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女性と漢方(64)〜漢方製剤の保険外し?〜


過日の「行政刷新会議」にて「漢方製剤の保険外し」が答申されました。この会議側の論理は「薬局・薬店でも漢方薬は買えるものである」との主張のようであります。漢方製剤の保険外し問題は、17年前にも議論されたこ..
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2009年12月29日(火) No.396 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(63)〜更年期の湿疹?〜


『48歳主婦Mさん。2年程前から手から肘、足首に赤い湿疹が出現し、ひどく痒い。軟膏をつけているがあまり有効ではない。手のひらは赤くゴワゴワした感じになり、恥かしくて人前に出せない。友人に聞いて漢方薬を試したいとの希望で当院に来院。』
「漢方薬で治したい」という場合は他の症状を聞かなければなりません。まず、生理の周期が狂い始めており、1年に5回位に減っており、4ヶ月もあいたときもあります。その代わりに生理痛がひどく、ときどきのぼせて汗が吹き出るし、頭痛・便秘もあるとの事。足の冷えは昔からあり、手足の湿疹は冬の方が多くなるようです。
生理のトラブルもあり、冬に悪化するというので、Mさんにはまず『温清飲(ウンセイイン)』を処方しました。この薬はいろいろな方に使ってよく効いている薬なのですが、いかんせん、とても苦いです。しかしながら、いつもお話するように効く方は案外飲んでくれるのが不思議な点です。
Mさんの場合には飲み始めて2週間で、手足の湿疹は消えました。それと共に、のぼせがずっと楽になったようでした。ところが、そのまま飲み続けていると、胃は重い感じがするとの事。


『温清飲』は『四物湯(シモツトウ)』と『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』を合わせた薬で、後者の薬は実証(詳しくは以前の号を)用のかなり強い薬です。Mさんはそれほど実証タイプではありません。こういう場合は、西洋医学的には胃薬を飲んでもらいながら飲み続けてもらうこともありますが、『温清飲』の『黄連解毒湯』の成分を減らすという手段もあります。そこで、『温清飲』をバラして、『四物湯』は通常の量で『黄連解毒湯』は反量に減らしてみました。この方法はうまく決まって、胃の調子は改善されて全体的に体調は良好になりました。漢方薬は生薬を合わせて作られていますから、こういう調整が可能なわけです。
その後は、Mさんの手足の湿疹と更年期障害的な症状は、ほぼ解決していますが、あとは顔のシミを何とかできないかと欲張っています。それには、もう少し時間がかかるのではないかと思います(笑)。
2009年12月03日(木) No.390 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(62)〜インフルエンザと漢方薬〜


今回はインフルエンザと漢方薬に関するお話です。世間では抗ウイルス薬なるものが浸透しているかと思いますが、長い歴史の中で当時のインフルエンザと予想される疾病が流行するたびに戦ってきた漢方医学はこれまでと同じように、その役割を果たすことが出来るのでしょうか。
インフルエンザの治療には、『麻黄湯(マオウトウ)』をはじめとする漢方薬が『傷寒論(ショウカンロン)』(漢方医学の古典)には多く用いられていました。これらの処方は、多くの場合、有効ですが、『傷寒』という病状はインフルエンザと似てはいますが同じではないようです。『傷寒』はインフルエンザの特殊な形ではないかと推定されています。


A型・B型に対する『麻黄湯』と抗ウイルス薬をそれぞれ単独に投与した比較では、『麻黄湯』は抗ウイルス薬と同等の効果があり、特にB型では『麻黄湯』の効果の方が優れているという結果が出ています。また、『麻黄湯』を抗ウイルス薬に併用することで、抗ウイルス薬のみよりも、解熱に要する時間が短かくなり、かつ頭痛や全身倦怠感が続く日数も短くなったという報告も出ています。
抗ウイルス薬との併用は、通常の解熱薬(西洋薬)よりも『麻黄湯』との併用の方が治るまでの日数
が短く、『麻黄湯』を治療の初日に4〜5回(通常量の薬3倍)飲んでもらうとこの効果はさらに増すとの報告もありました。ただし、インフルエンザを漢方薬で予防できるという報告は今のところありません。しかし、漢方薬の理論から「風寒の邪(ジャ)」を身体に進入させない処方を考えて継続して飲んでもらうことで、あるいは予防できるかもしれません。
現代の我々は、インフルエンザに対し、マスク着用、うがいの励行などの一般的な予防法、ワクチン接種や抗ウイルス薬服用など、医療的手段による予防と治療など多くの手段をもっています。この中に漢方医学による治療をうまく組み込めれば、従来よりもかなり有効な対処法になるかと思われます。
2009年11月05日(木) No.384 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(61)〜不眠とうつ病〜


