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女性と漢方(155) 〜グループをなす漢方薬 (建中湯類)〜


 漢方薬は基本骨格となる生薬の組み合わせにさらにいくつかの生薬を重ねることでバリエーションを増やしていきます。これらはグループをなす処方群として認識することができます。今回は『桂枝加芍薬湯(ケイシカシ..
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2017年08月02日(水) No.804 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(154) 〜水毒に対する漢方薬(熱中症)◆


 今回は前回に引き続き「水毒」の症状の一つとして東洋医学ではとらえられる「熱中症」の漢方薬についてまとめてみます。「水毒」とは西洋医学の「水中毒」とは別の概念で「体内の水分のアンバランス(過不足)」であることは前回述べましたが、「水分の過剰」だけではなく、熱中症・激しい下痢・乾燥気候による水分の喪失は「水分の不足」として「水毒」の範疇としてとらえます。


 熱中症でよく使われる漢方薬は『清暑益気湯(セイショエッキトウ)』『五苓散(ゴレイサン』『白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)』があります。基本的には発汗・熱感・口渇・悪心・嘔吐・尿量減少・下痢のうちいくつか該当するものがあれば『五苓散』が有効です。甚だしい発汗があり、今まさに発熱・口渇の症状があれば『白虎加人参湯』、わずかな発汗・食欲不振・倦怠感があれば『清暑益気湯』となります。また、『五苓散』を使用するようなケースでも、その後の症状が穏やかで軽い食欲不振、下痢があれば『胃苓湯(イレイトウ)』、軟便〜下痢が持続している場合は『六君子湯(リックンシトウ)』『人参湯(ニンジントウ)』『真武湯(シンブトウ)』などにします。熱中症の後で気力がなくなれば『補中益気湯(ホチュウキトウ)』、同時にめまいなどを感じれば『半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)』を選択します。
数年前ですが、知り合いの中学生のお子さんが合宿で熱中症に罹ってしまい、救急外来でビタミン剤を入れた電解質輸液をして帰宅したが、水分を飲むと吐いてしまうというので『五苓散』を溶かして少しずつ口に含んでもらいました。翌日は平熱で悪心・嘔吐もなく病院にも行かなかったようです。この症例では若さと体力に負うところが大きかったと思われますが、漢方薬にはいつもお話しするように即効性が期待できます。
 熱中症に対する西洋医学的対応は予防と脱水に対する補液で当然ながら重要な対応になりますが、漢方治療を介入させることで個々に合わせた幅広い対応が可能になり、漢方薬の存在意義を感じます。私自身も夏場の暑いところに長時間居ることが予想される場合には、ペットボトルに『五苓散』『白虎加人参湯』を携帯するようにしています。
2017年07月05日(水) No.800 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(153) 〜水毒に対する漢方薬(めまい・ふらつき) 


 「水毒」とは西洋医学の「水中毒」とは別の概念で「体内の水分のアンバランス(過不足)」としてとらえます。例えば、二日酔い・熱中症・激しい下痢は脱水による「水毒」で、逆にむくみ・胸水・胃内停水(おなかがチャポチャポする)などは水分過剰として、ほかに水様性鼻汁・喀痰などの分泌異常も「水毒」としてとらえます。重要なことは「利水剤」(水をさばく生薬)として知られている漢方薬で改善が見込める症状を「水毒」と称していると理解していただけるとよろしいかと思います。
 利水剤の基本生薬は「茯苓(ブクリョウ)」「蒼朮(ソウジュツ)」で、「水毒」に対する代表的な漢方薬は『五苓散(ゴレイサン)』です。特にめまいのときによく使われる漢方薬は『五苓散』『真武湯(シンブトウ)』『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』『半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)』『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』があります。
 ちなみに良性頭位性眩暈の急性期には『苓桂朮甘湯』がよく使われます。気力・体力が低下して慢性的なふらつきが起こる場合は『半夏白朮天麻湯』が比較的長期にわたって使われます。この2剤でうまく効かない場合には『五苓散(感染症などの脱水など)』『真武湯(脳動脈硬化?などの一瞬のめまいなど)』『当帰芍薬散(生理中のめまいなど)』に変更または併用したりします。
 西洋医学的には不定愁訴と診断された方で胃腸虚弱と「水毒」に注目して『半夏白朮天麻湯』の処方により倦怠感・ふらつき・目の奥の痛みが改善した例や、数年前から続くアルコール依存症の方の「水毒」によるめまい・頭痛に『苓桂朮甘湯』の処方で改善した症例も私自身経験しています。


