タイトル

指粘液のう腫


 指粘液のう腫は、指の関節に発生する良性の腫瘍です。
 加齢により指の関節の骨が変形して棘のように尖り、関節に炎症が起こった結果、関節液が関節の外にでてきて腫瘤を作ります。また組織の変性により粘液が過剰につくられて腫瘤を作ることもあります。
 爪と関節の間の部分に水ぶくれのような腫瘤ができます。皮膚は薄くなり、自然に潰れて中の透明なゼリー状の粘液が出てくることがあります。痛みがでることもありますが、腫瘤が周囲の組織を圧迫することが痛みの原因である場合や、関節の変形自体も痛みの原因となります。
 腫瘤がつぶれて感染を起こし炎症が関節の中に及び関節が固まって動かなくなることや、また、爪母という爪の根元にある爪を作る組織が腫瘤で圧迫されたり炎症が及んだりすると、爪の変形が起きることがあります。


 治療は、関節痛がある場合は関節をテーピングや装具で固定することで関節の炎症が改善し、副次的に粘液のう腫も治まることがあります。しかし装具を中止すると再発する可能性があります。
 腫瘤は潰れたりまたふくらんだりを繰り返しますが、まずは注射器で中の粘液を抜きとります。
 関節内にステロイドを注射して関節の炎症を治めることも有効です。繰り返す場合や、爪の変形がある場合は手術を行います。
指粘液のう腫の根本的な原因は関節の変形なので、手術では関節が変形して棘になった部分や、滑膜を除去します。腫瘤の部分の皮膚は薄くなっていることが多く、縫い閉じることが難しい場合には、皮弁といって皮膚を大きく切って回して皮膚を閉じるような工夫をします。
 爪の変形があった場合、爪母が腫瘤で圧迫されていただけならば治りますが、炎症がおよんでいた場合には変形が残ることがあります。
2020年02月26日(水) No.946 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

ガングリオン


 ガングリオンとは、手の腫瘍のなかで最も多い良性腫瘍です。「ガングリオンですね」と言うとガンの仲間かと思ってびっくりされる方がいますが、ガンではありません。
 袋の中に透明なゼリー状の物質が詰まった腫瘍で、手首周辺の関節包(関節を含んでいる袋)や手のひらの腱鞘(腱の周りにある浮き上がり防止の鞘)部分から発生します。腱の摩擦や機械的な変化などが発生の原因の可能性はありますが、はっきりとした原因はわかっていません。ゼリー状の物質は、関節液や腱と腱鞘の潤滑油である滑液がガングリオンの袋に送られ、濃縮したものです。関節からできるものは関節包と茎でつながっていることがほとんどです。
 大きさは1〜2冂度で、硬い腫瘤を触れます。若い女性に多く見られますが、必ずしも手をよく使う人にみられるわけではありません。多くは無症状ですが、押すと痛みがでたり、神経を圧迫して痛みやしびれを生じることがあります。


 特に症状がない場合は放置しても問題はありません。自然に消失する場合もあります。大きくなるもの、痛みやしびれが強いもの、見た目が気になるものは治療を行いますが、一番簡単な方法は穿刺です。注射器で中身のゼリーを抜き取ります。この方法は再発することが多いのですが、何回か穿刺を行ううちに治ることもあります。ガングリオンに力を加えて押し潰す方法もあります。それでも再発を繰り返す場合は手術を行いま
す。局所麻酔下に皮膚を切開しガングリオンの茎を含めて摘出します。内視鏡を用いた鏡視下切除術も行われます。しかし手術をしても1〜2割ほどは再発してしまうことがあります。
2020年01月29日(水) No.951 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

褥瘡(じょくそう)(床ずれ)


