タイトル

女性と漢方14〜病は「気」から?(その5)〜


今回も症例を紹介しながら解説します。
『41歳、Eさん、女性。以前より便秘がちであった。このところ仕事上のトラブルでストレスを感じていたが、腹部の膨満感が次第に強くなり、腹がはって胃のあたりまで苦しい..
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2005年11月10日(木) No.160 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方13〜病は「気」から?(その4)〜


今回も症例を紹介しながら解説します。
『48歳、Dさん、女性。元々健康だが最近カゼでもないのに咳が出る。家庭内でのストレスが増してから症状が出てきた気がする。むくみやすい体質で、朝夕は気になるほどむくむ。喉のあたりの不快感も気になり、耳鼻科受診したが特に異常なしとの事。』
漢方医学では「大逆上気(タイギャクジョウキ)」という言葉がありまして、以前に解説した「気の上衝(気逆)」のはげしい状態を意味します。「気」の循環に異常をきたして、下から上へ「気」がどんどん上がると、上半身に様々な症状(頭のみ暑い、吐き気、喉が詰まる感じなど)が出てきます。Dさんは、カッカした話し方で、青筋をたてて咳き込んでいました。喉の違和感も「気逆」の結果によるものと考えて、今回は麦門冬湯[バクモンドウトウ]を処方してみましたが、1週間で咳は軽くなり、さらに2週間処方し、咳はほぼ消えました。

この薬は咳止めで有名ですが、本来の適応は「大逆上気」なのです。この薬には潤す作用(湿り気を与える)を有する生薬が含まれているので、「舌が乾く、喉の奥がカラカラ」といった時に使うことが多いのですが、半夏[ハンゲ]という生薬が含まれているのがミソでして、これは逆に乾かす作用をもっています。
単に潤したいなら、こんなものは要らないはずですね。ここが漢方薬のおもしろい点なんです。
つまり、麦門冬湯[バクモンドウトウ]はただ乾いた症状のみでなく、「むくみ」の様にどこかに水のアンバランスがある場合に使うと良い薬なのです。以前お話した「水毒(スイドク)」ですよ。二日酔いの時なんかは口渇くけど顔がむくんだりしますよね。
Dさんは、むくみも取れて喜んでいましたが、新たな悩みもできたと云われました。
「先生、顔のむくみがとれたのはいいんですけど、顔のしわが目立つようになっちゃいました。友人には『あんた、前はアンパンマンみたいだったからねえ』といわれたんですけど。」との事。
2005年10月10日(月) No.155 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方12〜病は「気」から?(その3)〜


今回も症例を紹介しながら解説します。
『18歳、Cさん、女性。大学入試の準備中。年末あたりから夜になると落ち着かず、勉強にも集中できない。本人も原因は入試に関する不安感であると自覚している。お母さんが心配して一緒に来院、生理も不順との事。』
前回お話した「気の異常」の3つのとらえ方(「不安」「あせり」「イライラ」)で考えると、この方のキーワードは『不安感』です。このような場合は、甘い生薬が漢方医的には効果的です。一般的に、甘いものは気持ちを安らぐ作用があります。甘いココアで子供が寝付くというのもこの作用によるのものですね。
Cさんには、酸棗仁湯[サンソウニントウ]を処方しましたが、甘くて飲みやすく1週間後には気分が落ち着いてきたと喜んで来院しました。「甘いものでごまかされるなんて、子供だましじゃあるまいし」と思われる方がいらっしゃるでしょう。現に私自身も最初はそう感じていましたから。

しかしながら、有効であるのは事実です。
酸棗仁湯[サンソウニントウ]は、基本的には不眠に対して使うことが多いのですが、睡眠薬とは違いますから、不安を取り除いた結果として眠れるようになるわけです。
つまり、眠れないから使うのではなく、不安に対して使う薬なんです。となると、イライラが原因の不眠の方に処方して効かない?当たり前です。不眠の原因を考えないと漢方薬は有効ではありません。ですから、患者さんのお話をよく聞く必要があるのですね。
個人的には、受験の合格発表の前や癌かもしれない検査結果の前などの不安が強いときには、この薬はまさにうってつけだと思っています。気の弱い私?も不安が強くて寝つきが悪そうなときはこの漢方薬を寝る前に2包飲んでみます。
2005年09月10日(土) No.151 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方11〜病は「気」から?(その2)〜


