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女性と漢方(123) 〜子供の発熱と漢方薬〜


今回は子供の発熱に対する漢方薬をご紹介いたします。急性の発熱疾患は東洋医学的には「表証」であることが多く、治療は「麻黄(マオウ)」「桂皮(ケイヒ)」を含む漢方薬による発汗(「解表(ゲヒョウ)」といいま..
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2014年11月27日(木) No.675 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(121) 〜便秘と漢方薬〜


 漢方治療のすべてにおいて、便秘に対する考え方は重要です。便秘を改善することが、東洋医学的に「証(ショウ)」(身体の状態)を改善することにつながるからです。便秘に効く西洋薬には、塩類下剤と刺激性下剤があり、頑固な便秘でも後者を用いればたいてい解消されますが、効果が強い分、腸の刺激性も強いのでお腹が痛くなる場合も多く、高齢者の方にはむしろ前者の方が適しています。しかしながら、こちらは体にやさしいものの、効果が弱いのが難点です。
 漢方薬の下剤の基本は「大黄(ダイオウ)」という生薬で、これが含まれている『大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)』は比較的弱い下剤なので、中等症以下の便秘に用いられます。これに「芒硝(ボウショウ)」を加えたものが『調胃承気湯(チョウイジョウキトウ)』で、やや切れ味がよくなります。「芒硝」の量をさらに増やして効果を強めたものが『大承気湯(ダイジョウキトウ)』になります。


 これらの薬でかえって腹痛を感じるだけで快便感につながらない場合は、『桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)』『麻子仁丸(マシニンガン)』『潤腸湯(ジュンチョウトウ)』などを使います。これらには「大黄」が入っていますが、あまりお腹が痛くなりません。 これでもお腹が痛くなるときは「大黄」がない『桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)』『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』『柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)』などを使います。
 高齢者の場合は、便の水分が減って便が硬くなる以外に、便を押し出すための腸の運動も弱くなるので、『麻子仁丸(マシニンガン)』『潤腸湯(ジュンチョウトウ)』が適しています。
 便秘を漢方薬で治すと、本人が気付いていなかったいろいろな症状が楽になることがしばしばあります。頭の重だるさ、肩こり、冷え、腰の重さ、倦怠感、生理痛、ニキビなど本当にいろいろと治ります。西洋薬の下剤ではお腹が痛くなって、とても不快だという方は結構いらっしゃいますが、便秘も立派な病気と認識して、一度漢方薬をお試しになってもよろしいかもしれません。
2014年10月02日(木) No.671 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(120) 〜女性の多愁訴と漢方薬◆


 女性の場合、心身に生じている複数の症状を訴えて医療機関を受診しても、検査値に異常がみられないと「更年期障害」「自律神経失調症」と勝手に診断されるケースはよくあります。これらの言葉は医者にとっては都合..
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2014年09月04日(木) No.667 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(119) 〜女性の多愁訴と漢方薬 


 女性の場合、心身に生じている複数の症状を訴えて医療機関を受診しても、検査値に異常がみられないと「更年期障害」「自律神経失調症」と勝手に診断されるケースはよくあります。これらの言葉は医者にとっては都合..
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2014年08月01日(金) No.663 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(117) 〜冷えによる胃痛〜


『27歳Sさん。感冒のため1週間前から38度の発熱があり、市販薬にて解熱するも、3日前から胃痛が出現し、当院に来院。』
 Sさんは、元々出産や婦人科検診にて当院に来院されていた方で、「胃薬でももらおうかな」という軽い気持ちで来られました。来院時、チクチクする胃痛は食事とは無関係で、軽い食欲不振はあるものの、食後のもたれやゲップ・便秘はありませんでした。


 「最近、お腹が冷たい感じがします。」と言われ、よく聞くと、夏場はクーラーなどで冷えると似た症状が悪化し、温めると軽快するとの事でした。そこで、単なる胃薬よりは漢方薬の方をお勧めして、『安中散(アンチュウサン)』を1週間飲んでもらうことにしました。再診時には胃痛もなく調子が良く「症状に合わせて飲みたい」との事で、頓用として2週間分追加の処方を希望されました。
 『安中散』には含まれている6つの生薬のうち、5つが温薬(身体を温める生薬)で構成されており、「気」を巡らし止痛効果をもつ生薬も含まれています。また、「牡蠣(ボレイ)」(カキの貝殻)が消化器症状に対しては「制散作用」で「胸やけ」などを改善してくれます。基本的に「身体を温め、気を巡らせ、痛みを取る」効果を持つので、ストレス病態やそれに関連した月経痛・関節痛にも応用されます。「冷えと下痢」には『真武湯(シンブトウ)』、「冷えが強い胃痛」には『人参湯(ニンジントウ)』、「月経痛」には『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』を合法(一緒に飲んでもらう)するとより効果的です。
 『安中散』の命名で「安」には「女性を家の中で落ち着かせる状態」という由来があります。そこから、『安中散』には「中」(消化器機能)を穏やかにする散剤という意味があります。確かに「女性は家庭内ではストレスが多い」という点では、女性に合ったネーミングですよね。
2014年06月05日(木) No.659 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(115) 〜抗生剤が使えない歯肉化膿症〜