 褥瘡は、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなることでその部分の組織が死んでしまい傷ができることです。「褥」とはふとんのこと、「瘡」とは傷のことで、「長時間寝込んでいる時に生じる傷」と言う意味です。
 私たちは無意識のうちに寝ている時は寝返りをうったり、長時間座っている時にはお尻を浮かせる等して、同じ部位に長時間の圧迫が加わらないようにしています。しかし寝たきりや麻痺など自分で体を動かせない方は、圧迫された組織に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり褥瘡が生じます。骨折などで装着したギプスや、強く巻いた包帯などが原因になることもあります。
 褥瘡のできやすい場所は体の向きによって違ってきますが、骨が飛び出た場所は強く圧迫されてできやすくなります。深さは皮膚がむける程度のものから筋肉や骨に達する深いものまで様々です。


 治療はまず第一に、創部の荷重を軽減して血流の改善を図ることです。圧迫の強さにより褥瘡の発生時間は異なりますが、通常2時間以内に除圧することで発生が予防できます。2時間ごとに規則的に体位変換を行い、またクッションやエアマットなどを用いて荷重の分散を図ることも大切です。ずれや摩擦なども褥瘡を悪化させる原因となるので、体位変換の際には工夫が必要です。褥瘡ができやすい部分は、赤くなったりしていないかどうか着替えや入浴時に観察しましょう。
 オムツを使用している方では、皮膚が排泄物にさらされて脆弱に
なり傷ができやすくなります。洗浄、保湿などの皮膚保護のケアが重要となります。
 栄養状態が悪い場合は傷の治りが悪くなるため、栄養の改善を図ることも大切です。傷の治りに必要な栄養素は、タンパク質、亜鉛、鉄、ビタミンCなどです。
 傷の処置は軟膏や創傷被覆材などを用います。傷が深く軟膏等だけで治癒が難しい場合は、壊死した組織を除去したり植皮術や皮弁術など外科的治療が必要になることがあります
 予防とケアをきちんとすれば褥瘡の発生は抑えられます。一昔前と比べて褥瘡はかなり減っていますが、これは各病院の褥瘡対策が充実してきているからです。褥瘡は、作らないことが何よりも大切です。
2019年12月25日(水) No.941 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

脂肪腫


 脂肪腫とは、皮下にできる腫瘍のなかではいちばん多い良性の腫瘍です。
 脂肪細胞が増殖する腫瘍で、皮下脂肪組織の中、筋肉の中、筋肉の下など、からだ中いろいろな場所にでき、背中、肩、首などに多い傾向があります。幼少期に発生すると考えられていますが、成長がゆっくりなため発見は遅く、20歳以下にはまれで、40歳代から多くみられます。女性、肥満者に多いと言われています。はっきりした原因はわかっていません。
 大きさは、数ミリ程度の小さなものから10センチ以上に及ぶものまで様々です。皮膚がドーム状に盛り上がり、やわらかいしこりとして触れます。直上の皮膚に異常は見られません。通常は痛み・しびれなどの症状はありませんが、できる場所によっては組織が圧迫されることによる痛みや圧迫感を伴うことがあります。


 臨床症状と画像検査から診断します。画像検査では超音波、CT、MRIなどがあります。
 脂肪腫は成長はゆっくりでも徐々に大きくなり、自然になくなることはありません。特に問題を起こしていない脂肪腫であれば積極的に治療を行わず様子をみることもあります。しかし、見た目が気になるもの、大きなものや、短期間に大きくなるものは手術を行います。
 手術では皮膚を切開し、腫瘍を摘出します。腫瘍は薄い膜に包まれて周りの組織に癒着しているので、絞り出したり、注射器などで中
身を抜き取るといったことはできません。皮膚を切開し、かたまりごと摘出します。
 小さなものであれば局所麻酔で行いますが、大きなものや場所によっては全身麻酔が必要になることもあります。
 稀ですが、脂肪腫のように見てえても脂肪肉腫のような悪性腫瘍が混じっていることもあります。臨床検査、画像検査でも良性の脂肪腫との鑑別が難しい場合があり、正確に診断するためには摘出して病理組織の検査を行う必要があります。
2019年11月27日(水) No.936 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

