タイトル

女性と漢方(78) 〜不安と心配のなかで〜


 世の中には「心配性」といわれる人がいます。その反応が過剰だったり、ピントがずれていたりするのですが、当人は真面目に悩んでいます。現代は情報過多で、過剰な情報の中から適切なものを取り出すのは難しいので..
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2011年03月03日(木) No.469 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(77) 〜長引くカゼの漢方薬①〜


前回に引き続き、カゼに関する漢方薬のお話です。カゼの際の咳に対する漢方薬は、乾いた咳・湿った咳などの症状によって異なるのですが、私の場合は朝・夕に『麦門冬湯(バクモンドウトウ)』を、寝る前に『竹茹温胆湯(チクジョウウンタントウ)』を処方する場合が比較的多いです。一つの理由には、自分が好きでよく分かった生薬から成り立つ薬を優先することからだと思いますが、『麦門冬湯』は「気剤」としても有効なので、よくカゼで頭がボーッとする場合にも有効だからです。
以前に、カゼの流行もおさまり気候の良くなった時期にやってきた患者さんが「眠れなくてつらいので、この前出してくれた眠れる漢方薬がほしいんですけど。」と言ってきました。「○○さんに、眠れる漢方薬は出したことがないはずだけど…」「先生が、カゼを引いたときに、寝る前にといって出してくれたアレですよ。」
なるほど、そうだったのかと気がつきました。『竹茹温胆湯』のことでした。咳き込んで数日間眠れない状態が続いたあとに受診してもらった漢方薬を飲んだら、ぐっすり眠れたので、眠れる漢方薬だと思い込んでいたようです。


寝床につくと咳き込んで寝れずに、仕方なく起きている。また、眠気がきたので寝床に入ると、しばらくして身体が温まってきた途端にまた咳き込みが強くなって眠るどころじゃない。そんなときに効果を発揮してくれるのが『竹茹温胆湯』なのです。
『麦門冬湯』は咳が出始めるともう止まらないような空咳に有効です。咳き込みの程度が強く、肋骨に響くような咳には『柴陥湯(サイカントウ)』、喘息様でヒューヒューする咳には『麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)』、胸が詰まったような息苦しさが続く咳には『半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)』『柴朴湯(サイボクトウ)』がお勧めです。
このように漢方薬には、「咳」という一つの症状に対しても豊富なラインナップが用意されています。これはいつも言うように生薬の複合剤である漢方薬の為せる技なのです。
単なる「咳き止め薬」ではないことをご承知下さい。
2011年02月03日(木) No.464 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(76) 〜カゼのひき始めの漢方薬〜


今回は、寒さも本格的になっている時期ですので、カゼに対する漢方医学的対応の方法に関して、以前にもお話した『麻黄湯(マオウトウ)』『桂枝湯(ケイシトウ)』について改めてこのお薬の違いと使い分けを説明した..
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2010年12月29日(水) No.459 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(75) 〜耐えるのは美徳?〜


『38歳Nさん。診察室に入るや、ほとんど表情を変えずに、きちんと座って私をまっすぐ見据えていました。とそのうち、みるみるNさんの目に涙が大きくふくらみ、アイラインとマスカラで強調した目から、大粒の涙が頬をつたって流れました。よく見ると、軽く唇を開いて、声を出さないで歯をくいしばって泣いているのです。このままではどうしていいか見当がつかないので、気を取り直してわが本来の医者の姿に戻り、いくつかの質問をしてみましたが、最低限しかしゃべりません。完全に事情が分かったわけではありませんが、とても大変な状況にあるのは確かなようでした。』


患者さんが目の前でポロポロと涙を流して泣いたときは、まずは『甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)』を処方することにしています。たいていの人は泣く行為自体をかなりこらえているでしょうし、Nさんのように声を出さずに歯をくいしばって耐えているには相当にキツイはずです。「かわいそうに」と同情する位しかないのですが、そこは漢方薬の出番で、『抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)』も一緒に飲んでもらうことにしました。『抑肝散加陳皮半夏』はいろいろな患者さんに飲んでもらいましたが、一人でじっと殻に閉じこもって、自分一人で大変な状況に立ち向かっているような人たちに効くようです。
Nさんは、夫の暴力と子供のことで悩んでいたようでした。日本人は「耐えるのが美徳」という考え方が根強くあります。一人で全部背負って解決するまで耐え忍ぶようなタイプの方に『抑肝散加陳皮半夏』を飲んでもらうと、少しずつ気が楽になって口に出して助けを呼びやすくなるような気持ちにさせる不思議な薬です。こういうことは、多分そういう状況なのだろうと推測して飲んでもらうしかないのですが、実際に効くときには、はたから見ていてもわかりますから「なんと不思議でありがたい薬なのだろう」と新鮮に驚いてしまいます。
すっかり同情してしまって、Nさんに『甘麦大棗湯』と『抑肝散加陳皮半夏』を二週間分処方しました。どうしたらよいかは答えてあげられませんでしたが、話くらいは短い診療時間でも聞いてあげられると思ったからです。
2010年12月02日(木) No.454 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(74) 〜慢性疲労?(その2)〜