今回は「気うつ」(「うつ病」とは異なります!)のお話をしますが、単に「気うつ」しかない人は少なくて「気虚」や「気の上昇」(詳しくは前回参照)が入り混じっている人の方が多いものです。ですから、「気」の異..
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2005年08月10日(水) No.146 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方10〜病は「気」から?(その1)〜


「気」という言葉は日常生活でも、元気・電気・磁気・やる気…などよく使われますし、「病は気から」ということも聞いたことがありますね。初回に漢方医学では「気」という概念があることはお話しましたが、体にあっ..
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2005年07月10日(日) No.141 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方9〜カゼと漢方薬(その4)〜


前回、カゼの症状は「表」(体表)から「裏」(内臓)へと次第に進み、そのステージに合った漢方薬があるお話をしました。「表」から「裏」へ変化する前段階の「半表半裏」には「往来寒熱」(前回参照)の他に「胸脇..
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2005年06月10日(金) No.136 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方8〜カゼと漢方薬(その3)〜


シリーズ(その1)では、カゼのとらえ方で「表裏」「寒熱」というお話をしましたが、カゼの初期は「表裏」(悪寒のイメージ)が多いのですが、「表熱」(顔面が真っ赤なイメージ)の状態では、漢方医学では当然お薬..
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2005年05月10日(火) No.131 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方7〜カゼと漢方薬(その2)〜


前回に続き、カゼのお話をします。
葛根湯[カッコントウ]はドラッグストアでも見かける位に有名な漢方薬ですし、病院でもよく処方されますね。では、なぜそんなによく使われるのでしょうか?
葛根湯に含まれ..
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2005年04月10日(日) No.126 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方6〜カゼと漢方薬(その1)〜


「カゼは万病のもと」といわれますが、漢方の得意分野の一つです。女性に限られた疾患ではないのですが、漢方診療のルールを知っていただく上では好都合のテーマなので今回より数回に分けてお話します。
カゼの患..
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2005年03月10日(木) No.121 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方5〜肩こり〜


肩こりは誰にでも程度の差はあれ起こりうるもので、日常的なだけに長く医療の対象になってきませんでした。また、西洋医学ではなかなか改善しにくい症状の一つであり、使う薬も鎮痛剤、消炎剤、筋弛緩剤などに限られがちです。一時的に症状をやわらげることが可能でも、しばらくすると症状がぶり返したりすることも少なくありませんね。
一口に肩こりといっても、原因は様々で、単なる筋肉疲労や血行障害によるものから頚椎(骨・神経)の異常、高血圧、心臓病、さらには他の内臓の病気が原因になっていることもあります。
もし、肩こりの陰に重大な病気が隠れているならば、その治療が優先されます。そうでない肩こりに対しては、ある程度漢方治療も有効な手段となる場合があります。
急性の肩こりによく用いられるのは、カッコントウ(感冒のときよく使います)です。
ただし、長く飲み続ける薬ではないですし、1週間飲んでも効き目がなければ別な薬に変更すべきでしょう。カッコンとは葛(クズ)のことですから、古人が葛湯を肩こりのとき飲んでいたのは経験的な知恵なんですね。また、御自分で横になって臍のすぐ左横を人指し指で押して軽く痛みがあれば、カッコントウが効く目安になります。

慢性の肩こりの場合は、いつもお話するように証(身体の状態)の見極めが大切になります。漢方医学の診察で「望・聞・問・切」という四診というのがあるのですが、何の事はない「望診」は目でみる(顔色・舌・皮膚・体の動き・精神状態)、「問診」は耳から聞く、においを嗅ぐ(声、体臭、咳、口臭)、「問診」は西洋医学と同じ、「切診」は体に触れて診ることなのです。
しかし、「望・聞」だけでも結構な情報は得られるんですね。同じ患者さんを診ていると、「今日は顔の色つやがいい」とか「声にハリがある」とか分かるんです。以前、「顔の色がいい」と患者に言うと「今日は化粧してきたんです」と言われましたが、要は化粧する位に身体の気力が充実してきた証拠でもあるのです。(笑)
肩こりにばかりに気を取られると、正しい治療ができなくなります。「冷え」「頭痛」「ストレス」などが伴っているかは非常に重要です。基本的には前回話した「お血(おけつ)」と「水毒」によるものが多くみられますが、一人一人に合わせた漢方薬が必要になります。
2005年02月10日(木) No.117 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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