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「加齢」と「味覚の低下」と「亜鉛」


検診で血圧が高いこと指摘され、病院を受診すると、必ず決まり文句の「塩分を控えましょう」と言われます。塩分の多い食事は高血圧の原因の一つなので、塩分を控えることはとても重要なのですが、自分はそんなに濃い味にしていないのになぁと思われる人も多いと思います。味覚は人によって様々なので、一概には言えませんが、もしかすると「味覚の低下」が起こっている可能性もあります。


 最近の研究では、加齢とともに味覚が鈍ることが分かってきました。20代と比べると、高齢者は塩味を感じる感覚は約50%低下し、甘みを感じる感覚も約25%感覚低下し、酸味も約55%低下するようです。つまり、単純計算で、若い時と同じ味で料理しようとすると、塩分は1.5倍必要になるということなのです。
 味覚の低下は避けられない部分もあるのですが、「亜鉛」を十分に摂取すると、味覚を維持しやすくなります。これは舌にある「味細胞」で亜鉛が重要な働きをするためです。また、亜鉛は不足しやすい栄養分の一つなので、意識してとるようにしないと、知らず知らずのうちに、亜鉛不足に陥り、味覚障害を呈することがあります。
 亜鉛はナッツ、ごま、納豆、牛肉、魚などに多く含まれています。若い人でもダイエットを続けると亜鉛不足になることがあります。味覚障害は生活習慣病の隠れた原因にもなりますが、意識しないと発見できないので、日々の生活のなかで注目してみてはいかがでしょうか?
2021年03月03日(水) No.1001 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

筋トレして長生きしよう!


 運動が体に良いことは誰もが認めることと思います。最近の研究によると、「運動しない」ことは、「タバコを吸う」のと同じくらいの体に悪いようです。


では、どんな運動をすればよいのでしょうか?私が患者さんと話していると、ウォーキングや軽いジョギングに取り組んでいる人が多いです。実際、世界保健機構もこのような軽い有酸素運動を週に150分(1回30分を週3回)以上行うことを推奨しております。
 しかし、本当にこれだけでよいのでしょうか?答えはノーです。最新の研究は、筋力を増加させるようなトレーニング、いわゆる「筋トレ」の「心臓病」に対する効果を次々と証明しております。例えば、足の太ももの筋力が強い人は、弱い人に比べて、心臓病で死亡するリスクが約40%も低く、また、全身の筋肉が落ちてしまった人は、基礎代謝が低下し、疲れやすくなるのですが、心臓病にもかかりやすいことが分かっています。前述の世界保健機構も週2回の筋トレを推奨しています。
 もちろん、運動しないよりはどんな運動でもしたほうが良いのですが、もし本当に健康でいたいのなら、ウォーキングなどの軽い運動に加えて、筋トレに取り組んだほうがよいでしょう。最近はスポーツジムも増え、会費も安くなっております。新型コロナウイルス対策の問題もありますが、こんな時こそ思いっきり筋トレすると体も軽くなり、健康に暮らせると思います。
2021年01月27日(水) No.997 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

禁煙しようぜ!そして子供にはタバコの煙を吸わせないで!


 タバコを吸うと体に悪いということは誰もが知っていることですが、禁煙が難しいことも喫煙者の多くが認めるところと思います。なぜならば、喫煙者の脳には、タバコを吸うと安心する回路が形成されているため、禁煙をすることに非常に不安を感じるのです。つまり、喫煙者にとっての禁煙とは、ある日突然、全く言葉が通じない外国に放り出される状態に等しいくらい不安な行為なのです。


 そのため、禁煙を始めるにはモチベーションを高めることが重要です。そこで、まずはタバコにかかる費用ですが、なんと、タバコを1日1箱50年間吸い続けると、タバコ代で約900万円かかり、これに医療費が上乗され、合計費用は1000万円を超えます。また、寿命も平均で10年短くなることが分かっています。そして、今更禁煙してもということもありません。禁煙すると数日で味覚・嗅覚が敏感になり、その後、咳や痰が減ります。数カ月で運動機能が向上し、数年禁煙すれば、心臓病のリスクもかなり減ってくるのです。
 それでも禁煙は大変です。それは一度脳に形成された「タバコが不安を取り除く」という回路が消えないからです。なので、禁煙できないなら、せめて子供にはタバコを吸わせないようにしましょう。そうすれば、子供は生涯で1000万円以上節約できます。また、一人で禁煙が不安な人は、禁煙外来を利用しましょう。オホーツク圏でも多くの病院で禁煙外来が行われています。
2020年12月29日(火) No.993 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

血圧が高い時に飲むのは「サプリ」それとも「薬」?