 最近で驚いたのは、めまいで利水剤を使っている患者さんが数年間悩まされていた花粉症を回避できたとおっしゃっていたことです。花粉症も一種の「水毒」ととらえることもできますので同時に効果があったのかと思われます。漢方治療では西洋医学の視点では考えられない効果が得られることがしばしばあり、漢方理論が机上の空論ではないことを実感させられます。
2017年05月31日(水) No.796 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(152)〜不眠と漢方薬〜


 世間では不眠を訴える人は約20%も存在し、やや女性に多い傾向があります。また高齢者では30〜40%と頻度が高く、特に中途覚醒と早朝覚醒は高齢者に多くみられます。西洋医学的には様々な睡眠導入薬がありますが、..
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2017年04月26日(水) No.792 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(151)〜更年期のめまい発作〜


 『47歳Gさん。1年位前より特に誘因なくめまいが出現。ぐるぐる回るようなめまいで、一度回ると一日中船酔い状態で、気持ちが悪くなり吐くこともある。ひどいときは近医で点滴治療を受けて改善。軽い時は横になって一晩休むと回復する。耳鼻科で精査し、著明な異常なく「良性発作性めまい症」と診断され、投薬されて服用するも効果が得られず、当院受診。』
 回転性のめまいなので、頻用される『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』を処方しましたが、やや軽快はするものの十分な効果は得られませんでした。月経の周期は不規則であり、めまいの発作がよく出現するパターンは、.好肇譽垢魎兇犬謄ぅ薀ぅ蕕垢觧、不規則な月経の前後、2鴇譴僚襪て、冬場の室内で暖房が強い時、などでした。


 「気」や「血」の異常の関わりが認められるため、それに伴う「水毒」によるめまいも考慮して、『加味逍遥散(カミショウヨウサン)』に変更してみました。3週間後、生理前後のめまい発作が軽くなり、発作が数時間で消えるとの事でした。継続して飲んでもらったところ、最近はイライラも良くなったようでした。その後は普段、朝一回のみ内服してもらい、生理前後にめまい感があるときは、2〜3回頓用してもらっています。
 一般的に、めまいは脳の血流低下や、様々な精神症状によって起きる、女性に多くみられる症状です。Gさんのめまいは、前述の,筬△離僖拭璽鵑肪輒椶垢襪函更年期障害に関連していると思われます。更年期障害には様々な漢方薬が処方されますが、Gさんにはストレスを感じてイライラする時によく処方される『加味逍遥散』を用いました。
 漢方薬の処方は、有効性の程度に応じて、薬を変更していくことが重要です。今回は更年期障害に伴うめまいという点ではまさに「木を見て森を見ず」ということが実感させられた症例でした。
2017年03月30日(木) No.788 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(150)〜呼吸器症状を伴う更年期障害〜


『53歳Fさん。51歳で閉経し、その頃より寝つきが悪くなった。1年前から冷えのぼせを感じることが多くなり、市販の更年期に良いといわれている漢方薬を4ヶ月位服用したが、効果がみられないため、漢方治療を希望し..
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2017年03月01日(水) No.784 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(149)〜腰痛症に対する漢方薬〜


 腰痛はぎっくり腰などの急性なものから慢性なものなど様々なケースがありますが、今回は腰痛に関わる漢方薬についてお話いたします。腰痛は整形外科的な治療がまずは重要ですが、それでも完全に症状が改善しない場合やそれに伴う不定愁訴が続く場合には漢方薬が役立つことがあります。