『65歳Mさん。夫の糖尿病の看護に心身共に疲れきっている様子。夫はわがままで、食事療法をやってみても、なかなか言うことをきかない。こんなに私が夫のために努力しているのに、何かむなしい日々が続くとの事。「こころ」はあせり「身体」は疲れる。約三ヶ月前から、生あくびがしょっちゅう出るようになり、身体が重く、イライラして気分が落ち着かない。不眠もあり、よく夢もみるようになった。食後は胃のもたれ感がある。夫と一緒に来院。』
Mさんは夫の陰に隠れるようにして来院されました。小柄でやせたMさんに比べ、糖尿病の夫は大柄で肥満体型の方でした。2回目の来院のとき、私はふと気がつきました。
隠れているように感じられたのは、夫の体格のためではなく、Mさん自身に何か精気が感じられないためであると。「Mさん、何かお疲れのようですね。」ときり出すと、すかさず夫が「そうなんですよ。こいつはいつもだるいだるいって元気ないんです。気合いが入ってないんでしょうね。」と答えます。そこで夫には席をはずしてもらい、次回の診察はMさん一人で来ていただいてからお話を聞くことにしました。その時にようやく、先に書いた内容を弱々しい声でぽつりぽつりと語ってくれたのです。


Mさんには『甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)』を飲んでもらうことにしました。
2週間で諸症状の改善傾向がみられ、一ヶ月後には精神的にも落ち着くようになったとの事でした。この方は看護からくる疲れが原因で、そのために諸症状が出現したといえます。『甘麦大棗湯』は漢方医学的には、「こころ」を潤し安定させ、胃腸の働きを調える作用があり、甘くて飲みやすく、子供のひきつけ・夜泣きにも用いられます。生薬成分はほとんど食品みたいなものなのですが、なぜかよく効く症例が多い不思議なお薬です。
さて、2ヶ月位経過した頃でしょうか。診察室での奥さんと夫の位置が入れ替わっていることに気づきました。夫の前にMさんがいるのです。「先生、この人、いつも腹一杯食べちゃうんです。治療する気があるんでしょうか?先生からビシッと言ってやって下さい。」実にたくましいのは女性のパワーです。世の中は女性を中心に回っていることに気づかないのは男性ばかりなのです(笑)。
2010年11月04日(木) No.449 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(73)〜朝起きられない中学生〜


『14歳Kさん。学校へ行く気はあるのだが、朝が特に調子が悪くて起きられない。ここ数ヶ月は特に調子が悪く、半分位しか登校していない。小児科で検査を受けたが、大きな異常はなく「起立性調節障害」といわれた。薬..
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2010年10月01日(金) No.444 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(72)〜肩こりに葛根湯が効かない〜


『53歳Iさん。従姉にあたる女性ですが、うなじあたりが凝るので漢方薬でいいのはないかとの相談でした。』何種類か漢方薬を手持ちにある人なので、とりあえず『葛根湯(カッコントウ)』を飲んでもらいましたが、全..
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2010年09月02日(木) No.439 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(71)〜不定愁訴に香蘇散〜


『57歳Hさん。とにかく多彩な症状(後述)があり、内科で安定剤を処方してもらっている。飲むと眠れるが、漢方薬を飲んでみてはと知人に勧められて来院。』
Hさんの話によると、昨年から、娘の結婚のことでいろいろと心を痛め、寒気がしたり、気分が変になったとの事でした。毎日眠れなくなり、精神科で「抗うつ薬」を三ヶ月処方され、娘の結婚とともに調子が良くなるやいなや、夫が病気となり、心身ともに疲れたら、また具合が悪くなりました。特に胃が悪く、胸やけがして、胃腸の精密検査を受けたところ、特に異常なしでした。
最近はカーッと体が熱くなり、汗が出る。しばらくするとスーッとひいて逆に寒くなる。精神的なことで気を遣うと肩がこって仕方がないようです。一週間前に、娘の誕生日で外食をした際、フランス料理で自分は嫌いなのですが、我慢して食べたらしく、それ以来、胃がむかついて苦しいといいます。


