腸が弱って倦怠感がひどくなる〜


『18歳Nさん。色白で普段は丈夫であるが、毎年6〜7月頃になると、からだがだるく、食欲もなくなり、下痢することが多い。今年は特に、だるさがひどく、やせてくるのが目立ち、母親とともに漢方薬を希望して来院。』
 Nさんには『真武湯(シンブトウ)』を処方してみましたが、一週間位で何となく力がついた感じがしたとの事。その後は下痢もおさまり、二か月後には体重はかなり?増えていました。
 Nさんには『真武湯』がよいのか『人参湯(ニンジントウ)』がよいのか迷うところでしたが、「おなかが冷える」という訴えを参考にして『真武湯』にしました。後で聞いた話ですが、夏場は冷たいアイスキャンディーが大好きで、日課のように食べていたようです。『真武湯』はむしろ冬になると下痢をするようなタイプに有効なことが多いのですが、最近は冷たいものをとる機会があるせいか、夏でも冷たいものを過剰に摂取して、冬のようなお腹になったりするので、『真武湯』も結構外来でよく処方します。
 以前に多汗症で『防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)』が全く効かない方に『真武湯』にしてうまくいったケースがありました。結局、裏(お腹)が冷えて表面に熱が押し出されてきたような形で、本人は冷えてる、冷えてるというんですが、汗がだらだらと出るタイプの女性でした。『真武湯』には温めて水をさばく生薬が含まれていますので、水が順調にめぐるようになったと思われます。


 私が子供の頃は、アイスキャンディーは勝手に食べると親によく叱られたものですが、最近は冷蔵庫も大容量で好きなときに好きなだけ冷たいものがとれる環境です。
 古典では冬に頻用されていた漢方が、現代では夏にも使われる状況に時代の流れを感じますね。
2013年09月05日(木) No.620 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(107) 〜小児の便秘と漢方薬〜


 便秘は、成人のみならず小児にもありふれた症状ですが、何日間排便が無ければ便秘なのか明確な定義はありません。2011年に行われた調査によると、小学生の約4割が排便1日1回未満である結果が出ており、一方..
続きを読む
2013年08月01日(木) No.615 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(106) 〜老化と漢方薬〜


 お年寄りの治療ではもちろん基礎疾患の治療と管理が最優先ですが、一段落してくると治療内容もマンネリ化しがちです。プライマリーケアを担う医療スタッフとしても、患者さんにはますます元気になって「元気で健康..
続きを読む
2013年07月04日(木) No.610 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(105) 〜漢方薬の服用方法〜


 今回は、漢方薬の服用について患者さんからのご質問も多いので、少し解説したいと思います。
『Q1…疲労倦怠感、食欲不振改善のために漢方薬を飲んでいるが、仕事が多忙なため、昼間の服用は困難です。3回服..
続きを読む
2013年06月06日(木) No.605 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(104)〜繰り返すアフタ性口内炎〜


 『41歳Nさん。数年前から口腔粘膜や舌の先にアフタ(楕円形の浅い潰瘍)ができやすく、最近は月に1〜3回位出現するようになったとの事。漢方薬が良いのでは?と友人に勧められて当院に来院。』
 Nさんは、来院時に口腔内に3か所アフタを認めました。『半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)』をまず2週間飲んでもらいましたが、初診時のアフタは3〜4日で治りましたが、すぐに新しいものが2個出現したとの事でした。さらに4週間続けて飲んでもらいましたところ、再発しなくなったようでした。追加で2ヶ月分処方しましたが、飲み終わって1週間薬が途切れた頃に、小さいものが1個できて、その後は出現していないのですが、本人は「心配だから、予備に薬をほしい」との事で久しぶりに来院してくれました。


 『瀉心』とは、「みぞおちのつかえをとる」という意味で、『半夏瀉心湯』はよく慢性胃炎などに使われますが、実は「口内炎」にも大変よく効きます。
 アフタの原因ははっきりしませんが、胃腸に炎症があったり調子が悪かったりする人に出来やすいことから、『半夏瀉心湯』に含まれている「黄苓(オウゴン)」「黄連(オウレン)」の清熱(冷やす)作用により軽い慢性胃炎の消化管炎症を抑えている点が有効性に関連がありそうです。また、ただ冷やすだけでは調子が悪くなることもあるので、「人参(ニンジン)」「乾姜(カンキョウ)」など温める作用のある生薬も配合されており、とてもバランスのよい漢方薬です。
 飲んでいると、「胃腸の調子も良くなって口内炎も治る」とおっしゃる方が多いです。早ければ数週間で調子がよくなる場合が多いのですが、難治性のケースでは何ヶ月か続けて飲んでいるうちに症状が出る回数が減ったり、軽くなったりする方もかなりいらっしゃいますので、口内炎でお悩みの方は一度試してもよろしいかと思います。
 ただし、ヘルペスで口内炎になっている方には効きませんので、ご注意を!(その方には別の漢方薬になりますので)
2013年04月26日(金) No.600 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(103)〜頭痛と漢方薬①〜


