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女性と漢方(152)〜不眠と漢方薬〜


 世間では不眠を訴える人は約20%も存在し、やや女性に多い傾向があります。また高齢者では30〜40%と頻度が高く、特に中途覚醒と早朝覚醒は高齢者に多くみられます。西洋医学的には様々な睡眠導入薬がありますが、..
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2017年04月26日(水) No.792 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(151)〜更年期のめまい発作〜


 『47歳Gさん。1年位前より特に誘因なくめまいが出現。ぐるぐる回るようなめまいで、一度回ると一日中船酔い状態で、気持ちが悪くなり吐くこともある。ひどいときは近医で点滴治療を受けて改善。軽い時は横になって一晩休むと回復する。耳鼻科で精査し、著明な異常なく「良性発作性めまい症」と診断され、投薬されて服用するも効果が得られず、当院受診。』
 回転性のめまいなので、頻用される『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』を処方しましたが、やや軽快はするものの十分な効果は得られませんでした。月経の周期は不規則であり、めまいの発作がよく出現するパターンは、.好肇譽垢魎兇犬謄ぅ薀ぅ蕕垢觧、不規則な月経の前後、2鴇譴僚襪て、冬場の室内で暖房が強い時、などでした。


 「気」や「血」の異常の関わりが認められるため、それに伴う「水毒」によるめまいも考慮して、『加味逍遥散(カミショウヨウサン)』に変更してみました。3週間後、生理前後のめまい発作が軽くなり、発作が数時間で消えるとの事でした。継続して飲んでもらったところ、最近はイライラも良くなったようでした。その後は普段、朝一回のみ内服してもらい、生理前後にめまい感があるときは、2〜3回頓用してもらっています。
 一般的に、めまいは脳の血流低下や、様々な精神症状によって起きる、女性に多くみられる症状です。Gさんのめまいは、前述の,筬△離僖拭璽鵑肪輒椶垢襪函更年期障害に関連していると思われます。更年期障害には様々な漢方薬が処方されますが、Gさんにはストレスを感じてイライラする時によく処方される『加味逍遥散』を用いました。
 漢方薬の処方は、有効性の程度に応じて、薬を変更していくことが重要です。今回は更年期障害に伴うめまいという点ではまさに「木を見て森を見ず」ということが実感させられた症例でした。
2017年03月30日(木) No.788 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(150)〜呼吸器症状を伴う更年期障害〜


『53歳Fさん。51歳で閉経し、その頃より寝つきが悪くなった。1年前から冷えのぼせを感じることが多くなり、市販の更年期に良いといわれている漢方薬を4ヶ月位服用したが、効果がみられないため、漢方治療を希望し..
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2017年03月01日(水) No.784 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(149)〜腰痛症に対する漢方薬〜


 腰痛はぎっくり腰などの急性なものから慢性なものなど様々なケースがありますが、今回は腰痛に関わる漢方薬についてお話いたします。腰痛は整形外科的な治療がまずは重要ですが、それでも完全に症状が改善しない場合やそれに伴う不定愁訴が続く場合には漢方薬が役立つことがあります。


 ぎっくり腰などの急性のものには『芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)』を頓用すると劇的に良くなります。これは症状が出現した場合になるべく早急に内服するのがコツです。
 慢性的な腰痛にしびれを伴う場合には『牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)』、それに下肢の冷えを伴う場合には『当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)』、特に腰痛以外に症状がない場合には『疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)』をよく使います。 慢性化した腰痛には「瘀血(オケツ)」といういわゆる「うっ血」によるものが多く、これを改善する「駆瘀血薬」である『桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)』などを併用するとより効果的です。
 長い距離を歩けない、特にある一定の距離を歩くとそれ以上は休まないと歩けなくなる症状(間歇性跛行)には動脈の閉塞などによっておこる血管性のものと、腰部脊柱管狭窄症などによっておこる整形外科的なものがありますが、症状の原因は別でもどちらの場合にも漢方医学的には『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』が有効であることが知られています。
 腰痛症は手術による治療が可能であれば、それが最優先ですが、何らかの理由でそれができないとか、手術までの待機中などにも漢方薬は適応となります。
 症状の改善には一筋縄ではいかない場合も多いですが、痛みが強い場合にはさらに『附子(ブシ)末』を加えたり、「気」を補う『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』を用いたりもします。腰痛が続くと気持ちも落ち込んだりしますが、漢方薬はそちらもカバーしますので、漢方治療はある意味では実践的な治療でもあると思います。
2017年02月01日(水) No.780 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(148)〜認知症に対する漢方薬〜