ほくろ


 ほくろは良性の母斑細胞(ほくろ細胞)のかたまりです。メラニン色素を有するため、茶色〜黒色を呈します。
 ほくろには色々な種類があります。生まれつきあるもの、成長途中に現れてくるもの、平らなほくろや、盛り上がったほくろ、茶色や黒色のほくろ、肌色のほくろ、毛が生えているほくろなどです。昔からあったものが大きくなってきたり盛り上がってきたり、色が変わってきたり、かゆみがでたりする場合もあります。
 ほくろのようにみえても、シミや脂漏性角化症などの他の良性の腫瘍だったり、なかには基底細胞癌や悪性黒色腫などの悪性の腫瘍の場合もあります。
 普通の人が見ただけでは良性のものなのか、悪性のものなのか、放っておいてよいのか、治療すべきなのかわからないことが多く、時には医師がみても判断が難しいこともあります。
 次にあげるポイントをチェックしてみてください。2つ以上あてはまるようなら一度病院で診てもらうことをおすすめします。



・左右対称でない。
・周りがギザギザしている。
・色が均一でなく濃淡が混じっている。
・6舒幣紊△
・大きさや色、形が変化する

 これらが1〜2年の経過で変化するようなら要注意です。
 一年に一回は全身のほくろやシミをチェックしてみてください。自分で見えない頭髪部や背中はご家族にみてもらいましょう。また、ほくろをいじると変化することがあるのでできるだけ刺激をしないようにしましょう。
 良性のものであれば見た目が気にならなければ治療の必要はありません。目元や口元など場所によっては魅力的に見えたり、肌を白く見せたりすることもあります。治療法は、手術で切り取る方法とレーザーを使うものがあります。手術では単純にほくろの周りを切って縫合することがほとんどですが、大きさや場所によっては皮弁や植皮などの工夫が必要になることもあります。メスのかわりに炭酸ガスレーザーを用いる場合もあります。各々長所と短所があり、大きさや場所、組織検査の必要性などで治療法が異なります。
2019年10月30日(水) No.931 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

外反母趾


 外反母趾とは、足の親ゆびが外側に変形して足の付け根が内側にせり出した状態です。変形がひどくなると、飛び出た部分や足の裏が痛くて靴がはけなくなり、その上痛くて無理な歩き方になって脚が疲れやすく、膝や股関節まで痛むこともあります。
 外反母趾は女性に圧倒的に多く、これは関節の柔らかさなどが関係していると言われます。しかし、一番の原因は合わない靴です。特にハイヒールなど先の細い靴は外反母趾の最大の原因です。
 予防と治療は、まず靴を見直すことです。先が広くて指の運動を妨げない、踵の低い、柔らかい素材の靴が推奨されます。ハイヒールほどではありませんが、ストッキングも外反母趾を進行させる一つの原因と言われています。また、子供のころに小さい靴を履いていると外反母趾になりやすいので、成長期の子供の靴は定期的に見直してください。


 次に、足指の運動やストレッチを行い関節や筋肉の拘縮を予防することが重要です。
●ホーマン体操
 幅広のゴムひもを両方の親ゆびにかけ、足を伸ばして踵を合わせた状態で足先を外側に広げます。5〜10秒保ち、元に戻します。
●タオル寄せ運動
 椅子に座った状態で床にタオルを置き、指でタオルをたぐり寄せます。
●グーチョキパー体操
 足の指でグーチョキパーをします。
 少しずつ進行する外反母趾を食い止めるために、これらの運動を毎日数分続けることが肝心です。
 足底板(インソール)や矯正装具なども用いられます。足底板を用いることにより、痛みやしびれなどの改善、変形の進行防止になります。親ゆびに装着するバンドや趾間に挟む器具もありますが、痛みは改善しても変形を矯正するまでの効果は期待できません。
 これらで痛みが改善しない場合は、薬物療法や手術を行うことがあります。
 先日、足と靴の先進国であるドイツの整形外科靴職人から聞いた話では、ドイツでは外反母趾の手術件数が日本より圧倒的に少ないのだそうです。自分に合った靴を選ぶことで変形の予防ができているので、手術に至る変形を起こすことが少ないのです。
 外反母趾は、これ以上変形させないことがなにより重要です。まずは靴を見直してみてください。
2019年09月25日(水) No.926 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

