タイトル

巻き爪〜治療編〜


 今回は巻き爪の実際の治療についてお話しします。
 巻き爪や陥入爪で、爪が肉に刺さって痛いときに自分で簡単に出来る治療があります。応急処置なので爪を矯正する力はありませんが、痛みは軽減されます。病院に行くほどでもないという方は一度ためしてみてください。
●テーピング
 爪が皮膚に食い込むことが痛みの原因なので、テープで引っ張って爪から皮膚を引き離すように固定します。テープの端をできるだけ爪の端ギリギリに貼り、皮膚ごとテープを強く引っ張りながら指の下を通し、反対側に回して固定します。深爪が原因で痛みが出ている方は、爪を伸ばすことが必要です。しかし伸びてくるまでに痛みが出て我慢できなくて切ってしまうことが多いのですが、そういうときにとても有効な方法です。テープは、布製の伸縮性のあるタイプが適しています。
●コットンパッキング
 コットンや脱脂綿を小さくちぎって丸め、爪が当たっている部分にピンセットなどで詰め込みます。爪と皮膚の隙間が広がり痛みが軽減されるので、軽度の巻き爪に効果的です。ただし、化膿していたり、コットンを挟む余地がない場合は強引に詰め込まないようにしてください。
 テーピングもコットンパッキングも、足を清潔にした入浴後がベストです。不衛生になるので1日1回は取り替えましょう。


 医療機関での処置が必要なものとしては、
●矯正
 ワイヤー、プレート、アクリルジェルなどで弯曲した爪を矯正する方法です。
●手術
 炎症が強く肉が盛り上がっていたり、爪の幅が広いことが原因の場合、爪を一部切除したり、爪の幅を狭くする手術を行うことがあります。
 どの治療を選択するかは、爪の巻き方や厚さ、ライフスタイルによっても異なります。しかし、単独で行っただけでは根本的な治療にならないことが多いのです。治療の基本は、爪の切り方、靴の選び方を見直すことです。
2019年08月28日(水) No.921 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

正しい靴の選び方


 今回は靴の選び方についてお話しします。
 足は、すべての荷重と歩行による衝撃を受け続けています。足の形や生活スタイルは千差万別であり、足の特徴に合った靴を履かないと徐々に足や爪は変形してきてしまいます。
 靴の選び方で大切なポイントがいくつかあります。
●足趾のまわりにゆとりがあること。
 足趾の動きを妨げないように、足趾の先から1〜1.5僂らいのゆとりが必要です。先の細いハイヒールなどは、圧迫されて爪や足の変形につながります。
●足の甲部分で締め具合を調節できること。
 靴のなかで足が前後左右に動いてしまわないようにしっかり固定できることが大切です。足は時間帯によってむくみの状態が違うので、紐、ベルクロで調節ができるものを選びましょう。
●踵がしっかりと固定されること。
●適度なクッション性
 衝撃をやわらげ、足をサポートします。
●通気性
 日本は高温多湿のため真菌(水虫)の発生が多い国なので、通気性が良いことは大切です。
●インソール(中敷き)を使うこと。
 これが非常に大切になります。健常な足の裏には、衝撃を吸収するために縦方向と横方向にアーチ構造があります。これが崩れてしまうことが多くの足や爪の不調、更には膝や腰の痛みを引き起こしています。土踏まずなどの凸凹がしっかりとついたインソールでアーチを支えることで、これらを予防することができます。


 以上のポイントを良く満たすのはスニーカーです。
 靴を脱ぎ履きするときは、面倒臭いですけれど都度紐をほどき、踵を地面にコンコンとして踵の位置を合わせてから、先のほうから紐を適度に締めて履きましょう。 正しい靴を選ぶことで巻き爪だけではなく、たこ、うおのめ、外反母趾などの足の変形、更には膝痛・腰痛などの予防・進行防止にもなります。
 次回は巻き爪の具体的な治療法をお話ししますが、いくら治療を行っても靴やインソールが足に合っていないと何度でも再発してしまいます。治療の前に、予防がとても大切ですので、次回靴を選ぶときには思い出してみてください。
2019年07月31日(水) No.916 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

