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あなたも加害者!?消毒アレルギー


 最近、新型コロナウイルス(以降コロナウイルス)の影響で外食した際に「手を出してください。」と言われ、突然手にスプレーをかけられることがあります。感染を気にされている店で多い様ですが、この行為がとても気になります。コロナウイルスの手指消毒にはエタノールが有効なので、それを入り口に置いて消毒してから入ってくださいと強制したりする店もあります。
 実はこのアルコールを苦手とする人がいて、それは大まかに分けるとアルコール過敏症、アルコールの刺激で物理的な炎症を起こす場合、アルコールアレルギーの3つのタイプが考えられます。
 アルコール過敏症は、お酒が飲めない「アルコール不耐症」の事で、アルコールを飲むと、顔や体の皮膚が赤く火照ったり、頭痛、動悸(どうき)、吐き気、嘔吐(おうと)などの症状が出たりする人ですが、消毒用アルコールに触れることでも、皮膚の発赤やかゆみが出現することがあります。
 アルコールの刺激で物理的な炎症を起こす場合は、皮膚に接触した刺激物質がバリア機能の低下している皮膚の中に侵入して炎症を起こし、皮膚炎(かぶれ)が生じます。原因となる刺激物質は、日用品や化粧品全般(洗剤やシャンプーに含まれる界面活性剤など)、植物(棘や枝などでついた傷口からの刺激)、食物、金属、医薬品(消毒や防腐剤など)などさまざまです。これはお酒に強い弱いに関係なく、また、アレルギーにも関係なく症状が起こり得ます。
 一番厄介なのがアルコールアレルギーで、この場合はアルコールがアレルゲン(アレルギー原因物質)となり、体内で過剰な免疫反応が起こり、さまざまな症状を引き起こします。 発赤やかゆみが出る軽度の接触皮膚炎から、全身のじんましん、呼吸困難やアナフィラキシーショックといった重篤な症状がアレルゲンの量に関係なく、少しでもアルコールに触れたら現れる可能性があります。アルコールアレルギーでショックを起こしたり、呼吸困難になったりした場合は、命に関わる状態ですので、直ちに救急車を要請して救急病院に行くべきです。
 つまり、お店で何気なくしているコロナ対策の消毒スプレーで人が亡くなった場合、蕎麦アレルギーの人やピーナッツアレルギーの人にそれらを食べさせる行為と一緒で、大げさに言えば傷害罪や過失致死罪で訴えられる可能性もあるのです。
 お店の人は流れ作業でスプレーする前に「アルコールにアレルギーはないですか?」の一言が必要だと思います。「もしかしたら過敏症かもしれない」「アレルギーかもしれない」と思った人は自己診断せずに皮膚科やアレルギー科で検査を受けた方がよいでしょう。
2020年08月26日(水) No.975 (原口先生(薬剤師)のコラム)

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