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女性と漢方(147)〜インフルエンザに対する漢方薬〜


 抗インフルエンザ薬が十分に供給される保険システムを有する日本においては、2010年の新型インフルエンザ流行期には世界で最も死亡例が少ない国でした。症状の早期軽快、重症化の回避などの最近の薬の治療効果..
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2016年12月01日(木) No.772 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(146)〜慢性疲労症候群(CFS)と漢方薬(その2)〜


 慢性疲労症候群(CFS)は原因不明かつ難治性の疾患で発症すると長期にわたり疲労・倦怠感が持続し、日常生活にかなりの支障をきたしている方も多いです。残念ながら未だに西洋医学による効果的な治療法も少なく..
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2016年11月02日(水) No.768 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(145)〜産後の精神トラブルと漢方薬〜


『31歳Mさん。第2子の出産後から不眠が続き、突然イライラして物を投げつけたりすることもあり、来院されました。初診時は何もする気にならない状態や、突然悲しい気分になり涙を流したり、家族に暴言を吐くといっ..
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2016年10月05日(水) No.765 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(144)〜漢方薬解説(3)白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)〜


 今回は『白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)』についてお話します。「白虎」とは秋をもたらす神の名です。この漢方薬には、鉱物の「石膏」が使用され重要な役割りをはたしています。「石膏」は白い色でギブスや石膏像でおなじみですが、漢方薬としては身体にこもった熱を冷ます働きがあります。『白虎加人参湯』は熱中症に使われる漢方薬として有名ですが、熱中症のみならず「口渇」や「身体のほてり」のある症状にも全般的に有効です。口渇をきたす疾患は心因性のものが多い傾向がありますが、シェーグレン症候群などの口内乾燥症や薬剤性の口渇にも有効なことがあります。また、糖尿病性の口渇にもよいのですが、原疾患の治療が最優先であることは言うまでもありません。ほてりや発汗では、更年期症状のそれにも効果がみられます。私自身の経験では、ほてりのために不眠になった方に何度か用いて有効だった症例があります。また、皮膚の熱感を抑えるので、アトピー性皮膚炎にも用いることもあります。


 有名な詩人北原白秋の名前のように、白色は秋を象徴する色です。実は『白虎加人参湯』は秋をイメージし象徴した薬なのです。つまり暑さのために火照った体を、秋の涼しさのようにさわやかにする働きからの命名であります。『白虎加人参湯』は体の熱感やほてり、発汗、口の渇き、頭痛といった熱中症特有の症状が出現した時によく使用されますが、ペットボトルなどに溶かして少しずつ飲用すると熱中症の予防にもなります。
 いずれにせよ、『白虎加人参湯』は発汗しているもの・熱(熱感)のあるものに有効です。舌を診る場合には、舌が赤く、乾燥しているのが使用目標の特徴です。アトピー性皮膚炎の中でも皮膚の赤みが強く、熱をもっている状態の場合には『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』(清熱作用が強い)と組み合わせて用いるとさらに効果が高まり、私は皮膚炎の漢方治療の初期にこの組み合わせを用いることがあります。『黄連解毒湯』はもっぱら熱を取る薬であるのに対し『白虎加人参湯』は潤いをもたらす作用があります。ですから、乾燥しているときや脱水に近い状態に有効なのです。
2016年09月01日(木) No.756 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(143)〜夏場の冷えと漢方薬〜


 『40歳Nさん。最近、知人に勧められ水を多く飲むようになった。元々やせ型で冷え症だが、夏に入り夏バテ気味なので、栄養をつけようとこの1週間スイカなどの果物を連日食べ、昨日はかき氷を食べたところ、胃がつまった感じで苦しくなり、シクシク痛むようになり、内科で以前もらった薬を飲んだが、効果が今一つで来院時についでに?漢方薬を希望。』
 Nさんの場合、元々冷え症で胃弱の人が冷たい物を摂り過ぎた結果、漢方医学でいう「胃寒証」の状態と思われたので、こういう場合の第一選択薬である『人参湯(ニンジントウ)』を処方しました。結果は1週間で症状は改善したようでした。
 最近は血栓予防のため水をいっぱい飲むことを推奨し、体質に関係なくドンドン水分を採る人が増えてきました。漢方医学的には「熱証」または多血症傾向にあれば、ラジエータの役割として水を多く採ることは理にかなっていますが、「虚証」タイプ(詳しくは以前の号)で冷え症の人の場合はどうでしょうか?


冷え症で悩む方は一年を通じて絶えないようですが、特に夏場は体温を超える暑い戸外と冷房の効きすぎた室内などの激しい温度差、冷たい飲み物の摂り過ぎ、暑い夜の睡眠不足などの外的要因によって体温の調節をしている自律神経がバランスを崩し、冷え症になる人が多くなりがちです。
 冷たいものを摂取したことによる胃腸障害には『人参湯』『六君子湯(リックンシトウ)』などの「人参」を含む漢方薬が有効ですし、クーラー病としての冷えなどには『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』『五積散(ゴシャクサン)』などが用いられます。
 現代人は外の暑さから身を守る知恵と技術を持ち、外に対してはより涼しい場所へ、最終的にはクーラーの効いた部屋で過ごし、内に対しては身体の芯を冷やすために冷たい物を多く採るようになり、その結果として、夏なのに「冷え」という病態が特に「虚証」傾向の人には起こりやすくなります。
 体質に合わせた避暑法を取りたいものですが、私自身「虚証」タイプではありませんが、クーラーの効いた部屋でアイスキャンディーを2本食べた後は、こっそり『人参湯』を一包飲んでいます(笑)。
2016年08月04日(木) No.760 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(142)〜漢方薬解説(2)五苓散(ゴレイサン)〜