巻き爪〜爪切りとフットケア編〜


 前回は、爪の切り方によって巻き爪や炎症を起こしやすくなることをお話ししました。今回はこれらを予防する正しい爪の切り方について説明します。
 爪の弯曲が強い場合や、爪が厚くなっている場合は普通の爪切りで切るのは難しいので、ニッパー型の爪切りやヤスリをを使うことをお勧めします。
 切り方のポイントは、先端は直線上に切り、角は切らず軽く丸めることです。爪の長さは短すぎても長すぎてもいけません。爪の先の白い部分は全部切らず、少し残すくらいにして、指先と同じ程度に揃えましょう。そして、両端はついつい切りたくなってしまうのですが、ヤスリで丸めていくのが正しい方法です。爪が肥厚してしまっている場合は表面もヤスリで削りますが、削りすぎると爪が割れてしまうことがあるので注意が必要です。
 爪を切るタイミングはお風呂上がりの爪が柔らかくなった時が最適で、最後にオイルやクリームで保湿をしてあげれば完璧です。


 すでに痛みや炎症がある方は自分で無理に切らず、病院を受診してください。
 「フットケア」とは、角質やタコ、ウオノメ、爪の手入れ、巻き爪のケアなどを行い健康で美しい素足を保つ技術です。体重を支えている土台である足にトラブルがあれば、足だけでなく体のゆがみ、肩こり、腰痛など全身へ影響を及ぼしてしまいます。
 フットケアの先進国ドイツでは、足病専門医である「ポロドーゲ」という国家資格があり、靴職人などの技術者の育成も国レベルで整備されていて、フットケアは美容院や歯医者に通うのと同じくらいの感覚で日常生活に浸透しているそうです。一方で日本では足への健康意識はまだまだで、ドイツに比べてフットケアを取り巻く環境は100年の遅れをとっているといいます。しかし最近は日本でもフットケアの外来や、足専門のクリニックが増えてきています。
フットケアは第一に足に関心を持つことから始まります。まずは爪の切り方から始めましょう。
2019年06月26日(水) No.911 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

巻き爪〜原因編〜


 巻き爪とは、字の如く爪が巻いている状態で、多くは足の親指に起こります。程度は様々ですが、かなり弯曲が強くても痛みがない方もいれば、弯曲が軽度でも痛みが強い方もいます。痛みがあると歩き方や姿勢が悪くなるため膝や腰の痛みの原因となり、高齢者の場合、転倒につながる可能性もあります。
 巻き爪になる主な原因は、「爪の切り方」と「爪への力のかかり方」です。
 爪を切るときに深爪になってしまうと、指に力がかかったときに爪の周りの皮膚が力を受けて盛り上がってきます。その結果爪はまっすぐ伸びることができず、両端が巻いてきたり厚みが増してきます。


 爪の両端を切り残してしまい棘のようになった爪が皮膚に突き刺さり、痛みや炎症を起こした経験がある方は多いと思います。その痛みをなんとかしようとして深爪を繰り返すとさらに周りの皮膚が盛り上がり、悪循環に陥ってしまいます。
 また、足の形に合わない靴を履いている場合や、膝・腰などの痛みや扁平足・外反母趾などの変形があり歩行時に局所的に過剰な力がかかる場合に爪が巻いてきます。
 反対に、爪に力がかからない状態でも爪は巻いていきます。本来爪は丸まっていく性質がありますが、通常は歩行時に地面からの力
が適切に加わることで爪は平らになっていきます。力が加わらない状態が続くと爪はどんどん巻いてきてしまうのです。寝たきりの人や、足の指に力をいれずにペタペタと歩く癖がある人(浮き足)にみられます。つまり爪にバランスよく適切な荷重がかかることが大切なのです。
 このように、爪の変形は爪自体の問題ではなく、これらの外的要因によって引き起こされていることが多く、これらを改善し予防することが治療の第一歩です。
 次回は爪の切り方についてお話しします。
2019年05月29日(水) No.906 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

やけど(後編)