『30歳Sさん女性。第一印象は「さわやか」な方ですが、主訴は不眠とうつ症状でした。そのため二ヶ月前から休職中。眠れなくなったのは1年半前からで近くの内科にかかり、眠剤をもらいましたが、それでもよく眠れず、一年前から精神科にかかりました。「うつ病」の診断で抗うつ剤と眠剤をもらっていますが、3時間位で目が覚めてしまい、その後追いかけられる夢や怖い夢を見て、朝起きたときから気分が滅入ってしまう毎日だといいます。友人の紹介で当院に来院。』
Sさんからお話を聞いても不眠の決定的な理由は出てきません。「不眠」と「うつ」から離れて最初に記入された自覚症状の欄をみると、本人の「さわやかさ」とは逆に調子の悪い点(胸やけ・胃もたれ・便秘・頭痛・肩こり・むくみ・手足の冷えなど)が目につきます。これだけ体調が悪くて「眠れない」といいながら、明るくさわやかに振舞っているのはなにか不自然です。まるで、更年期かと思えそうな調子の悪さです。


「寝る頃になるととても気分がふさいできてベッドでじっとしていると急に涙が出てきて止まらなくなる。しばらく泣いてから眠るという感じ。」という状態で、原因が何であれSさんは眠るのに四苦八苦していました。まずは、そういう涙が出て止まらない状態に使うとよく効いてくれる『甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)』と、それと同時に夢に見る内容があまりよくないようなので『抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)』を処方しました。
2週間たってSさんの反応はかなり良いものでした。「お薬を飲んでから、頭の中がすっきりして寝る前にあれこれ考えなくなりました。最近は4時間眠れるようになりました。」と聞いて、4時間は決して眠れたとは思えないのですが、本人はニコニコして報告してくれました。その後、数ヶ月して、お薬を取りにきたときは、「最近7時間眠れています。」との事。
この症例は、私としては「できすぎ」でして、通常はもっと手こずるというのが正直な感想です。この両者の薬は、共に精神安定剤にはない独特の安定のさせ方をしてくれますが、つくづくこういう薬を作り出した先人の医師に感服するばかりです。
 

2009年10月01日(木) No.378 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(60)〜なぜか左半身がしびれる?〜


『68歳Rさん女性。長年の身体の不調をかかえて来院。症状は複雑で経過も更年期のころからで経過が長い。頑固な頭痛とカゼをひきやすいこと、胃が弱いのは15年以上になる。ここ3、4年は症状がさらに悪化し、身体の..
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2009年09月03日(木) No.372 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(59)〜夏場になると下痢をする?〜


『46歳Q女性さん。数年前から夏場に週の仕事始めの月曜になると、一日だけ下痢をするとの事。しかし、秋になると治る。漢方治療にも興味があり、来院。』
話を聞く限りでは仕事のストレスが原因という印象ですが、Qさん自身はストレスとは無縁?のような大らかな性格です。下痢は暑さから生じるのではなく、お腹が冷えるときになりやすいようです。夏場にクーラーで冷えすぎるなら話は分かりやすいのですが、それも無し。冷たいビール好きでもないらしく、困ってしまいました…。
Qさんが急に思いついたように口走ったのは「夏といっても6月位からなんです。そういえば、下痢が起こるのは、釣りの翌日ですね。」聞くところによると、渓流釣りで腰まで浸かりながら一日中楽しむというのです。6月といえども、まだ川の水は冷たく、そのためにお腹が冷えきってしまい、翌日の月曜日には下痢となったわけです。
原因が判明したところで、Qさんにはお腹を温め下痢を止める『真武湯(シンブトウ)』を処方しました。また、釣りには使い捨てカイロを携帯してもらうように指導したところ、見事に下痢はおさまったとの事です。