 今回は、「サプリメント」と「薬」のお話です。私の外来では、このサプリをこの薬と一緒に飲んでも大丈夫かという質問をされる患者さんがおります。質問の答えは概ね「イエス」です。なぜならば、サプリメントの有効成分の配合量は、薬などに含まれている薬効成分より、かなり少ないので、よっぽど複数のサプリを多量に飲まない限り問題となることは少ないように作られているからです。
 ここで、注目してほしいのは、サプリも薬も、同じような化学化合物の抽出物が含まれているということです。つまり、人間の血圧を下げる方法は多数ありますが、血圧を下げるためにはサプリであっても、薬と同じよう化合物や成分を含んでいなければ、血圧が下がらないということなのです。サプリは薬よりも簡単に発売できますので、サプリの中には有効成分が含まれていないのに効果があるとうたっているものもあります。
 では、サプリと薬の最も大きな違いはなんでしょうか?それは、有効成分の「量」です。当然、薬には多くの有効成分が含まれているので、効果が大きいのですが、その分、副作用のリスクが上がります。反対にサプリに含まれている有効成分は少ないので、効果も少ないのですが、その分、安全性が高いと言うことができます。つまり、サプリメントはお手軽で、安全なものだが、効果は緩いものと認識して飲むのが望ましいと思います
2020年11月25日(水) No.989 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

最新の下肢静脈瘤治療



 今回は、年々進歩している下肢静脈瘤の治療についてです。下肢静脈瘤は出産経験のある女性の多い病気で、足の血管が目立つようになるところから始まり、悪くなると、足の痛みや重だるさなどの症状が出てきます。
 下肢静脈瘤に気が付いたら、まずは弾性ストッキングや着圧機能のあるストッキングなどがお勧めですが、根本治療には手術しかありません。
 その手術方法ですが、10年以上前は複数個所を切って静脈瘤を切除する「ストリッピング手術」が主流でした。しかしながら、5年位前から切らない手術「ラジオ波焼灼術」に移行し、最近はより体への負担が少ない「血管内塞栓術」が行われ始めました。血管内塞栓術は、静脈瘤ができてしまったダメな静脈を、「特殊なのり」でくっつけて直す治療なので、治療に伴う痛みがより少ないのが特徴です。
 下肢静脈瘤は生死にかかわる病気ではありませんが、煩わしい症状や、見た目の悪さを引き起こす病気です。気になる方は当院へご相談ください。
2020年10月28日(水) No.985 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

コレステロールが高いと言われたら…



 今回は、コレステロールと中性脂肪についてです。健診でコレステロールが高い、中性脂肪が高い(最近は脂質異常症と言います)と言われたことがある人は多いと思います。ですが、その先に、どのような未来が待っているかはあまり知られていません。
 簡単に言うと、コレステロールが高い人は、血管が詰まりやすくなり「脳梗塞」や「心筋梗塞」になりやすくなります。つまり、健康に仕事ができる生活が脅かされるということです。
 では、コレステロールが高い人はどうすれば良いのでしょうか。最も簡単な方法は「薬を飲む」という方法です。薬を飲めば、程度の差はありますが、必ずコレステロール値が下がります。ですが、薬には副作用があるし、薬に頼りたくないという人もいるでしょう。
 その場合、食事が非常に重要になります。断食、または油物を全く食べないようにすると、コレステロール値は必ず下がります。しかし、これは体によくありません。なぜならば、コレステロールや中性脂肪は生きていくために必要なものだからです。そのため、食べる「脂」と「油」を選ぶことが大切です。「牛や豚の脂」ではなく「魚の脂」を取りましょう。「マーガリンやショートニングのような作られた油」ではなく、「オリーブオイルやえごま油、アマニ油」などを選びましょう。また、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなどを、炭水化物の代わりに、多く食べることも効果的です。
2020年09月30日(水) No.981 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

万病のもと「動脈硬化」



「脳梗塞」や「心筋梗塞」は、多くの人がかかりたくないと思う病気ですが、その原因のほとんどは「動脈硬化」です。動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞以外にも、脳出血や動脈瘤、末梢動脈疾患などの病気を引き起こし、認知症にもなりやすくなるというから、まさに悪の黒幕なのです。
 動脈硬化とは、血液中のカス(粥腫:じゅくしゅ)が血管にこびりついて、血管の壁が厚くなることを指すのですが、この動脈硬化は多くの原因から起こります。動脈硬化は「血管」の「老化現象」ですので、高齢者に多く生じます。女性より男性の方が進行しやすいのですが、高齢男性の中でも、動脈硬化が進んでいる人と、動脈硬化がほとんどない人がいます。これには、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を患っているかどうか、肥満になっていないか、喫煙しているかなどが関連しています。
 我々医師が、患者さんに、痛くもかゆくもない高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満などに気を付けるようアドバイスし、禁煙を勧めるのは、これらの病気が動脈硬化を招き、最終的には脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすからなのです。病院では、色々な検査で、動脈硬化の度合いを評価することができますので、興味のある方はご連絡ください。
2020年08月26日(水) No.977 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

献血しようぜ!