 今回は、幾度か取り上げたことのある『五苓散(ゴレイサン)』についてお話します。『五苓散』は「沢瀉(タクシャ)・猪苓(チョレイ)・茯苓(ブクリョウ)・白朮(ビャクジュツ)・桂枝(ケイシ)」の5つの生薬..
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2016年06月30日(木) No.752 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(141)〜いわゆる虚弱児と漢方薬〜


 今回は女性に限ったお話ではありませんが、お子さんをもつ母親に関連した内容です。「虚弱児」とは、医学上の明確な定義はなく、多くは体調不良などの理由で学校を休みがちな児童・生徒に対して使われてきた言葉です。病気にかかりやすく治りにくい、発熱・頭痛・腹痛などの症状をしばしば訴える、疲れやすく回復が遅い、神経質、無気力、発育不良などがみられる児童を身体虚弱児としてきました。


 漢方医学では身体を養う働きを「気・血・水」に分けてとらえますが、このうちの「気」(目にはみえない生命エネルギーのようなもの)が何らかの理由で減少した状態(「気虚」といいます)になるとウイルス感染やストレスなどの攻撃を受けやすくなり、風邪をひきやすくなったり、疲れやすくなったりします。「気」の供給は、出生前に親から受け継いだ生命力としての「先天の気」と、出生後に食事や呼吸によって外から取り込む「後天の気」に大きく分けられます。
 出世後早期から成長障害がみられるなど、先天的に虚弱な状態が考えられる場合には『六味丸(ロクミガン)』などを使用しますが、胃腸虚弱による吸収障害などが考えられる場合には、胃腸の働きを補う『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』は第一選択としてよく用いられます。一方、胃腸虚弱などはなく、咽頭炎・中耳炎などを繰り返したり、扁桃腺やリンパ節の腫脹を繰り返したりする子どもには、『柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)』をはじめとする「柴胡剤(柴胡という生薬が配合された漢方薬)」がよく用いられます。
小児は、成人と比べて体内水分量が比較的多いため、時に「水」のバランス異常による症状(「水毒」といいます)として、乗り物酔い・めまい・ふらつき(特に天候不良時に悪化しやすい)などが起こりやすいです。この場合には、「水毒」を改善する生薬が配合された『五苓散(ゴレイサン)』『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』『半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)』などの漢方薬を使用します。
 入園や入学してから少し経ちましたが、お子さんがこのような症状で該当してお悩みの場合は、漢方薬も一つの治療の選択肢として考慮されてもよろしいかと思います。
2016年06月02日(木) No.748 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(140)〜鼻炎に小青竜湯プラス〜


 『小青竜湯(ショウセイリュウトウ)』は花粉症などのアレルギー性鼻炎や鼻かぜに多用される漢方薬で有名ですが、鼻の症状でも鼻づまりよりは鼻汁がひどく、特に透明でサラサラとした鼻汁でくしゃみを伴う場合に有..
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2016年04月28日(木) No.744 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(139)〜『葛根湯(カッコントウ)』の使い勝手〜


 『葛根湯(カッコントウ)』はいまやドラッグストアにも配置されており、漢方薬をあまり知らない方でも「かぜの漢方薬」といった印象でご存じかもしれません。しかしながら、実際に『葛根湯』が「かぜ」に対して発..
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2016年03月31日(木) No.740 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(138)〜不眠と慢性の咳に悩まされる〜


『51歳女性Yさん。ご主人の転勤以後、同居の義母の介護のため精神的にも肉体的にも負担が多くなってきた。ここ一ヶ月前は寝つきが悪く、近医から睡眠導入薬を処方してもらっているが今一つの様子。また、喉に何かへばりついた感じがして咳が数か月前から断続的に続くため耳鼻咽喉科を受診するも器質的異常が指摘されず『半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)』を投与されるが無効。呼吸器内科を受診し、慢性気管支炎の診断で加療を受け、やや咳は改善するも特に夜間の咳と不眠が持続し、ほてりも自覚するために当科に来院。』


 Yさんには舌診で乾燥している所見がありましたので、咳も考慮してまず『麦門冬湯(バクモンドウトウ)』を処方いたしました。2週目で慢性の咳は7割ほど改善したが不眠は今一つでした。そこで、『六味地黄丸(ロクミジオウガン)』を併せて処方しましたところ、さらに2週目で咳は消失し、不眠は3日目位からかなり改善され「足のほてりが無くなって熟睡できる。」との事。1か月内服してかなり調子が良いようなので、不眠が出現したときに、漢方薬を数日服用してもらうように指導いたしました。
 今回併用した『六味地黄丸』は「補腎(ホジン)」作用を有し、Mさんのような夜間の足のほてりがある場合などは有効で、更年期障害で加齢に伴う症状に対していわゆるアンチエイジング的な効果をもたらします。以前ご夫婦で来院された方に一緒に内服してもらい、ご夫婦ともに調子が良くなった例も経験しています。女性だけでなく男性にも有効です。
 更年期周辺の年代の慢性の咳に対しては、内科的な切り口で対応可能なのか、婦人科的な見地から何らかの対応が求められる状態なのか判断に迷う例も多いですが、まずは呼吸器内科できちんと診ていただいてから、他科に相談するのがよろしいかと思います。
2016年03月03日(木) No.736 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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