話を聞いていると、一部は更年期障害のような症状ですが、どうもHさんは生来神経質で、生真面目な性格に感じました。胃腸虚弱な方のようでしたので、『香蘇散(コウソサン)』を手始めに内服してもらいました。
2週間後、飲んでいると気分が良いとの事でしたので、他の漢方薬は併用せずに二ヶ月飲んでもらいました。すると「自分でも気分が明るくなった感じがします。体全体?が調子いいんですよ。」との事。その後、半年近く飲んでいただきましたが、調子がいいというので薬を中止しました。
『香蘇散』は以前も紹介したことがありますが、「気」を発散させる作用があります。
元来は、『葛根湯(カッコントウ)』などはもちろん飲めないような胃腸の弱い方向けの感冒薬として用いられたのですが、Hさんのような「血の道症」「不定愁訴」などで普段から胃が弱い方には、とりあえず飲んでもらう価値は十分ある漢方薬です。
2010年08月05日(木) No.434 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(70)〜くしゃみが止まらない〜


『59歳Sさん。花粉症で薬局にて『小青竜湯(ショウセイリュウトウ)』を購入して飲んでいるが効かないとの事。別な漢方薬?を希望して来院。』
水様性の鼻汁・くしゃみを主訴とし、目のかゆみなどを伴うときに『小青竜湯』を用いることはあります。もちろん、よく効いてくれる方もいらっしゃいますが、Sさんのように全くといってもいいくらいに効かない方もいるのも事実です。


Sさんは来院時に「貧血はないのに顔色がすぐれず、顔がむくむ。『小青竜湯』を飲むと、胃が荒れる?んだよね。」と言って、自分は昔から胃下垂だとおっしゃいます。実はこの言葉は重要で『小青竜湯』には「麻黄(マオウ)」という生薬が含まれているので胃腸虚弱な方には避けた方がよいのです。そこで、Sさんには『小青竜湯』に似ていますが虚弱者向けの『苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)』を飲んでもらうことにしました。
2週間後、「飲んですぐにくしゃみが減ったみたい。続けて飲んでいるが、症状が軽くなって助かる。」との事でした。「時々、くらっとするめまいがあって地震かなという事があるんだよね。脳神経外科行ってみたけど大丈夫だって。」と言うので、『真武湯(シンブトウ)』も昼一回追加して飲んでもらったところ、「とても手足が温まっていいわ。」とおしゃっていました。以後も好調で、春先〜初夏にかけて毎年薬を取りに来ていただいています。
『苓甘姜味辛夏仁湯』は、手足が冷たく、貧血様の顔をしているどちらかというと虚弱なタイプの方には有効です。花粉症ときたら『小青竜湯』だけではありませんから、ご自分にあった薬を選んでもらってはいかがでしょうか?
2010年07月01日(木) No.429 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(69)〜更年期の高血圧〜


『55歳女性Nさん。52歳頃から内科にて高血圧を指摘され、降圧薬を服用したが、ふらつきがみられ、中止。53歳で閉経した後から血圧が不安定となり、頭痛・肩こり・のぼせの症状が出現したとの事。来院時に一度循環器科を受診することを勧めるが、本人が降圧薬の服用を強く希望せず、漢方薬を試したい希望あり。』
Nさんの当院での初診時の血圧は156/94mmHg。赤ら顔で
肥満ぎみな方で、「とにかく、のぼせやすい。毎日、排便はあるがスッキリ感がない。」と言いながら、家族や職場への不満を延々と訴えていらっしゃいました。
「胸脇苦満(キョウキョウクマン)」(詳細は以前の号)がしっかりと認められ、下腹部のハリ、ストレスも考慮し、まずは『大柴胡湯(ダイサイコトウ)』と『桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)』を4週間投与しました。「胸脇苦満」はやや軽減しましたが、肝心の自覚症状は変わりません。そこで、「のぼせ」にも注目して、『三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)』に変更してみることにしました。


変更して2日目に多量の排便があり、「顔のほてりが軽くなり、つかえがスーッととれていく感じがした。」との事でした。4週間の服用で血圧もほぼ正常となり、諸症状も軽減したようです。
更年期の高血圧症の中には、しばしば心気症傾向が強く、降圧薬だけではコントロールが困難なばかりか、逆にその薬の副作用に悩まされることもあります。一般的には「柴胡(サイコ)」という生薬が配合されている漢方薬が有効ですが、症状によっては「お血(ケツ)」(詳細は以前の号)を改善する薬も併用したりします。Nさんの場合は、『桂枝茯苓丸』という「お血」の改善薬の代表選手を使いましたが、有効ではなく、「柴胡」に加えて「黄連(オウレン)」という「清熱薬」が配合された『三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)』が効果的でした。このような薬の加減は個人差があり、難しい点もあるのですが、いずれにせよ「柴胡」が配合された漢方薬は、更年期にみられる「動揺性」高血圧には使ってみる価値はあるかと思われます。
2010年06月02日(水) No.424 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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