 「財布がなくなった」「赤いヤッケを着た女の人がいる」「私はどこも悪くない」「家族がみんなだらしないので気合いをいれている」「どうもお邪魔しました」。これらはレビー小体型認知症と画像診断された82歳の女性の言動です。正常な方でも発する言動ですが、時と場合によっては、周辺の人もおかしな言動と感じることがあります。
 当院には老健施設に入所中の方も婦人科のトラブルでよく来院されますが、認知症が進行してくると介助されるスタッフや家族の方もいろいろな意味で大変です。数年前から認知症に対する漢方薬として『抑肝散(ヨクカンサン)』が注目され、最近使用されている方も多いようですが、今回はこの薬に関してお話いたします。


 『抑肝散』は「釣藤鈎(チョウトウコウ)」と「柴胡(サイコ)」という生薬の組み合わせで鎮静の効果が強い漢方薬です。もともとは小児の夜泣きやひきつけに用いられていましたが、最近の研究では特にレビー小体型認知症の不眠・徘徊・不安・焦燥感・食行動異常・幻覚・妄想・暴言・暴行などの周辺症状にも有効なことが分かってきました。
 以前に認知症の女性に使用しましたが、数週間後には全般的に「落着き」が現れてきたようでした。その後、その方のご主人が妻の認知症を受け入れることができずに怒鳴り散らすことが多くなるという家族の訴えで、今度はご主人にも『抑肝散』を処方しました。
 夜泣きの子供には母親のストレスを考慮して母親も同時に服用(母児同服)することが効果的であることは古来から知られています。先の症例では夫婦同服によりご主人も妻の認知症の理解と「落着き」が現れてきたようです。
 『抑肝散』は近年になって頻用され、その有用性が特に「レビー小体型認知症の緊張状態を緩和する」という点で認められていますが、記憶障害、認知機能障害などの中核症状の改善には至っておりません。すなわち『抑肝散』は認知症そのものを治す漢方薬ではなく、日常生活動作の改善、介護者の負担の軽減につながる有用な漢方薬として位置づけられます。漢方薬の効果を過度に期待するのではなく、この点を理解して使うことが重要です。
2016年12月29日(木) No.776 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(147)〜インフルエンザに対する漢方薬〜


 抗インフルエンザ薬が十分に供給される保険システムを有する日本においては、2010年の新型インフルエンザ流行期には世界で最も死亡例が少ない国でした。症状の早期軽快、重症化の回避などの最近の薬の治療効果..
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2016年12月01日(木) No.772 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(146)〜慢性疲労症候群(CFS)と漢方薬(その2)〜


 慢性疲労症候群(CFS)は原因不明かつ難治性の疾患で発症すると長期にわたり疲労・倦怠感が持続し、日常生活にかなりの支障をきたしている方も多いです。残念ながら未だに西洋医学による効果的な治療法も少なく..
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2016年11月02日(水) No.768 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(145)〜産後の精神トラブルと漢方薬〜


『31歳Mさん。第2子の出産後から不眠が続き、突然イライラして物を投げつけたりすることもあり、来院されました。初診時は何もする気にならない状態や、突然悲しい気分になり涙を流したり、家族に暴言を吐くといっ..
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2016年10月05日(水) No.765 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(144)〜漢方薬解説(3)白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)〜