 熱傷は深さによって分類されます。浅い熱傷では皮膚に赤みが出る程度で、炎症を抑える軟膏でほとんど後遺症を残さずに治ります。深くなると水ぶくれができ、強い痛みを伴います。さらに深くなると皮膚に血の気がなくなり白くなったり、炎で受傷した場合には炭のように黒くなったりします。ここまで深くなると神経まで損傷されるので痛みはありません。深い熱傷になるほど治るのに時間がかかり、後遺症を残したり、場合によって手術が必要になることもあります。
 熱傷を受傷したらすぐに冷やすことが大切です。冷やすことで熱傷が深くなるのを防ぎ、痛みを和らげることができます。水道水で5〜30分を目安に冷やしましょう。ただし、広範囲の場合、長時間冷やすと小児や高齢者では低体温になることがあるので注意が必要です。熱傷の部位は徐々に腫れてきますので、指輪などのアクセサリーをつけている場合には早めに外しましょう。


 浅い熱傷の場合は軟膏などで治療をします。湿潤環境(皮膚の細胞が治癒しやすい環境)を保つように軟膏や被覆材を選択します。
 水ぶくれが出来てしまった場合、必ずしも潰したりはがしたりする必要はありません。中の液体には傷を早く治す成分が含まれ、また浮き上がった皮にも創部を保護して痛みをとり、傷を早く治す
作用があります。ただし、大きい場合やパンパンに膨らんで組織を圧迫しているような場合は中の水を抜いたり、皮がめくれ上がったり細菌感染の原因になりそうな場合は除去する必要があります。水ぶくれを伴うような熱傷では病院の受診をお勧めします。
 さらに深い熱傷で皮膚が死んでしまった場合は、死んだ組織をそのままにしておくと治りが悪く、また細菌感染の原因になるので、基本的に除去します。範囲が大きければ新しい皮膚ができるまでに時間がかかり後遺症をのこす可能性があります。この場合は、植皮術といって皮膚を別のところから持ってきて移植する手術を行うことがあります。
 また、熱傷のあとがいつまでもジュクジュクと治らない場合は、有棘細胞癌などの皮膚癌に進展している可能性があるので注意が必要です。
2019年04月24日(水) No.901 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

やけど(前編)


 やけどは日常生活で最も多いけがの一つです。
 皮膚に様々な熱源が接触することにより障害を生じた状態で、医療用語では「熱傷」といいます。熱傷は範囲や深さに応じた治療が必要ですが、受傷直後の応急処置も重要です。ここでは熱傷の基礎知識と治療法について解説していきます。
 熱傷の程度は、接触する熱源の温度と接触時間によって決まります。非常に高温のものであれば短時間の接触でも熱傷になる一方で、44〜50℃程度の低温のものでも長時間接触していると熱傷になります。これを低温熱傷といいます。また皮膚が薄い子どもや、大人でも皮膚が薄い部分では重症になりやすい傾向があります。
 熱源としては、高温の個体や液体、炎や爆発による爆風などがあります。特殊な熱傷としては、電流による電撃傷や、薬品(酸やアルカリなど)による化学熱傷があります。
 原因として多いものは、液体では調理中のお湯、油、カップラーメンなど、固体ではストーブやアイロン、ホットプレートなど、炎では調理中の服への引火、仏壇のろうそくからの引火などがあります。また子どもでは炊飯器や加湿器の蒸気に手をかざして受傷する例が多く見られるので、設置場所には注意が必要です。低温熱傷は冬に多く、湯たんぽやカイロ、ストーブの近くに長時間いての受傷があり、重症になりやすい傾向があります。


 深い熱傷や広範囲の熱傷の場合は、全身状態が悪化して命に関わることがありますので専門施設での治療が必要になります。また重症でない場合でも適切な治療が行われない場合には、傷に細菌が感染し治るのが遅くなったり、傷跡の色素沈着、盛り上がり、ひきつれなどの後遺症を残すこともあります。熱傷を受傷した場合には、できるだけ早期に病院を受診することをお勧めします。
次回は、実際の治療についてお話しします。
2019年03月27日(水) No.896 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