『56歳Mさん。歯肉病でレーザー治療を受けているが、最近は症状が悪化。抗生剤が合わず歯科医からは「自己免疫力を上げるしかない」と言われ、漢方で何とかならないかと来院。』
 Mさんは、生真面目な方でストレスも多く、以前に『四逆散(シギャクサン)』を数年飲んでいた方でした。しばらく、こちらは服用していませんでしたが、今回は『排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)』をまず2週間飲んでもらうことにしました。結果はとても良く効いたようで、3ヶ所のうち、上の前歯と左上の奥歯の部分はほぼ完全によい。もうひとつの上の右の犬歯の部分はもう少しです。」と話されました。かかりつけの歯科医にも「歯周菌が冬眠?しているね」と言われたようです。数週間でかなり良くなったのですが、本人も継続を希望されているので、就寝前に一包飲んでもらうことにしました。数か月経って来院されたときは、症状も安定していりようでした。
 通常の歯科治療に難渋している歯痛・歯槽膿漏・歯肉炎に『排膿散及湯』が有効な例はしばしばあります。『排膿散及湯』には確かに抗菌作用がしっかりあるようです。婦人科てきには、女性のバルトリン腺膿瘍の再発しやすい方や難治例にはよく処方いたします。長期で飲んでもらうと、再発しにくくなったり、再発しても症状が悪化しないと飲まれた方はおっしゃいます。また、化膿しやすいニキビなどにも応用されます。


 化膿性疾患には現代医学では、抗生剤という武器が確立しており大変有効ですが、それと漢方薬を併用したり、Mさんのように、抗生剤がアレルギーその他の理由で使えない方には、セカンドチョイスとしての漢方薬はとても有効と思われます。
2014年04月03日(木) No.655 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(114) 〜関節痛と肥満?〜


『40歳Nさん。数か月前から手指の関節痛を感じるようになり、他院にて関節リウマチではないとの診断。漢方薬を試してみたいとの事で来院。』
 Nさんには、最初は『薏苡仁湯(ヨクイニントウ)』(ハトムギが生薬として含まれています)を、次に『防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)』を処方いたしましたが、関節痛は全く消えず、鎮痛剤を併用するに至って1年ほど経過して、朝方に手指の屈伸で痛むが後は気にならない程度のようでした。しかしながら、その頃から足底部の痛みを訴えるようになり、朝起床時の数歩が特に痛むとの事でしたので、以前からの『防已黄耆湯』に痛みを取るために『附子(ブシ)』(トリカブトを無毒化したもの)を加えてみました。痛まない日もありましたが、カゼで発熱したときは両手の小関節が全部痛むという事もありました。しかし、関節が腫れたりするような所見は一切ありませんでした。


 ある日、めずらしく?全身倦怠感を訴えて薬を取りに来院したときに、最近肥満気味(元々だと思うのですが…)というので、便秘は無かったのですが、『防已黄耆湯』を『防風通聖散(ボウフウツウショウサン)』(巷では「痩せ薬」と称されている。本当はそうではないのですが…詳細は以前の号参照)に変えて二週間だけ飲んでもらうことにしました。
こちらに変えたところ、「飲むと30分もすると尿意が起きて、顔や手足がスッキリして、顔や手足の痛みが軽くなる感じがする。」との事でしたので、本人も鎮痛剤を飲まなくなりました。
 鎮痛剤を止めて最初の一か月間余りは、痛みを訴えることもありましたが、その後は少なくなったようです。残念ながら体重の増加の歯止めにはなりませんでしたが、その後は便通も良く、体調は一層良くなり、手足の痛みを訴えることがなくなったとの事です。
 Nさんのように、『防風通聖散』が利尿効果を発揮して、結果として難治な痛みを鎮めた例は実は漢方の古典にも記載があります。痛みに対して最初から『防風通聖散』を処方することはほとんどありませんが、今回の症例を通じて、「木をみて森をみず」の治療ではいけないと反省させられました。
2014年03月06日(木) No.651 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(113) 〜東洋医学における「中庸」の意味〜