巻き爪〜治療編〜


 今回は巻き爪の実際の治療についてお話しします。
 巻き爪や陥入爪で、爪が肉に刺さって痛いときに自分で簡単に出来る治療があります。応急処置なので爪を矯正する力はありませんが、痛みは軽減されます。病院に行くほどでもないという方は一度ためしてみてください。
●テーピング
 爪が皮膚に食い込むことが痛みの原因なので、テープで引っ張って爪から皮膚を引き離すように固定します。テープの端をできるだけ爪の端ギリギリに貼り、皮膚ごとテープを強く引っ張りながら指の下を通し、反対側に回して固定します。深爪が原因で痛みが出ている方は、爪を伸ばすことが必要です。しかし伸びてくるまでに痛みが出て我慢できなくて切ってしまうことが多いのですが、そういうときにとても有効な方法です。テープは、布製の伸縮性のあるタイプが適しています。
●コットンパッキング
 コットンや脱脂綿を小さくちぎって丸め、爪が当たっている部分にピンセットなどで詰め込みます。爪と皮膚の隙間が広がり痛みが軽減されるので、軽度の巻き爪に効果的です。ただし、化膿していたり、コットンを挟む余地がない場合は強引に詰め込まないようにしてください。
 テーピングもコットンパッキングも、足を清潔にした入浴後がベストです。不衛生になるので1日1回は取り替えましょう。


 医療機関での処置が必要なものとしては、
●矯正
 ワイヤー、プレート、アクリルジェルなどで弯曲した爪を矯正する方法です。
●手術
 炎症が強く肉が盛り上がっていたり、爪の幅が広いことが原因の場合、爪を一部切除したり、爪の幅を狭くする手術を行うことがあります。
 どの治療を選択するかは、爪の巻き方や厚さ、ライフスタイルによっても異なります。しかし、単独で行っただけでは根本的な治療にならないことが多いのです。治療の基本は、爪の切り方、靴の選び方を見直すことです。
2019年08月28日(水) No.921 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

正しい靴の選び方


 今回は靴の選び方についてお話しします。
 足は、すべての荷重と歩行による衝撃を受け続けています。足の形や生活スタイルは千差万別であり、足の特徴に合った靴を履かないと徐々に足や爪は変形してきてしまいます。
 靴の選び方で大切なポイントがいくつかあります。
●足趾のまわりにゆとりがあること。
 足趾の動きを妨げないように、足趾の先から1〜1.5僂らいのゆとりが必要です。先の細いハイヒールなどは、圧迫されて爪や足の変形につながります。
●足の甲部分で締め具合を調節できること。
 靴のなかで足が前後左右に動いてしまわないようにしっかり固定できることが大切です。足は時間帯によってむくみの状態が違うので、紐、ベルクロで調節ができるものを選びましょう。
●踵がしっかりと固定されること。
●適度なクッション性
 衝撃をやわらげ、足をサポートします。
●通気性
 日本は高温多湿のため真菌(水虫)の発生が多い国なので、通気性が良いことは大切です。
●インソール(中敷き)を使うこと。
 これが非常に大切になります。健常な足の裏には、衝撃を吸収するために縦方向と横方向にアーチ構造があります。これが崩れてしまうことが多くの足や爪の不調、更には膝や腰の痛みを引き起こしています。土踏まずなどの凸凹がしっかりとついたインソールでアーチを支えることで、これらを予防することができます。


 以上のポイントを良く満たすのはスニーカーです。
 靴を脱ぎ履きするときは、面倒臭いですけれど都度紐をほどき、踵を地面にコンコンとして踵の位置を合わせてから、先のほうから紐を適度に締めて履きましょう。 正しい靴を選ぶことで巻き爪だけではなく、たこ、うおのめ、外反母趾などの足の変形、更には膝痛・腰痛などの予防・進行防止にもなります。
 次回は巻き爪の具体的な治療法をお話ししますが、いくら治療を行っても靴やインソールが足に合っていないと何度でも再発してしまいます。治療の前に、予防がとても大切ですので、次回靴を選ぶときには思い出してみてください。
2019年07月31日(水) No.916 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