肥厚性瘢痕・ケロイド


 擦り傷や切り傷、手術による傷が治った後には、傷あとが残ります。最初は赤かった傷あとが、時間がたつにつれて白くなっていくのが普通の経過ですが、傷あとが赤く盛り上がることがあります。これを肥厚性瘢痕といいます。炎症がなかなかひかず、傷跡は赤く盛り上がり、痒みや痛みを伴います。
 肥厚性瘢痕よりも炎症の強いものをケロイドといいます。ケロイドは体質によるものが多く、遺伝することもあります。胸や肩、お腹、耳などに出来ることが多く、ニキビや注射のあと、虫刺されなど、普通では問題にならないような小さな傷から出来ることもあり、最初の傷あとを超えて大きくなります。
 原因は局所的あるいは全身的な因子があり、色々な悪条件が重なると肥厚性瘢痕・ケロイドという状態になると考えられています。
 局所的な因子としては、傷の大きさや深さ、向き、場所などです。深い傷や、関節や首など体が動くと引っ張られる場所に出来るとなりやすく、また傷の治りが悪いと肥厚性瘢痕・ケロイドになるリスクが上がります。スポーツ選手や肉体労働者など体をよく動かす人では悪化しやすいことが知られています。


 全身的な要因としては、人種や遺伝、女性ホルモンや血圧、飲酒などがあります。
 治療は、飲み薬、塗り薬、貼り薬、注射、レーザーなどがありますが、単独で効果のあるものは少ないのが現状で、これらを組み合わせて治療していきます。また、肥厚性瘢痕・ケロイドは傷に力がかかることで悪化するので、早期からしっかりテープ固定をすることが重要です。
 これらは手術をしないで軽快する場合も多いですが、ひきつれの原因となったり(瘢痕拘縮)、目立つ場所で見た目が良くなければ手術することもあります。
2019年02月27日(水) No.891 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

傷あとのケア


 切り傷、すり傷、火傷、手術などの傷あとは、誰しも1つ2つ体に残っているものです。
 できるだけ目立たない綺麗な傷あとにするためには、傷が治ったあとのケアが重要です。手術の傷を例にすると、実は手術・抜糸までが半分、その後のケアが半分です。
 手術では、医師が綺麗な傷になるように色々な工夫をこらして縫合します。1週間程度で傷はふさがり抜糸をしますが、その後も傷あとの変化は続きます。最初の数ヶ月は、傷あとの中の細胞の活動が活発になるため、だんだん赤くなります。そのあとは半年から一年ほどで徐々に活動は沈静化し、傷あとは白くなってきます。


 傷あとの活動が活発な時期に擦れたり引っ張られたり、紫外線に当たったり、乾燥などの刺激が加わると、細胞が過剰に反応してしまい傷あとが太くなったり、赤く盛り上がったり、色素沈着が発生してしまいます。傷あとの反応は傷の大きさ、形、深さや場所によっても変わってきます。肩、胸まわりや関節周囲など、よく動く場所は長引く傾向があります。また体質によっては反応がなかなか収まらず、肥厚性瘢痕・ケロイドという状態になることもあります。
 そこで、こうした刺激を避けるためにテープを貼っておくことをお勧めしています。傷は力がかかることによって悪化します。テープは傷あとが擦れたり引っ張られ
ることを防いだり、紫外線から守ったり、保湿をするという役割があります。
 どんなに綺麗な手術あとも放っておくと汚い傷あとになってしまいます。切り傷、擦り傷や火傷のあとなども基本的には一緒で、綺麗な傷にするために必要なことは創部を固定、安静にし、乾燥や擦過などの刺激から守ることです。術後にテープで固定、保護することは最終的な仕上がりにとって必須の作業です。
 ちなみに、傷の治りやすさには人種差があり、白色人種に比べて黄色人種、黒色人種の人は傷の治りが相対的に遅く、傷あとも綺麗になりにくいと言われています。
次回は肥厚性瘢痕、ケロイドについてお話しします。
2019年01月30日(水) No.885 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