「中庸」とは、「偏りのないこと」を意味する言葉です。『論語』の中で孔子は「過不足なく偏りのない徳」を「中庸」と呼びました。また、江戸時代の有名な儒学者、貝原益軒は著書『養生訓』の中で、「養生の道は中庸..
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2014年02月06日(木) No.646 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(112) 〜慢性胃炎?に隠された瘀血(オケツ)〜


『35歳Mさん。元来、胃腸の調子はよくないようで、過敏性腸症候群の既往がある。職場でトラブルがあった後、胃痙攣で救急病院に搬送されたこともある。その後、胃もたれが持続し、内視鏡などの検査をするも異常所見はなく、一般薬を処方されたが、改善に乏しく、漢方薬を希望して来院。』
 Mさんは、来院時の印象はまず「眼の下のクマ」が目立ったことでした。また、職場のストレスが強く、常に焦燥しきっているようでした。 舌を診ると、白い苔は厚くこびりついており、舌全体は暗赤色で舌を裏返すと、「舌下静脈」が著しく紫色で怒張していました。以上の症状は「血(ケツ)」の異常の中でも、瘀血(オケツ…血の滞った状態、詳細は以前の号を参照)の典型例です。


 本人は以前に漢方薬を飲んだことがあり、『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』で胃痛が、『六君子湯(リックンシトウ)』で胃もたれがそれぞれ改善したので、できればそれを処方してほしいとの事でした。そこで、この本人の希望を尊重し、治療を開始しました。二週間後、症状は悪くはならないものの、「無理やり胃が抑え込まれているようで、胃の存在感?を感じる」といいました。
 そこで、東洋医学的に再考しても瘀血の改善がやはり優先するのではと思い、瘀血の改善薬として『桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)』を処方しました。数日で病状は好転しましたが、一応、胃もたれも考慮して、『六君子湯』より生薬を減らした『四君子湯(シクンシトウ)』を一緒に飲んでもらいました。瘀血の改善効果なのか、頭痛・肩こりや月経に関する症状も改善しました。2ヶ月飲んでからは、ほとんどの症状が消失したので『桂枝茯苓丸』のみにしましたが、以後の経過も順調でした。
 半年後に来院されたときは、ストレスのない職場に転勤されたとの事で、それを機に当院での治療も終了いたしました。Mさんにとっての一番の治療は職場を変えたことかもしれませんね。
2013年12月27日(金) No.640 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(111) 〜かぜの考え方と漢方②〜


 前回は、かぜの対応方法はまず現時点での身体の状態が、どのステージにあるかの把握が大切であることと、「かぜの引き始め」にも相当する「表寒」のステージの対応についてお話しました。かぜは病状の位置が「表」(体表)から「裏」(身体の内部)へ進んでいきますが、途中に「半表半裏」(咽頭や口腔内などの表と裏の中間位置)というステージがあります。これは、症状が「表」からやや内側に移行した状態です。咳・痰・喉の痛み・胃の不調、そしてこのステージでしか現れない「往来寒熱」(悪寒と熱感が交互に出現すること)が認められることがあります。また「胸脇苦満」と呼ばれる胸から脇にかけての不快感(吐き気などを含む)が出現することもあります。


 このステージになりますと、「柴胡(サイコ)」という生薬が治療のカギになりますが、中でも『小柴胡湯(ショウサイコトウ)』はよく用いられる漢方薬です。「喉の痛み・熱感」が強ければ、熱を収める「石膏(セッコウ)」や喉飴などによく含まれている「桔梗(キキョウ)」をこれに加えたりします。
 インフルエンザと診断され、抗ウイルス剤などで解熱を得たあと、咳や胃腸の不調が続くことがよくあります。もともと、『小柴胡湯』は感染症がこじれた場面で適応となるケースが多く、このような局面で現れる症状に対応する生薬がバランスよく配合されています。
さて、『小柴胡湯』は「柴胡(サイコ)」や「半夏(ハンゲ)」といった乾かす生薬が含まれていますから、用いる場合には「身体が渇いていない」ということが大前提になります。それでは、渇いていないことの証明はどうすればよいのでしょうか。
 それは舌をみて乾燥していないことを確認することでなされます。通常の舌には適度な粘り気がありますが、身体が渇けば舌も乾燥傾向になります。ちなみに「裏」のステージに近づくと、舌には「苔(コケ)」付着するようになります。
 舌の状態からは様々な情報が得られますので、東洋医学的診断にはかかせない手技です。風邪のこじれた状態になられた方は、ご自分の舌を一度鏡でご覧になってはいかがでしょうか。
2013年11月29日(金) No.635 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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