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女性と漢方(129)〜セカンドオピニオンと漢方〜


 今日ではセカンドオピニオン外来なども盛況で、病院にはかかっているものの症状が改善されないとか、現在の治療に不信感があるとか、患者さん自身も「今の医学では治らない」という切実な状況に置かれて藁にもすがりたい気持ちの方はたくさんいらっしゃいます。
 セカンドオピニオンとは、医師の診断や治療法について患者が別の医師の意見を求めることで、1980年代にアメリカの民間医療保険会社が医療費抑制策の一環として導入し、欧米では定着しています。意味のあるセカンドオピニオンを行うためには、最初の医師が検査データや診断を明らかにすることが不可欠で、医療の情報公開を促進することになります。セカンドオピニオンは必然的に医師の能力評価につながるため、情報公開の遅れている日本では医師や病院の抵抗が強く、全体的にはまだまだ不十分であるようです。
 最近、テレビでよくお見かけする新見正則先生はセカンドオピニオン外来をやるようになって見えたもの得られたものという内容の講演会で「60歳代の男性で近医で胃がんが見つかり、胃切除した後、胃が縮小し、ムカムカ感が続いている方がいました。医師はいろいろな胃薬を試しましたが、無効でした。患者さんはムカムカを治しにいったのになかなか治してくれないと不満を云い、一方で医師は胃がんを治してやったのだからそれぐらい我慢しろといわんばかりの対応です。話を聞く限りでは、治療の流れや方法も全く問題ありません。これは、ムカムカを治してほしいという患者さんの希望と、胃がんを治したという医師の達成感との間で患者さんが腑に落ちていないという構図でした。結局は漢方薬でその患者さんは約2週間で症状がスッキリし、当時はうさんくさいと感じていた漢方薬のすごさをこの時初めて実感しました。」というお話をしていました。このときの使用した漢方薬は『半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)』ですが、これが漢方薬を本格的に勉強しようとするきっかけになった漢方薬との出会いとの事でした。
 この経緯は医療に不信感を抱く典型的なパターンのひとつです。症状を治してもらいたい患者側と、病気を治す医療側の平行線ですので、いくら頑張ってもお互いに満足した結果は得られず、お互いが不幸です。
 セカンドオピニオンは、患者の権利を守ると同時に、医師にとっても誤診を回避するなど多くのメリットを持ったしくみです。医療が進歩してさまざまな治療法が存在する今日では、医師によって病気に対する考え方が違うことがあります。また、医師や病院によって、医療技術や診療の質に差があることもあります。そこで、患者にとって最善と考えられる治療を、患者と主治医で判断するため、主治医以外の医師の意見を聞くことがセカンドオピニオンです。漢方薬がすべてをカバーできるわけではありませんが、患者が恩恵を受けるのであれば、治療の選択肢はいろいろあるということです。
2015年06月04日(木) No.700 (山内先生(産婦人科)のコラム)

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