 今回は、「献血」についてです。献血というと、針を刺されるのが怖いので行きたくないという人が多いのですが、献血から作られる「輸血」や「血液製剤」は多くの病気の治療に欠かせないものです。当院のような心臓や血管の外科治療を行う病院では、多くの輸血を使用していますが、実は最も多くの輸血が必要となるのは「ガン」の患者さんなのです。ガン患者さんはそもそも貧血となりやすい上に、「化学療法」と言われる薬の治療は貧血を起こしやすいからです。また、「血液製剤」と呼ばれる献血から作られる「薬」も多くの病気に使用されています。
 このような輸血や血液製剤は、高齢化社会を背景に、年々必要量が増えているのですが、献血者はこの10年間で100万人も減っているのです。現在はなんとか供給できている輸血と血液製剤ですが、少子化の日本では、今後の献血者の確保が課題となっております。
 献血を取り仕切っている日本赤十字社も工夫をしており、献血をして頂いた人にポイントカードを作って頂き、複数回献血を行うと記念品を贈呈する事業も行っております。
 北見市では定期的に移動献血車が市内を回っています。献血は16歳から行うことができる社会貢献です。皆さんも献血車を見かけたら、一度立ち寄ってみはいかがでしょうか?
2020年07月29日(水) No.973 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

いびきが突然止まるのは病気のサイン!〜睡眠時無呼吸症候群と心臓病







 今回は、眠っている時に息が止まる病気「睡眠時無呼吸症候群」のお話です。この睡眠時無呼吸症候群の人は、寝ている時に、舌の付け根が喉に落ち込んで、気道(空気の通り道)を塞いでしまうために、息が止まってしまうのです。主な原因には、肥満、寝る前のお酒、睡眠薬などが挙げられます。
 男性に多い病気で、男性の24%が、女性の9%が、睡眠時無呼吸症候群だという研究もあります。睡眠時無呼吸症候群にかかると、無呼吸の時間帯に脳が覚醒してしまい、眠りが浅くなります。重症になると、日中の眠気がひどくなり、交通事故のリスクとなることもあります。また、高血圧・糖尿病などの生活習慣病や、心臓病にもかかりやすくなり、不整脈や心筋梗塞のリスクを約2倍にすると報告されています。
 治療に関しては、軽症であれば、マウスピースで対応します。中等症以上の場合は、CPAPという簡易的な小型人工呼吸器を使用します。これにより、睡眠時の無呼吸を起こらないようにします。
 睡眠時無呼吸症候群は、自分では気づきにくい病気です。もしパートナーが太っていて、寝ている時に、「呼吸」や「いびき」が止まるようなら、お近くの病院を受診することをお勧めします。当院をはじめ、多くの病院が、睡眠時無呼吸症候群の治療を行っております。
2020年06月30日(火) No.969 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

あなたの「歯」と「歯ぐき」は大丈夫ですか〜歯周病と心臓病


 今日はお口の病気が体全身に悪影響を与えて、場合によっては、深刻な病気を引き起こすというお話です。そもそも歯周病とは、口の中のばい菌が歯ぐきを傷めつけることによって、歯が抜けてしまうという病気です(※虫歯は歯そのものにばい菌が着くことです)。ここで覚えていてほしいことは、人間の口の中は、常にばい菌だらけということです。常に500種類を超える細菌が住んでいます。では、なぜ口の中がばい菌だらけなのに、大丈夫な人と歯周病にかかってしまう人がいるのでしょうか?これは、歯と歯ぐきの間に、ばい菌が「巣」を作るかどうかの違いなのです。この「ばい菌の巣」は、歯周ポケットと呼ばれる隙間にできやすく、そこで細菌が繁殖し、プラークが溜まると、健康な人と比べて、口の中に極めて多くの細菌がいる状態となり、これが歯周病を引き起こすのです。


 この歯周病ですが、多くの研究で、肥満と糖尿病を悪くし、心臓病と肺炎になりやすくすることが分かっています。また、妊婦さんが歯周病だと、生まれてくる子供が小さくなりやすいことも報告されています。特に歯周病は、肥満と糖尿病と強く関連しており、歯周病が悪化すると、肥満と糖尿病も悪化することが分かっています。また、歯周病は重症の心臓病である「感染性心内膜炎」の原因となることも良く知られており、まさに、口の病気と甘く見ていると、命を縮める結果となるかもしれないのです。
 さて、この歯周病ですが、多くの日本人が持っているようです。
 2011年の厚生労働省の調査では、15〜24歳ですでに約8%がかかっており、25〜34歳で約18%、35〜44歳で約23%、45〜54歳で約33%、55〜65歳は約48%と、加齢とともに、歯周病の割合が増えていきます。
 歯周病の予防と治療には、適切な歯ブラシと定期的な歯科医院でのチェックが大切です。歯ブラシに関しては、どんなにゴシゴシ歯を磨いても、口の中のばい菌をすべて除去することはできません。むしろ、歯を傷めるだけです。適切な歯ブラシとは、先ほど説明した「ばい菌の巣」ができやすい、歯周ポケットにプラークをためないようなブラッシングです。また、すでに溜まってしまったプラークは、徐々に硬くなり、歯石となります。歯石は歯科医院で除去してもらう必要がありますし、そもそも歯周病は自分がかかっているか分かりにくい病気です。心配な方は一度、歯科医師さんに診てもらった方がよいでしょう。
2020年05月27日(水) No.964 (仲澤先生(心臓血管外科)のコラム)

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