『真武』とは玄武のことで、北を支配する神様の意味です。漢方医学の五行論でいえば、北は水の行で、寒さ・冬・水分などと関連があるとされています。つまり、『真武湯』は冬のように体が冷え、下痢や浮腫など水が貯留した状態を治療する漢方薬といえます。
『真武湯』のように、漢方薬には四方を支配する中国の神様の名前をつけたものがいくつかあります。例えば、『白虎湯(ビャッコトウ)』の『白虎』は西方の神様で、季節は秋、白と関係があり、この生薬には、白い石膏が含まれ、体の熱を冷ます働きがあります。つまり、夏に起こるような体のほてりや熱を取り除き、秋のようにさわやかにしようという漢方薬です。
Qさんのように、原因さえわかれば、薬の選択には苦慮せずに済みますが、なかなか初診の患者さんから隠れた?原因を探しだすのはご本人からお話して頂かない限り難しいケースが多いですね(苦笑)。
2009年08月05日(水) No.367 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(58)〜慢性疲労症候群??と不快な微熱〜


『28歳女性Pさん。内科で「慢性疲労症候群」というありがたくない病名をもらった方のお話です。Pさんの病歴は大変だったようで、首のリンパ節が腫れ、高熱が続き、大学病院を紹介されて入院後、高熱は2週間でおさまるも、微熱がずっと続いてこの1年位体温が下がっていない。抗生物質やステロイドなども使用したが、症状は変わらない。主治医からは「慢性疲労症候群」と宣告?され、体調を良くして気長につきあうようにと言われたとの事。漢方薬局で『小柴胡湯(ショウサイコトウ)』と『人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)』がいいのではと勧められ、購入して飲んで3週間でだるさがとれた気がする。しかし、微熱は変わらず、当院に来院。』
Pさんは熱以外には、つばを飲み込むとツーンと耳が痛くなったり、下痢と便秘を繰り返したり、鼻づまり・頭痛・肩こりなどもありました。注目したのは、お腹の筋肉の張りがなく、お臍の横下に動脈の拍動が触れる点(東洋医学では「臍上悸(サイジョウキ)」といいます)でした。病名にこだわらずに、症状から薬を決めるのが漢方医学ですが、Pさんの症状自体は単純なので『柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)』を処方し、薬の効き目をみながら考えることにしました。


症状からみれば当然なのでしょうが、これほど容易におさまるとは思いませんでした。
2週間後には、熱としては5分位下がり、熱っぽさと疲れやすさがなくなり、はっきりした変化が現れました。飲み始めて最初の生理のあと、基礎体温の低温相が久しぶりに現れて、気分もすっきりしたようです。熱が下がるのが自身ではっきりわかると、安心したせいか、ぐっすり眠れるようになり、朝の目覚めもいいようです。
Pさん曰く「慢性疲労症候群といわれて、医者に治らない病気と言われたときはショックでした。でも私は良くなったんですよね。医者はどう説明するんでしょうか。」
これには、私も何と答えたらよいやら困ってしまいます。病名をつければいいというものではないし、医療従事者としては責任を感じてしまいますが…。
2009年07月02日(木) No.360 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(57)〜夏になると悪化する湿疹〜


