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女性と漢方(146)〜慢性疲労症候群(CFS)と漢方薬(その2)〜


 慢性疲労症候群(CFS)は原因不明かつ難治性の疾患で発症すると長期にわたり疲労・倦怠感が持続し、日常生活にかなりの支障をきたしている方も多いです。残念ながら未だに西洋医学による効果的な治療法も少なく、有効性のある治療薬はほぼ無いに等しいのが現状かと思われます。今回はCFSに対して漢方治療が有効であるという最近の文献をもとにお話しいたします。
 治療効果を検討した施設の報告では、従来、CFSの第一選択と称されてきた『補中益気湯(ホチュウエキトウ)』では有効例は少なく、『小建中湯(ショウケンチュウトウ)』『真武湯(シンブトウ)』『桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)』の合法(合わせて複数の漢方薬を処方すること)が有効であったとの事でした。東洋医学的には、「冷え」「胃腸虚弱」「風邪をひきやすい」などは共通してみられる症状のようですが、「脳の変調」に注目して脳神経調節作用を有するとされている「牡蠣(ボレイ)」(カキの貝殻)の粉末を加えてみる治療も試みられています。「脳の変調」を漢方医学の中でどう位置付けていくかは大いに議論されるべき内容ですが、さらに多くの脳神経調節機能を有する漢方薬の研究と治療効果は今後も期待されています。
 CFSのような難治性疾患は、病態が複雑で薬物療法は、非ステロイド系抗炎症薬、ビタミン剤、抗うつ薬、抗不安薬など様々な薬が使われていますが、一つの疾患に包括できないのが実態です。以前の号で『補中益気湯』がCFSに頻用されることをお話ししましたが、今回の報告では無効例も多いとの結果でした。
いずれにせよ、難治性の疾患では、「証(東洋医学からみた身体の状態)」に従って合法による漢方薬や生薬末をさらに加える工夫などを要し、一筋縄ではいかないことが多いです。また、病気で悩む期間が長期化して(数年以上)、疲労・倦怠のためにベッド上安静を強いられる重症症例に対しては、漢方治療も無力なようですので、早期の治療が大切かと思われます。
2016年11月02日(水) No.768 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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