巻き爪〜爪切りとフットケア編〜


 前回は、爪の切り方によって巻き爪や炎症を起こしやすくなることをお話ししました。今回はこれらを予防する正しい爪の切り方について説明します。
 爪の弯曲が強い場合や、爪が厚くなっている場合は普通の爪切りで切るのは難しいので、ニッパー型の爪切りやヤスリをを使うことをお勧めします。
 切り方のポイントは、先端は直線上に切り、角は切らず軽く丸めることです。爪の長さは短すぎても長すぎてもいけません。爪の先の白い部分は全部切らず、少し残すくらいにして、指先と同じ程度に揃えましょう。そして、両端はついつい切りたくなってしまうのですが、ヤスリで丸めていくのが正しい方法です。爪が肥厚してしまっている場合は表面もヤスリで削りますが、削りすぎると爪が割れてしまうことがあるので注意が必要です。
 爪を切るタイミングはお風呂上がりの爪が柔らかくなった時が最適で、最後にオイルやクリームで保湿をしてあげれば完璧です。


 すでに痛みや炎症がある方は自分で無理に切らず、病院を受診してください。
 「フットケア」とは、角質やタコ、ウオノメ、爪の手入れ、巻き爪のケアなどを行い健康で美しい素足を保つ技術です。体重を支えている土台である足にトラブルがあれば、足だけでなく体のゆがみ、肩こり、腰痛など全身へ影響を及ぼしてしまいます。
 フットケアの先進国ドイツでは、足病専門医である「ポロドーゲ」という国家資格があり、靴職人などの技術者の育成も国レベルで整備されていて、フットケアは美容院や歯医者に通うのと同じくらいの感覚で日常生活に浸透しているそうです。一方で日本では足への健康意識はまだまだで、ドイツに比べてフットケアを取り巻く環境は100年の遅れをとっているといいます。しかし最近は日本でもフットケアの外来や、足専門のクリニックが増えてきています。
フットケアは第一に足に関心を持つことから始まります。まずは爪の切り方から始めましょう。
2019年06月26日(水) No.911 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

巻き爪〜原因編〜


 巻き爪とは、字の如く爪が巻いている状態で、多くは足の親指に起こります。程度は様々ですが、かなり弯曲が強くても痛みがない方もいれば、弯曲が軽度でも痛みが強い方もいます。痛みがあると歩き方や姿勢が悪くなるため膝や腰の痛みの原因となり、高齢者の場合、転倒につながる可能性もあります。
 巻き爪になる主な原因は、「爪の切り方」と「爪への力のかかり方」です。
 爪を切るときに深爪になってしまうと、指に力がかかったときに爪の周りの皮膚が力を受けて盛り上がってきます。その結果爪はまっすぐ伸びることができず、両端が巻いてきたり厚みが増してきます。


 爪の両端を切り残してしまい棘のようになった爪が皮膚に突き刺さり、痛みや炎症を起こした経験がある方は多いと思います。その痛みをなんとかしようとして深爪を繰り返すとさらに周りの皮膚が盛り上がり、悪循環に陥ってしまいます。
 また、足の形に合わない靴を履いている場合や、膝・腰などの痛みや扁平足・外反母趾などの変形があり歩行時に局所的に過剰な力がかかる場合に爪が巻いてきます。
 反対に、爪に力がかからない状態でも爪は巻いていきます。本来爪は丸まっていく性質がありますが、通常は歩行時に地面からの力
が適切に加わることで爪は平らになっていきます。力が加わらない状態が続くと爪はどんどん巻いてきてしまうのです。寝たきりの人や、足の指に力をいれずにペタペタと歩く癖がある人(浮き足)にみられます。つまり爪にバランスよく適切な荷重がかかることが大切なのです。
 このように、爪の変形は爪自体の問題ではなく、これらの外的要因によって引き起こされていることが多く、これらを改善し予防することが治療の第一歩です。
 次回は爪の切り方についてお話しします。
2019年05月29日(水) No.906 (渡邊先生(整形外科)のコラム)

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