『28歳女性Oさん。赤い顔をして来院。夏場になるといつもこんな感じの顔でかっこ悪いし、痒いし、ずっと治らない。お酒を飲んでいるみたいともいわれるし、恥ずかしい。初めは薬疹とか言われたが、原因もよく分からないとの事。』
『32歳女性Hさん。夏になると、首筋に痒くてガサガサした湿疹が出る。皮膚科ではアトピー性湿疹といわれている。見た目も悪いし、わずらわしくて悩んで来院。』
 今回紹介する方は共に『消風散(ショウフウサン)』という漢方薬を使用しました。この薬は面白い薬です。皮膚のトラブルでもとりわけ夏場に悪くなるものに有効で、効くときには驚くほど速く良くなる特長をもっています。
Oさんは知り合いの方のお嬢さんで、赤いのが目立って気になるというので、『消風散』を二週間分ほど送ってあげた症例です。後で聞いてみたところ、四日ほど飲んでいやな湿疹が消えてその夏はもう湿疹が出てこなかったらしいです。翌年も出てきたら飲もうかと思っていたところ、出てこないので結局飲まずに終わったとの事でした。


Hさんの湿疹は出るところがOさんと違うのですが、体格もよく元気いっぱいの方(東洋医学的には実証タイプといいます)なので、『消風散』を飲んでもらいました。この方にも劇的に効いて、現在も時折来院されて今年で三年目ですが、次第に飲む量が減ってきたようです。これも医療費の節減に一役買っていますね。
『消風散』は古来から「夏悪ければ消風散」と云われており、最初は私自身も半信半疑な気持ちがあったのですが、よく効く症例が多いのには驚きました。Oさんはその後はお母さんからも本人からも湿疹の話はありませんし、彼女にとって「恐怖の夏の思い出」はもう忘却の彼方かもしれませんね。  



2009年06月04日(木) No.355 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(56)〜腰からお尻、太ももの冷えと重だるさ〜


『56歳女性Nさん。半年以上前から急に眠れなくなった。その後、肩こりと項のこわばりを自覚し、左手のピリピリするしびれ感や左腕全体の重だるさを感じていたが、そのまま放置していた。3ヶ月前からは腰からお尻にかけて重だるく、スースーと冷えるようになり辛い。また、右下肢にもしびれが出現したので、いよいよ整形外科を受診。特に異常はないと云われ、当院を受診。』
Nさんは夏でも腰にカイロを入れておかないと辛いそうです。この方のように腰・臀部・大腿部のあたりがスースーと冷えて時に重だるいような場合には、『苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)』がよく用いられます。Nさんにもこちらを試してもらいました。2週間後、「冷えは変わらないけど、夜が少し眠れるようになりました。」との事。
かなり冷えが強い方なので、『附子(ブシ)』(以前に紹介済み)を加えてみることにしました。さらに2週間後、「腰回りの冷えはだいぶよくなったのですが、最近動悸がするんです。」と『附子』の副作用も出てきたので、『附子』の量を少し減らしてみました。これが功を奏したようで、腰の冷えと右下肢のしびれや不眠は改善したようです。


数ヵ月後、肩こりとウエストのあたりの重だるさが残って気になるということで、お腹を触ってみました。下腹部がフニャっとしていて弾力がないんですね(これを漢方用語で「小腹不仁」(ショウフクフジン)といいます)。このサインがある場合には『八味地黄丸(ハチミジオウガン)』が有効なことが多く、Nさんにも『苓姜朮甘湯』に併せて飲んでもらうことにしました。3ヶ月後、とても調子がよいとの事で、肩こりや腰の重だるさもとれたようです。
『八味地黄丸』は、下半身(特に膝から下)の冷えに有効なことで有名ですが、時に足底のほてりをともなう高齢者の肩痛にも効きます。「小腹不仁」はこの薬を使うかどうかの指標となります。お腹を触る(腹診)のは和漢医学の手法の一つですが、私自身は何度かこのおかげで投薬処方の重要な手がかりを得ていますね。
2009年04月30日(木) No.350 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(55)〜漢方薬の副効果(1)〜


『46歳看護師Mさん。仕事柄、水をよく使うせいか、若いころから手が荒れやすく、水仕事にはいつもゴム手袋を使ってきた。それでも冬の手荒れは指先が割れるほどひどい。数年前から春先になると顔がかゆくなり、赤く..
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2009年04月02日(木) No.346 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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