 今回は『白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)』についてお話します。「白虎」とは秋をもたらす神の名です。この漢方薬には、鉱物の「石膏」が使用され重要な役割りをはたしています。「石膏」は白い色でギブスや石膏像でおなじみですが、漢方薬としては身体にこもった熱を冷ます働きがあります。『白虎加人参湯』は熱中症に使われる漢方薬として有名ですが、熱中症のみならず「口渇」や「身体のほてり」のある症状にも全般的に有効です。口渇をきたす疾患は心因性のものが多い傾向がありますが、シェーグレン症候群などの口内乾燥症や薬剤性の口渇にも有効なことがあります。また、糖尿病性の口渇にもよいのですが、原疾患の治療が最優先であることは言うまでもありません。ほてりや発汗では、更年期症状のそれにも効果がみられます。私自身の経験では、ほてりのために不眠になった方に何度か用いて有効だった症例があります。また、皮膚の熱感を抑えるので、アトピー性皮膚炎にも用いることもあります。


 有名な詩人北原白秋の名前のように、白色は秋を象徴する色です。実は『白虎加人参湯』は秋をイメージし象徴した薬なのです。つまり暑さのために火照った体を、秋の涼しさのようにさわやかにする働きからの命名であります。『白虎加人参湯』は体の熱感やほてり、発汗、口の渇き、頭痛といった熱中症特有の症状が出現した時によく使用されますが、ペットボトルなどに溶かして少しずつ飲用すると熱中症の予防にもなります。
 いずれにせよ、『白虎加人参湯』は発汗しているもの・熱(熱感)のあるものに有効です。舌を診る場合には、舌が赤く、乾燥しているのが使用目標の特徴です。アトピー性皮膚炎の中でも皮膚の赤みが強く、熱をもっている状態の場合には『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』(清熱作用が強い)と組み合わせて用いるとさらに効果が高まり、私は皮膚炎の漢方治療の初期にこの組み合わせを用いることがあります。『黄連解毒湯』はもっぱら熱を取る薬であるのに対し『白虎加人参湯』は潤いをもたらす作用があります。ですから、乾燥しているときや脱水に近い状態に有効なのです。
2016年09月01日(木) No.756 (山内先生(産婦人科)のコラム)

女性と漢方(143)〜夏場の冷えと漢方薬〜


 『40歳Nさん。最近、知人に勧められ水を多く飲むようになった。元々やせ型で冷え症だが、夏に入り夏バテ気味なので、栄養をつけようとこの1週間スイカなどの果物を連日食べ、昨日はかき氷を食べたところ、胃がつまった感じで苦しくなり、シクシク痛むようになり、内科で以前もらった薬を飲んだが、効果が今一つで来院時についでに?漢方薬を希望。』
 Nさんの場合、元々冷え症で胃弱の人が冷たい物を摂り過ぎた結果、漢方医学でいう「胃寒証」の状態と思われたので、こういう場合の第一選択薬である『人参湯(ニンジントウ)』を処方しました。結果は1週間で症状は改善したようでした。
 最近は血栓予防のため水をいっぱい飲むことを推奨し、体質に関係なくドンドン水分を採る人が増えてきました。漢方医学的には「熱証」または多血症傾向にあれば、ラジエータの役割として水を多く採ることは理にかなっていますが、「虚証」タイプ(詳しくは以前の号)で冷え症の人の場合はどうでしょうか?


冷え症で悩む方は一年を通じて絶えないようですが、特に夏場は体温を超える暑い戸外と冷房の効きすぎた室内などの激しい温度差、冷たい飲み物の摂り過ぎ、暑い夜の睡眠不足などの外的要因によって体温の調節をしている自律神経がバランスを崩し、冷え症になる人が多くなりがちです。
 冷たいものを摂取したことによる胃腸障害には『人参湯』『六君子湯(リックンシトウ)』などの「人参」を含む漢方薬が有効ですし、クーラー病としての冷えなどには『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』『五積散(ゴシャクサン)』などが用いられます。
 現代人は外の暑さから身を守る知恵と技術を持ち、外に対してはより涼しい場所へ、最終的にはクーラーの効いた部屋で過ごし、内に対しては身体の芯を冷やすために冷たい物を多く採るようになり、その結果として、夏なのに「冷え」という病態が特に「虚証」傾向の人には起こりやすくなります。
 体質に合わせた避暑法を取りたいものですが、私自身「虚証」タイプではありませんが、クーラーの効いた部屋でアイスキャンディーを2本食べた後は、こっそり『人参湯』を一包飲んでいます(笑)。
2016年08月04日(木) No.760 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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