 ぎっくり腰などの急性のものには『芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)』を頓用すると劇的に良くなります。これは症状が出現した場合になるべく早急に内服するのがコツです。
 慢性的な腰痛にしびれを伴う場合には『牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)』、それに下肢の冷えを伴う場合には『当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)』、特に腰痛以外に症状がない場合には『疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)』をよく使います。 慢性化した腰痛には「瘀血(オケツ)」といういわゆる「うっ血」によるものが多く、これを改善する「駆瘀血薬」である『桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)』などを併用するとより効果的です。
 長い距離を歩けない、特にある一定の距離を歩くとそれ以上は休まないと歩けなくなる症状(間歇性跛行)には動脈の閉塞などによっておこる血管性のものと、腰部脊柱管狭窄症などによっておこる整形外科的なものがありますが、症状の原因は別でもどちらの場合にも漢方医学的には『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』が有効であることが知られています。
 腰痛症は手術による治療が可能であれば、それが最優先ですが、何らかの理由でそれができないとか、手術までの待機中などにも漢方薬は適応となります。
 症状の改善には一筋縄ではいかない場合も多いですが、痛みが強い場合にはさらに『附子(ブシ)末』を加えたり、「気」を補う『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』を用いたりもします。腰痛が続くと気持ちも落ち込んだりしますが、漢方薬はそちらもカバーしますので、漢方治療はある意味では実践的な治療でもあると思います。
2017年02月01日(水) No.780 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(148)〜認知症に対する漢方薬〜


 「財布がなくなった」「赤いヤッケを着た女の人がいる」「私はどこも悪くない」「家族がみんなだらしないので気合いをいれている」「どうもお邪魔しました」。これらはレビー小体型認知症と画像診断された82歳の女性の言動です。正常な方でも発する言動ですが、時と場合によっては、周辺の人もおかしな言動と感じることがあります。
 当院には老健施設に入所中の方も婦人科のトラブルでよく来院されますが、認知症が進行してくると介助されるスタッフや家族の方もいろいろな意味で大変です。数年前から認知症に対する漢方薬として『抑肝散(ヨクカンサン)』が注目され、最近使用されている方も多いようですが、今回はこの薬に関してお話いたします。


 『抑肝散』は「釣藤鈎(チョウトウコウ)」と「柴胡(サイコ)」という生薬の組み合わせで鎮静の効果が強い漢方薬です。もともとは小児の夜泣きやひきつけに用いられていましたが、最近の研究では特にレビー小体型認知症の不眠・徘徊・不安・焦燥感・食行動異常・幻覚・妄想・暴言・暴行などの周辺症状にも有効なことが分かってきました。
 以前に認知症の女性に使用しましたが、数週間後には全般的に「落着き」が現れてきたようでした。その後、その方のご主人が妻の認知症を受け入れることができずに怒鳴り散らすことが多くなるという家族の訴えで、今度はご主人にも『抑肝散』を処方しました。
 夜泣きの子供には母親のストレスを考慮して母親も同時に服用(母児同服)することが効果的であることは古来から知られています。先の症例では夫婦同服によりご主人も妻の認知症の理解と「落着き」が現れてきたようです。
 『抑肝散』は近年になって頻用され、その有用性が特に「レビー小体型認知症の緊張状態を緩和する」という点で認められていますが、記憶障害、認知機能障害などの中核症状の改善には至っておりません。すなわち『抑肝散』は認知症そのものを治す漢方薬ではなく、日常生活動作の改善、介護者の負担の軽減につながる有用な漢方薬として位置づけられます。漢方薬の効果を過度に期待するのではなく、この点を理解して使うことが重要です。
2016年12月29日(木) No.776 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(147)〜インフルエンザに対する漢方薬〜


 抗インフルエンザ薬が十分に供給される保険システムを有する日本においては、2010年の新型インフルエンザ流行期には世界で最も死亡例が少ない国でした。症状の早期軽快、重症化の回避などの最近の薬の治療効果..
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2016年12月01日(木) No.772 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(146)〜慢性疲労症候群(CFS)と漢方薬(その2)〜


 慢性疲労症候群(CFS)は原因不明かつ難治性の疾患で発症すると長期にわたり疲労・倦怠感が持続し、日常生活にかなりの支障をきたしている方も多いです。残念ながら未だに西洋医学による効果的な治療法も少なく..
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2016年11月02日(水) No.768 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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