 『75歳Mさん。60歳頃よりときどき頭重感があり、数ヶ月前から朝目覚めた時の頭痛が始まった。最近は常時頭重を感じる。肩こり、手足のしびれ感もあり、熟睡ができず、朝早くから目が覚める。夜間2時間ごとに排尿し、便秘がちでもある。他院にて『八味地黄丸(ハチミジオウガン)』を処方されて飲んでいるが、最近胃が不調との事。漢方薬の相談にて来院。』
 Mさんは、48歳で脳血管障害を指摘されたことがあり、いつの頃からか軽症高血圧といわれるも降圧剤は飲んでいないとの事でした。生命の危険がある頭痛では、西洋医学的治療を優先することは当然ですが、Mさんのように高齢者の頭痛、更年期障害に伴う頭痛、月経時に悪化する頭痛、鎮痛剤で胃腸障害をきたす虚弱者や三叉神経痛などには漢方治療を試みる価値はあるかと思われます。


 Mさんには、『釣藤散(チュウトウサン)』を飲んでもらい、『八味地黄丸』に含まれている「地黄(ジオウ)」が胃を荒らしている可能性があるため、一時休薬してもらうことにしました。投与後、5日で頭痛が軽くなったようで、2週間後の来院時は「目もスッキリしてきた」との事。2ヶ月間飲んでもらい、「頭痛・頭重感ともになくなって快調です」とおっしゃるので継続してもらいました。最近薬を取りに来ないと思いきや、別の件で来院された時、「あれ以来、軽い頭重を感じることはあるが痛むことはありません」とおっしゃっていました。
 『釣藤散』には、主薬に脳血管を広げて脳循環を良くする「釣藤鈎(チュウトウコウ)」が含まれています。また、Mさんが同時に「ほてりが良くなった」と云われたのは、『釣藤散』に含まれている「石膏(セッコウ)」(冷やす作用をもつ)が効いたと思われます。ですから、「冷え症」の方にはむしろ『釣藤散』は適応にはなりません。
 中高年になり、高血圧などの生活習慣病の傾向が出てくるとともに、慢性的な頭痛がするといったことがある場合、特に起床時あるいは午前中に調子が悪い方に有効なのが『釣藤散』です。最近では、頭部の動脈硬化を改善したり、認知症の予防にも有効な点が報告されています。
2013年04月03日(水) No.595 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(102)〜陰性食品で痛みが悪化〜


『75歳Nさん。変形性腰椎症、椎間板ヘルニアにて整形外科通院歴ある方で、腰痛に効く漢方薬を試したいとの事で来院。』
 Nさんは、1年以上前に来院されている方で、実は『八味地黄丸(ハチミジオウガン)』と『苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)』を長年飲まれています。今回の症例を紹介する理由は漢方薬自体からは少し離れた内容です。Nさんが「最近漢方薬が効かなくなった気がする。」というので、漢方薬を替えてみましたがあまり変化はみられず、生活習慣で変えた点はないか聞いてみました。すると、「健康にいいと云われて、2〜3ℓの水を飲んでいます。果物も多く採るようにしています。」との事でした。


 東洋医学では、治療しても十分な効果が得られない場合、食事や運動などの養生にも注目します。和漢食にはいくつかの基本がありますが、その中の一つに「陰性食品(食べると体を冷やす食品…冷たいもの・生もの・砂糖・酢など)を採りすぎない」という考え方があります。Nさんは陰性食品である果物、清涼飲料水の過剰摂取にて疼痛が悪化した例でした。他に、秋になり、ぶどう・なし・りんご・柿・みかんの採りすぎで疼痛が悪化したり、喘息発作が再発した例もありました。
 Nさんは、食生活の改善後は疼痛も良くなり、結局は以前と同じ漢方薬に戻して飲んでいます。最近は健康食品の酢を常用量の2倍服用して、「冷え」を訴える外来患者さんもいらっしゃいました。
 和漢食では、基本的には「陰性食品は採りすぎない」の他に「菜食を中心」「揚げ物・油炒めは採りすぎない」「少食」が掲げられています。一般的には、食物の陰陽はあまり認識されていませんが、長期間の疼痛・冷え症などは意外と食生活が原因のこともありますので、一度ご自分の食生活を確認してみてもよろしいかもしれませんね。
2013年03月07日(木) No.590 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(101)〜慢性的な痰の少ない咳②〜


 今回も、比較的痰の少ない慢性的な咳のお話です。
『55歳Mさん。5ヶ月前から無色透明の痰と咳が持続する。他院にてCT検査から肺炎の可能性が高いと診断され、気管支鏡検査まで行うが菌の特定はできなかった..
続きを読む
2013年02月07日(木) No.585 (山内先生(産婦人科)のコラム)

【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】【8】 【9】 【10】 【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】