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小児の細菌性腸炎「血便」 その


▲ンピロバクター腸炎
 あまり聞いたことがないかもしれませんが、食中毒では、サルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌についで発生頻度が高く、近年増加傾向にあります。カンピロバクターは、ニワトリ、牛、豚などの腸管に広く常菌しています。中でも鶏肉は、主な感染源となっており、流通している鶏肉の4〜6割にカンピロバクターが付着しているといわれています。生肉を調理した包丁やまな板などからの感染が多いようです。菌は高熱、乾燥に弱く短時間で死滅しますが、比較的低温(4℃)には強いため冷蔵庫の保存では安心できません。
 潜伏期間は、5日前後(1〜10日)と長いことが特徴です。発熱、頭痛、腹痛、嘔気、下痢(一般に水様便)などの症状が出ます。下痢は血便や粘血便を伴うことがあります。またギランバレー症候群という急速に発症する四肢の筋力低下を特徴とする神経疾患の原因との関連性が指摘されています。
治療
 一般的に自然治癒傾向が強いため、水分補給や食事療法などが基本となります。スポーツドリンクなどで水分をこまめにとって下さい。脱水の程度により輸液が必要となることがあります。食事は症状が安定するまで極力控えめにして、おかゆ、おうどんなどの消化に良いものを中心にしましょう。強力な下痢止めは使用せず、整腸剤を用います。症状が強く、重症化が懸念される場合には、マクロライド系抗生物質による治療が必要となります。なお菌の培養、同定に3〜5日かかります。
予防
 菌に汚染された食品を介して感染します。肉類(とくに鶏肉)は、十分に加熱し、生野菜などは流水でよく洗い、調理器具の管理をしっかりしましょう。
サルモネラ腸炎
 サルモネラ菌による食中毒は、7〜9月に多く、細菌性食中毒の原因菌の上位(1〜3位)を占めています。発生の多くは散発的です。様々な動物の腸管内にいて、汚染された鶏肉や卵、乳製品などの不適切な処理(不十分な加熱)や、最近はペット(爬虫類、特にミドリガメ)が原因とされる報告が多くみられます。潜伏期間は6〜36時間、腹痛、
下痢、嘔吐、発熱などをきたし、血便が見られることがあります。1週間程度で改善しますが、保菌状態が数ヶ月になることがあります。
★3疾患の予防のポイント
 血便をきたす3疾患の共通した主な原因は、汚染された鶏肉などの不適切な取り扱いにあります。いずれの菌も熱に弱く、十分に加熱することで予防が可能です。また症状が改善した後も便に排菌している状態がしばらく続きますので、便の取り扱いに注意し、十分な手洗いが大切になります。
★治療のポイント
 検査(菌の同定)には数日を要します。この間O157出血性大腸炎などによる重症化を常に念頭におき、早目の対応が必要となります。
2017年08月02日(水) No.803 (秋山先生(小児科)のコラム)

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