傷の処置


 一昔前、傷は消毒をして乾燥させて治す事が一般的でした。当然のように病院でも行われてきたことですが、最近は考え方が180度変わってきています。
 最近の創傷治療の考えは、「傷口は湿潤環境におき、消毒は不必要」とされています。湿潤環境とは潤った状態のことです。傷から染み出してくる浸出液には傷を治す成分が多く含まれており、適切な湿潤環境では細胞は生き生きと増え、えぐれた部分も含め皮膚が覆ってきます。傷を乾かしてしまうと細胞は干からびて死滅し、傷はなかなか治りません。
 消毒薬は傷口の細菌を殺しますが、体の細胞や傷を治そうとしている成分も障害を受けてしまいます。細菌は洗うだけで十分綺麗に流されます。


 実際には、まず傷を負った直後に傷口についた汚れをよく洗います。砂などが残ると、「外傷性刺青」になり、後々に色が取れなくなるので注意が必要です。
 毎日の処置でもまず傷を洗います。傷を早く綺麗に治す上で最も大切なのは、傷を清潔に保つ事です。汗や老廃物などの汚れが傷のまわりにたまると、感染症の原因となってしまいます。洗うのは水道水で構いませんが、浴槽に溜まっているものは汚い場合があるので使いません。石鹸やボディソープの泡でやさしく洗いましょう。
 軟膏には、傷を早く治す薬、感染した傷を治す薬など、また傷の性状によって、傷から出る水分を保持するものや吸収するものなどがあります。状態と合わない薬を用いると治りを遅くすることもあり、専門医の適切な判断が必要です。
 また、傷を湿潤に保つような被覆剤やサランラップ療法などは、どんな傷にも使える訳ではありません。このような被覆剤はきれいな傷で初めて効果が期待できるもので、死んだ組織が残っていたり、化膿しているような傷に何日も貼り付けていたのではかえって傷は悪化してしまいます。
 自宅で処置できる傷かどうかを見極める事が大切です。深い傷や、砂などが自分で取りきれない場合は病院で適切に処置をしてもらいましょう。
 次回は、傷が治った後の「傷あとのケア」についてお話しします。
2018年12月26日(水) No.879 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

粉瘤(アテローマ、表皮のう腫)


粉瘤は皮膚の良性腫瘍のなかで最も多いものの一つです。
 皮膚の下に袋状の構造物(のう腫壁)ができ、本来皮膚から剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が袋の中に溜まって出来たものです。やや盛り上がった痛みのないしこりで、皮膚に袋の開口部の穴がある事が多く、皮膚に密着してやや硬く触れます。しこりを押して、白くて臭いものがニュルルと出てきた事がある人も多いのではないでしょうか。「脂肪のかたまり」などと呼ばれたりしますが、これは脂肪ではなく角質や皮脂、いわゆる垢です。
 からだ中どこにでもできますが、顔、背中、耳の後ろなどに出来やすい傾向があります。あまり大きくならずに自然に無くなる事もありますが、多くは放っておくと角質や皮脂は徐々に溜まっていき、少しずつ大きくなります。また、開口部より細菌が侵入して化膿する事があり、こうなると赤く腫れ上がり、痛みを伴います。

 
 悪性化することはほとんどありませんが、ごくまれに癌化したという報告もあり、中高年男性のお尻に生じたものに多いと言われています。
 治療は手術で切除をするのですが、通常は局所麻酔で日帰りで行います。開口部を含めて皮膚を切開して内容物を袋ごと摘出し、傷跡は皮膚のシワに合わせて目立たないように縫合します。袋の一部
が残ってしまうとそこからまた角質や皮脂が出て来て再発してしまうので、袋を取り切る事が重要です。
 一度化膿して炎症を起こしてしまうとこの袋がわかりづらくなってしまうため、可及的に皮膚を切開して膿を出し一度炎症を落ち着かせた後、再びできものが大きくなってきた頃に手術をする、という二度手間になってしまい、普通に手術を行った場合と比べて傷跡も劣ります。
 私が経験した一番大きな症例ですが、数十年放置した後に、後頭部にもう一つ頭がくっついているくらい大きく育ってしまったものがありました。ここまで大きくなると全身麻酔が必要で、傷跡も大きくなるので大変です。
 ある程度の大きさの粉瘤は切除をお勧めします。
2018年11月28日(水) No.873 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

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