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膵疾患について


 膵臓は胃と十二指腸に囲まれ胃の後ろに位置する臓器で、糖代謝と消化に関わっています。糖代謝の働きとしては、血糖値を上げるグルカゴンと血糖値を下げるインスリンというホルモンを血液中に放出して、血糖値を調整しています。また消化の働きとしては、トリプシン、アミラーゼ、リパーゼなどの消化酵素を含んだ膵液を膵管から十二指腸に放出し、蛋白質や炭水化物、脂質の消化に関与しています。膵臓の主な病気には炎症と腫瘍が挙げられ、それぞれについて説明していきたいと思います。


 ①炎症…膵臓に炎症を起こす膵炎は、急性膵炎と慢性膵炎に分けられます。脂物やアルコールを摂取した後に、急激な腹痛や背部痛が出現した際には急性膵炎が疑われます。また長期間の脂物やアルコール摂取、急性膵炎を繰り返している方で、腹痛や背部痛を繰り返している方は慢性膵炎が疑われます。急性膵炎の中には急激にひどい膵炎を起こす重症急性膵炎という状態もあり、これを発症すると4人に1人は死亡すると言われています。これは最初の急性膵炎を発症した際になることもありますし、慢性膵炎に合併することもあります。急性膵炎や慢性膵炎が悪化した際の治療としては絶食+点滴の治療となり、改善後には低脂肪食+禁酒が必要となります。また一度重症急性膵炎を発症したり慢性膵炎を繰り返していると、膵臓でホルモンがうまく作れなくなることで糖尿病となり、インスリン治療が必要となることがあります。
 ②腫瘍…膵腫瘍には良性と悪性の腫瘍があります。良性腫瘍にはホルモンを勝手に多く作ってしまうホルモン産生腫瘍や、粘液を産生する腫瘍、水が貯まる腫瘍など様々ですが、これらの中には悪性を合併するものも存在するため、良性の可能性が高くても精密検査が必要となることがあります。悪性腫瘍は主に膵臓癌です。膵臓癌は早期の発見が非常に難しい癌の一つで、手術で完全に切除できるケースも少なく、抗癌剤治療となるケースが多いです。
 膵臓は胃や腸のように直接カメラを入れて見ることができる臓器ではなく、肝臓や胆嚢のように腹部超音波検査で見やすい臓器でもないため、精密検査を行う際には腹部超音波検査やCT、MRI、超音波内視鏡、太い胃カメラで十二指腸から膵管造影をする検査などを組み合わせて行うことにより、総合的に病気を判断する臓器です。膵癌の危険因子には喫煙や糖尿病、慢性膵炎、家族に膵癌になった人がいるなどが挙げられるため、禁煙したり、糖尿病や慢性膵炎にならないように飲酒や高脂肪食を控えること、これらの危険因子が複数ある方は定期的に検査をすることなどが私達にできる範囲のことだと思います。
2011年06月02日(木) No.483 (本間先生(内科)のコラム)

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